荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 158
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207804

作品紹介・あらすじ

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦が、これまで明かすことの無かったマンガの描き方、その秘密を披瀝! 自身初の自画像を帯に使用するのを始め、描き下ろしたイラストも多数。

感想・レビュー・書評

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  • 『ジョジョの奇妙な冒険』で有名な荒木飛呂彦が、漫画の描き方について指南した一冊。

    漫画を描くのに詳細なキャラクターと世界観を探り、その上でストーリーとテーマを決めて描くという彼のスタイル(くしくも彼が“基本四大構造”と呼んでいる)がよくわかった。

  • 読む前から、凄い本だとは予感していたけれど、予想以上のものだった。


    漫画家による漫画の描き方についての本といえば、すぐに思い浮かぶのは『サルでも描ける漫画教室』だ。サルまんは「漫画の描き方」を一つのエンターテイメントにまで昇華していて、含蓄はとても多いのだけれど、内容的には散漫かなと感じる部分もあった。また、今時、本屋に行けば漫画の描き方についての本は棚に溢れるほど並んでいるし、専門学校で漫画の描き方を学べる時代にもなった。


    というわけで、「漫画の描き方についての本」というのはレッドオーシャンなジャンルと言える。でも、ここにきてついに、というか満を持して、荒木飛呂彦が自分の漫画術を語るという本を出してきた。 これは例えるなら「人間界にゴジラが現れた」級の衝撃だ。なぜなら、荒木飛呂彦は歴史上最も売れた漫画雑誌の、黄金期と呼ばれた時代に漫画を連載し続け、またその作品は日本のカルチャーに深い影響を与えている漫画家だからだ。


    その荒木飛呂彦がこの本で語ることは、「少年ジャンプの黄金期に漫画を連載しつづけるために、考え抜き編み出した僕の漫画術」という、これまた凡百の「漫画の描き方本」の作者が到達しえない高みからの内容になっている。それだけで説得力が段違いにあるし、すべての漫画家が憧れる(はずですよね)少年ジャンプに連載するために、どういう心構えで漫画を描くべきかという、なかなかありそうでなかった視点からの漫画論が展開されている。


    内容は漫画を構成している要素を、大きく「ストーリー」「キャラクター」「世界観」「絵」「テーマ」に分けて、それぞれについての考察をしている。どういう意図を込めてデビュー作を描いたか、少年漫画で求められるストーリーとはなにか、キャラクターや世界観をどのように構築していくか、絵を際立たせるためにどのように工夫したか、テーマをどう設定するか……など、漫画にかぎらずクリエイティブな仕事全般に通じる金言がちりばめられている。


    荒木飛呂彦は新書で映画論を2冊出していて、そのどちらもが分析的で着眼点も漫画家ならではのものがあり、充実した内容だったが、それはこの『荒木飛呂彦の漫画術』においても踏襲されている。ちゃんと、荒木飛呂彦の漫画術を語るだけのロジックが用意されていて、そのどれもが独り善がりなものになっていない。


    【「これは!」と思ったところ】
    ・漫画家は全員「ヒッチコックの映画術」を読め!
    ・ムードで押しきるのは天才だからこそできる(普通はできない)
    ・雑な仕事は読者に見破られる
    ・仕事で消耗してしまわないように、締め切りはちゃんと守る
    ・ストーリーは常にプラスに向かうべき。マイナスとプラスが混じるストーリーはダメ


    個人的には、最後の「ストーリーは常にプラスに向かうべき」という話が一番ためになった。創作をしていると、とにかくマイナスを描きたくなるのを、「それは読み手にとって不要」と断じているのは、荒木飛呂彦の漫画論の核心かもしれない。ジョジョの1部で少年期のジョナサンとディオを描いたのは、ちょっと失敗だったかもという自戒があるように読めたし、また、とにかく過去話に行きたがる昨今の漫画への警鐘なのかも?


    読んでて思ったのは、荒木飛呂彦は漫画家としては「努力型」の人なんだなぁということだった。色々と試行錯誤して、自分のスタイルを作り上げて成功した漫画家。でも、この本で語っているように、漫画について突き詰めて考えるという点においては「天才的」と言えると思う。傑出した才能と努力の持ち主であるからこそ、少年ジャンプに長期間連載できたのだろう。


    あと、荒木飛呂彦が自作の漫画をネタに、漫画の技法的なものを語っているので、今後の研究にも役立つ部分が多々あった。特に、漫画の作成途中の資料や、漫画のどこにポイントを置いたのかの解説、コマ割りから漫画観まで、無視できない要素が本当に多い。


    荒木飛呂彦はマニエリズムの漫画家と評され、本人もルネサンス期の彫刻に影響を受けたことを告白しているが、それと同じく「見えないものを描く」ことに注力していることが語られている。端的に表れているのが、「波紋」や「スタンド」であるが、火や水、空気や光のようなものをどう描くかについても、試行錯誤の上に体得した方法が開陳されていた。荒木飛呂彦が見えないものを描くことに意識的であるということは、コマ割りについてのところで、丸コマの使い方に言及している部分でも読み取ることができる。


    というように、荒木飛呂彦個人の漫画論としても面白いし、少年ジャンプに連載するための王道とはなにか、を知るための本としても面白い。「メインストリーム」について、それがあまりに自明なものであるがために、語られる言葉が陳腐なものになりがちななかで、こういう本質に切り込んだ論説が読めるのは、誰にとってもありがたいことだと思う。

  • バイブル。

  • 王道漫画を目指すことの重要性、そして王道漫画の作り方。
    自分が面白いと感じているけど、言葉にできなかった漫画の魅力が、言語化される体験は本当に気持ちがいい。それって批評の面白さだと思うけど、創作者によって語られる批評ではトップクラスに好き。自分の感覚と合う。
    頭が良くないとジョジョは書けないよなぁとしみじみした。。
    素晴らしい黄金読書体験だった。。

  •  この本を買って読んだ時はまだ荒木先生の作品をちゃんと読んだことがなかった。でも噂に聞いているだけでも荒木先生の創作理論はなんだか凄そうだし、本の評判も良さそうだ……と思って買った。
     具体的なシーンやキャラクターをあげて説明する時など、作品を知らないのではっきりとイメージできない箇所もあったけれど、要旨を掴むのにはそれほど問題なかったと思う。むしろそこから興味を持ち、実際に作品を読んでみるきっかけになった。「漫画術」とタイトルにもある通り、漫画を描いている人には非常にためになる話が多いけれど、小説や脚本などを書く人にとっても参考になる部分がたくさんあると思う。

  • ジョジョを読み返したくなった。知っているつもりだったが、ここまで王道を意識して計算して描いていたとは。。。

  • 現役漫画家がこれから漫画家になろうとしている人に、これまで積み上げてきたノウハウを惜しげもなく開示している。私はこれから漫画家を目指すわけではないが、漫画の構造が詳しく語られているのは興味深い。また、成功自慢話だけでなく、失敗例についても冷静に分析されているのが素晴らしい。

  • 荒木さんは言わずと知れたジョジョの奇妙な冒険の作者。独自のノウハウをこれでもかこれでもかと開陳してくるので、読んでいて非常に心地が良い。ただ、自作のネタバレは随所に出てくるので、まったく荒木さんの作品を読んだことない人は、ネタバレを承知の上で読んで欲しいな、とは思う。
    まぁ、基本的にこの本は、ジョジョを全巻読んでいるような信者が対象かな、とは思うし、そういう信者であるオイラにはドストライクの内容でした。なるほど、徐々に出てくる魅力的なキャラはこうやって作られたんだ、と思うと非常に感慨深い。ファンには諸手を挙げてオススメしますね。

  • なるほど。こーゆーことを考えながら漫画を書いてるのか。ストーリー一つ取っても、気にしないといけないことがあるんだと勉強になる

  • デザイナーの水野学さんの著書にも共通する部分があった。
    「王道」を知るということ。
    単に奇抜なだけでは人目は引けても、好奇心を惹き付けるまではいかない。
    「理由」がある。ヒットしているものには相応の理由があるということを漫画で解説している。
    漫画術は芸術であった。

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