言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
4.47
  • (11)
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 98
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210873

作品紹介・あらすじ

2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。
M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは?
「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、
"絶対漫才感"の持ち主が存分に吠える。
どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代漫才論とは?
漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!

◆もくじ◆
プロローグ「僕が霜降り明星を選んだワケ」
第一章 「王国」 大阪は漫才界のブラジル
第二章 「技術」 M-1は100メートル走
第三章 「自分」 ヤホー漫才誕生秘話
第四章 「逆襲」 不可能を可能にした非関西系のアンタ、サンド、パンク
第五章 「挑戦」 吉本流への道場破り
第六章 「革命」 南キャンは子守唄、オードリーはジャズ
エピローグ「10年ぶりの聖地。俺ならいいよな」

◆著者略歴◆
ナイツ 塙宣之(はなわ のぶゆき)
芸人。1978年、千葉県生まれ。漫才協会副会長。2001年、お笑いコンビ「ナイツ」を土屋伸之と結成。
2008年度以降、3年連続でM-1グランプリ決勝に進出する。漫才新人大賞大賞、お笑いホープ大賞大賞、NHK新人演芸大賞大賞、
第9・10回ビートたけしのエンターテイメント賞 日本芸能大賞、浅草芸能大賞新人賞・奨励賞、第68回文化庁芸術祭大衆芸能部門優秀賞、第67回芸術選奨大衆芸能部門文部科学大臣新人賞など、受賞多数。

聞き手 中村計(なかむら けい)
ノンフィクションライター。『勝ち過ぎた監督』で講談社ノンフィクション賞受賞。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「大阪は漫才界のブラジル」
    「M-1は100メートル走」
    「関東の日常言葉は感情を乗せにくい」
    「M-1は新しいもの至上主義」
    「南キャンは子守唄、オードリーはジャズ」
    今や最も注目を集めるお笑いイベント「M-1」について、関東を代表する漫才師の一人であり、昨年のM-1審査員も務めたナイツ塙が語り尽くしたのが本書。
    いちいち腑に落ちるし、時に眼から鱗が落ちました。
    私は、M-1を第1回から欠かさずテレビで視聴しています。
    視聴後は、興奮の余りブログに決勝出場者のネタの感想を書き綴るほど。
    ど素人が評論家気取りで書く感想ほど「イタい」ものはありませんが、止められないんだなぁ。
    生放送を見るだけでなく、折に触れてVTRも見返します。
    M-1は出場者だけでなく、お笑い好きの視聴者にとってもワクワクするコンテンツですね。
    ですから、こんな本を待っていました。
    2時間の一気読み。
    まず、M-1は吉本芸人のための大会だということを再認識しました。
    特に関西芸人が幅を利かせているのは周知の通り。
    第1回優勝者の中川家が「M-1はしゃべくり漫才の大会」だという先鞭をつけたのが大きかったのだとか。
    たしかに、第1回の優勝者によって、その賞の性格が決まるということはありますね。
    で、しゃべくり漫才だと、やはり関西芸人に有利です。
    「サッカーで言えば、関西は南米、大阪はブラジルと言ってもいいでしょう。ブラジルでは子どもから大人まで、路地や公園でサッカーボールを蹴って遊んでいます。同じように、大阪では老若男女関係なく、そこかしこ日常会話を楽しんでいる」
    とは言い得て妙。
    では、関東芸人は関西芸人に勝てないのか。
    そんなことはありません。
    風穴を開けたのは、アンタッチャブルでした(2004年)。
    さらに、敗者復活から劇的な勝利を収め戴冠したサンドウィッチマン(2007年)、パンクブーブー(2009年)と続きます。
    3組に共通しているのは、「しゃべくり漫才」ではなく、「コント漫才」だということ。
    関西弁と違って感情を乗せにくい関東の言葉でも、「コント漫才」なら十分、関西芸人と伍していけることを、この3組の優勝は示しました。
    さらに、M-1は「新しいもの」を評価する傾向があります(特に松本人志はその傾向が強い)。
    その意味でM-1は「お笑い界の新人賞」だということができます。
    その点、スリムクラブは新しかったと塙は評価しています。
    M-1は、最長でも4分という短い時間の中で、どれだけ笑いを取れるかの勝負です(この点でも、しゃべくりに秀でた関西芸人に分があります)。
    にも関わらず、スリムクラブは実にゆったりと、間も大きく取ったネタを披露したのです(文字に起こすと、NON STYLEの「溺れている少年を助ける」約2000字に対し、スリムクラブの「葬式」約800字!!!!!)。
    M-1でこういうネタは当時新鮮だっただけに、驚きとともに腹を抱えて笑った記憶があります。
    「笑いの神様」である松本の「時間が惜しくないのか」という評は、スリムクラブにとって最大の賛辞だったでしょう。
    塙は「M-1史上、最大の革命」だと言っています。
    革命といえば、南海キャンディーズもそうでした。
    「オカッパメガネのあやしい男と、それに負けず劣らずあやしいでっかい女」(本書より)が出てきた時の「キワモノ感」は忘れられません。
    ネタを見終わって、「新しい笑いが誕生した」と衝撃を受けたのも強く記憶に残っています。
    本書では、いろんな意味で物議を醸した昨年のM-1までをカバーしています。
    塙は、最終決戦で和牛ではなく霜降り明星に一票を投じました。
    その理由は「強さ」だったとプロローグで語っていますが、「なるほどそうだったのか」と感動しました。
    M-1ファンには必読の書。
    個人的には、ものを作る全ての人に参考になる本だと思いました。

  • この本の存在がなぜかすでにおもしろいんですが。この本の存在がもうボケでしょ。
    徹底的にM-1のことと出場者のことが書かれているんだけど、あああれね、と全部書かれていることの映像が頭の中で流れる自分も、実は相当M-1に詳しいのでは。
    4分で全てを表現する、掴みを素早く! って何気にプレゼンの勉強になるのでは。

  • 面白かったので一気に読んでしまった。昔はボギャ天やオンエアバトル、「第一期」のM-1などをよく見て、「◯◯は面白い」「◻︎◻︎はウケてたけど何が面白いのか分からない」など通ぶっていたが、面白いと称される芸人さんがなぜ面白いのかというのを分かりやすく解説してあって、すごくためになった。面白かったのはお笑いの世界も日々アウトプットというか、ネタを作り続けること、芸を磨くことが大事という、どんな仕事にも共通するような普遍の真理が当てはまるということが新鮮だった。「書く」ことを仕事にしているだけあって、過不足のない、ちょうどよい説明も心地よかった。

  • 作品紹介
    2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。
    M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは?
    「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、
    "絶対漫才感"の持ち主が存分に吠える。
    どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代...

  • 最高。

全6件中 1 - 6件を表示
ツイートする