14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207897

感想・レビュー・書評

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  • 14歳の頃の自分と社会を書くというから、自伝的な小説で、中高生にも薦められる内容かと思ったが、書き方はあくまで大人向けで、中高生にはちょっと難しい。
    著者は当時としてはごく普通の軍国少女だし、恐ろしい目にあったとはいえ、比較的恵まれていた方だと思う。
    だから、凄まじい体験を期待すると肩透かしにあう。
    しかし当時を生きてきた者にしか書けないディテールには、やはり衝撃を受けた。月経の時に使う脱脂綿が40歳までしか支給されず、「40以上は垂れ流せというのか」と言っていた、など戦局に臨む男にはどうでもいい些細なことは、記録に残りにくいが、如何に普通の人間の暮らしがないがしろにされていたかを知ることのできる、貴重な証言だ。また、そういう日常の困難は、若者にもイメージしやすい。
    できることなら、今生きる14歳が読める文章で書いてほしかった。そうすれば、未来の戦争を抑止する力になっただろう。

  • 主人公は著者なのだが、敗戦と引き上げの悲惨な記憶を紐解くゆえか「少女は」という語り方で話しが進む。最後まで違和感があり、文章的にも修辞的にもとても読みにくいものだと感じた。また15歳の肉親に伝えるという思いがあったとの事だが、未亡人に対する実の父の世倍の話しや、読者にとってはどうでもいいこと(とくに15歳の肉親にはどうでもいいので言わないような話)も書いて有って時々ハテナと思わされた。著者の当時の人々に対する意趣晴らしなのかもしれない。

    著者の講演会を申し込んだところ抽選に当たったので、演題の満蒙開拓団に関する著者の本として本書を読んだ。読んでからなら講演会への応募はしなかっただろう。

    満州国についての資料としてはそこそこ面白いが、いかんせん文章が読み辛かったので、星は二つ。

  • 満州での敗戦から一切の感情なくした14歳の少女が淡々と事実を記す形式で綴られている。忘れてはならない歴史。この苦難の先に我々の平和があることを忘れてはならない。

  • 最初はとても読みにくく感じたが、読んでいくうちに、この作品は著者が本当に14歳の頃のことを一つ一つ思い出しながら、確認しながら、身を削るように、カサブタを剥がして血を流しながら書かれた作品だと思えるようになった。
    伝えておきたい、今こそ言わなければという覚悟を感じた。
    私達はそれをしっかり受け止めなければと思う。

  • 著者自身の14才当時の満州での日常が語られている。
    どんな生活をしてたかが如実にわかる。

    著者自身がソ連兵にレイプされそうになったシーンも描かれていてその後の人生にも影響があったとある。
    中国人の家に住み込んで働き手として労働したり。
    シラミだらけの体でいても平気になっていたり…。
    下の弟たち(?)を伝染病で亡くしたり。

    戦争は弱き者から犠牲になる。

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著者プロフィール

澤地久枝(さわち・ひさえ):1930年、東京生まれ。その後、家族と共に満洲に渡る。ノンフィクション作家。1949年中央公論社に入社。在社中に早稲田大学第二文学部を卒業。著書に『妻たちの二・二六事件』『火はわが胸中にあり』『14歳〈フォーティーン〉』『昭和とわたし』など多数。『滄海よ眠れ』『記録ミッドウェー海戦』でミッドウェー海戦を克明に跡づけるとともに、日米の戦死者を掘り起こした功績により菊池寛賞受賞。2008年朝日賞受賞。

「2023年 『記録 ミッドウェー海戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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