世界の凋落を見つめて クロニクル2011-2020 (集英社新書)

  • 集英社 (2021年5月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784087211689

作品紹介・あらすじ

東日本大震災・原発事故の2011年からコロナ禍の2020年まで、日本と世界が変容し、混乱した「激動の10年」に書き続けられた時事コラム集成。
この間、著者はニューヨーク、ロンドン、パリ、北京、ソウル、香港、台北、キューバ、イスタンブール、リオデジャネイロ、サハラ以南のアフリカ諸国、そして緊急事態宣言下の東京など、様々な場所と視点から世界の変貌=凋落の風景を見つめた。
私たちの生きる世界は、そして私たち人間は、どのように変わったのか。
全99本のコラムが「激動の10年」を記録する!

【目次より抜粋】
原発を語らず/北京の変貌/吉本隆明さんの思い出/ハバナの三島由紀夫/誰がテロリストなのか/ザハ・ハディト問題/ゴダールのFacebook?/慰安婦と赦し/日本死ね/佐村河内守は詐欺師なのか/非常事態発令下のパリ/サハラ砂漠の南へ/〈1968〉から50年/香港の天安門事件追悼集会/ジョギングの社会階層/コロナウイルスの日々/感染者はケガレか

【著者プロフィール】
四方田犬彦(よもた いぬひこ)
映画誌・比較文学研究家。エッセイスト。詩人。
東京大学にて宗教学を、同大学院にて比較文学を専攻。長らく明治学院大学教授として映画史の教鞭をとり、現在は文筆に専念。
著書に『親鸞への接近』『われらが<無意識>なる韓国』『日本映画史110年』などが、詩集に『わが煉獄』が、翻訳に『パゾリーニ詩集』がある。
サントリー学芸賞、伊藤整文学賞、桑原武夫学芸賞、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。

みんなの感想まとめ

激動の10年間を振り返るこのコラム集は、著者の独自の視点から世界の変貌と人間の変化を深く掘り下げています。時系列に整理された99本のコラムは、東日本大震災やコロナ禍の影響を受けた日本や世界の様々な出来...

感想・レビュー・書評

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  •  過去十年、腹を立てつづけた四方田犬彦!がおもしろい。
     今は、きっと、もっと腹を立てていると思うと、ちょっと笑っていられない気もする。でも、もっと、腹を立てていてほしい。

  • 週刊誌に書かれたコラムをまとめたもの。
    時系列に並べて読むことにより、時代の流れがよくわかる。
    そして、著者の人生経験と叡智に圧倒される。

  • エッセイストの著者による、2011年から2020年までに雑誌に掲載されたエッセイをまとめた本。
    著者については全然知らなかったのだけど、『「かわいい」論』の著者と書かれてあって、そういえば読んだことあるなと思った。どんな内容かあまり覚えてないのだけど、今ほど本をよく読む前に書名に惹かれて読んだ覚えがある。
    本書は、ある年に書かれたことだからといって、その時代の話を書かれているとは限らないのだけど、この10年はいろんなことがあったんだなということが分かった。
    2011年にオリンピックは都市の景観を破壊する三大元凶(後の二つは地震と無差別爆撃)と書かれてあって、ちょっと笑った。まあ、オリンピックは壊してるわけじゃないから他の二つとは違うような気もするけど、そういう見方もあるのか。
    ウィーンには、全長1㎞以上ある、カール・マルクス・ホーフという集合住宅があるらしい。1382世帯もあるそうだけど、一つの建物で一つの町になっているような感じなのだろうか。いろんなお店もあるようで、ここにいるだけで生活に不自由なさそうに思った。
    他、9.11の自爆攻撃を、海外メディアでは「カミカゼ」と呼んでいたという話も初めて知った。確かに、そういうイメージは分からなくないのだけど、それで通じるほど「カミカゼ」って有名なのか。
    佐村河内守についてもいくつか書かれてあって、耳が聞こえないというのは嘘というように言われてたけど、感音性難聴であることは事実らしい。まあ、Wikipediaみてみたら、中度で障碍者手帳の交付の対象となるレベルではないそうだけど。
    『週刊金曜日』2016年12月2日号に掲載されたという、「熊にひどい目にあったら」というエッセイはよく分からなかった。幼いころに、家族が食べられるなど熊にひどい目にあった経験があって熊が怖くなったため、熊に関するキャラクターなどのいっさいを禁止してほしいという話。本気でいってるわけではなくて皮肉ではあるようなのだけど、いまいち何のことかよく分からなかった。多分、時事ネタなのだろうけど、2016年のこの時期に何かあったんだったかな。
    アフリカのナイジェリアでは映画をよく撮影しているという話も初めて知った。今世紀に入って世界で最も多くの映画を撮っている国だそう。調べてみるとそんなに品質はよくなさそうだけど、将来的にアカデミー賞をとったりするのだろうか。

  • 学生時代以来の四方田氏の著作だが,相も変わらず他者とは異なる独自の視点から,様々な事象を解釈するその内容は,筆舌に尽くしがたいほどの納得感と危機感が私の心の中に醸成される.何故このように一言一言が至言になるのだろう.出来が違うとはこのこと.

  • 東2法経図・6F開架:914.6A/Y81s//K

  • 有り SF/ヨ/21 棚:13

  • 2021/7/10(土)夜読了。honto電子書籍にて。

    エッセイ。世界中を渡り歩き、これまで映画批評等を中心に豊富な人生経験を持つ著者が、2021年〜2020年で週刊金曜日誌に連載していたものなどをまとめた本書。
    私は著者の著作を読むのは初めて。

    文体がしちめんどくさい感じで、途中で読むのをやめるのかなと思っていたけど、
    徐々に慣れてきて、
    というのも、思ったよりくだらないことや極端なことも書いてたりして、文体のめんどくささよりは気楽なエッセイなのかもとわかって。
    つまりは、とても人間くさくて、博識な人が人間くさいと、こちらが学べるきっかけとなることがたくさん書いてあって助かる。

    同じ新書でも、同じくらいの価格帯の書籍でも、1,2時間で読めてしまうものもあるが、
    本書は、読みづらいというよりは、内容がぎっちりと詰まっていて、むしろお得だと言える。

    共感できる記述もいっぱいあったし、
    それは違うだろと思う部分もあったし、
    なるほどいいこと言うねという内容もあったし、
    勉強になることもたくさん書かれていた。
    人間って、ゼロ百で賛成反対とかシンパ拒絶とかいうものではないよなと、著者の頭の中を垣間見せてもらう中で、改めて思った。

    今度は映画関係のとか、この著者の他の著作も読んでみたい。

  • 四方田犬彦が『週刊金曜日』に月イチ連載中のコラムの、2011~20年分をまとめたもの。
    ほかの媒体に寄せた原稿も少し加え、何本かは書き下ろして、計99本のコラムを集めている。

    元々私は、四方田の著書ではワンテーマ一冊の本より、コラム集や書評集が好きだ。『人間を守る読書』(文春新書)とか、昔の『黃犬本』『赤犬本』とか。

    本書のコラムには時評的なものも多いが、その時々に四方田がやっていたことを記録する日記的エッセイも多い。

    各年のコラムの冒頭には、その年がどういう年であったかを簡潔に振り返る文章が置かれている。まさに〝コラムによるクロニクル〟なのだ。

    本書を読むと、何よりもまず、各国の大学等に招かれる国際派知識人としての華麗な日常に驚かされる。

    たとえば、2011年を振り返る文章の一節。

    《震災の2日後にロンドンに渡り、5月からはパリのムフタールに滞在。夏には北京の清華大学と泉州の華僑大学に招かれ、満州国とシオニズムのプロパガンダ映像の比較という微妙な主題で、映画史の集中講義をした。その後ただちにパリに戻り、ウィーン大学に飛んだ。傷ましい気持ちを抱きながらも、日本にいたくなかったのだ。》21ページ

    その後も、コロナ禍の2020年を除いて、世界を飛び回る日々が記録されている。いやはや、すごいものである。

    もちろん、コラムの内容も濃い。随所に教養の薫りが満ち、意表をつく卓見や鋭いアイロニーをちりばめた名文揃いだ。

    ただ、本書は『週刊金曜日』連載であるためか、いつもの四方田よりも〝嫌日本〟色が濃い印象を受けた。
    隙あらば今の日本に対する嫌悪感を表明する、という勢いで、読んでいていささか辟易とした。なので☆一つ減。

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著者プロフィール

(よもた・いぬひこ)
1953年生まれ。映画史家、比較文学研究家。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授として長らく教鞭を執り、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学校(ソウル)、清華大学(台湾)などで映画史と日本文化論を講じる。『月島物語』(集英社)で斎藤緑雨文学賞、『映画史への招待』(岩波書店)でサントリー学芸賞、『モロッコ流謫』(筑摩書房)で伊藤整文学賞・講談社エッセイ賞、『ソウルの風景 記憶と変貌』(岩波新書)で日本エッセイスト・クラブ賞、『白土三平論』(作品社)で日本児童文学学会特別賞、『日本のマラーノ文学』『翻訳と雑神』(ともに人文書院)で桑原武夫学芸賞、『ルイス・ブニュエル』(作品社)で芸術選奨文部科学大臣賞、『詩の約束』(作品社)で鮎川信夫賞受賞。主な著書に『パゾリーニ』『零落の賦』(ともに作品社)などがある。

「2025年 『隣接の遁走曲(フーガ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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