沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
4.10
  • (36)
  • (48)
  • (21)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 333
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207859

作品紹介・あらすじ

アメリカ経済を喰い尽した1%の超・富裕層(スーパー・リッチ)が、日本の医療・介護市場を狙っている。綿密な取材と膨大な資料を通じ、すべてのカラクリを解き明かした衝撃の書き下ろし。沈みゆく大国シリーズ、第2弾!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 国民会保険制度は社会保障である
    アメリカはこの仕組みをこわそうとしている

    健康保険制度はかなり複雑である
    時間をかけて勉強しなければ理解できない
    一部の有識者により国民に知らされぬままこの制度が蝕まれつつある
    民間医療保険・薬の自由価格
    かわった後に元に戻すことは困難だ

    著者の主張は大げさかもしれない
    医療にはお金かかかること
    知るきっかけになる

  • 知らないことは、隙をつくることになる。

    本書を読んで、強くそのことを実感した。
    日本の医療制度は本当によくできている。しかし、多くの人は家族か自らが利用するまでそのことに気づかない。
    高額療養費制度の存在など、その最たるものだろう。

    いかにわたし達が守られていて、それを邪魔に思い、奪い去ろうとする存在がいるのか。
    そして今、誰の手によって奪われようとしているのか。
    これらを知ることができただけでも、大きな収穫だったと思う。

    わたしも、父の病で触れるまで知らなかった、日本が守り続けてきた医療制度。
    しかし、わたしはもう知っている。
    失う気など、少しもない。作者が書いていたように、わたしも行動を起こしたいと思う。
    政治に諦めの気持ちを抱いている場合ではないようだ。

  •  製薬会社と民間医療保険によって市場化が進んでしまったアメリカ。そのアメリカの医療現場を破壊した市場原理を日本の医療に導入しようとしているアメリカの動きがよくわかる。
     アメリカでは、薬価は製薬会社の言い値で決まるという。これは保険会社との協議、ないし話し合いで決まるのではないだろうか。協議の形をとっているにしても、製薬会社の立場が圧倒的に強く、言い分がほとんど通るがゆえの「言い値」という言い方だろうか。
     ともかく、アメリカの医療の特徴は以下のようになるだろう。
    ① 所得層によって入る医療保険が異なり、また加入した医療保険によってカバーしている医療内容が違うため、受けられる医療の格差が激しい。
    ② 製薬会社と政府が政治献金・ロビー活動で強く結びつき、薬代が高止まりしている。医薬品に市場原理はそぐわないが、逆の意味で反福祉的に働いている。
    ③ 医療機関も利潤を追求しているため、お金がないことを理由に、患者の最善の利益が図られないこともありうる。
    これに対して、日本の医療は以下のような良い点とよくない点を持っている。
    ① 国民皆保険という制度が浸透し、公的保険で提供される医療サービスがほとんどをしめる。医療サービス内容が患者の経済力に左右されにくく、平等である。
    ② 医療機関は公的保険による医療サービスを提供すればいいという考えのため、患者を平等に扱う。
    ③ 高度な医療技術が同じ公的医療保険で受けられる。
    ④ 悪い点 現物支給のため、検査漬け、薬づけの医療になりがちで、無駄が多い。
    ⑤ 患者の話を丁寧に聞く見返りが医療側に少なく、定着しない。
    ⑥ いい医療が浸透しているため、臨床研究をすすめる環境が整わない。
    ⑦ ベッドが多い。在宅医療の環境が整っていない。
    ⑧ 保険外サービス、自由診療の部分で自由度が少なく、患者に選択肢が少ない。
     こうやって書き出してみると、日本の医療は優れている。混合診療も無制限に拡大すると、国民皆保険が崩れていく心配があるため、それほど自由度をあげる必要はないと思われる。保険診療がエビデンスが備わった医療から適用させていけば、恩恵が広がっていくという精神は非常に理解できる。
    日本の医療で、しいて問題をあげるとすると、出来高で過剰診療、過剰投与、過剰治療の余地が認められる点か。これもまた、過小治療などに比べれば、患者にとってむしろ望んで受けている人がいるわけなので、いいようにも思える。
    さて今後の問題であるが、TPPがやはり焦点になるものと思われる。できるだけ必要な医療については、できる限り保険診療でカバーする、しかも高額療養制度を維持する、というところは、異論がないところである。
    医療費の伸びを抑えるという点では、薬剤費の部分が大きいわけなので、この部分を合理化すべきように思える。検査も同じ。
    また入院ベッドの削減も進められる地域はすすめたほうがいいと思う。

  • 沈みゆく大国アメリカの第二弾、強欲資本主義とエセ民主義国家と化したアメリカという超ニヒリズムの実態。

    しかしながら、草の根部分から、超ニヒリズムを克服しようとする芽生えがあるとの現場取材の報告があり、少々の安堵感が得られた。

    しかしながら、金で権力を操る強欲資本主義の攻撃はまだまだ続くだろう。

    お金で情報操作を繰り返され、庶民も騙され続けているが、目覚めの時点はいつ来るか不明だが、ある限界点に達した時、一挙に、流れは変わるのだろう。

    地道な強欲資本主義との戦いを期待しておこう。

    日本社会に忍び寄るアメリカの強欲資本主義、無知・不勉強の隙間を突かれる。

    くれぐれも、政府、マスゴミが垂れ流す強欲資本主義の下請け情報にご注意を!

  • アメリカは先進国だよね?と疑いたくなるような
    事例が続々...日本に生まれて良かったと孫子の代まで
    言えるようにこの医療皆保険制度を守り抜かねば。アメリカで起こった事は以前は10年後には日本で起こると言われていたけれど今じゃサイクルがもっと早くなっているからここが踏ん張り時なのかも知れない。

  • 前著に続き、気鋭のアメリカウォッチャーがオバマケアの裏面を告発し、さらに「強欲資本主義」が日本を襲うと、警告する。我が国の、世界に冠たる『国民皆保険』が、その存立を危うくするのだと。
    「無知は弱さになる。」その言葉をかみしめながら、日本の、そしてわれわれ一人ひとりの対応を、過たることなきよう眼を据えよう。

  • ここでもあり得ん事実が浮き彫りに。それにしても、訴訟の保険で収入の大半が持っていかれるって、そんな環境でまともな仕事が続けられる訳ない。かの大国の医療評判が落ちている大きな理由は、その社会制度にあるんだと思わされる。オバマさん、かなり優れたリーダーという認識だったけど、細かいところで大きなポカもやっとる訳だな。ここで書かれている民主党主導の医療制度改革がイケてないとすると、逆説的に、今のトランプ共和党では制度が改善されてたりする?となると、彼の政治も悪いところばかりでもない?気になります。

  • この連作は、後編である本作を読ませたいがためのものだったんですね堤さん、という感想。前編を読んだときは、あまりの文章の駆け足っぷり、はっきりいってしまえば説明の雑さ、に軽い幻滅すら覚えてしまったものだけど。後編を読んで、一応それは氷解しました。

    相変わらず「貧困大国アメリカ」に比べると説明は粗いけど、前編よりはずっと丁寧でわかりやすかった。内容もほかならぬ我らが日本のことだし。前編で粗っぼく学んだオバマケア下のアメリカ事情に照らして、省みた日本の国内事情はどうなんだ、というのがこの後編のテーマ。

    鮮明にアメリカ〜国際社会をターゲットに取っていた「貧困大国アメリカ」三部作と違って、この「沈みゆく大国アメリカ」二部作は、表題に「アメリカ」と謳いつつも、主に日本の話なんですよね。憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」規定に従って、あくまでも社会保障として整備されてきた日本の皆保険制度。それが時々刻々と危機に瀕している、というかむしろすでに大幅に侵食されつつある、という警告の書。

    その侵食の実情について、そして一見するとお先真っ暗にすら見える未来を免れて共存共生の社会を築いていくための対抗策と現在地について、実に多彩な提言がなされていて参考になった。特に医療現場で現に働いてる人なんか、この本を読んだら日常経験してることと突き合わせて深く納得するところがあるんじゃなかろうか。
    そんなことを思いました。

    もちろん、最後は政治家でも官僚でも医療従事者でもなく、利害当事者である僕たち市民が目覚めなきゃどうにもならない問題、ではあるわけなんだけれども。
    固定観念をまた1つ、打ち破ることができた。読んでみてよかった、と思います。

  • ・国民皆保険制度の素晴らしさと、今それが解体されるかもしれない危険があることを啓発する本。
    ・無知は良くないと改めて感じた。制度についてよく知り、感謝するべきですね。
    ・政府に騙されないよう気を付けなくては!

  • 老人医療と介護産業は儲かる。納税者の金を吸い上げモンスターのように急成長。政治と業界の癒着が始まるであろう。

    憲法25条の生存権
    国民皆保険→社会保障である。

    経済財政詰問会議→これほど民主主義の政治理念に反し、リベラリズムの思想に反する制度はない。(宇沢弘文)

    2013年 竹中平蔵 「国家戦略特区」外資系企業に大きなビジネスチャンス

    日本 人口は世界の1.6%なのに世界の薬の4割を消費している。
    予防医療は医療費を大幅に削減する。特殊な高度医療費はいらない。
    年金制度、健康保険制度、国民皆保険制度については、国民にきちんとした知識が必要。小さい頃からの教育が必要である。

全46件中 1 - 10件を表示

プロフィール

堤未果(つつみ・みか) ジャーナリスト。東京生まれ。ニューヨーク一市立大学大学院で修士号取得。米国野村證券に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇。以後、ジャーナリストとして執筆・講演活動を精力的に続けている。主な著書に『ルポ・貧困大国アメリカ1・2』『株式会社 貧困大国アメリカ』(以上、岩波新書)、『沈みゆく大国アメリカ』『沈みゆく大国アメリカ 逃げ切れ!日本の医療』(共に、集英社新書)、『アメリカから自由が消える』(扶桑社新書)、『政府は必ず嘘をつく 増補版』(角川新書)などがある。

「2016年 『政府はもう嘘をつけない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

堤未果の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

沈みゆく大国アメリカ 〈逃げ切れ! 日本の医療〉 (集英社新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする