部長、その恋愛はセクハラです! (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087206968

作品紹介・あらすじ

多くのセクハラは、恋愛とのグレーゾーンで発生する。なぜ女性はノーと言わないのか。訴えられたらどうすればいいのか。豊富な具体例を紹介しつつ、男が嵌りやすい勘違いの構図をあぶりだす。

感想・レビュー・書評

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  • 関係者の事後処理のまずさによる被害拡大、2次被害、波及した被害を防ぐべきという論点に共感。

  • 月曜部長のデスクに置いておきます

  • 当事者の立場によって見方は変わる
    真っ黒だけがセクハラではない、そのほとんどはグレーゾーン
    真剣なら許される、わけではない
    いやでもニッコリすることはある
    地位と権力
    会社には会社の判断基準

  •  部下や取引先の女性が、なんとなく自分に好意をもっているように思ってしまいがちな弱い心(スケベ心?)があることを、昭和世代のオジサンたちは自覚していません。

     よく考えれば、社交辞令か自分の地位やポジションパワーなしに、見た目も体力の衰えも自覚しているはず。

     大抵、そんなわけはないのです。

     でも、取引先がぺこぺこするのを、会社の名前でなく自分の力だと勘違いするのと同じくらい、危ない落とし穴なのかもしれません。

     部下ができたら、事例集として、読んでおくといいと思います。LINEやSNSでうっかりのぼせ上がった「証拠」を実際に残してしまう前に、「ひとごと」と思って冷静に読めるはずですから。

  • 財務省事務次官を辞任に追い込んだセクハラ。そんなことにならないためにも、特に働く男性は本書を読んでおいた方が良いと思いました。職場のハラスメント研修なんか受けるよりよっぽど勉強になりました。本書ではまだまだ多い事例である、男性が女性に訴えられるセクハラに限定して、豊富な具体例が紹介されています。ハラスメント研修なんか受けると、相手が不快に思えばセクハラ!とか言われて、じゃあどうすれば良いんだよ、とか当然多くの男性が感じるような疑問も挙げて、コメントしてあります。黒か白かのセクハラなんて滅多になく、ほぼ全てグレーゾーンであるのが実際のセクハラであることを認識し、映画羅生門のごとく、同じ事実も立場によって見え方が違うもいうことも分かっておかなければならない。同意があろうとなかろうと、上司であろうとなかろうと、職場や学校では純粋に仕事だけをしておけば無難かもしれません。本書では訴えられないようにするための心構えだけではなく、訴えられたらどうすべきか、理想論だけじゃなく現実的な対応についても述べられているので使える一冊です、間違いなく。

  • めちゃくちゃおもしろかった。
    身に覚えがありすぎた。
    男性は女性の無言の微笑をnoではなく、yesと受け取ってしまうのだな。
    そして、女性はnoということばを持たないというのも、ほんとだなと思った。

    以下、自分語りで恐縮ですが、どんどん記憶が蘇った。
    オフィスから呼び出されて仕事の話をしてたのに、いつのまにか夜景を見ながら肩を組んで写真を撮られたり、仕事のためといわれて休日連れ出されたり、マッサージといって触られたり、仕事でとしつこく旅行に誘われたり、君じゃないと身体が反応しないと言われたり、生涯逢いたいから仕事(作業)を作り出すと公言されたり。
    それが好意の表れだから、良いと思っているような、受け入れられると思っているような、無自覚すぎる男が数人いて。
    私も、なんできっぱりnoと言えないんだって自分を責めたりしていて。でも相手に悪気はないし、変に反応して自意識過剰と思われるのもいやだし、何より仕事上の付き合いは良好でいたいし。
    無自覚なふりをしようとしてたけど、根っこはそうもいかなくて、もんもんとした中、察してと思って態度に出しても、全く分かってもらえないという、困りごとが多くて。最終的に仕事にも支障をきたした。
    相手の発言は今も続いてて、精神的にしんどくなることがある。
    自分が悪いと思ってたけど、それだけじゃないみたい。
    悪気がなくても、悪いことはあるんですね。

    それが全部すっきり解説されていた。
    ありがとうございます。

  • 主に相対的に組織内で力を持った男性が上下関係のある女性に対して無意識にセクハラをしてしまう構造を説明し、気づけていない男性に女性がどのような気持ちを抱くのかを典型事例を用いて紹介し、警告するもの。登場する男女像はいささか古いが、社会ではこれ以上に古風な考えと感覚を持った人は多い。「あのひとが昇進したら、贈ってあげよう」との帯は本書の対象と内容をうまく表している。もっとも、組織内で力を持つ女性も必読本。セクハラに悩む一人の人の被害は働く環境全体の問題であり、女性だからこそ分かったつもりになることもある。だれしも、嫌なことをその場の雰囲気を壊したくないからNOと言えなかった経験はあるだろうが、現代ではまだまだ女性の方がそのような経験は多いと思う。特に宴会の席での下ネタや結婚、妊娠・出産に関する話、身体的接触等、私自身なんであの時NOと言えなかったんだろう、という思いを持ったこともあるし、そういう思いはずっと頭にこびりついている。でも、他人のことを分かったつもりにはなってはいけないし、同じ事実も感じ方は人それぞれだということを改めて肝に銘じたいと思った。本書にはハラスメント問題に鈍感な弁護士も登場するが、法律問題に詳しい人やリベラルな人だからハラスメントはあり得ないということはなく、価値観が多様化している現代だからこそ、自分は大丈夫、と思わずに社会の状況の変化に自分の感覚が追いついているか、常にアップデートしていかなければならない。性犯罪に関する刑事法検討会にて金杉委員が全事業所の指定図書にしてほしいくらい、と述べていたところからどのような書籍か気になり積読していたものをやっとこのタイミングで読めた。

    ハラスメントを受けたことがある人が読むと、本書の筆者があまりにもハラッサーの側の気持ちも代弁しすぎなのでは?と腹立たしく思うだろうという描写もあるが、正直、ここまでハラッサー側の気持ちも書いてあげなければ最後まで読めないハラッサーも多いと思う。ジェンダーやハラスメントと言っただけで拒否反応を起こす人がまだまだ多い世の中でどのようにハラッサー側の認識を改められるか、そこに筆者は挑戦しているのだと思う。

  • 2021/10/15 読了

    会社の管理職全員に読ませたい本。
    取り上げるのは「悪気はない」男性の行動が女性にどう思われているか、ということ。

    男性主体の会社内において「女性にとってよい職場は何か」を考えるためにも使えるが、
    男性が女性から「セクハラ」で訴えられないよう、自衛のためにも読んで欲しい本。

  • とりわけ新しく斬新な事が書かれている訳ではないが、男女間の認識のズレ、経営や社会的評価リスクのポイントを、多くのケースを元に分かりやすく記述している。
    男性側の言い分もしっかり聞きつつ、回答しているため、職場研修にも適していると思う。

  • どうしてセクハラ案件は加害者側からしばしば「恋愛」と規定されがちなのか。1992年の福岡セクハラ訴訟などの判例の積み重ねから現在に至るまでのさまざまなスタディケースをもとに、セクハラトラブルの複雑な様相を紹介してくれる。どんなに極小でも男性労働者はしばしば女性より何らかの意味で職場内の「権力」をもっており、それを外した状態での提案ができない限り誘いは強要の性格を帯びる、という仕組みについて、さまざまな説明が試みられていた。
    (2020-09-04 細かい感想も書きたいがとりあえずここまで)

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著者プロフィール

大阪大学大学院人間科学研究科教授。専門は社会学・女性学。
主な著書:『部長、その恋愛はセクハラです!』(集英社)2013年、『家族を超える社会学』(新曜社)2009年、『ジェンダー家族を超えて─近現代の生/ 性の政治とフェミニズム』(新曜社)2006年、『実践するフェミニズム』(岩波書店)2001年、『戦略としての家族─近代日本の国民国家形成と女性』(新曜社)1996年

「2015年 『改訂版 ジェンダー・スタディーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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