勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること (集英社新書)
- 集英社 (2017年11月17日発売)


- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087210071
作品紹介・あらすじ
錦織圭ら超一流テニス選手の事例を中心に、肉体と脳との具体的な関連を解き明かす。また、トラウマ、イップスなど、いわゆる「メンタル」の問題にも新たな視点を提示する。
感想・レビュー・書評
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アスリート達の超越した能力を発揮する時に一体脳は何をしているのか。
脳のお話としてはそれほど目新しい内容はないけど、アスリート達の具体例を出しながらの説明は非常に興味深く面白かった。
とてもわかりやすい内容なのでおすすめです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
趣味ごと程度でも勝利を目指したいとそのことに挑んでいる上で本書は参考になった。
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テニス話多めの本。
だいたいこういうアスリート本だと、サッカーや野球が多用される。
テニス好きとしては例えなどがわかりやすく、ありがたかった。
読み物としても、とても読みやすい良本。
脳を鍛えることによって、神経回路や細胞の構造が変化するいろんな実例集約。
自分自身は全くアスリートではないけれど、少しでもスポーツなり楽器なりを嗜んだことがあるから想像しやすかったのかも。
テニスの試合なり、卓球なり、ピアノのコンクールなり、極めた人たちのプレイの反射神経は見ていてすごい痺れる。
反復練習やイメージトレーニングの大切さが解明されてきているのも興味深かった。
幼少期に知りたかったな...
プレイヤーもコーチも、日々の練習だけでなく、こういった知識も蓄えていくことが大切なんだなと思った。
今度は、yipsイップスに関する本を読んでみようと思う。
『イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち』
https://bunshun.jp/articles/-/6675 -
スポーツ(テニスの解説が多い)、もしくはピアノなど、身体動作を使って勝負している人にとっては、
何かヒントになるんじゃないかと思った。 -
アスリート時代の悩みが、科学的な根拠に繋がり、納得の内容。
反復練習やイメージトレーニングによる効果と副作用が、思わず膝をたたくものだった。
大学の頃に知りたかったが、当時は無理。 -
近年のスポーツの現場には、私たちの想像以上に最先端の科学的知見が投入されているようだ。多くの人がイメージする体育会系の精神論・根性論はすっかりなりを潜めている。その代わりに運動生理学に基づくトレーニング、栄養学を用いた食事管理、対戦相手のデータ分析といった手法が、いまや常識なのだという。
ただし、神経科学(脳科学)のスポーツへの応用例はまだ少ないそうだ。しかし、例えばテニスのプレーはしばしば「100メートル走とチェスを同時にしているようなもの」と言われることもある。体験的に「スポーツは頭を使う」のを実感している人も多いだろう。実際にスポーツと脳には深い関係があり、神経科学のスポーツへの応用は、今後注目を集めていくにちがいない。
本書『勝てる脳、負ける脳』では、神経科学の視点からスポーツの現場での出来事やアスリートたちの言葉を分析。彼ら彼女らの脳がいかに働き、変化しているかをわかりやすく解説している。
著者の内田暁氏はスポーツライターで、テニスを中心に専門誌やウェブサイトなどに寄稿している。小林耕太氏は同志社大学生命医科学部医情報学科准教授。神経行動学を専門とする。
モチベーションはギャンブル性によって高まる
アスリートは毎日のように厳しい練習に励み、自身の技術を向上させる努力を重ねている。肉体面のみならず、精神面の負担も小さくないだろう。その継続にはモチベーションの維持が不可欠だ。
本書によると、モチベーションの高低は、体内のドーパミンの放出量と深く関係している。ドーパミンの放出量が増えると、人は「やる気」になり、モチベーションが高くなる。人体では、脳に報酬(快感につながる刺激)が得られるかが不確かな状況におかれた後、それが得られると予測できた瞬間にドーパミンが大量に放出される。
アスリートが日々チャレンジしている試合での勝利や記録更新、技能の上達などは、達成できるかどうかわからない「不確かな報酬」だ。上記のメカニズムに照らすと、アスリートは、これらの報酬が得られると予測できるからこそ、チャレンジを続けるモチベーションを維持できるといえる。
錦織圭選手のモチベーションの源とは
だが、一流のアスリートに近づくほど、ちょっとやそっとのトレーニングでは上達した実感(=報酬)が得られそうもないと感じるようになってしまう。するとモチベーションが維持できず、厳しい練習に耐えられなくなりがちだ。
それでも世界トップレベルのアスリートたちがモチベーションを維持し続けているのは、なぜだろうか。
その答えは「新鮮な報酬を発見する能力」にあるのではないかと、著者らは推察している。例えばテニスの世界ランキング最高4位に達したこともある錦織圭選手は、「ちょっとずつ前のゴールをクリアしようとしていた」そうだ。すぐには達成困難な遠いゴールをめざすよりも、少しずつ「上達の実感」とともに脳への「新鮮な報酬」を得ながら前へ進む。錦織選手は意識せずとも、そんな神経科学の研究成果をもとにモチベーション維持を心がけているのだろう。
こうした一流のアスリートの取り組みは、私たちの仕事や生活にも応用できるのではないだろうか。本書を参考に、工夫してみてほしい。 -
名著の部類
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脳のメカニズムをわかりやすくアスリートの具体例とともに描いていて、とても新鮮で面白かったし読みやすかった!超一流アスリートの脳内を垣間見た感じ。脳力バトル!
睡眠による恐怖の学習と、「嫌なことは寝て忘れる」はとんでもない過ちだったってことは衝撃だ!
著者プロフィール
内田暁の作品





