スノーデン 日本への警告 (集英社新書)

  • 集英社
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本棚登録 : 479
感想 : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208764

作品紹介・あらすじ

米国政府が行っていた大量監視の実態とメディアの役割等をあのスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士や公安事件に詳しいジャーナリストら日米の精鋭が、監視問題の議論を深める。

感想・レビュー・書評

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  • インターネットや携帯電話を通じて発受信されるあらゆる個人情報、このブクログのようなSNSのやり取りまでも権力機構に蓄積されているとしたら……(-_-;)

    2001年9月11日のテロ以降、アメリカは網羅的な監視体制を強化し、テロリストのみならず世界中の一般人の個人情報まで蒐集している実態が元アメリカ情報局員スノーデン氏によって暴露されました(2013年)。これをうけてアメリカの裁判所は、このような国の情報収集の違憲判断をし、『1984年』に触れて「オーウェル的」な監視体制を批判したようですが、なんだか笑えない苦笑が漏れてしまいました。

    なぜアメリカでジョージ・オーウェルの『1984年』が空前のヒットとなっているのかがよくわかるエピソードの一つでもありますが、これは単なるはやりすたりの問題ではないというのが本当のところだと思います。この作品が描き出している権力による熾烈な監視体制による全体主義世界は、もはやお伽噺でもSFでもなく、とてもリアルなものとして捉えられる事態になってきていることが悲しくもあり、空恐ろしくもあります。連日のトランプ政権をはじめとする世界のニュース報道を見ていても、稚拙な挑発や憎悪を繰り返し煽りながら、世界はひどく危うい綱渡りの状況下にあるように思えてなりません。

    日本でも、テロ防止の名のもとに銀行が外国人の口座記録を警察に提供したり、大学が留学生などの学生名簿を警察に提供していたことを知って呆れ果てたのですが、スノーデン氏は、ここ最近の日本の異常さにはっきりと警鐘を鳴らしています。

    確かに安倍政権になったここ数年だけでも、憲法(立憲主義)をおざなりにした都合のいい解釈による改憲を強行し(安保法制)、よくわからない特定秘密保護法を成立させて情報を隠し、政府のマスコミに対する露骨な圧力行使(政府に都合の悪いコメントをするニュースキャスターの降板や放送電波の許認可問題)、曖昧模糊とした共謀罪による処罰可能性、広がる盗聴法などなど……こんなにもあっけなく個人のプライバシーや表現の自由が損なわれてしまう世界が到来するとは思ってもいなかったなぁ……。

    この本を読んで切実に感じるのは、戦火をくぐった先達が苦労して植えた民主主義や人権という果物の樹は、その世話を怠ればいつのまにか野蛮な獣にかじられたり、やせ細って枯れてしまうのです。それぞれの世代がその時代に直面している課題に取り組みながら、野獣たちにかじられないようにまもり、せっせと水やりをし、陽の光をあて、暑い日も寒い日も愛情深く世話をしていかなければ美味しい果実は実らないのでしょう。それにはスノーデン氏が指摘するように無関心が大敵で、為政者に対する厳しい監視と実行(民主主義)が必要なことをあらためて学ぶことができました。

    「プライバシーとは、悪いことを隠すことではありません。プライバシーは力です。プライバシーとはあなた自身のことです。プライバシーは自分であるための権利です。他人に害を与えない限り自分らしく生きることができる権利です。思索する時、文章を書く時、物語を創造する時に、他人の判断や偏見から自らを守る権利です。自分とは誰で、どのような人間になりたいのか、このことを誰に伝えるかを決めることのできる権利です」

    当たり前のように享受している民主主義、自由、平和や立憲主義とは一体何なのか? また真の愛国とはどういうことなのか? こうして好きな本をいつでも思いきり読める幸せ、いろんな意見を発信できる自由、それによって逮捕されることのない恵まれた時代……あらためて考えさせてくれます。

    ***
    「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが民主主義だ。政府が多くのことを知っているが、人々が政府のことを知らない、これは専制政治である」――アリストテレス

  • 必読書

  • スノーデン氏のトークと4人のパネリストのディスカッションの2部構成。膨大な情報収集は危険に対して有意義なものではないこと、政府と人々は一方的であってはいけない、それが公正や刷新を生んで腐敗や偏りを減らしてゆくと伝えられたように思いました。83ページから84ページの「 監視社会、だからといって、諦めず、怖がらず、人と繋がり続けよう。」という主旨のメッセージはとっても心に響きました。

  • スノーデン子と彼を弁護する弁護士のインタビュー対談が文章化された書籍。戦をしなった侍が刀の使い道を探すのと同じく、冷戦が終結して行き場を失った監視技術が911のテロ、の後メッセージ子に対する監視を名目に復活そしてその技術が発展してきているというのが現在のところである。情報技術によるメリットを表示する時、私たちはその反面何かを失っていることにも気がつかなければならない。

  • £5.00

  • 監視に対する監視の重要性。
    要警戒対象視察結果報告の詳細さを知った。

  • 前半はシンポジウムのスノーデンインタビューを収録したもので、後半はパネリストによる対談となっている。前半は読む価値があると思ったが、後半の日本の公安に関する記述などはデータ不足感が否めなかった。

  • とても内容の充実したシンポジウムだった様で、書籍で読む機会があり、有難い。
    本書を読んで、スノーデンのリークについて、それがもたらした事への理解を得てく中で、米国におけるジャーナリズム、市民社会、民主主義の成熟度が、日本とかなり違うなぁと改めて感じる。政府による監視について、日本での関心の低さはマズイ、もっと議論が必要、とも。(公安の話も興味深い内容。)

    あと、GDPRって、スノーデンの件がきっかけだったんか...と今更知る。

    あとがきにあるワイズナー氏の「民主主義には行動する責任が伴う」は、肝に銘じたい言葉。

  • アメリカだけでなく、日本も一般市民がスマホなどのビッグデータから監視されていることがよくわかる本。

    個人的には、『(政府によって)監視されることを監視するのが本当の民主主義』という言葉と、青木理さんの『日本のマスメディアのレベルが低いのは市民のレベルが低いから(写す鏡?)』(どちらも引用ママではなく、ニュアンスしか汲み取ってません)が印象的だった。

  • 2013年に国家による個人情報の監視の実態をメディアにリークしたエドワード・スノーデンが、亡命先のロシアから日本に向けたメッセージ(警告)です。

    技術の進歩によって、以前とは比較にならないほど簡単に・低コストで国家が個人を監視することが可能になりました。
    そして2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロをきっかけに、ムスリムの監視強化という形で現実のものになります。
    問題は国家による監視が適切に行われていることを監視する仕組みがないまま、なし崩し的に個人の監視が常態化してしまったことです。そして、同様のことが日本でも行われる可能性があるということです。

    執筆されたのがトランプ大統領就任前・GDPR制定前ということで現在とは状況が若干異なるものの、個人監視の実態を知らなかった身としては、決して聞き流すことができない内容でした。

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著者プロフィール

ノースカロライナ州エリザベスシティ生まれ、メリーランド州フォートミード育ち。システムエンジニアとして訓練を積み、CIA職員となって、NSA契約業者として働く。現在は報道の自由財団理事会の議長を務める

「2019年 『スノーデン 独白 消せない記録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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