14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.21
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本棚登録 : 119
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207897

作品紹介・あらすじ

一貫して戦争や国家を問うてきた著者の原点となったのは十四歳での敗戦体験だった。少女が軍国少女となり日に日に戦争に巻き込まれていく様を自身の記憶と膨大な資料から回顧し綴るノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 読みやすいとは言い難い本であった。
    少女の経験が断片的にただ淡々と語られてゆく。
    それは作者の記憶の中の恐怖と関係しているように思う。
    執筆することも苦痛であっただろう。
    わたしは日本が戦争に向かっていっている気がしてならない。

  • これまで誰にも話したことのない70年前の記憶をたどる。自分自身を「少女」と客観視して語っていくが、時間も時制も行ったり来たりで、独特の言い回し・言葉遣いなどもあり、読み進めるのに正直なところかなり骨が折れた。でも、ずっと封印してきたことを思い出してとつとつと語る姿としては嘘がないというか、こういうふうに語るのがせいいっぱいであるのだろうと察する。
    14歳という多感な時期を戦時下に過ごしたそのときには当人には気づきようもなかったことだが、敵のことも戦争の現実も広い世界のこともなにも知らされない無知や、貧窮して先の見えない暮らしの中での世の中から人生のすべてへの無関心、情報から遮断された闇の中で見通しのない棄民難民暮らしが、どんなに酷なことであったか、傷として残るものであったか、と想像させてくれる。
    だれのせい、なにのせい、といった因果関係には言及しない。後付の解釈をくわえずに、頼るべき記録資料もほとんどないまま「記憶」とその後の人生にあらわれた痕跡を書き記し、14歳だった自分にとっての「戦争」をパッケージとしてさしだした。そこに著者のノンフィクション作家としての誠実な姿勢を感じた。

  • 断絶がある。
    前の世代と私。
    私と後の世代。
    別れてしまったものを繋ぐ術はないのだろうか?

  • 【イントロダクション】
    今年の2月号の12回をもって終了しましたが、集英社の月刊書籍情報誌『青春と読書』に連載されていたのをずっと読んでいました。
    こんなに早く本になるとは思ってなくて、もっと書き足して推敲して分厚くなる気がしていました。

    すでにたぶん70冊はゆうに超える澤地久枝の編著作は全部手元に置いて読んでいますが、近頃ではリアルタイムでないと気が済みません。

    今年の9月3日で85歳という高齢で、しかも心臓疾患をかかえた方なので一人暮らしが心配なのですが、そんなことなど吹き飛ばすような溌溂とした言動にはいつも驚きます。

    谷音で聞いた脱原発集会でのアジテーションは力強く鮮明でしたし、たしか2月22日の日曜日のNHK「100年インタビュー」でのモノローグは、活き活きとして艶っぽいまでも若々しい精気に溢れていて魅せられました。

    おそらく絶望的な凄惨を舐めつくした彼女の透徹した過去と現在の認識・分析・描写が、希望的未来への渇望あるいは強い信念に満ちた意志となって今を生きせしめているんだと思います。(無理やりな文章でなんか変ですね)

  • http://naokis.doorblog.jp/archives/fourteen_in_1945.html【書評】『14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還』戦後70年目に読む本
    http://naokis.doorblog.jp/archives/think_of_security_from_the_fourteen.html【書評】『14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還』を通じて安全保障問題を考える

    <目次>
    少女の行程
    澤地家家系図
    吉林市の街中の地図
    はじめに
    第一章 十四歳の少女
    第二章 秘密
    第三章 王道楽土
    第四章 戸籍謄本
    第五章 学徒動員・無炊飯
    第六章 水曲柳開拓団
    第七章 八月十五日・敗戦
    第八章 いやな記憶
    第九章 蟄居の日々
    第十章 内戦下
    第十一章 旧陸軍兵舎
    第十二章 日本へ
    おわりに


    http://naokis.doorblog.jp/archives/70_years_after_Aug15_1945.html70年目の敗戦日〜70年前の少年少女たちの証言に耳を傾ける

    <blockquote>私は日本がもう一度戦争を引き起こす、あるいは戦争に巻き込まれるのではないかという危機感を感じています。なぜ平和を愛したこの国が、再び危うい方向に向かおうとしているのか。それを考えた時に、私たちの世代が抽象的な言葉、たとえば「戦争はつらかった」「苦しかった」というような言葉でしか、戦争を語ってこなかったからではないかと思ったのです。

    抽象的な言葉では、もう若い世代には伝わらない。だから、私たちはなるべく具体的に細やかに、戦争体験を語っていかなければならないのです。たとえそれが、つらい記憶を掘り起こす苦しい作業であっても――。</blockquote>

    2015.08.15 現代ビジネスより
    2015.10.04 読書開始

  • 文字通り、また、筆者が自ら語った通りの「覚え書き」による体験記。その名の通りの「覚え書き」であるため時系列の前後が多々あり少し読みにくさを感じるが・・・、内容については何の不満も無し。

     無知な少女が大本営発表や軍国教育のために思想を染められてゆく様が、気味悪いくらいにリアルに伝わってきた。

    エンタテイメントではないので読み始めるには少々「とっつきにくさ」を感じるかもしれない。しかし、日本人はこの本を一度読んでおく価値はある。

    ★3つ、7ポイント半。
    2018.10.29.古。


    「先生方の招集があいつぎ、空襲は日本本土全体にひろがる事態にあって、戦争が末期であると考えなかったのは、少女だけではなかった。自分の身が痛みを感じなければ、感情は眠ったままである」
     ↑↑
    当時の(満州に住む)一般市民の心理をうまく言い当てているのだろうな。
    また、、、南方諸島で多くの兵が敵ではなく飢えとと闘っていた時分の一部上級軍人たちも同様だろうね。


    ※最後、筆者による痛烈すぎる現代社会への批判。
    澤地さんの想いは、弟の孫へ少しは伝わったのだろうか・・・。

  • 1930.9.3生まれ(俵萠子さんと同じですね)ノンフィクション作家澤地久枝さんの「14歳 満州開拓村からの帰還」(2015)を読みました。敗戦後外地からの引き揚げがいかに大変かは、藤原ていさん(1918.11.6~2016.11.15)の「流れる星は生きている」などで伺ってますが、この作品は、著者が14~15歳で、満州において、安楽な暮らしから一夜にして修羅場の世界(襲撃・強姦・栄養失調・・・の世界)に叩き落とされた経験を語っています。「女は髪を切れ、男装しろ!」大変な時代でした。

  • 14歳の頃の自分と社会を書くというから、自伝的な小説で、中高生にも薦められる内容かと思ったが、書き方はあくまで大人向けで、中高生にはちょっと難しい。
    著者は当時としてはごく普通の軍国少女だし、恐ろしい目にあったとはいえ、比較的恵まれていた方だと思う。
    だから、凄まじい体験を期待すると肩透かしにあう。
    しかし当時を生きてきた者にしか書けないディテールには、やはり衝撃を受けた。月経の時に使う脱脂綿が40歳までしか支給されず、「40以上は垂れ流せというのか」と言っていた、など戦局に臨む男にはどうでもいい些細なことは、記録に残りにくいが、如何に普通の人間の暮らしがないがしろにされていたかを知ることのできる、貴重な証言だ。また、そういう日常の困難は、若者にもイメージしやすい。
    できることなら、今生きる14歳が読める文章で書いてほしかった。そうすれば、未来の戦争を抑止する力になっただろう。

  • 主人公は著者なのだが、敗戦と引き上げの悲惨な記憶を紐解くゆえか「少女は」という語り方で話しが進む。最後まで違和感があり、文章的にも修辞的にもとても読みにくいものだと感じた。また15歳の肉親に伝えるという思いがあったとの事だが、未亡人に対する実の父の世倍の話しや、読者にとってはどうでもいいこと(とくに15歳の肉親にはどうでもいいので言わないような話)も書いて有って時々ハテナと思わされた。著者の当時の人々に対する意趣晴らしなのかもしれない。

    著者の講演会を申し込んだところ抽選に当たったので、演題の満蒙開拓団に関する著者の本として本書を読んだ。読んでからなら講演会への応募はしなかっただろう。

    満州国についての資料としてはそこそこ面白いが、いかんせん文章が読み辛かったので、星は二つ。

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著者プロフィール

澤地久枝(さわち・ひさえ)
1930年、東京生まれ。幼少期を旧満洲(現中国東北地方)で過ごし、そこで敗戦を迎える。中央公論社で働きながら早稲田大学を卒業。1972年に発表した『妻たちの二・二六事件』でデビューし、本格的な執筆活動に入る。『火はわが胸中にあり』で日本ノンフィクション賞、『記録ミッドウェー海戦』で菊池寛賞を受賞。太平洋戦争やそこに至る昭和史に焦点を当てた多数の著作がある。

「2013年 『未来は過去のなかにある─歴史を見つめ、新時代をひらく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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