消されゆくチベット (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206883

作品紹介・あらすじ

チベットの文化や伝統を消し去ろうとする力はより一層強められているが、問題は政治体制や民族支配の問題だけで捉えてはならない。現代が抱えるグローバル経済の面からも現状を見る必要があるのだ。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685858

  • ふむ

  • すでにレビューされている方もおられるが、チベット=善、中国=悪と決めつけているように見えてしまう。
    悪事を並べたうえでの記述であれば、こんなふうに引っかからないで読み終えられたと思う。
    事実の記述なしで中国は悪だと言っているだけでは、程度の高い読み物にはならないのでは。

  • この人は本当に純粋に、チベットで起きていることを憂いているのだなと思う。何度も足を運び、現地の人たちとの交流に基づいて書かれていることはわかるけど、チベット文化は善きもの、中国の文化はそれを破壊する悪しきものと言われているようで、複雑な気持ちになる。

  • ちとイメージが違ったかな。もう少し歴史的な背景や中国との距離感やその変遷などを知りたかったかな。
    近代化に伴い昔のアナログ感は失われ、便利なデジタル感が残る。寂しい感じがするのは先進国側のエゴなのです。

  • [ 内容 ]
    二〇〇八年の騒乱以降、チベットの文化や伝統を消し去ろうとする圧力はより一層強められている。
    宗教活動の制限、チベット語教育への介入、天然資源の無秩序な採掘、厳しい言論統制など、中国による政治的、文化的弾圧は年々深刻化している。
    だが、チベット問題は、今、世界を覆うグローバル経済の面からも見る必要がある。
    そして、伝統や文化の継承は風前の灯のように見えるが、厳しい状況下でも懸命に文化や伝統を守り抜こうとするチベット人たちが多く存在するのだ。
    長きにわたって現地を取材してきた著者が、独自のルートでチベットの現況を詳細にルポルタージュする。

    [ 目次 ]
    第1章 ドンを探しに
    第2章 変容する食文化
    第3章 ダワのお葬式
    第4章 子供の情景
    第5章 伝統工芸の行く末
    第6章 「言葉を入れておく瓶はない」
    第7章 近代化の波

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • チベットについての説明。チベットに興味があってこその本で、自分にはいまいち。

  • チベットに何度も赴いている女性による紀行文というかルポルタージュ。
    全七章構成。
    第一章 ドンを探しに
    第二章 変容する食文化
    第三章 ダワのお葬式
    第四章 子供の情景
    第五章 伝統工芸の行く末
    第六章 「言葉を入れておく瓶はない」
    第七章 近代化の波

    チベットの自然、食や葬式等の文化、教育、伝統工芸、言語など多岐に亙る視点でチベットの現状を紹介している。
    非常に読みやすく、理解しやすい。ただ、写真があまりないのが惜しい。
    文章も大切だが、比較できる写真を用意することができれば、より視覚的に訴えることができるのではないかと思われる。
    特に第一章のドンについて。結局ドンの写真はないままなのは残念すぎる。
    第三章における葬儀のあり方も興味深い。葬送方法を藏医院天文暦算研究所で判断してもらったり、葬儀後にはミルクで髪や目、耳などを洗うというところなど、日本と随分異なる習慣があることが紹介される。

    読後感としては、チベットの人々は基本的に急激な近代化は求めていなかったのだろうなと考える。一方、中国政府としては、自治区としていてもチベットは中国の一部であるから中国内地同様に繁栄・発展するべきなのだと考えているのだろう。で、これは建前であって、本音としては地下資源が豊富だし、近代化を進めることで漢人を多く入植させ、より儲けを稼ぎ出すための市場を開拓したいのだろう。
    「我々の力で発展させてあげよう」というのは本当に押し付けがましい。いい迷惑だ。確かに便利になる部分もあるだろう。しかし、拙速に過ぎると崩れるのもまた早いし、その時の衝撃もまた大きくなるだろうと思う。中国政府はいつになったらわかるのだろうか。何にでも言えることだけど物事には「中庸」が大切だと思う。

    また、著者がチベットを心から愛していることは読めばよくわかるが、できれば話題を取り上げる際に、同様のことが日本ではどのようであったか、或いははどのようであるのか、などの言及もして欲しかった。そうすることで、チベットの置かれた現状が過去の日本にも少しはあったことがわかり、理解や親近感への一助になると思われるからである。教育問題や伝統工芸などは日本も同じような問題を抱えていると思われる。

  • 図書館で偶然見つけました。椎名さんの本とこの一枝さんの本。
    別々のところにあったのに、びびっと私の心に響いたのです。
    はたして読んでみたら、椎名さんの内容とリンクする部分もあり、2冊同時に読んでいくと誠に意義深いものでありました。
    以前からチベットには関心があり、目につく文献を読んできましたが、そうかチベットのことなら渡辺一枝さんかと今更ながら気づいた次第です。
    長らく携わってこられた保育の仕事を辞めてから、今日まで何十年とチベットに通い詰めている一枝さんは、女性ならではの感性でチベットの人々と関わり、親交を深めてこられました。
    その都度、本にまとめて紹介されているようですが、単なる観光案内的なものではなく、その時の自分の関心事を探しに行くみたいなとても偏りのある旅もまたおもしろいです。
    今回はろうそく作りや紙漉職人さんや、チベットの伝統工芸を訪ねる旅、そして親しい友人を見送るという悲しい出来事の立ち会い、(なんと鳥葬にも立ち会われる)今回も濃い旅だったようです。
    そんなチベットにも時代の波は押し寄せ、若者の服装や、大きい工場の出現や近代住宅など、目を見張るものがあるそうです。
    中国の介入による力の大きさによるものですが、はたしてチベットの人たちはどう思っているのでしょうか。

  • タイトルから、チベットの現状をルポしたものかと思いましたが、どちらかというと著者のチベット旅行記、現地の人との交流記といった感じの本です。もちろん中国政府によるチベット人弾圧、チベット文化の破壊に対する批判は随所に見え隠れしますが、全体がおばあちゃんの旅行記的な空気を持っているので、切実な感じが今一つ伝わりにくいかもしれません。また特に中国政府の政策を取材したとか、新聞・テレビなどの資料によって裏付けているわけでもないので、あくまで個人の旅行で感じたことを書いているだけという印象になってしまっているのは残念です。この感じで書くのであれば、中国政府批判めいたことは書かず、とにかく自分で見たままをそのまま書き記す態度に徹した方が却ってチベットの悲しみ、苦しみが伝わったのではないでしょうか。そして「消えゆく」ではなく、「消されゆく」というタイトルにした意味も鮮明になったのではないでしょうか?

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