慶應義塾文学科教授 永井荷風 (集英社新書)

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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210590

作品紹介・あらすじ

『あめりか物語』や『ふらんす物語』『濹東綺譚』などの著者にして、稀代の好色文学者としても知られる永井荷風。
その荷風は、明治末期から大正初期にかけて慶應義塾の文学科教授として後進の指導に当たり、大学の機関誌「三田文學」を創刊。
それらを通じて久保田万太郎、水上瀧太郎、佐藤春夫、堀口大學ら門下生を文学者として世に送り出した優れた教育者でもあった。
だが、大学教授・永井荷風についてきちんと光が当たられたことはこれまで一度もなかった。
「性」と「反骨」の文学者・永井荷風の教育者としての実像と、
慶應義塾、ひいては日本の文学界に与えた功績と影響を、初めて詳らかにした渾身の評論。

主な内容
真正モダニスト永井荷風の誕生/
森鷗外と上田敏の推輓で文学科教授に就任/
三田山上に現出した「文学的自由空間」/
「三田文學」創刊──反自然主義文学の旗手として/
「三田文學」から飛び立った荷風門下生/
永井荷風が百年後の慶應に遺したもの ほか。

【著者プロフィール】
末延芳晴(すえのぶ よしはる)
1942年、東京都出身。文芸評論家。東京大学文学部卒業。1973年よりニューヨークに在住し、米国文化の批評・評論活動を行なう。
1997年、『永井荷風の見たあめりか』(中央公論社)の刊行後帰国。以後、文学評論、映画評論の分野で執筆活動を続ける。
『正岡子規、従軍す』(平凡社)で第二四回和辻哲郎文化賞受賞。『夏目金之助、ロンドンに狂せり』(青土社)
『森鴎外と日清・日露戦争』(平凡社)、『寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者』(平凡社)、『原節子、号泣す』(集英社新書)など多数。

感想・レビュー・書評

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  • モダニストとしての永井荷風から晩年の江戸下町文化を愛する反モダニストとしての永井荷風の生まれ育ちにも焦点を当て、また荷風門下と言える慶應義塾関係の文学者を要領よく紹介してくれる興味深い評論です。ただ、この著者の末延さんという方は針小棒大というか、僅かな言葉やささやかな事実から、妄想を逞しくして無理矢理自分の望む方向に勝手に人々の心を忖度してそれで自己満足しているところがあります。第一、多くの女性を書き、そして女性と交わることが多いとしても稀代の好色文学者、という荷風に対するレッテルにも、違和感があります。またロシア女性を口説いて振られたときに、日露戦争時だったために、ちょっと「国家と個人とはどうしても一致せぬものです」と荷風が書いたからと言って、そこから末延さんは男と女の性的対関係性において国家と個人は矛盾・対立し、、、(中略)、、明治の絶対主義的国家体制下にあってきわめて危険で反逆性をはらんだ思想と言わざるを得ないのであって、荷風はそのような国家と個人の両立し得ない関係性を「性」において見抜いた、など、何をこの人は言っているのだろうと思わず吹き出してしまったほどです。さらに末延さんは何か勘違いをされているのか思い込みがあるのか、荷風の門下生と言える佐藤春夫や堀口大学が、大東亜戦時中に反戦的でなかっただけでなく愛国的翼賛詩歌を詠ったことが、極悪のようにおっしゃっています。そしてそのことを持って荷風と彼らでは文学者としての精神、志の高さと強さが根本的に違うとまで言い切ることに驚きを感じぜずにはいられません。その上堀口大学が戦争詩を書いたのは立場上仕方なくやむを得なかったとまで勝手に忖度するのです。アメリカだってフランスだって中国だってどこの国であれ、自分の国が外国と戦っていれば心ある国を愛する詩人や文学者は間違いなく愛国的詩を書いているのです。自然なことです。それを日本人がやると悪いことにでもなるのでしょうか。さらに付け加えると堀口大学が戦後25年近くも経ってから書いた「新春 人間に」と言う詩を戦争詩を書いた反省から心を入れ替えて書いた詩だと言って絶賛しています。自分の思想に都合の良い解釈としか思われません。そういう思想性を持った色眼鏡で評論されているのが非常に残念な本です。文学者はそれほど偉いものではないでしょう。荷風も末延さんのおっしゃる反国家、性による国家の解体とかそのような強化な思想を持っていたわけではないでしょう。ただそれが好きか嫌いか、そういう事ではないでしょうか。まあそれでは本として成り立たなくなるのかも知れませんが。

  • 慶応の教授をしていた、のは知っていたが、「三田文学」のねっこをつくったのはしらなかったし、 多くの文学者を輩出するイシヅエを築かれたとは。何か、荷風のイメージと合わないなあ。

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