- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206517
作品紹介・あらすじ
日本を取り巻く困難はより深いものになっており、私たちは先の見えない日常を送っている。だが、このようなときにこそ、人間の脳が持つ「挑戦」の素晴らしい能力が生きてくる。脳はオープンエンドなシステムであり、試験に直面したときにこそ新たな力を発揮するのだ。私たちの日常の中に「挑戦」は遍在している。人間は誰もが、経験したことのない新たな世界と出合い、自分の存在を確立しようと奮闘して生きている。困難さを力に変えて生きるために、私たちはどうすればよいのか?さまざまな事象をもとに論じる、著者渾身の書。
感想・レビュー・書評
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ご友人という竹内薫さん絶賛だったので購入。だが、概念的すぎてもうひとつ。あとがきが秀逸!
「人はなぜ挑戦するのか?」それは「新しい風景」を見るためだ。新生児の話や盲目の方の話。決断に際して怖さや迷いを感じても、「新しい風景」を見るために、あえて困難な、新しいことに挑戦しよう。それが脳の本質だから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
よかった。
脳がどのように「挑戦」していくのか、そのことを論理的に示していて、納得感と説得感があったように感じる。 -
脳が本来的に持っている挑戦する、という性質の重要性と、その挑戦する能力を必ずしも後押ししない日本社会の問題が理解できた。
「自由」「新しい風景」の中に身を置き続けることで、生命自体が更新される。心掛けたい。 -
赤ちゃんは転ぶことを怖がらない。大人になると転ぶと痛いからといって、転ばないように安全な方法を考えて行動しなくなる。
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日本の不調の理由は「偶有性忌避症候群」にある、という箇所が印象的でした。ルールやコンプライアンスにがんじがらめにされ、誰もが同じスーツで新卒一括採用される日本。
本来何事にも挑戦できるはずの脳の可能性がどんどん狭められています。このマインドセットを根底から変えない限り日本の再生はない、とこの本は警鐘を鳴らしています。
不確実さが増す世の中、偶有性(「何が起こるかわからないという状況」とのこと)に対処できるようにすることが、いわゆるグローバル社会や、多様な人との共存社会、そしていつ来るかわからない自然災害を生き抜く上でのキーとなります。私達はもっと挑戦しなければならない、日本をもっと挑戦できる社会にしていかなければならないと強く感じさせる一冊です。 -
もっと集中して読めば感動を得られただろうなぁ。
登山の仕方には典型的なものもあれば、非典型的なものもある。登坂ルートが異なる。登るときの方法が違う。学校の教育法は、そこに投入される社会的資源の制約などから、典型的な子供に照準を合わせている。その中ですくすくと育っていくのはいわゆる「優等生」。しかし、心地落ちこぼれてしまうような「劣等生」でも、学習していないと言うわけではない。学習法が典型的ではないと言うだけのことである。
保護者が子供に十分な「安全基地」を与えることができた場合、すなわち、子供の自主的な挑戦を背後から見守り、それを妨げない。ただ、見守っていると言うメッセージだけは子供に伝え続ける。そして、困ったときには手助けをしてやる。そのような保護者のもとで育った子供は、成人しても自分の中に十分な「安全基地」のレベルを持っている傾向がある。そのような人は、「根拠のない自信」を持ち、それを努力によって裏付けようとする。不確実な状況にも積極的に飛び込んでいき、新たな挑戦を重ねることを好む場合が多い。
笑いは、自分の置かれている状況を「外」から「客観的」に見る「メタ認知」をもたらす。メタ認知を通して、自分と他者との関係を見直すきっかけが得られる。
オルタナティブとは、「代わりとなる、型にはまらない」といった意味を指す言葉。
臨死体験の話。病院のベッドの上に横たわっている自分を、天井から見つめているこのような「臨死体験」は、死と言う最後の挑戦を前にしての、意識ある人間の脳の精一杯の対応であると考えられる。「臨死体験」から読み取られるべき意識と死の関係とは何か?その幻視の中に、人間のどのような願望が込められているのか? -
脳科学者茂木健一郎の、コラムをまとめた本。コラムとはいえ、一本の筋の通った話しで成り立っており、脳自体が、自由を求めていること、それ故に挑戦していくべきなのだということ、最後の方には自己を鼓舞し、さらに我々日本人に対しても警鐘を唱え、檄を飛ばしている。
本を読むこと自体が(他の人はともかく)私にとっては未知への挑戦であり、ミクロ的には挑戦しているのかもしれない。 -
『リヴァイアサンでなければ、輝かない』
中国が自国民へのノーベル平和賞授賞を批判して、独自の孔子平和賞を勝手に創設した。無条件に信奉している権威やルールなどは、自分たちが勝手に縛られていただけなのだと気がつく。中国が傍若無人なとんでもない国としか思えないようなニュースであったが、このような視点でみると、我々も見習うべしという気持ちなる