資本主義の終わりか、人間の終焉か? 未来への大分岐 (集英社新書)

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レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087210880

作品紹介・あらすじ

◆による、危機の時代の羅針盤!

利潤率低下=資本主義の終わりという危機は、資本の抵抗によって、
人々の貧困化と民主主義の機能不全を引き起こしたが、
そこに制御困難なAI(人工知能)の発達と深刻な気候変動が重なった。
我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える「大分岐」の時代。
マルクス・ガブリエルら世界最高峰の知性たちが、日本の若き経済思想家とともに新たな展望を描き出す!

◆水野和夫氏(『資本主義の終焉と歴史の危機』)絶賛!
資本主義・終焉期の矛盾を吹き飛ばす快著! 慧眼の士たちの鋭さに脱帽。
◆目次
はじめに――大分岐の時代に 斎藤幸平
第1部 マイケル・ハート
1. 資本主義の危機と処方箋
2. 政治主義の罠
3. から始まる、新たな民主主義
4. 情報テクノロジーは敵か、味方か
5. 貨幣の力とベーシック・インカム
第2部 マルクス・ガブリエル
1. 「ポスト真実」の時代を生んだ真犯人
2. 「人間の終焉」と相対主義
3. 新実在論で民主主義を取り戻す
4. 未来への大分岐――環境危機とサイバー独裁
5. 危機の時代の哲学
第3部 ポール・メイソン
1. 情報テクノロジーの時代に資本主義が死んでゆく
2. 資本の抵抗――GAFAの独占はなぜ起きた?
3. ポストキャピタリズムと労働
4. シンギュラリティが脅かす人間の条件
5. 資本主義では環境危機を乗り越えられない
6. 生き延びるためのポストキャピタリズム
おわりに――Think Big! 斎藤幸平
◆著者略歴
マルクス・ガブリエル
史上最年少で権威あるボン大学哲学正教授に抜擢された天才哲学者。既存の哲学の諸問題を乗り越える「新実在論」の旗手。
『なぜ世界は存在しないのか』が各国でベストセラーとなり、NHK『欲望の資本主義』シリーズなどでメディアの寵児に。
マイケル・ハート
グローバル資本主義が変容させる政治・経済の姿を描き切った『』(ネグリとの共著)。
その大著の予見の正しさが日々、証明されるなか、新たな権力の形にいかに抵抗するかの戦略を模索し続け、社会運動の理論的支柱となっている。
ポール・メイソン
ナオミ・クラインらが絶賛した『ポストキャピタリズム』で、資本主義は情報テクノロジーによって崩壊すると主張し、次なる経済社会への移行を大胆に視点。欧米の経済論壇の話題をさらった。
斎藤 幸平(さいとう こうへい)
1987年生まれ。大阪市立大学大学院経済学研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、マルクス経済学。
Karl Marx's

感想・レビュー・書評

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  • 面白くて一気読み。資本主義の絶望な状況から開放される道は人々の連帯の力である。マルクス主義は現代でも生きており、これまでの誤った方法を乗り越えることで生き返る。つまり現場での経験を集めた社会運動や市民運動こそが、この危機を乗り越える道であることが、改めて認識できた。そのためにはカリスマ的リーダーは必要でなく、民主的な決定を行う集団的能力を育む必要性がある。また、そのためには真実を守るための規制が必要であり、倫理的責任を負うことも必要である。4者の対談で、希望は、困難ではあるが創り出すことができるという展望が持てた良書であった。

  • ガブリエル、ポールメイソン、マイケルハート

  • 明日を予測する水先案内人として立場の違う3人の個性的な論客を選んだ対談集。表カバーには最近の注目度からマルクス・ガブリエルが大きく取り上げられていますが個人的にはネグリ=ハートのマイケル・ハートの話が興味ありました。明日の変革を担うだろう主体は何か・・ 正直実体はなかなか見えてこないですね。

  • 読後のワクワク感がスゴイ。特に第一部のマイケル・ハートとの対談は分かりやすく、資本主義への抵抗運動、資本主義脱却への処方箋は目からウロコです。第一部は何度も読み返しています。

  • 労働組合の弱体化。
    新自由主義の席巻。
    〈コモン〉という考え方、概念の提唱は、非常に興味深い。
    斎藤先生の現物支給による脱商品化のBIには賛成。
    ただ、BIを、どういう人達に配布するとかなど、BI自体には議論がある。

    マイケル・ハートの章は、議論があまりにも高度に抽象的、かつ、議論の内容が次々と変遷し、わかりづらい。
    また、人間という概念が重要だというのには共感するが、その人間という概念が、現在、どのような内容を示すのか、内容が明らかにされていない。
    人類の普遍というものも、これだけ他種多様な文化が入り乱れている現在において、どのように確立させるかも明示されていない。
    ただ、斎藤幸平のまとめは的確である。

    ポール・メイソン編
    学者ではなく、ジャーナリストだけあって、使う言葉、事象が、わかりやすい。
    今でも存在する、必要のない労働を本当に無くすと、その対価であった賃金は、何処から発生するのであろう。
    AI、オートメーション化により、本当に時短を進ませるには、オートメーション化の恩恵により、時短しても、利益は変わらないか、以前以上に利益が発生する必要があると思われるのだが。

  • 3人のビッグなゲストを相手に斎藤幸平がけっこう持論を展開している。
    斎藤幸平の考えに共感するところが多いので興味深く読めた。
    マルクス・ガブリエルの新実在論というのが大事そうなのだがこの本の中では全然消化不良。あっちの本を買って読めということかな。

  • 斎藤幸平氏がマルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソンにインタビューする形式。シンギュラリティ、気候変動、貧富の格差、ポピュリズムの台頭という世界的な課題を前にして、改めて人権や民主主義などの普遍的価値を問い、人間とは何かを明確にすることが必要だと思った。ただ、「上からの政治主義」に陥らないために何ができるかは、読み手の我々ももっと掘り下げて考える必要がある。

  • 最近TVCMや番組でやっているような「マツコさん、こんなのあります」と見せて、太鼓判やお墨付きをもらうような展開を予想していたので、割とまともな掛け合いになっていて驚いた。
    聞き役の斉藤が、三者の理論を紹介しながらも、賛同できない部分や問題だと思われる点を質していきながら、自説に対する反応も探るという構成。

    民主主義を再起動させるために、社会運動が重要だと考えるハートと斉藤。
    政治的決定とは別に、皆が正しい判断を下す土台となる倫理が必要だとするガブリエル。
    国家による指導・統制によって社会を変えられると考えるメイソン。

    ただ斉藤も入れて4者の話を読んでも、得心いくものがなかった。
    技術がどれほど目まぐるしく進歩しても、社会がどれほど劇的に変わっても、最終的にはヒューマニズムや根本となる倫理や道徳が期待され必要だとする結論なら、何もわざわざ新たな風呂敷にかぶせなくても、すでに古典と言われる哲学は山のようにある。
    それに日本にはまともな社会運動がないという悲観論にも、逆にどうしてそれほど運動が必要なのか疑問がわく。
    イデオロギーを仮託できる都合の良い運動はせいぜい国会前のデモが関の山で、もっと切実な叫びや萌芽は別で起きるはずだ。

  • f

  • 若きマルクス主義の俊英である編者が聞き手となって、マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンという3人とポスト資本主義等の問題について対話するという内容。
    自分として納得感のない部分は多々あった(特に、マルクス・ガブリエルの「新実在論」とそれに基づく相対主義批判は、言語明瞭・意味不明に感じた)が、今後の社会について考えるための素材としては非常に良い本だと思った。

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著者プロフィール

マルクス・ガブリエル(Markus Gabriel)
1980年生まれ。哲学者。現在、ボン大学教授。後期シェリング研究をはじめ、古代哲学における懐疑主義からヴィトゲンシュタイン、ハイデガーに至る西洋哲学全般について、一般書も含めて多くの著作を執筆。「新しい実在論」を提唱して世界的に注目されている。主著Warum es die Welt nicht gibt. Ullstein(邦訳『なぜ世界は存在しないのか』)が日本語訳され、選書ながら数万部のベストセラーとなった。数度来日し東洋大学などで講演を行っており、新聞・テレビでも取り上げられ広く名が知られることになった。
ほか、An den Grenzen der Erkenntnistheorie (Karl Alber, 2008), Skeptizismus und Idealismus in der Antike (Suhrkamp, 2009), Die Erkenntnis der Welt (Karl Alber, 2012), Fields of Sense (Edinburgh University Press, 2015) など。スラヴォイ・ジジェクとの共著に、Mythology, Madness, and Laughter (Continuum, 2009)(日本語訳『神話・狂気・哄笑』、堀之内出版、2015年)がある。

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