- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087207248
作品紹介・あらすじ
ロングセラー『物理学と神』から12年、待望の第2弾が登場。宇宙をテーマに、神と科学者たちの相克の歴史を描く。人類の歩みの中で、天文学者が命懸けで追い求めてきた宇宙の姿を炙り出す!
感想・レビュー・書評
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古代ギリシャや中国、インドの宗教的宇宙像から現代のダークマターやダークエネルギーが大部分を占めるという宇宙像に至る宇宙観の発展を、(キリスト教的な唯一)神と絡めて解説した本。
少なくとも中世ぐらいまでは、宇宙の真の姿、システムを追求することが、今では科学と対置されがちな神の居場所を追い求める営みであり、その時々の社会情勢と互いに深く影響しあってきたのだということが読み取れて興味深かった。が、14章の人間原理についての記述には違和感を覚えた。人間原理とは簡単に言えば、宇宙が人間を生み出し得たという条件を用いることで物理定数の「都合の良さ」を説明する説である。筆者は、宇宙が、人間のような誕生して間もない浅薄な存在によって左右される筈がない、として人間原理に反論している。しかし、(僕の理解が正しければ、)人間原理は人間を宇宙の運命を定める至高の存在としてではなく、寧ろ「珊瑚の化石」のように扱っている。つまり、珊瑚の化石が地層から発掘される事が、ある地域、ある年代の気候について何らかの示唆をもたらすのと同じ意味で、人間(知的生命)が地球に存在しているという事実がこの宇宙の性質に関する情報を与えるという訳だ。「地球の気候」が「珊瑚の化石」のような「浅薄な存在」によって左右されるとは誰も考えないだろう。人間の視点を、人間自身の存在をいわば外から眺めるという概念を導入する事で何処でもあり何処でもないような虚空に解消したという意味で、人間原理は人間を至高としているのだと言われれば、そうかなと個人的には思うが。以上、僕が人間原理を確認する意味で長々と書きました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ふむ
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第三章あたりまで読んだ。本を図書館に返さないといけなくなったので最後まで読めず、ちょっと残念。いつか続きを読みたい。
印象に残った箇所のメモは以下。
神の変容
「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」における「ほとけ」じゃ極めて日本的な宗教観かもしれない。基本的には自力本願であって、その努力を愛でて最後に「顔」をみせてくれるからだ。これに対し、西洋における「神」は少し異なっている。至高の存在であるとともに、自然界を束ね、難問を投げかけたり、試したりして、人間を困らせ挑発し翻弄する存在である。唯一神であるが故に人間に対して自由に振る舞う子ことができ、人間が右往左往する様を天の高みから楽しんでいる。人間は自らの無力さを知りつつも、神に対抗しようと身構え反応する。それに応じて様々な物語が編み出されていくことになる。そのような意味で、神と人間相剋が続いていく動的な宗教観と言えるかもしれない。(p13)
神話時代には、自由闊達な神であったのだが、農業革命以降においては、厳かで自らの絶対性を人々に強要するようになった。(p14)
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図書館で借りた。
宇宙科学の発展に、科学者観点の神とはどんなだったか、をなぞった特徴的な本。
著者は京都大学の先生で、「物理学と神」がベストセラーとなり、その続編的な本らしい。そちらは読んでない。
日本人は宇宙にそれほど興味を持たなかった、という話や、「神はサイコロ遊びはしない」と言ったアインシュタインに対し、ボーアが「ひょっとしたら神はサイコロ好きかもよ」と反論したという話は印象に残った。 -
私たちが今まで解き明かしてきた宇宙に関する事実はすべて神による戯れだったのかもしれない。そんな不安とも言えるイメージを彷彿とさせる書籍だった。かつてエントロピーと呼ばれていた宇宙空間も今や物理学云々、量子力学云々で説明されてしまっている。所詮、人間の解釈でしかないことはさておき、宇宙が不変であることは確かに感じることができるのである。アインシュタインが好んだ静的な宇宙は皮肉にもハッブル定数よって否定された。何を言いたいのかと言うと、この世界はふとした瞬間にまったく違ったものに変容してしまうのではないかということである。私たちは目に見えない宇宙について机の上で手を揉みながら考えている。それよって宇宙についての多くの謎が解明されたが、それによって宇宙の本質を知ったことは少なかった。ようは人間の解釈によっては無限の解釈ができるということである。それが丸々この本の味噌になっているような気がした。私たちはもう1度『当然』を見直して考えてみる必要があるのかもしれない。そう思えた本だった。
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この宇宙における構成物質のことをほとんど何もわかってないということ。
そして常に
当たり前が崩れ
宇宙においての新しい知見がこの先も得られ続けていくであろうということが感じられる著書。 -
天文学の歴史を紐解く一冊。文系の自分には難解な記述もあるが、十分に楽しめた。
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宇宙論の歴史について記載した一冊。
切り口として、宇宙の未知な部分を神(something great)として取り扱い、それは東洋と西洋の価値観で大きく異なるものであったのだろう。そして、それが観測事実とともに科学的な根拠をもち、今の天文学へと至った経緯を記載。
そして、その宗教的な部分と科学的な部分の分岐点にニュートンらの学者が存在するといった内容に学問の温もり(人間臭さ)と感じた内容であった。 -
「どうなのか?」「どうなっているか?」の解明は進みつつも、「なぜそうなのか?」については「神」以外の回答を持たない宇宙論。
物理学同様、宇宙論にも「神」は遍在する。