警察の誕生 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 96
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205718

作品紹介・あらすじ

警察の歴史をひもとくとき、今日のようなシステムが整うに到るまでには、その道筋は一筋縄ではいかなかった。そこには長い歴史が存在する。ヨーロッパにおける警察組織の発達過程は、王権や教会、都市といった様々な権力機構と不可分の関係にある。ヨーロッパ王朝史研究を専門とする著者が、各時代の独特な捜査法を紹介しつつ、ヨーロッパで近代警察が誕生するまでの背景、更には警察史を通じて見えてくる「新しいヨーロッパ史」を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 成毛眞氏の本のキュレーター勉強会課題図書。

  • [ 内容 ]
    警察の歴史をひもとくとき、今日のようなシステムが整うに到るまでには、その道筋は一筋縄ではいかなかった。
    そこには長い歴史が存在する。
    ヨーロッパにおける警察組織の発達過程は、王権や教会、都市といった様々な権力機構と不可分の関係にある。
    ヨーロッパ王朝史研究を専門とする著者が、各時代の独特な捜査法を紹介しつつ、ヨーロッパで近代警察が誕生するまでの背景、更には警察史を通じて見えてくる「新しいヨーロッパ史」を描き出す。

    [ 目次 ]
    序章 江戸の「警察」組織
    第1章 古代ローマ「警察」制度
    第2章 中世の「警察」制度
    第3章 中世の都市の発展
    第4章 嫌われるウィーン市警備隊
    第5章 パリ「警察」の成立
    第6章 警察大改革前のイギリスの旧警察
    第7章 「ありがたき警察」と警察国家
    最終章 近代警察の誕生

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「近代警察の誕生」までを、発生したヨーロッパの歴史を紐解く。エピソードが非常に面白い。
    近代警察以前は、警察権力は行政・司法・政治(公安)が一体になり、かつ無給で、自治と雇われによる腐敗の間をさまよっていたようだ。
    ここでは言及されない非ヨーロッパ、たとえばイスラムなどでの警察組織の歴史などにも興味が出てきた。

  • (欲しい!/新書)

  • 2011/03/04 成毛ブログで知る

  • 警察の歴史を追いながら、近代ヨーロッパ成立までのからくりを探るという、野心的な一冊。古くは古代ローマから中世、近代ヨーロッパまで、各国の警察を巡って繰り広げられるストーリーは、人間の本質をさまざまな視点から浮き彫りにしており、非常に読み応えがある。

    ◆本書の目次
    序章:江戸の「警察」組織
    第一章:古代ローマ「警察」制度
    第二章:中世の「警察」制度
    第三章:中世の都市の発展
    第四章:嫌われるウィーン市警備隊
    第五章:パリ「警察」の成立
    第六章:警察大改革前のイギリス旧警察
    第七章:「ありがたき」警察
    最終章:近代警察の誕生

    本書は、著者の立ち位置が一風変わっている。さながら”お喋りなナビゲーター”といったところだろうか。警察という堅苦しいテーマの話が、すんなりと頭に入っているのも、この著者のキャラクターによるところが大きい。また、各章のねらいが前章の終わり付近に明記されていることも、本書を読みやすくしている。もしやと思い、著者の前作『ハプスブルク帝国の情報メディア革命』までさかのぼり、”あとがき”を見てみると、やはりある。本書の予告めいたものが明記されており、「人は自由を追い求めて遂に警察国家を作り上げた」というドストエフスキーの言葉が紹介されているのだ。
    なるほど、「警察」について考えるということは、すなわち「自由」について考えることなのである。各国の歴史を追う中で最も印象的だったのは、「民衆が勝ち取った自治は、多くの場合、民衆自身の手によって投げ出される運命にある」ということだ。警察のない自由を追い求めていくと、必ず不自由に陥るという、不思議なパラドックスがそこには成立している。規制とは、自由にとって必要悪な存在なのである。

    自由と規制、このやじろべえのような両者の均衡点は、近代イギリスにおいて、ある種の結実を迎える。「自由と規制の境界線を、あいまいにする」ことが生み出した、社会的受容によってである。しかし著者はこの均衡点も、現代における”相互作用の均質化崩壊”により、制度疲労をおこしていると警鐘を鳴らす。しかし、いつの時代、どこの国においても、大切なのは個々人の在り方ということになってくるだろう。つまり、我々自身が規制の輪郭を明確に認識し、その中の自由を十分に謳歌する、ということである。

    一点気になったのが、冒頭の切り出しで紹介される「江戸の岡っ引き事情」が、全体にどのように寄与しているのか、さっぱり分からなかったことである。著者自身も、自由を謳歌してしまったということなのだろうか。それでも、著者の次回作は非常に楽しみである。

  • 「警察」という組織の成立にまつわる本。かつての警察は、現在の警察とは違い、行政権と裁判権を有していたが、それは王権を強化するための国王直属の秩序維持組織としての側面が大きかった。そういった意味で、警察の歴史は、中世ヨーロッパの王権と自由主義の歴史にも繋がる面白い話題である。本書は、やや孫引きが多いのと、中世ヨーロッパ以外の「警察」(例えばイスラム世界)に関する記述が欠如している点で、やや物足りなさを感じた。とはいえ、中世ヨーロッパの歴史をそれなりに知っている人なら、楽しめるだろう。

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著者プロフィール

1948年生まれ。早稲田大学大学院博士課程に学ぶ。明治大学名誉教授。専攻はドイツ・オーストリア文化史。著書に『ハプスブルク家の人々』(新人物往来社)、『ハプスブルク家の光芒』(作品社)、『神聖ローマ帝国』(講談社現代新書)、『ハプスブルク帝国の情報メディア革命─近代郵便制度の誕生』(集英社新書)、『超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯』(H&I)、『ウィーン包囲 オスマン・トルコと神聖ローマ帝国の激闘』(河出書房新社)、訳書に『ドイツ傭兵の文化史』(新評論)などがある。

「2022年 『ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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