進みながら強くなる ――欲望道徳論 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 127
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207811

作品紹介・あらすじ

いつか教養を身につけたい。事業に成功したい。
そう願っていても、「準備ができてから」と、万事を先延ばしにしていると人生はすぐに終りが来てしまう。
では、どうしたらいいのか?
学問でもビジネスでもパフォーマンスを上げるために完全な準備が整うのを待つのではなく、
むしろ未経験の分野への挑戦は見切り発車で始めるからこそ力がつくのだ、と著者は説く。
自己利益と自己愛を冷静に見つめ、欲望から道徳を創るための「進みながら強くなる」方法を公開。

感想・レビュー・書評

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  • 個人個人の幸福追求が、ひいては社会全体の幸福につながっていく。そうなるような形の幸福を追求するための考える力とは、合意形成のあり方とは。ときどき首を傾げたくなる根拠に基づいた話もあったものの、興味深く読めました。

  • 私たち、やりたいこと・やらなければならないことを「まだ準備ができていない」「もう少し準備してから」という理由で先延ばしにしがちですが、それをとりあえず「見切り発車」してしまって、進みながら力をつけるべし、そうした方が力がつく、と説きます。見切り発車に尻込みしてしまうときには、「~なので、仕方なく」という、自分ではどうにもならない「なにごと」かを理由に使え、とも。(私が自分で一番使っているのは、家族や友人に公言してしまうという方法です。見栄っ張り、恰好つけがりの人にはよく効きます。)

    著者はフランス文学の研究者で作家ですが、この方が物書きになったきっかけは、友人が雑誌「ふらんす」の編集部と勝手に話をつけて連載を書かされることになったことだそうで、「もっと準備してから」と思ったものの見切り発車で連載をはじめ、それが翌年にサントリー文学賞を受賞し・・・。

    第1章「死ぬまで上昇カーブで力をつける」、その一節「読書こそ「進ながらつよくなる」ための王道である」などなど、私に刺さるタイトルが目次に踊っていたので、最近は楽天かアマゾンでしか本を買わない私ですが、本屋でそのままレジに持っていきました。

    自分の中で「もうちょっとしてから」「そのうちに」を連発しているかも。。。と胸が苦しくなったアナタ、そうそこのアナタ、はじめに、と第1章だけでも構わないので読んでみてください。エッセー風なので、さくっと立ち読みできてしまいますが、著者と出版社に敬意を評して相応の対価をお支払いただくのもよいでしょう。

  • ■書名

    書名:進みながら強くなる ――欲望道徳論
    著者:鹿島 茂

    ■概要

    いつか教養を身につけたい。事業に成功したい。そう願っていても、
    「準備ができてから」と、万事を先延ばしにしていると人生はすぐ
    に終りが来てしまう。では、どうしたらいいのか?自己利益と自己
    愛を冷静に見つめ、欲望から道徳を創るための「進みながら強くな
    る」方法を公開。
    (From amaozn)

    ■気になった点

    ・人間は自分の特にならない事は絶対にしない。

  • 2015/5/12

  • 「ところが、「理性が足りない!なんでもっと理性をくれなかったんだ!」と神様に文句を言う人はいない、というのです。」

    フランスに造詣が深い作者の本。この本のキーワードの1つは”ドーダ”であろう。誰もが他人に認められたいと思っている。どうだ、俺はすごいだろう。その思いが公共を富ませる。自己利益の追求こそ公益の拡大につながる。これはアダム・スミスの考え方と思うんだけど。本書ではそれをトクヴィル、デカルト、パンセから導く。

    本書ではプロテスタンティズムの禁欲が資本の蓄積に大いに役だった、とある。ウェーバーのプロ倫では、お金を稼ぐのは良いことだと言うプロテスタントの教えがプロテスタントの勤労を促した、と説かれている。それは著者の言う陰ドーダなのか?”禁欲している私ってすごい”という発想のもとプロテスタントが勤労な生活をしていたとは思えない。教えに従っていただけなのでは?それとも”そんな教えに従っている私ってやっぱりすごい”と思っていた、と思っているのだろうか。

    表紙裏に書いてある内容はこの本の主ではない。

  • 鹿島さんのこれまでに伝えてきた「ドーダ」という人間社会における起動力の重要な自己認知欲求の話を絡めながら、社会の変化にあわせた“新しい日本の道徳”の必要性を紹介、提案している本。一人ひとりが「正しく理解された利益」を自分の頭で考えられるようになることが大切と説いている。すなわち「自分だけの得」という短絡的でなく、少し譲って他人の得も残すことで、「自分の得」が得られるという社会契約の考え方が、今後の道徳の基底に求められているという考え方の紹介をしている。

    最終章では、グローバル資本主義の弊害を緩和する方策として、金持ちの「ドーダ」心をいかす「寄付の金額番付の発表」を提唱しているが、実現したらよいグッドアイデアであると思った。

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著者プロフィール

1949年生まれ。東京大学仏文学科卒。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。フランス文学者。1991年『馬車が買いたい!』(白水社)でサントリー学芸賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』(青土社)で講談社エッセイ賞、2000年本書『職業別 パリ風俗』(白水社)で読売文学賞評論・伝記賞受賞。著作は他に『「レ・ミゼラブル」百六景』(文藝春秋)、『パサージュ論 熟読玩味』(青土社)、『情念戦争』(集英社)、『渋沢栄一』(文藝春秋)、『失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く』(新潮社)など多数。書評アーカイブWEBサイトALL REVIEWS主宰。

「2020年 『職業別 パリ風俗』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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