スノーデン 日本への警告 (集英社新書)

  • 集英社
3.52
  • (17)
  • (25)
  • (34)
  • (11)
  • (1)
本棚登録 : 398
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087208764

作品紹介・あらすじ

米国政府が行っていた大量監視の実態とメディアの役割等をあのスノーデンが明快に解説。後半はスノーデンの顧問弁護士や公安事件に詳しいジャーナリストら日米の精鋭が、監視問題の議論を深める。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • インターネットや携帯電話を通じて発受信されるあらゆる個人情報、このブクログのようなSNSのやり取りまでも権力機構に蓄積されているとしたら……(-_-;)

    2001年9月11日のテロ以降、アメリカは網羅的な監視体制を強化し、テロリストのみならず世界中の一般人の個人情報まで蒐集している実態が元アメリカ情報局員スノーデン氏によって暴露されました(2013年)。これをうけてアメリカの裁判所は、このような国の情報収集の違憲判断をし、『1984年』に触れて「オーウェル的」な監視体制を批判したようですが、なんだか笑えない苦笑が漏れてしまいました。

    なぜアメリカでジョージ・オーウェルの『1984年』が空前のヒットとなっているのかがよくわかるエピソードの一つでもありますが、これは単なるはやりすたりの問題ではないというのが本当のところだと思います。この作品が描き出している権力による熾烈な監視体制による全体主義世界は、もはやお伽噺でもSFでもなく、とてもリアルなものとして捉えられる事態になってきていることが悲しくもあり、空恐ろしくもあります。連日のトランプ政権をはじめとする世界のニュース報道を見ていても、稚拙な挑発や憎悪を繰り返し煽りながら、世界はひどく危うい綱渡りの状況下にあるように思えてなりません。

    日本でも、テロ防止の名のもとに銀行が外国人の口座記録を警察に提供したり、大学が留学生などの学生名簿を警察に提供していたことを知って呆れ果てたのですが、スノーデン氏は、ここ最近の日本の異常さにはっきりと警鐘を鳴らしています。

    確かに安倍政権になったここ数年だけでも、憲法(立憲主義)をおざなりにした都合のいい解釈による改憲を強行し(安保法制)、よくわからない特定秘密保護法を成立させて情報を隠し、政府のマスコミに対する露骨な圧力行使(政府に都合の悪いコメントをするニュースキャスターの降板や放送電波の許認可問題)、曖昧模糊とした共謀罪による処罰可能性、広がる盗聴法などなど……こんなにもあっけなく個人のプライバシーや表現の自由が損なわれてしまう世界が到来するとは思ってもいなかったなぁ……。

    この本を読んで切実に感じるのは、戦火をくぐった先達が苦労して植えた民主主義や人権という果物の樹は、その世話を怠ればいつのまにか野蛮な獣にかじられたり、やせ細って枯れてしまうのです。それぞれの世代がその時代に直面している課題に取り組みながら、野獣たちにかじられないようにまもり、せっせと水やりをし、陽の光をあて、暑い日も寒い日も愛情深く世話をしていかなければ美味しい果実は実らないのでしょう。それにはスノーデン氏が指摘するように無関心が大敵で、為政者に対する厳しい監視と実行(民主主義)が必要なことをあらためて学ぶことができました。

    「プライバシーとは、悪いことを隠すことではありません。プライバシーは力です。プライバシーとはあなた自身のことです。プライバシーは自分であるための権利です。他人に害を与えない限り自分らしく生きることができる権利です。思索する時、文章を書く時、物語を創造する時に、他人の判断や偏見から自らを守る権利です。自分とは誰で、どのような人間になりたいのか、このことを誰に伝えるかを決めることのできる権利です」

    当たり前のように享受している民主主義、自由、平和や立憲主義とは一体何なのか? また真の愛国とはどういうことなのか? こうして好きな本をいつでも思いきり読める幸せ、いろんな意見を発信できる自由、それによって逮捕されることのない恵まれた時代……あらためて考えさせてくれます。

    「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが民主主義だ。政府が多くのことを知っているが、人々が政府のことを知らない、これは専制政治である」――アリストテレス

  • 必読書

  • スノーデン氏のトークと4人のパネリストのディスカッションの2部構成。膨大な情報収集は危険に対して有意義なものではないこと、政府と人々は一方的であってはいけない、それが公正や刷新を生んで腐敗や偏りを減らしてゆくと伝えられたように思いました。83ページから84ページの「 監視社会、だからといって、諦めず、怖がらず、人と繋がり続けよう。」という主旨のメッセージはとっても心に響きました。

  • 2013年に国家による個人情報の監視の実態をメディアにリークしたエドワード・スノーデンが、亡命先のロシアから日本に向けたメッセージ(警告)です。

    技術の進歩によって、以前とは比較にならないほど簡単に・低コストで国家が個人を監視することが可能になりました。
    そして2001年9月11日にアメリカで起こった同時多発テロをきっかけに、ムスリムの監視強化という形で現実のものになります。
    問題は国家による監視が適切に行われていることを監視する仕組みがないまま、なし崩し的に個人の監視が常態化してしまったことです。そして、同様のことが日本でも行われる可能性があるということです。

    執筆されたのがトランプ大統領就任前・GDPR制定前ということで現在とは状況が若干異なるものの、個人監視の実態を知らなかった身としては、決して聞き流すことができない内容でした。

  • 2016年6月4日に東大で開初めて催された監視をテーマにしたシンポジウムの記録。
    2013年6月に、エドワード・スノーデンがアメリカ政府の監視活動の実態に関する隠されてきた情報を、メディアを通してこの世にさらしてから3年後の話。
    今私がこの話を読んでいる今に至るまでは、そこからさらに3年が経っている。

    「自由を享受できる社会は市民が主役になって初めて実現される」
    政府に勤めながら一市民として行動をとることを恐れなかったスノーデンの力強いメッセージ。
    自分の生きる社会の在り方に関心を抱くこと、受け身にならないこと、いくためには一人一人が社会の構成員として能動的に考え行動することが民主主義社会に生きる市民の義務であり、責任であり、役割だという事実を突き付ける。
    監視の問題は民主主義の問題で、つまり市民一人一人が知るべきこと。

    ぼーっと生きてしまている自分にまた気づく。
    勝手に法律できてるし、政策改まってるし、権力がさらに集中化してるし、市民の自由に制限がかかってるけど、いいの、って言われてきちんと応答できる人、社会でありたい…

  • ●NSAが同盟国であるドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴
    ●テクノロジーが進歩して、あらゆる人のあらゆるデータが収集、監視できるようになった。
    ●政府はグーグルの検索ボックスに打ち込んだ内容を、全てモニタリングできる。
    ●ロシアに亡命中のスノーデンは、アメリカに戻る気はあるが、帰国の条件については、公平な裁判を行い、陪審員にやったことは正しいことだと言うことを主張できるかどうかである。
    ●実は以前に、トーマスドレイクと言う人が、NSAの問題を内部通報している。
    ●スノーデンの陸の内容は次の3つ。①電話のメタデータの提出② SNS等の通信内容を秘密裏に提出させるプログラム②アップストリームと呼ばれるもので、海底光ファイバーケーブルに直接アクセスして目当ての情報を入手するプログラム。
    ●私たちの交際関係の全てを保存している。これはタイムマシンのようなものです。過去にさかのぼることだけができる「監視タイムマシン」
    ●アメリカでテロリストに殺される確率は400万に1つ。浴槽で溺れ死ぬ確率の方が高いのです。それなのになぜ「私たちを安全してくれるのであれば、プライバシーを犠牲にすることはいとわない」と考えるのでしょうか?

  • 2016.6.4東京大学本郷で行われた公益社団法人自由人権協会70周年プレシンポジウム「監視の”今”を考える」がベース。スノーデンのメッセージ、信教の自由・プライバシーと監視社会。

    日本のプレスへの圧力は、銃や暴力ではなく、企業・インセンティブ・取材源や政府の地位や権力によるものという指摘。その通りだと思います。

  • 一般市民にとっても想像以上に監視されている話。気をつけようにも気を付けようがないが、ネット社会、スマホ社会によりますます個人情報が流れやすくなっていることは確か。

  • 政府による大量監視社会についての問題提起。現在のテクノロジーではあらゆる情報が収集され得ることを改めて感じた。

    テロ、犯罪対策などのため一定程度は必要と思うが、バランスが大切だろう。

  • 2017.10.16 朝活読書サロンで紹介を受ける。

全41件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ノースカロライナ州エリザベスシティ生まれ、メリーランド州フォートミード育ち。システムエンジニアとして訓練を積み、CIA職員となって、NSA契約業者として働く。現在は報道の自由財団理事会の議長を務める

「2019年 『スノーデン 独白 消せない記録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エドワード・スノーデンの作品

スノーデン 日本への警告 (集英社新書)を本棚に登録しているひと

ツイートする