- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087211740
作品紹介・あらすじ
コロナ後の国際関係はどう展開していくのか?
そして、この国が復活を遂げるためのカギとは?
現代日本を代表する論客ふたりが描き出す、これからの世界の見取り図!
コロナ禍という未曾有の大惨事を経て、世界は劇的な変化を遂げました。
今や、「新世界秩序」とでも呼ぶべき、新たな国際関係が立ち現れつつあります。
アメリカでは混乱と分断の中でトランプが退陣し、バイデン新大統領が誕生。
一方、中国は香港問題やウイグル問題を経ながらも、パンデミックの抑制に成功して「ワクチン外交」に乗り出そうとしています。
この米中による覇権抗争のもとで、コロナ後の世界情勢はどのように動いていくのでしょうか。
そして、日本はいかなる道を選べば良いのでしょうか。
現代日本を代表するふたりの論客が、これからの世界の見取り図を描きます。
【本書の主な内容】
・アメリカの「分断」は、実は建国の時点で宿命づけられていた!
・積極的な対外姿勢の裏側に隠されている、習近平の焦りとは
・2020年代の中国が抱えている「時限爆弾」の正体
・バイデン政権はアメリカの外交をどのように転換させるか
・いま、「トルコ」の動きに最も注目しておくべき理由
・「台湾侵攻」は近いうちに起こり得るのか
・コロナ後の日本が生き抜くために一番大切なことは何か
【目次】
序論 世界史を動かす舞台としての東アジア(姜尚中)
第一章 2013年以降の自民党政権で日本はどう変わったか
第二章 アメリカについて考える
第三章 中国について考える
第四章 「新冷戦」の時代に世界はどう動くか
第五章 米中の狭間で、日本はどう生きるか
おわりに (内田樹)
【著者略歴】
内田樹(うちだ たつる)
1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。
著書は『日本習合論』(ミシマ社)、『サル化する世界』(文藝春秋)、『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書・第6回小林秀雄賞受賞)、『日本辺境論』(新潮新書・2010年新書大賞受賞)など多数。第3回伊丹十三賞受賞。現在は神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。
姜尚中(カン サンジュン)
1950年熊本生まれ。政治学者。東京大学名誉教授。鎮西学院学院長・熊本県立劇場理事長兼館長。著書は累計100万部超のベストセラー『悩む力』とその続編『続・悩む力』『母の教え 10年後の「悩む力」』(いずれも集英社新書)のほか、『ナショナリズム』(講談社学術文庫)、『在日』(集英社文庫)、『維新の影』(集英社単行本)、『マックス・ウェーバーと近代』(岩波現代文庫)、『朝鮮半島と日本の未来』(集英社新書)など多数。小説作品に『母―オモニ―』『心』(いずれも集英社文庫)がある。
感想・レビュー・書評
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内田樹と姜尚中の対談本。お二人の対談本、私は読むのは初めてであるが、これが3冊目のものらしい。
対談の内容も面白いのだが、あとがきで、内田樹が書いていることが本当に面白かったので紹介したい。
【引用】
■何よりもありがたいのは、僕がこの領域では素人だということは読者のみなさんはつとにご存じですから、「政治についてウチダの話は眉に唾つけて聴かねばならない」というルールが周知されていることです。
■政治に関する領域では、僕の発言の真実含有量は35%くらいです。残り50%は「思いつき」で、「思い違い」が15%くらいです。
【引用終わり】
内田樹は政治を含む世相に関して一家言を持っている思想家くらいに考えられているのではないかと思うが、もともとはフランス文学が専門で数年前までは、実際にその分野で大学教授をやられていた方である。
内田樹の発言は切れ味するどく、また、読むのが楽しくなるような論理構成と話の流れを持っているので、ついつい、本書で言えば内田樹は、政治の分野の知見が深い専門家と思ってしまったりするが、ご本人が「そんなことはないですよ」とおっしゃっているわけである。
それでも、姜尚中のような実際の政治学の専門家に対して思いつきを言ってみることは誰かの(というか、読者である我々の)知的好奇心を刺激するので、このような対談をやっているのだと思う。実際、そのような(頭の回転が早く、物事の本質を見抜く力を持っているがその分野では素人である者が、その分野の玄人に思いつきを投げかけ専門家の考えを聞いてみるような)構成の本書を私はとても面白く読んだ。
内容については、アメリカ・中国・米中関係について考え、今のような米中が対立するような状況の中で、日本はどのようにあるべきか、的な話を2人でしているもの。これも、タイムリーな話題で、ここでは詳しく触れないが、コンテンツ自体も面白いものであった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『世界新秩序と日本の未来』(集英社新書)のためのあとがき - 内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/2021/06/10_1022.html
新世界秩序と日本の未来 米中の狭間でどう生きるか/内田 樹/姜尚中 | 集英社の本 公式
https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-721174-0-
『新世界秩序と日本の未来』(集英社新書)刊行記念 内田樹 × 姜尚中 オンライントークイベント – 集英社新書プラス
https://sh...『新世界秩序と日本の未来』(集英社新書)刊行記念 内田樹 × 姜尚中 オンライントークイベント – 集英社新書プラス
https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/news/152422021/09/03
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安倍さんが暗殺されたばかりの頃に読んだ本。
第一章の「問題提起」で、ずいぶん安倍政権をこき下ろしてくれていたので、読むのをやめようかと思ったが、第2章以降は、まずまずの納得感であった。
とくにアメリカの分断というか、対立の構図についての説明がわかりやすかった。 -
かつての大英帝国が縮退し、一島国「イギリス」としてその存在を再び確立したように、日本も「身の丈に合った中規模国」としてのあり方を模索すべき、という基本概念の下に、今日の激動する国際情勢を様々な角度から考察するとともに、日本の国家戦略のあり方を批判的に議論する対談書。
マスコミでは通り一遍の報道しかされない中国の内部事情や、建国まで遡る米国のイデオロギーの対立とそれがもたらす強み・弱み、さらには地政学的観点から見たトルコの存在感など、興味深い考察が複数示されるとともに、日本の国家戦略については、「国家理性」よりも「国民感情」が優先される結果、真に国益となる政策よりもポピュリズムが意思決定の源泉となる危機的状況にあると警鐘を鳴らす。
特に「親安倍派」の人たちからすればイデオロギー的に受容し難い左派の論調に違いないし、お二人の「対談」にしてもちゃんと噛み合っているのかよくわからない部分も多く、発散したままなんとなくクローズしていて「賢い人たちが言いたいこと言いっ放しにしてるだけ」感は否めないが、それでも世論の二極化が激化する今日だからこそ、「ある視点からの国際情勢のアップデート分析」として読む価値のある一冊。 -
信頼できる2人の対談なので、3冊目読んでみました。以前はそんな感じはしなかったのですが、姜さんが内田先生に(なんで、さんと先生なのか???)お伺いを立てるかたちが多かったような気がします。内田先生の方が年上?と思ったけれど、いっしょでした。それはそうと、さすが内田先生、専門家でもないのに何でもよく知っているなあと思いながら読んでいましたが、あとがきまで来ると、50%思い付きって。まあそうなんです。だからはずれることもある。もっとも、専門家の予想もよくはずれるから、内田先生の意見に1票、という感じで聞いておけばいいですね。たとえば、沖縄の米軍基地。アメリカは、本当はもう早く手放したがっている。これは何度か読んだ。でも、自衛隊がそのあとを居抜きでもらおうとしている、そんな話は初めて聞いたような気がします。負け方がよく分かっていないというのは確かにあるかもしれない。いつまでも右肩上がりで行けるわけないし、損害を最小限におさえる方法を考えるべきなのに。まあ、お二人とも、あまり悲観的に考えていらっしゃらないというのには同意できる。若い人の中からどんどんおもしろい考えをする人たちが出てきているし、政治家にしたって官僚にしたって、どんどん世代交代はしていくだろう。それが、今回のコロナ禍やオリンピックで少しずつ表面化しているのかもしれない。ちょっと希望が持てる終わり方でありがたい。
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319.53||Uc
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お二人の対談集、3冊目だそう。
米国で銃規制が進まない原因に「市民の武装権」が絡んでいること、中国の人口動態の推移、AI軍拡が北の核を無効化する可能性、米国にも中国にも東へ向かう地政学的趨向性がない…など、ネタ満載。
最終章の、「縮みゆく日本」がどうやって退いて中規模中堅国家に収まるかって話も考えさせられた。
個人的には、姜尚中氏が司馬遼太郎作品で『峠』が好きってところにホッコリ。 -
内田樹の「妄想」ぶ不思議なリアリティを感じる。「素人故」とのことだが、世界の歴史を巨視的な視点で俯瞰する氏の語りには大いに学んだ。