- 集英社 (2024年1月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (242ページ) / ISBN・EAN: 9784087212976
作品紹介・あらすじ
日本の家はなぜこんなに寒い!?
誰でもできる住まいの改善策から持続可能なまちづくりまで――。
じつは日本の建築の断熱性能は他の先進諸国と比べて著しく劣っている。
夏は暑く、冬は寒い、そうした居住空間における「がまんの省エネ」は、特に高齢者にとってヒートショックなど健康面での深刻な問題にもなっている。
しかし、断熱性能を改善することによって、わたしたちの暮らしは激変する。
世界的なエネルギー価格高騰の中、本書では断熱性能を向上させる具体策を紹介し、そうした実践が企業や自治体の経済を好転させ、持続可能なまちづくりにつながることも実証していく。
停滞する日本社会のブレークスルーを目指す画期的な一冊。
◆目次◆
第1章 「がまんの省エネ」が寿命を縮め、お金を減らす
第2章 エコハウスってどんな家? 秘密と誤解を大解剖!
第3章 エコハウスの選び方と断熱リノベーション
第4章 断熱で社会課題を解決!
第5章 断熱は持続可能なまちづくりのカギ
◆著者略歴◆
高橋真樹(たかはし まさき)
1973年、東京生まれ。
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。
国際NGO職員を経て独立。
国内外をめぐり、環境、エネルギー、まちづくり、持続可能性などをテーマに執筆・講演。
取材で出会ったエコハウスに暮らす、日本唯一の「断熱ジャーナリスト」でもある。
著書に『日本のSDGs-それってほんとにサステナブル?』(大月書店)、『こども気候変動アクション30』(かもがわ出版)、『ぼくの村は壁で囲まれた-パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)ほか多数。
感想・レビュー・書評
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ずっと日本の家は「寒い」って思っていた。それは仕方のないことなんだと思っていた。
でも、実際はそうではないことをこの本で知る。日本では最高レベルの断熱性能でも、ヨーロッパなどの先進国から見たら違法レベルに酷いものだと。寒いところに住んでいる世界中の人たちは、ずっと経済的に、ずっと暖かい家に住んでいるという現実。そして、そのことで日本の資産が数百兆円の規模で棄損していること。ただ単に、日本の為政者と産業界の怠慢、あるいは酷すぎる意思。
僕たちは、もっと安く、もっと暖かく寒い冬を過ごすことができる。もっと安く、もっと涼しく暑い夏を過ごすことができるのだ。
日本の現状と、個人でそのことを変えるノウハウがたくさん紹介されている。快適に過ごせるように、リフォームしよう・・・。個人の快適な生活を手に入れることが、地球沸騰化阻止へも繋がる。「断熱」しよう、という本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#「断熱」が日本を救う
#高橋真樹
24/1/17出版
https://amzn.to/3tZMEf8
●なぜ気になったか
寒冷地に住んでいるわけでもないので甘い泣き言だけど、冬の朝、暖房前の部屋はやはり寒い。断熱性能を向上させる具体策が書いてあるとのことなので、知るために読みたい
●読了感想
わが家にもハウスメーカーから断熱改修検討の打診があったが、断熱性能等級の見直しがされたなど、その背景を知ることができた。日本の住宅がドイツに比べすごく劣っている状況は衝撃だった
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き -
昨年、TBSラジオ「Session」に著者が出演した回をポッドキャストで聴いたのが、この本を手に取ったきっかけだ。
まずショックだったのは、日本のトップレベルの断熱基準が、(冬に寒くなる地域の)先進国では違法建築レベルに近かったということ。
耐震性ばかりに力を入れてしまい、断熱については長い間、先延ばしにしてきたようだ。
ここを厳しく設定しないと、いつまでたっても屋内での熱中症やヒートショックは減らせないし、冷暖房にかかるエネルギーの消費量やコストも下げられない。
日本メーカーのエアコン性能は世界でもトップクラスらしいが、せっかく暖めても、窓や壁が薄いから冷気が入ってきてしまう。さらには気密性も低いから隙間から漏れ出てしまう。
穴の空いたバケツにいくら水を注いでも満タンにはならない。水の勢いを強めるよりも、穴をふさぐ対策を優先すべきだと著者はいう。
第1章では、アルミサッシの問題点について指摘している。
アルミサッシは熱を通しやすい。結露も起きややすいからカビやダニも増え、さまざまなアレルギー症状も引き起こす。
住む家の断熱グレードによって、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などの発症率も変わる。
そのグラフも掲載されている。
また、壁の中の「内部結露」はシロアリを増やして柱などを弱らせ、長い目でみれば耐震性も低下させる。
病気にもつながるし、資産価値も落としてしまう。
アルミサッシはただ単に熱を通しやすいだけではなく、さまざまなデメリットがある。
これから新築の家を建てたり買ったりする人は断熱性についてきちんと調べるべきだろう。
ただ、断熱性や気密性の良し悪しは、間取りや設備と違って目に見えない。
真夏や真冬に長時間過ごしてみないと違いもわからないから、やはり客観的かつ厳格な基準が必要なのだと思う。
著者が苦労したのも「実際に体験しないと伝わらない」という点だ。
著者は断熱について調べるにあたり、埼玉県川越市にあるモデルハウスに宿泊した。
その家はエアコン設備が少なかったが、部屋ごとの室温のムラがほとんどなかった。
さらには多数の車が行き交う国道沿いにもかかわらず、立地を忘れるほどの静けさだったという。壁や窓が厚いということは、同時に防音性も優れていることになる。
ちなみに著者はモデルハウスの公開期間が終わったあと、モデルハウスの会社の社長から購入をもちかけられる。
たまたま家を探していたタイミングでもあったのでそこを購入し、いまもそのエコハウスに住み続けているという。
新築物件を買う予定がないという人はどうすればいいか。
既存住宅の場合は、改修工事をすることになるが、費用対効果で考えるなら、窓→床&天井→壁→気密性、という順番で手を入れていくのが現実的らしい。
具体的にどこを変えればいいのか。
1枚ガラスをペアガラスやトリプルガラスに取り替える。もしくは内窓を取り付ける。
アルミ製のサッシを樹脂製のサッシに替える。
天井や壁、床に断熱材を入れる。
外付けブラインドや外付けスクリーンを取り付ける。無理な場合は室内でもよい。空気層のあるハニカムブラインドもある。
といったように具体例が挙げられる。
どこから手をつければいいかわからないし、そもそもお金がないという人は、まずは内窓の設置を検討してはどうかと著者は勧める。
賃貸物件でも、退去時に取り外せば問題ない。
この本の後半では、既存住宅や学校の教室を改修した例が写真入りで紹介されている。
小学生や高校生もDIYに取り組んでいて、とても楽しそうだ。
個人としてではなく、地域としてどのように取り組めばいいのか。
いくら自宅の断熱性を高めたいと思っても、予算がなければ無理だから、自治体からある程度の補助が必要となる。
また、業者ごとに技術レベルの差があってはならないから、きちんと技術講習を受けさせた地元業者に工事を請け負わせることも大切だ。
第5章で紹介されているように、希望する工務店に技術講習を受けさせ、その登録事業者によって設計・施工させる仕組みがあれば、安心して頼むことができる。
現時点で、日本には最高等級の断熱グレードに住んでいる人はほとんどいない。また、いまは気にならなくても、家族や仕事の都合で将来どこかに引っ越すかもしれない。
そう考えると、この本はほとんどの人に関係しているといえる。
写真やグラフも多く、コンパクトに新書にまとめられて読みやすかった。 -
日本の断熱性能が今までいかに低かったのか、断熱性を上げることによる様々な効果を紹介。
単純に光熱費がお得になるだけでなく、ケガや疾病リスク低下、血圧の低下、健康寿命が伸びるなど、健康面での効果も大きいとのこと。
環境と親と帰省時の寒さ対策のために実家リフォームしようかな。 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac.lib.setsunan.ac.jp/iwjs0021op2/BB50353482 -
徹底して断熱の観点から建築や暮らしを見ている本。参考になった。
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気候変動対策、脱炭素社会への大きな一歩として、住まいの低炭素化は重要な要素だが、日本は多く遅れている。
ことに、断熱・気密が重要。
そのことについて、効果や実施方法などを丁寧に解説してくれる。こういった本が多く読まれて、多くの方の認知になり、取り組みが進むことを願う。
そして、その一歩に加われたら、と思う。 -
昨今の猛暑で、とうとうマンションを移ることにした。
購入するなら機能の高い家に、と思ったのだが、がっかりすることが多く…。
ZEHも、断熱性能はそれほどでもないらしい。
むしろ創エネの機材のため、(そうでなくても工費が高騰する昨今であるが)価格が高くなる。
さらに、その機材も10年くらいで取り替えないといけない。
エコなのか何なのか…。
そうもやもやしている中で本書を読んだ。
質の悪い住宅を供給し、資産価値をゼロにすることにより、どんどん新しい住宅を作っていく。
それが政策的にも推進されてきたのが日本だという。
災害が多く、なかなか百年、百五十年と家を使い続けることができないことを割り引いて考えても、ますます悲しくなってくる。
本書では、エコハウスに住んだ筆者の経験も紹介されていて参考になる。
その上で、健康と家が長持ちするという利点を考えれば、断熱のための工費が上乗せされても、十分回収できると考えている。
そう言われると、自分など、やっぱりエコハウスに住みたかったなあ、とすぐに感化されてしまう。
とはいえ、エコハウスというと、やはり注文住宅でしか実現できないのか。
マンションの断熱改修もありうるらしい。
が、どれくらい現実的なのか。
住居を購入してしまったあとに読むと、なかなかつらい現実をつきつけられる本だったりする。 -
アルミサッシを樹脂か木に変えて断熱効果を高め、石油エネルギーの消費量を
減らそう。ヒートショックによる健康被害をなくそう。
世界に比べ日本の断熱はお粗末。
断熱を高めれば家の値段は当然高くなるが、高騰するエネルギー価格では、
十分元が取れる。
というのが著者の主張。
その通りだと思う。
しかし、、、振り返るに築15年強の我が家はアルミサッシ。
ひとえに断熱効率を高めると家の値段が高くなるから。。。
まあ、これからの地球温暖化、いや、灼熱化の中では、
断熱の効果はどんどん高まり、すぐに元が取れるかもしれない。
しかし先立つものが、、、
というのが杜氏の判断だったろう。
エネルギー輸入にかかわるこうした話こそ国が主導すべき。
しかし原発推進を狙う国にとっては、そういう政策は取らない。
電気はむしろ使わせたい。足りないなら原子力、にもっていきたい。
アメリカにたてついて原爆を持つ勇気があるなら、原発などに遠回りせず、
やればいいのだ。アメリカの属国でいるつもりなら原爆もいらないはず。
中途半端。
もし国の独自性を保ちたいなら、少しでもエネルギー輸入は減らすべき。
断熱をやるに越したことはない。
一貫性のない政府官僚。首相がバカだからこうなる、ってもんではないはず。
構造的。官僚組織の問題?自民党の問題?日本会議?統一教会?
誰が日本の行き先を決めているのか。
生活に根付いた女性が立ち上がる時、という気がするのだが。 -
北海道帯広から秋田県男鹿に引っ越したら家の中が強烈に寒くなったために興味を持った断熱。普段聞いてる、竹内昌義先生のVoicyからの知識を網羅的に補完する、大変勉強になる内容でした。
自分の人生のランニングコストとしても、健康のためにも、そして地球環境のためにも家の断熱が大切なことはもちろんのこと。移住者にとっての心地よい暮らしや、町から外に出ていくお金を減らすという意味で、断熱がまちづくりに寄与する部分が地味ながらも中長期的には極めて大事であると再確認しました。 -
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東2法経図・6F指定:527A/Ta33d/Ishii
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断熱の重要性と、日本がいかに遅れているかということが分かった。
自身で住宅を建てて思うが、商業施設や公共施設が夏暑く、冬寒いのは断熱をしっかりしていないからだと実感。
予算がそこにかけられないことが問題。 -
住宅、職場、馴染みの店など身の回りの建物を見なおすきっかけとなりそう
できることから実践し断熱効果を体感してみたい -
【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/571929 -
窓の前に机を置いているので、仕事をしていて寒い。2重窓のDIYキットをWEBで見つけ、それを窓に付けたところ、寒さが和らいだ。常々私も家が寒いと思っており、ラジオでこの本の紹介があったので、読んでみる。
・日本の家は他の国と比べても圧倒的に寒い作り
・冷気が入りやすい家なのにそこには手当しないで、エアコンで暖かくする家が多いのでエネルギーも多く使う仕組みになってしまっている
・寒い国でアルミサッシを使っている国は他では無い
・寒さは健康に害をなす
本書ではこの傾向は改善されてきて、エコハウス等断熱換気が考慮されて来ているとの説明だったが、まだ実感的にはあまりない。 -
断熱することは経済面だけでなく、健康面でもプラスの影響をもたらす。
日本の断熱性能は、国際水準では低位。新築では今後断熱等級5が標準化される動きもある。国際的な競争力を高めるためにも断熱は重要。
断熱という地味なカテゴリーを意識するためには、結婚してはじめて住む賃貸住居の断熱性能を高めることも大事か。 -
[図書館]
読了:2024/2/25
家の間取りについての本を読みたくて検索していたらこれに当たった。結果、とてもためになる本だった。
住環境ルールが厳しいドイツでは「人の健康を害する結露が起きるのは誤った設計」
断熱・気密性が高い→結露やカビが発生しない→ダニやハウスダストが少ない→アレルギー性鼻炎や喘息の改善
ドイツは国レベルで省エネを進めて、国外から輸入している化石燃料に支払う費用を減らす、というビジョンのもと世界トップレベルの省エネ建材の開発が進んでいる -
p60 ドイツではパッシブハウスという世界最高峰の超省エネ住宅がある
p81 高橋さんちのKOEDO低燃費生活
p94 第三種換気 吸気口は穴があいているだけ、排気のみファンで行う
第一種換気 室内で冷暖房された空気をそのまま捨てるのではなく、熱交換することで室温の維持を効率的に行う
配管を巡らせるダクト式と、シンプルなスタイルのダクトレス式の2種類がある
p98 エコハウス 断熱性能は等級6以上 気密性能はC値 1.0以下できれは0.5以下
p99 断熱気密性能(&換気)と太陽に素直な設計
p101 おひさまエコキュート 昼間の電気で給湯をおkナウため、太陽光発電の自家消費を最大限活用できる
p107 ZHE ゼロエネルギーハウスは、断熱等級5とほぼ同じ性能 この性能はあまり高くない
p111 良いメーカを選ぶためのポイント 断熱性能UA値は等級6以上、気密性能はC値1.0(できれば0.5)以下、夏の日射遮蔽と冬の日射取得ができる設計か
窓はオール樹脂サッシ
半分樹脂で半分アルミの複合サッシは性能で劣る
p115 窓のリフォーム
1 窓を壊して窓を交換 2 既存の窓枠を残し、一回り小さな窓を設置するカバー工法 3 部屋の内側に内窓(二重窓)を設置
p123 床暖房 人がいない部分も温めるため、かなりのエネルギーが必要。床暖房のある場所とない場所で温度差が大きくなるのは、健康的でない
p124 遮熱塗料は効果的でない
p133 リフォーム業者 建築業許可の免許があるか
p135 DIY型の内窓
p136 夏の暑さ対策 すだれ
p137 畳の下に断熱ボードをいれる
床の上に断熱ボードを敷き、その上から新しい床材を貼る
p185 これからは最低でも断熱等級6以上、かつ国の基準で設けられていない気密性能はC値1.0以下が必須 -
第1章 「がまんの省エネ」が寿命を縮め、お金を減らす
第2章 エコハウスってどんな家? 秘密と誤解を大解剖!
第3章 エコハウスの選び方と断熱リノベーション
第4章 断熱で社会課題を解決!
第5章 断熱は持続可能なまちづくりのカギ
著者プロフィール
高橋真樹の作品
