荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.67
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本棚登録 : 674
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206890

作品紹介・あらすじ

「映画にはサスペンスが必要だ」と豪語する荒木飛呂彦が、イーストウッド作品から青春・恋愛モノまで、あらゆる作品に潜むサスペンス性とその掟を明らかにする、全くユニークな映画論。

感想・レビュー・書評

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  • 「この映画が好き、この映画が嫌い」といった駄話に終始することが多い有名人の映画評の中でも、この本はかなり真剣にして真面目なものだった。漫画家が映画を語るという点で言えば、これ以上ないくらいに分析的。『ジュラシックパーク』のカット割りの話など、漫画家ならではの視点が盛り込まれている。

    前作、『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』が好評だったので、「期待に応えて!」ということなのか、荒木飛呂彦の映画本が出るのはファンとしては嬉しい限り。今回はサスペンス映画を中心に、荒木飛呂彦が影響を受けた映画を語り尽くしている。週刊少年ジャンプという日本文化最大のメインストリームで、黄金期にカルト的な漫画で長期連載をしたという一点だけでも伝説的な漫画家の、かなり真面目な映画についての持論が述べられている。個人的には、巻末にある荒木飛呂彦の映画研究ノートの写真! が一番の見所だった。

    荒木飛呂彦がかなり分析的な作家だというのは、『死刑執行中脱獄進行中』のあとがきで短編の分類をしたときから感じていたことだったけれども、やはりそのルーツは映画研究にあったのかと納得してしまった。しかも、映画研究ノートを見ると、かなり本格的なので驚く。そういうわけで、荒木飛呂彦が作品論や創作論を語れば、それはもう面白くないはずがないわけだ。この本でも、「面白い」ということについて突き詰めて考える作者の仮説、サスペンスこそが面白さの源泉になるという論については、確かにそうだと思える部分が多々あった。

    荒木飛呂彦は週刊連載していたときから、かなり映画に影響を受けているということを隠そうとしない漫画家だった。というのも、ジョジョにも「あ、これは『激突!』のオマージュね(運命の車輪)」とか「あ、これは『スピード』のオマージュね(ハイウェイ・スター)」みたいなシーンが登場するからだ。でも、それは週間連載というハードなスケジュールのなかで、アイデアを出すという部分では仕方がないと思うし、そのままというわけではなく、ジョジョ風にアレンジして楽しませるという工夫もあった。そこが単に展開をパクった漫画との決定的な差だったと思う。作品の、どこが面白いのか、どこがキモなのかをちゃんと語れるところに、ただの映画好きとは一線を画す、クリエイターならではの視点がある。

    この本の読み方としては、そういう荒木飛呂彦の作品論や創作論を楽しむという面の他に、映画評としても自分が好きな映画と対比してみるという楽しみ方がある。荒木飛呂彦のサスペンス映画ランキングの中で、『96時間』が3位にランクインしているのは、僕もこの映画が大好きなので嬉しい。また、本文の中での映画評では、イーストウッドの映画は題名だけ観たら観る気がしないけれども、観たら「すごいものを観た!」と圧倒される……というくだりがあって、最近『ミリオンダラー・ベイビー』を観てそう感じた僕は激しく同意してしまった。逆に、「え?」と思ったのは、ポランスキーを『ナインズゲート』を観て評価したというところ。結構珍しいと思う。

    基本、荒木飛呂彦の作風に沿って、採り上げられている映画は「サスペンス要素のある映画」で統一されているので、恋愛映画やSF映画は少ない。また、前作の『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』でもそうだったように日本映画もほとんどない。この辺りは、荒木飛呂彦の音楽の好みが洋楽一辺倒だったように、日本映画を観る気があまりしないのかな~と。でも、この調子で色んなジャンルを語ってほしいので、温存しているという可能性もあるような気がする。格調高い作風の映画と違ってサスペンスの面白さを真正面から論じ、軽く観られがちなものにそうではないという視点を提供してくれる、という意味ではかなり質の高い映画評だと思う。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「漫画家ならではの視点が盛り込まれている。」
      ちゃんと判り易く書いてくださって、とってもgood!観る予定の全く無いホラーについて書かれた前...
      「漫画家ならではの視点が盛り込まれている。」
      ちゃんと判り易く書いてくださって、とってもgood!観る予定の全く無いホラーについて書かれた前著にも目を通そうかと考えましたよ(でも、読んで恐くなったらヤなので、考え直しましたが)
      2013/07/19
  • 荒木先生が何を想いJOJO作品群を描いたのか、
    その一端を窺える、ファン垂涎の品と言えるでしょう。
    ジョジョラーならば是非とも手に取るべき一冊ですね。

    但し、タイトル通り調偏愛な内容に終始しているため、
    一般的な映画評論を期待して読むと消化不良を起こします。

    この本の主軸として度々登場する「男泣きサスペンス」。
    成程、熱い観方ですし理解はできます。
    しかし、文言通りに男性独特な感性であるため、
    女性の私には全く共感できないどころか、
    むしろ、この説明とは真逆の感覚を持っています。
    氏の言う「男泣き」の部分は、私には人の愚かさに感じられます。
    何度同じ経験をしても学ぶことを知らない、愚かで悲しい生き物=人間。
    つまり、その人物のマイナス要素でしか無く、
    「仕方ないよな、分かる分かる」とは絶対に思わないという事。
    ただ馬鹿なだけに思えて、彼(または彼女)の評価がダダ下がるだけです。

    反面、サスペンスを含むエンタテインメントの件は素直に共感できる部分です。
    「サスペンス」という表現をここで使うか!と、驚かされました。
    正に、目から鱗が落ちる状態です。
    各監督にスポットを当てた評論も、頷けるものばかりで好感度の高い内容です。
    それぞれ一時代を築いた監督や俳優たちの説明を読み進めるうち、
    いつの間にか荒木飛呂彦という人物像が頭の中に出来上がっている、
    不思議体験をさせてくれる本ですね。
    可不可併せて☆3つなのでしょうけれど、JOJO加算で☆4つです。

  • ホラーが売れたので今度はサスペンス。
    サスペンスっていっても幅広。

  • 紹介されている映画を、私は殆ど観た事がないのがちょっと残念だけれど、それでも充分楽しめる本でした。
    荒木さんの映画愛、作品愛が伝わってくるというか。
    荒木さんの作品も、こういう視点で生まれてくるのかな、って思ったり。
    前著作のホラー映画論もまだ読んでいないので、そちらも読みたくなりました。

  • 良い物語にはサスペンスがある
    ①謎
    ②主人公に感情移入ができる
    ③説得力のある設定描写
    ④ファンタジー性(現実では体験できないものがある)
    ⑤泣ける
    映画の観方や作り手の意図やテクニックに気づき、映画を楽しめる方法が書かれている。
    物語を作る人にはとても役に立ちそう
    オススメ映画の見どころやどうして面白いと感じるのかを解析されていて為になります

    【瞬読毎分13230文字】

  • ジョジョ作家が書く映画解説。映画が大好きなのはわかるが、内容が浅過ぎる。特に「許されざる者」は、当時のアメリカの政治を知らなければ、本質を理解できない映画。もっともっと映画を咀嚼して頂きたい。残念です。

  • よい物語にはサスペンスがある!

    荒木飛呂彦は自分が面白いと思う映画を徹底的に研究していたとは。
    その研究結果を漫画に生かしている。なのでジョジョは面白いのか。

    漫画とはずれるけど、島田紳助も面白いと思う漫才を徹底的に研究して
    自分たちの漫才を確立していったとか言ってたけど、同じだな。

    下手な映画ランキングとかみるよりも、荒木さんが面白いと思える映画を
    チェックするほうがよほど有益に思える。

    とりあえす、「ヒート」「大脱走」「96時間」は要チェックだ。

  • 前作はホラー映画に絞っていたが、今作では少し間口を広げてサスペンスという括りに。世間一般で言うサスペンスに限らず、条件を満たせばコメディやCGアニメもサスペンスになる。著者によるサスペンスの条件とは、以下の通り。

    ・謎がある
    ・主人公に感情移入できる
    ・設定描写に妙がある
    ・ファンタジー性がある
    ・泣けるかどうか

    7章に分けて映画評が続く。ジョジョの奇妙な冒険における取り込み方もたまに説明される。

  • ★★☆☆☆

  • 荒木師匠の映画批評エッセイ。
    過去にホラーをテーマに上梓されているとのことですが、今回のテーマはサスペンス。
    でも、タイトルにはサスペンスのサの字もないですね。何か事情でもあるのか?

    「男泣きサスペンス」「C・イーストウッドはジャンルだ」などと、畳み掛けてくれます。

    少し歳も近いこともあり、1970年代から2000年以前は、私も観たタイトルが頻出して楽しいです。また、近年もさすがによく見られており研究されており勉強になりました。




    図書館で借りました。

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