- 本 ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211733
作品紹介・あらすじ
2011年、圧倒的な実績を残しながらプロ野球界を去った落合博満。
噂された球団との確執や過度の拝金主義といったイメージとは裏腹に今もなお、シーズンオフには落合待望論がまことしやかに語られる。
孤高の天才打者にして名監督、その魅力の淵源は何処にあるのか?
2019年シーズン中には、球界を代表するスラッガー山川穂高が落合に教えを乞うた。
山川の姿によって再び火がついた作家は、さらに、さらにという思いで落合の諸相を訪ね歩く。
対談、俳句、エッセイ……至高の野球人を味わい尽くす一冊。
◆目次◆
序章 山川穂高、三冠王に教えを乞う
第一章【対談】群れないスタンスに憧れて『あいうえ おちあいくん』を描いた絵本作家・武田美穂
第二章 思い出の落合博満 ねじめ正一のエッセイから
第三章【対談】野球談義は塁上からベンチへ 落合博満を追って巨人を飛びだした男・川相昌弘
第四章 一九七四年の落合博満東芝府中硬式野球部時代
第五章 山川ウオッチャー、落合記念館を訪ねる ねじめ正一、太地町へ
第六章 落合を囲む人たち 女優、大打者を俳句に詠む
終章 落合博満の気配
◆著者略歴◆
ねじめ 正一(ねじめ しょういち)
一九四八年東京生まれ。作家、詩人、俳人。
八一年、詩集『ふ』で第三一回H氏賞、八九年、小説『高円寺純情商店街』で第一〇一回直木賞、二〇〇八年、小説『荒地の恋』で第三回中央公論文芸賞、〇九年、小説『商人』で第三回舟橋聖一文学賞を受賞。
熱烈な長嶋茂雄ファンで知られ、プロ野球に造詣が深い。
他の著書に『長嶋少年』(文春文庫)、『落合博満 変人の研究』(新潮社)など。
感想・レビュー・書評
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「凄い人」は沢山いて「尊敬する人」と「なりたい人」がいる。
落合博満氏は自分が持っていないものを持っている「尊敬する人」の一人だ。
「凄い人」だと思うが「尊敬する人」でもなく「なりたくない人」もいる。ホリエモンなどがその代表例だ。
落合博満氏は「なりたくない人」ではないが、なりたくても「なれない人」だと感じる。
「落合氏ならどう考えるか?」がほぼ分からない。
どういう人なのか理解できないのだから、落合氏のようには絶対になれない。
本書は、
「サンデースポーツ」での落合博満と山川穂高の対談。
および、ねじめ正一と川相昌弘、女優:冨士真奈美、絵本作家:武田美穂との落合博満に関する対談。
をざっくばらんにまとめたもので、落合博満のことが好きな人達のおしゃべりのような内容になっている。
NHKでの落合博満と山川穂高の対談番組は私も見たが、何かしっくりしないなあと思った。
落合は1953年12月生まれで、プロ野球の現役期間は1979年-1998年。
山川は1991年11月生まれだから、落合のプロ野球選手としての凄みはリアルタイムに肌で感じてはいないはずだ。
今6歳くらいの子が、引退間近の福留孝介の打席を見て感じる程度の印象しか残っていないのではと思う。
落合本は常に気になり読みたくなるのだが、私には落合博満と山川穂高はどうしてもシンクロしないので、山川応援本になってしまっているのが残念だ。
本書で唯一「そうなのか?!」と思ったのは、「落合は女性の意見に耳を傾けるところがある。」という冨士真奈美さんの言葉くらいだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
それにしてもというか、あらためてというか、落合がドラゴンズ監督時代の8年間〈2004-2011年〉の成績はえげつない。全てAクラス。優勝4回・2位3回・3位1回。日本一1回。
とにかく強かった。しぶとかった。守備だけで銭の取れるアライバ・屈指の盗塁阻止率を誇る谷繁・強肩堅守のセンターアレックスオチョアの鉄壁のセンターライン。エラー数、リーグ最少の45?! 3試合に1個しかエラーしないなんて、どこぞのチームとえらい違い。失点を少なく、相手より1点多く取る、言うは易し行いは難しの投手を中心にした守りの野球を徹底。〈名選手、名監督にあらず〉の言説を完全に覆す。
現役時代の落合にフォーカスすれば、オレ流調整を貫き、『三冠王を獲る!』と宣言して三度の栄冠に輝くも名球界入りは拒否した、まさしく孤高の天才打者。一方で、FA行使第一号に、契約更改で揉め年俸調停にと…拝金主義のイメージもつきまとうが、監督として文句のつけようのない実績を突きつけられると、落合監督待望論がまことしやかに語られるのもむべなるかな。
著者は現役・監督時代の落合を評し、『落合=ホヤ』論を打ち立てる。その理由は、食べるには勇気がいるが、一度口にするとその歯ごたえや奥深い苦味、滋味深い旨さのとりこになるから…だ。
ホヤを口にしたことはないが、例えとしてはよく分かる。現役時代からとにかく可愛げのない人だった。木で鼻をくくった話し方にその特徴はよく顕れている。監督時代は、親会社が新聞社であっても一切お構いなしにダンマリを決め込み、リップサービスという言葉は落合の辞書にはなく、終始煙に巻いた。
本書は、孤高の天才打者にして名監督である落合博満の淵源はどこにあるのか…。落合の媚びない群れない生き方を見て『あいうえ おちあいくん』という作品を描いた絵本作家 武田美穂、プレーヤーとして指導者として使えた川相昌弘、落合を敬愛して止まないライオンズの山川穂高、東芝府中野球部時代の元監督、プライベートで交流のある女優 冨士眞奈美を訪ねる。
本書の白眉は、落合と山川の対談番組を観た著者は、山川に岡惚れしてしまい、あたかも我が同胞を得たような著者はライオンズのファンではなかったにもかかわらず、山川の追っかけを通じてライオンズも注視。肝心な山川は一向に復調を見せず、ヤキモキ度は極限へ。『そうだ、山川のために和歌山県大地の落合記念館行こう!』と足を向ける…。
後半、落合探訪が聖地巡礼に向かうあたりから、確変するというか換骨奪胎していく。明らかに著者は山川に落合の気配を感じている…。『山川、三冠王を獲ってくれ!』と懇願。凄まじい落合愛。偏愛ながら、そこに至る展開は至極真っ当で、落合ならぬ落愛本でありました。 -
以外にも興味深いモノが有る。
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落合博満は魅力的だ。
野球については全くと言っていいほど、気にかけることはなくなったけれども、様々な選手、監督たちの人間的な魅力もまたプロ野球界を支えているのだなあ。 -
たまたま読んでる時に山川の報道が出たので、なんともシュール
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・太地町の落合記念館のところまではとても面白かった
・ねじめさんの観察の細かさには落合愛が溢れすぎていていささか胸焼けしそう
・ただ山川選手もここまで落合フィルターで観察されては苦笑いだろうな。2冠王とWBCで活躍できて本当に良かった
・ついでにWBC優勝を落合さんがYouTubeショートであんなに喜んでいたのも嬉しくなった
・ねじめさんの視点は面白いが、やはり選手としても指導陣としても共に戦った川相さんのインタビューが入っていたのがこの本の良い点だと思う -
今、野球解説者の中でもっとも実況解説を聞きたいと思わせるのが落合博満。ぶっきらぼうな物言いだが、深い意味がある。当たり前のことではなく、誰も気づかないことに注目する。とにかく解説内容が為になる、聞いてよかったと思わせる稀有な存在。
ねじめ正一「落合さんはやっぱり敵の中に入って光る人。だから、自分は嫌われているという思いがあると思う。」
もしかして、むしろ嫌われる様に喋っているのでは、という気さえする、群れを嫌う孤高の野球職人。
彼は小さい頃から野球の才能に恵まれるも、上下関係や練習嫌いでなかなか才能が開花するチャンスが来ない。高校の野球部監督の口利で受けた東芝府中の野球部も臨時工という身分。そんな雑草が日本の球界を代表する選手になる様を、なぜ今まで誰も映画化しないのが不思議な位です。
本書の対談相手冨士眞奈美「落合さん、宮本武蔵の『五輪書』みたいなものを書けばいいのに」にも賛成です。
「落合博満、変人の研究」に続く著者の一方的で屈折した落合愛を感じさせる作品です。 -
以前は好きではありませんでしたが、最近はYouTubeなどをみて、やっぱりこの人ってすごいんだと改めて思いました。野球理論・バッティング理論いいですね。
この間でた本をいつも立読みしてます・・・欲しいけど高いんですよね・・・ -
やっぱり落合は面白い。
御本人が書いた本も面白いけど、
他ジャンルの名人が書いても
充分に面白い、面白くなる素材なのだと思う。 -
今まで見てきた中で、1,2を争うくらい自分の中では最高のバッターの1人。ボールをうまく乗せて打つライトへのホームランは芸術そのもの。ホント憧れたなー✨
数年前に行った落合博満記念館の話も出てきて、懐かしかった。天気が悪く、仕事の合間に行ったなー笑。道に迷ったし
著者プロフィール
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