「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210019

作品紹介・あらすじ

本書は、人格的に成長・成熟した大人として「悔いなく人生中盤以降をまっとうできるよう生きたい」、そう願っている人のために心理療法家がその理路と方法をわかりやすく説いたガイドブックである。

感想・レビュー・書評

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  • ・今の日本社会は、大人が大人になり、心から満たされた人生を生きるのが難しい。それは、「若々しく元気で活動する」という外的な価値にばかり重きが置かれ、「内面的な成長・成熟」ということを重視する価値観が育まれてこなかったから。

    ・心理療法家ユングによれば、「人生の午後」(中高年期)になると、内面に意識が向かい始める。自分の人生における使命や役割を問い始めるこの時、人格は成熟する。

    ・中高年の成熟に必要なのは、次の3つ。
    ①「これが自分の人生に与えられた使命だ」と思えて、自分だけでなく、社会のためになるものを見つけること。
    ② 1人きりで自分を深く見つめる「深層の時間」を持つこと。
    ③他者と深く交流しあう体験を持つこと。

    ・成熟した大人が持つべき人生哲学は、次の6つ。
    ①人はわかってくれないものである
    人にわかってもらおうとする欲を捨て、内面に意識を向ける。
    ②人生は、思い通りにはならないものである
    「自分は万能ではない」という現実を受け入れる。
    ③人はわかりあえないものである
    自分を少しでもわかってもらえたら、それで十分と考える。
    ④人間は本来1人である
    人間は1人で生まれ、1人で死ぬという事実を思い起こす。
    ⑤私は私のことをして、あなたはあなたのことをする
    他人のせいにするのをやめ、今、この瞬間を生きる。
    ⑥仲間から孤立し1人になってもやっていけないことはない
    人から嫌われても気にせず、自分の好きに生きる。

  • 何度も読み返して再認識したいと思える本だった。私の生きてる意味、使命って何だろうと思うこの頃。

  • 【内容メモ】
     本当の大人、すなわち心が成熟した人間というのは、自分で自分を認めることが出来る人間のこと。
     心が未熟な人は、自分自身を認めることができず、自信がないため、他者からの承認によって欲求を満たそうとする。SNSでの「いいね!」稼ぎもそうだが、些細なことでキレたりクレームを付けたりするのも、「もっと自分をリスペクトしろ」という気持ちの表れであり、心が未熟であることを示している。
     また、未熟な人は「認められたい」という欲求を持っているため、人を程良く頼ることも苦手である。日本で生活保護の需給をかたくなに拒む人が存在するのはこのためである。
     総じて大切なのは「諦める」こと。「諦める」とは「明らかにして見る」ということ。眼前の事実をそのものとして認識し、自分に出来ることとそうでないことを明確に判別する覚悟(=自分は万能ではないと知ること)が必要。

  • ただ認め、ただ眺める。
    自分自身と大切な人を。

    内なる声に耳を傾ける。

    永遠の自己否定の罠
    「今、ここ」を楽しむ勇気

    思いのほか・偶然・予想外を楽しむ。大切にする。

  • 中高年期における内面的な、人格的成長・成熟について説かれた本。
    自分のように、中高年で人生について悩むとこういう本を手に取るのかもなあと思った。ユングやアドラー、マズロー、フランクル、クランボルツも出てきて面白い。実践してみたいことも多数あり。

    ・今の日本人の多くは40代から50代に内的な「人生の正午」を迎えて人生の後半に向かっていくのではないか
    ・努力至上主義の人は、心ここにあらず状態で今を生き流している
    ・この人に相談したいなとふと思える人にあなたはなることができているかどうか
    ・濃密な生を送るための心得として、「これはしないことリスト」を作ること

  • 真に内面的に成長・成熟した「大人」として、心から満たされた人生を生きるにはどうすべきか。心理療法家がその理路と方法をわかりやすく解説する。

    第1章 日本の大人はなぜ未熟なのか?―「中高年期における精神的な成長・成熟」の大切さ
    第2章 成熟した大人の六つの人生哲学
    第3章 単独者として生きよ
    第4章 人生は思うようにならないもの
    第5章 うつは中高年を魂の世界へ導いてくれる扉
    第6章 「思いのほか」を楽しむ
    第7章 あえて本気で生きる
    第8章 魂のミッションを果たす
    第9章 「最高に成熟した人格」とは―その心理学的特徴

  • 「本当の大人」になるための心理学 心理療法家が説く心の成熟。諸富祥彦先生の著書。年齢や見た目は立派な大人なのに本当の大人になれない人は多いはず。未熟。未成熟。アダルトチルドレン。自分が未熟未成熟アダルトチルドレンであることをまずは認めること。本当の大人になるには自分に正直になること。

  • 著者は、「夜と霧」のヴィクトール・フランクルの研究、監訳などで著名なカウンセラー。
    本書では、フランクルの心理学、アドラー心理学を引用し、著者独自のスピリチュアルな人生観を丁寧に解説する。対象は40代50代男性のようだ。本来は精神的に成熟するはずなのに、今の中高年は大人になれていない。世の中が便利になりすぎて我慢できなくなったことと、いつまでも現役でいることを礼賛する社会の風潮が原因と断定する。だから高齢者がキレやすいのだ、とまで展開。なかなか挑戦的な論考で、忍耐が必要。
    結論としては、人生の課題、使命に目覚めてそれに打ち込むことが、人格の完成、幸福な人生に必要とのこと。ありがち…

  • 人格を高めるために示唆に富む内容でした。

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著者プロフィール

筑波大学人間学類卒業、同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、明治大学文学部教授。教育学博士。日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事。臨床心理士、上級教育カウンセラー、学会認定カウンセラーなどの資格を保有。テレビ、ラジオ出演多数。著書に『カール・ロジャーズ カウンセリングの原点』(角川選書)、『フランクル心理学入門 どんな時も人生には意味がある』(角川ソフィア文庫)、『はじめてのカウンセリング入門 上 カウンセリングとは何か』『下 ほんものの傾聴を学ぶ』(ともに誠心書房)、『思春期のこの育て方』(WAVE出版)、『50代からは3年単位で生きなさい』(KAWADE夢新書)など多数。

「2022年 『プロカウンセラーが教える 1on1コミュニケーション入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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