• Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208764

作品紹介・あらすじ

米国政府が行っていた大量監視の実態とメディアの役割等をあのスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士や公安事件に詳しいジャーナリストら日米の精鋭が、監視問題の議論を深める。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • インターネットや携帯電話を通じて発受信されるあらゆる個人情報、このブクログのようなSNSのやり取りまでも権力機構に蓄積されているとしたら……(-_-;)

    2001年9月11日のテロ以降、アメリカは網羅的な監視体制を強化し、テロリストのみならず世界中の一般人の個人情報まで蒐集している実態が元アメリカ情報局員スノーデン氏によって暴露されました(2013年)。これをうけてアメリカの裁判所は、このような国の情報収集の違憲判断をし、『1984年』に触れて「オーウェル的」な監視体制を批判したようですが、なんだか笑えない苦笑が漏れてしまいました。

    なぜアメリカでジョージ・オーウェルの『1984年』が空前のヒットとなっているのかがよくわかるエピソードの一つでもありますが、これは単なるはやりすたりの問題ではないというのが本当のところだと思います。この作品が描き出している権力による熾烈な監視体制による全体主義世界は、もはやお伽噺でもSFでもなく、とてもリアルなものとして捉えられる事態になってきていることが悲しくもあり、空恐ろしくもあります。連日のトランプ政権をはじめとする世界のニュース報道を見ていても、稚拙な挑発や憎悪を繰り返し煽りながら、世界はひどく危うい綱渡りの状況下にあるように思えてなりません。

    日本でも、テロ防止の名のもとに銀行が外国人の口座記録を警察に提供したり、大学が留学生などの学生名簿を警察に提供していたことを知って呆れ果てたのですが、スノーデン氏は、ここ最近の日本の異常さにはっきりと警鐘を鳴らしています。

    確かに安倍政権になったここ数年だけでも、憲法(立憲主義)をおざなりにした都合のいい解釈による改憲を強行し(安保法制)、よくわからない特定秘密保護法を成立させて情報を隠し、政府のマスコミに対する露骨な圧力行使(政府に都合の悪いコメントをするニュースキャスターの降板や放送電波の許認可問題)、曖昧模糊とした共謀罪による処罰可能性、広がる盗聴法などなど……こんなにもあっけなく個人のプライバシーや表現の自由が損なわれてしまう世界が到来するとは思ってもいなかったなぁ……。

    この本を読んで切実に感じるのは、戦火をくぐった先達が苦労して植えた民主主義や人権という果物の樹は、その世話を怠ればいつのまにか野蛮な獣にかじられたり、やせ細って枯れてしまうのです。それぞれの世代がその時代に直面している課題に取り組みながら、野獣たちにかじられないようにまもり、せっせと水やりをし、陽の光をあて、暑い日も寒い日も愛情深く世話をしていかなければ美味しい果実は実らないのでしょう。それにはスノーデン氏が指摘するように無関心が大敵で、為政者に対する厳しい監視と実行(民主主義)が必要なことをあらためて学ぶことができました。

    「プライバシーとは、悪いことを隠すことではありません。プライバシーは力です。プライバシーとはあなた自身のことです。プライバシーは自分であるための権利です。他人に害を与えない限り自分らしく生きることができる権利です。思索する時、文章を書く時、物語を創造する時に、他人の判断や偏見から自らを守る権利です。自分とは誰で、どのような人間になりたいのか、このことを誰に伝えるかを決めることのできる権利です」

    当たり前のように享受している民主主義、自由、平和や立憲主義とは一体何なのか? また真の愛国とはどういうことなのか? こうして好きな本をいつでも思いきり読める幸せ、いろんな意見を発信できる自由、それによって逮捕されることのない恵まれた時代……あらためて考えさせてくれます。

    「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが民主主義だ。政府が多くのことを知っているが、人々が政府のことを知らない、これは専制政治である」――アリストテレス

  • 必読書

  • スノーデン氏のトークと4人のパネリストのディスカッションの2部構成。膨大な情報収集は危険に対して有意義なものではないこと、政府と人々は一方的であってはいけない、それが公正や刷新を生んで腐敗や偏りを減らしてゆくと伝えられたように思いました。83ページから84ページの「 監視社会、だからといって、諦めず、怖がらず、人と繋がり続けよう。」という主旨のメッセージはとっても心に響きました。

  • 一般市民にとっても想像以上に監視されている話。気をつけようにも気を付けようがないが、ネット社会、スマホ社会によりますます個人情報が流れやすくなっていることは確か。

  • 政府による大量監視社会についての問題提起。現在のテクノロジーではあらゆる情報が収集され得ることを改めて感じた。

    テロ、犯罪対策などのため一定程度は必要と思うが、バランスが大切だろう。

  • 2017.10.16 朝活読書サロンで紹介を受ける。

  •  日本側のジャーナリストetcが力不足なので、的外れな感じ。正直時間の無駄だった。

  • 政府による監視の在り方は9.11を境に変わった。事後的な捜査から事前の監視へ、特定の容疑者への狙い撃ちから不特定多数の一般市民を含めた無差別な監視へ、対象を人物からデータへ。
    プライバシーと安全のバランスをとる(特にセキュリティについて適切な評価がなされる)ことが必要であり、政府による監視に対する現状の有効策は市民による監視(監督)と言える(それが有効に機能するように仕組みを構築することも必要)。また、捜査機関に協力/情報提供する主体(企業等)の透明性確保の問題も重要。
    また、そもそもマス・サーベイランスにおけるAIの活用はフォルス・ポジティブ(偽陽性)比率が高いため、テロリスト判定の役に立っていないとの見方もある。
    ただし、インターネットの仕組み上、情報(通信)の大部分はアメリカを通りアメリカ企業を経由するので、アメリカ政府は他の国の政府よりもはるかに多くの情報を傍受することができる(かつ、アメリカ自由法によってメタデータの収集が停止されたのは米国人を対象とした場合のみ)という点には留意しなければならない。

  • 監視社会についてあまりに無関心。
    政府に何となく不信感を抱いているが、
    実際に何が起きているのか細かく把握していない。
    監視されていても問題ない、漏れても困る情報なんて登録していない.........

    問題はこの手の無関心と、
    実際に起こる影響を実感出来ない事にある。
    この本を読み、他国で実際に起こった出来事、
    日本ですら行われていた事から、
    監視社会が何をもたらすか、何となくイメージを持つ事が出来た。

    無関心が重症化する前に.....
    情報をきちんと読み解くこと。

    <memo>
    プライバシーとは悪い事を隠すという事ではない。
    プライバシーとは力であり、我々自身の事であり、
    自分が自分であるための権利である。

    隠す事がなければプライバシーの権利を気にする必要がないというのは、話したい事がなければ言論の自由は必要ないというのと同じくらい危険な事であり、弱い立場に陥る可能性を想像する必要がある。

  • パネルディスカッションの書籍化は難しいね。質疑と応答が噛み合っていないと、モヤモヤ感以外に何も残らない。ここでもスノーデン氏とワイズナー氏だけは質問者の意図に沿って的確に答えているが、第二章は議論の的が絞られず、内容が薄い。対談だったらこうはならないんだろうな。

    ところでセキュリティについて最近感じるのは、監視カメラに対する抵抗感のなさである。監視カメラを『防犯カメラ』と言い換えるのもその一つだが、テレビの影響は極めて大きい。ニュースや警察特番で犯罪捜査の決め手として監視カメラを取り上げ、監視に対する拒否反応を逆に肯定的なイメージに置き換えることに成功しているが、背後で警察官僚が全てのシナリオを書いていることに無頓着過ぎる。『犯罪を犯さなければ監視されたって平気だろ?』と言う反応がすぐに返ってくるが、警察が犯罪捜査だけにそれを使う保証が何処にあるのか、よく考えるべきだろう。

全37件中 1 - 10件を表示

スノーデン 日本への警告 (集英社新書)のその他の作品

スノーデン 日本への警告 (集英社新書) Kindle版 スノーデン 日本への警告 (集英社新書) エドワード・スノーデン

エドワード・スノーデンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
リンダ グラット...
トマ・ピケティ
恩田 陸
佐々木 圭一
辻村 深月
宮下 奈都
有効な右矢印 無効な右矢印

スノーデン 日本への警告 (集英社新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする