「通貨」の正体 (集英社新書)

  • 集英社 (2019年1月17日発売)
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  • 本 ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210651

作品紹介・あらすじ

通貨を通貨たらしめているものは何なのか? 国家の威信なのか、金(ゴールド)なのか、あるいは・・・。

脆弱な通貨の「正体」を見極めないまま、世界各国は莫大な財政赤字を積み上げ、金融政策を行っている。
通貨への信頼を損なうばかりの政策の、その行き詰まりの先に見えてくるのは自国優先の貿易戦争と恐慌。

それを避けるための処方箋とは? 世界経済が危険水域に近づくなかの必読の書!

【目次】
第1章 バラと通貨はどう違う?
第2章 嘆きの通貨、ドルの行方
第3章 ユーロ その混乱の源
第4章 「仮想通貨」の仮装を暴く
第5章 幻の通貨 バンコールが夢見たもの
第6章 人民元は誰のための通貨?
第7章 SDRのフワフワ感
第8章 隠れ基軸通貨「円」の本当の姿

【著者略歴】
浜 矩子(はま のりこ)
同志社大学大学院ビジネス研究科教授。1952年、東京都生まれ。三菱総合研究所ロンドン駐在員事務所長を経て、2002年より現職。
専門はマクロ経済分析、国際経済、国際金融。おもな著書に『中国経済 あやうい本質』『新・国富論』『洗脳された日本経済』など。

感想・レビュー・書評

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  • ビットコインなどを仮想通貨と呼ぶが、普通に流通している通貨も通貨の振りをしている、マネーの真似をしている仮装通貨にすぎない。通貨の基本は人本位制。すなわち認知であり認識。ドル。ユーロ。ビットコイン。人民元。円。現金の電子化。カオスと化した通貨世界にあって、大事なのは、各国の中央銀行がきっちり役割を果たすこと。すなわち、求められれば直ちに力強いリアクションが返って来る状態をキープすることなのだ。

  • ブロックごと個別の説明をしているので、これはこれで概略理解はできた。
    しかしそもそもの「通貨の正体」については、詳細の説明がされていない。
    それもそのはずで「説明のしようがない」ということがある。
    逆に本質の説明はある。
    「すべては人間の妄想。だから通貨こそが本当の『仮想』通貨。人間の信用ありきなのだから『人本位制』である」
    説明とはこの一行に尽きるのかもしれない。
    個別説明は「ドル」「ユーロ」「仮想通貨ビットコイン」「バンコール」「人民元」「SDR」「日本円」と章ごとに行われている。
    確かに「通貨とは何か」という問いは命題が広すぎる。
    個人的には仮想通貨の未来に興味があるが、それは今のリアル通貨とも相対的に関わってくる話だ。
    リアル通貨が電子マネー化していく中で、益々「仮想」化は加速していく。
    中央銀行が発行する電子マネーは、確かに仕組みとしてブロックチェーンは使っていないかもしれないが、ユーザーからはどう受け取られているのだろうか。
    街の買い物で決済として使えるので、リアルだろうが仮想の電子だろうが、事実として人々にとって違和感なく受け入れられているのだろう。
    年代にもよると思うが、通貨としての信用が継続しているということだ。
    利便性を考えても、益々電子化の流れは止まらない。
    その中で一方の「仮想(暗号)通貨」の意味合いはどう変化していくのだろうか?
    そんな事を考えると益々通貨が不思議なものに思えてしょうがない。
    世界中の人々の妄想で成り立っている「通貨」。
    実態があるようで、妄想だからその足元はあまりにも脆すぎる。
    人類の価値観が大きく変化した瞬間に、「通貨」の概念が大きく変化する可能性もなくはないのだ。
    個人的にはそういう日が遠からず訪れる気がしてしようがない。
    何らかの通貨のような「ポイント(単位)で判断する数値」はあるかもしれないが、それは所詮ゲームのスコアのような、それぐらいの価値のものになるような気がするのだ。
    究極言えば、食料が無限に無料で手に入るようになれば、人々は働くことが不要になる。
    つまりお金を稼ぐということに意味がなくなってしまうのだ。
    人によっては高級マンションに住みたいとか、いい車に乗りたいとかあるかもしれない。
    そういう人はゲームのスコアを上げればいい。
    しかしただ生きていくだけならば、スコアゼロでも、そのゲームに参加すらしなくても生きていける。
    食料だけでなく、結構なサービスも無料で提供されているので、人生を暇つぶしするには十分過ぎるくらいだ。
    テクノロジーの進化を考えると、そんなことが本当に起こるような気がしてしょうがない。
    それもそんなに未来の話でなく、数十年の内に訪れるような気がするのだ。
    そうした世界が幸せなのか、どうなのかはなってみなければ分からない。
    その頃は人類の寿命も延びるだろうから、益々暇つぶしが大変になっていきそうだ。
    通貨はどう変化していくのだろうか。それは人類の生活がどう変化していくのかにかかっている。
    「お金っていうのが昔あったのよ」
    こんな会話がされる日が本当に訪れるかもしれない。
    (2021/6/26)

  • バンコール、SDRの話が勉強になった。

  • 東2法経図・6F開架:337.2A/H22t//K

  • 通貨の基本は人本位制=人々の信用が大事。
    歌舞伎「恋飛脚大和往来」封印切の場面。

    1936年三国通貨同盟=24時間金本位制=アメリカだけが金交換に応じる。プレトンウッズ体制と同じ。

    国際金本位制の時代は、自由な金融政策を放棄した。
    ヨーロッパのERMは東西ドイツ統一で変化せざるを得なくなった。

    日本の2017年の改正資金決済法で仮装通貨が通貨になった。
    三菱UFJのMUFGコイン。送金可能な電子マネー。

    ICO=新規仮装通貨公開。IPOのようなもの。
    「水滸伝」

    バンコールは金に裏付けされたが金への交換はできない。一定量のバンコールを配って国際決済に使う。2国間の帳尻は問わない。赤字国も黒字国も同様に罰せられる。

    人民元の国際化は休止中。通貨としての足の長さと希少性のせめぎあい。人民元は自由な資本移動を犠牲にして為替の安定と金融政策の自由を確保している。

    グローバル時代はどんぐりの背比べ。抜きんでることはできない。

    SDRは通貨ではない。バスケットで決まる。通貨に交換できる。IMFが配分する。配布以上の分には金利がつく。
    リーマンショックのときに配分が行われた。SDRのありがたみが分かったはず。

    通貨の流動性ジレンマ=共通通貨は流動性を確保しなければならないが、配りすぎると価値が下がる。SDRが流動性確保の役目を果たすはずだったが、ドルがその役目を担った。

    リーマンショックの元は、円の低金利によるキャリートレード。量的緩和が元。

    円は隠れ基軸通貨=何かとグローバル社会をかく乱する。

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著者プロフィール

1952年生まれ。同志社大学大学院ビジネス研究科教授。
主著=『新・国富論――グローバル経済の教科書』(文春新書、2012年)、
『老楽国家論――反アベノミクス的生き方のススメ』(新潮社、2013年)。

「2014年 『徹底解剖国家戦略特区』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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