- 集英社 (2024年6月17日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784087213195
作品紹介・あらすじ
他者と働くということは、一体どういうことか?
なぜわたしたちは「能力」が足りないのではと煽られ、自己責任感を抱かされるのか?
著者は大学院で教育社会学を専攻し、「敵情視察」のため外資系コンサルティングファーム勤務を経て、現在は独立し、企業などの「組織開発」を支援中。本書は教育社会学の知見をもとに、著者が経験した現場でのエピソードをちりばめながら、わたしたちに生きづらさをもたらす、人を「選び」「選ばれる」能力主義に疑問を呈す。
そこから人と人との関係を捉え直す新たな組織論の地平が見えてくる一冊。
「著者は企業コンサルタントでありながら(!)能力と選抜を否定する。
本書は働く人の不安につけ込んで個人のスキルアップを謳う凡百のビジネス本とは一線を画する。」――村上靖彦氏(大阪大学大学院教授、『ケアとは何か』『客観性の落とし穴』著者)推薦!
◆目次◆
プロローグ 働くということ――「選ぶ」「選ばれる」の考察から
序章 「選ばれたい」の興りと違和感
第一章 「選ぶ」「選ばれる」の実相――能力の急所
第二章 「関係性」の勘所――働くとはどういうことか
第三章 実践のモメント
終章 「選ばれし者」の幕切れへ――労働、教育、社会
エピローグ
◆著者略歴◆
勅使川原真衣(てしがわら まい)
1982年横浜生まれ。
組織開発専門家。
東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。
外資コンサルティングファーム勤務を経て、2017年に組織開発を専門とする「おのみず株式会社」を設立。
企業をはじめ病院、学校などの組織開発を支援する。
二児の母。
2020年から乳ガン闘病中。
「紀伊國屋じんぶん大賞2024」8位にランクインした初めての著書『「能力」の生きづらさをほぐす』(どく社)が大きな反響を呼ぶ。
感想・レビュー・書評
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勅使川原真衣さんの2冊目の著書。当たり前を疑い、無意識のバイアスに光を当て、社会の不確かさを認識させてくれる、とても良い本でした。息苦しい成果社会、能力社会が、少しでも過ごしやすくなるよう、微力を尽くしたいものです。
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勅使河原さん二冊目。『これくらいできないと困るのは君だよ』の対談集を先に読んでいたので、内容はかなりわかる。
たぶんこの本から読んだ人は、少し微妙な評価になりそう。
そして勅使河原さんの主張に賛同できない人も多いと思う。それは能力主義や競争で勝っており自分が安心できるポジションにいる人。きっとポジショントークだと思う。競争に勝てない人、苦手な人、能力はその時点のできる・できないということ、機能の組み合わせということ、気持ちを受け止めること、どっちか一辺倒の考えになることがかなりの問題点であると言っていることが共感できたら働きやすいな。
この新書は、新書大賞にランキングしていたなんて!ランキングも機能している。
前半は復習ぽく。後半はこの新書ならではの事例のやり取りが記載されておりよかった。
新書だけにアカデミックで主張の補足となる引用が多くよかった。読みたい本が増えました。
『メラトリクシー』~イギリス、マイケル・ヤング。その人は何ができ、どんな貢献をしているのかという、「メリット」を完璧に測定できるようになtった、社会風刺の空想小説。1958年に書かれたよう。
怒りは二次感情。怒りの前に戸惑いがあるので、怒っている人を観察して、その人の戸惑いを解決できなかった組織の地雷はどこにあるのか観察し情報収集を続ける。
レゴブロックで優秀を考えてみる。1つのブロックの役割。
問題の根源は、「一元的な正しさ」に社会が支配されていること。
欠乏を自己にも他者にも突きつけることの不寛容さ、能力主義的な香りが非常に気になる。「まだまだ」と「謙虚」であることの問題。
するの価値を見誤らない。
耳を傾け、承認し合うこと。だからアウトプットの方が大事。
なので組み合わせだけやっててもうまくいかない。吐露できる場がいる。
すでに在る・有るを認め合う。
未来に競争でないなにかを残したい。
人と人とが組み合わさって、助け合うことが生きること。
有能になることや、自立することのために生きているわけではない。
エドガーシャイン『人を助けるとはどういうことか』
宇田川元一『他者と働く』
相手に良し悪しつけず、まず一旦そう思ったんだねと受け止める。
非官僚的組織を目指すことは、高度に自己の内面を俯瞰し他者と協働していくことでもある。そういう組織に相性が悪い人もいる。
個人がモードを選ぶと同じように、人を選ぶのではなく、自分たちのありたい姿やそれを実現するために適切な体制や方法を選ぶこと。これが会社の組織も大事。
『通知表をやめた』小田智博
磯野真穂『他者と生きる』
リスキリングは成長したものから分配できるという発想なら、厳しいのでは?という見解。
主観を受け止めてもらえる経験。
仕事とラベルが貼られた何かと、仕事外の余暇、遊び、余白というラベルの貼られたものがあるかのような視点で批判する人はいる。
客観性の落とし穴(村上靖彦)
映画を早送りで観る人たち(稲田豊史)
デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか(針貝有佳)
失敗前提でとりあえずやってみる。
ケアするのは誰か?(ジョアン・トロント)
偶然とは何か(竹内啓)
争わない社会(佐藤仁) -
自分が安心できる立場にいるという思いはないけど、言っていることに共感できずに、結局何を言いたいのか理解する前に読むのをやめました。
本書の狙いは、現代の人への評価・采配の仕組みに対する代案について論じることにあるとのこと。
采配とは
・特定の集団や状況において、適切に人や物事を動かすこと
選抜とは
・特定の集団や状況において、適切に人や物事を動かすこと。
なぜ私たちは、ただ生きるにしても「選び・選ばれる」必要があるのか。
↓
あらゆる資源には限りがある。そのため、いかに「分け合う」か、が問題になってくる。
↓
ここで登場するのが能力。能力の違いによって、人々を分け、限りある資源を分け合う。
というふうに、続いていき、
能力で選ばれる能力主義ならば平等なのか?
という問いが投げかけられますが、もうこの辺からダメが一気に溢れてきました。
個人的には、能力主義に全く違和感はないです。
子どもの頃から、税金で介護されて、文句ばかりの患者の話を看護婦だった母から聞かされていたこともあるからか、子どもの頃から、当たり前のことだと思っています。
家庭環境に恵まれない人や、生まれた環境でどうにも選択肢がない人意外は、能力主義というより、努力するか、しないかでしかないと思っています。
能力で人生を采配というキーワードがでていたけど、人生を采配するのは自分でしょ、と思う。
能力が不平等という表現もでていたが、それもおかしい。いかなる人間でも、何かしらの能力を得ることはできる。制限は人それぞれあって、生まれた時の状態や環境に依存して、大小はあるだろうけど。能力が何もないなんてことはないだろう。
能力をこの目で見たことがある人はいません、という言葉がでてきたが、これも共感できない。
スポーツなんて、能力そのものだし、その技術の成長に向けて努力していることだって、能力でしょ。人を引き寄せる人と会った時は、その醸し出す雰囲気だけで、能力を垣間見ていると感じる。
いろいろなことを求められていくことに、そこまで苦痛さを感じることが全くわからない。
苦痛だと思うならやらなければいいだけで、苦痛に思わないけど、求められていることに目を向けていけばいいだけ。
今は、これだけ選択肢があるんだから。 -
私も、無意識下で「能力主義」に毒されていた一人だった。
HOW TO本、自己啓発本も好きで、自分の能力を高めたいという気持ちがある。自分が好きでやってる分にはいいと思う。でも、他人にも能力を高めることを求めていないか?と聞かれると、完全にNOとは言えないなと。
「選抜」するのではなく、うまく「組み合わせる」という考えには賛成。協調し合って「他者と在る」ことができたら本当に理想的。
ただ、マネージメントする側であれば、すぐに取り入れられる考えだと思うけど、一個人としては具体的にどうすればいいの?とも思った。
とりあえず、子どもには「能力主義」の押し付けをしないように気をつけることは、今すぐ実行!-
Manideさん、こんにちは♪
コメント嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
能力は元々みんな持っているよってことみたいです。人間、得手不...Manideさん、こんにちは♪
コメント嬉しいです(◍•ᴗ•◍)
能力は元々みんな持っているよってことみたいです。人間、得手不得手があって、それをうまく組み合わせることで、仕事もうまく回るのでは?と。
上司がこういう発想の人だといいんですけどね。
面白かったので、よかったら読んでみて下さい。2025/03/04 -
ありがとうございます〜
そうですね、得意なところを引き出していき、相乗効果が発揮できるように導くという感じですかね。
ただ、難しいですよね〜...ありがとうございます〜
そうですね、得意なところを引き出していき、相乗効果が発揮できるように導くという感じですかね。
ただ、難しいですよね〜
前提として、まず、やる気が欲しいのと、他者を意識できることが必要だと思いますが、、
それすらできない人が多いんですよね、、(T . T)
みんなが幸せに働くことができるのが、1番いいんですけどね。2025/03/04 -
ほんとそれです!
やる気や思いやりがあって、でも苦手なことがある。それならいいんだけど、現実は…
なかなか難しい問題ですよね。ほんとそれです!
やる気や思いやりがあって、でも苦手なことがある。それならいいんだけど、現実は…
なかなか難しい問題ですよね。2025/03/04
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たまには真面目で仕事に関係のありそうな本を。
一言で言うと、面白かったです。
どんな点で面白かったかと言うと、
自分の考えもしなかった視点を本からもらえた」という
意味で、とても面白かったです。
今は「能力主義」という物差しで人を選んでいるという考えが
若干の違和感はありつつも、おおむねその通りと思わされ、
そうじゃない価値観があってもよいんじゃないかと言う
投げ込みは興味深かったです。
「若干の違和感」と書いたのは、
「能力主義じゃなくて、成果主義なんじゃないか?」
という点です。
ですが、能力がある⇒成果が上がる⇒評価されるという
流れでは大きく変わるものではなく、
能力主義を成果主義に変えても、
概ねロジックは繋がります。
また、著者は「能力」の範囲を意欲やエンゲージメント、
ウェルビーイングなど、
幅広く捉えているようにも感じました。
何れにせよ、一人一人の能力や努力だけで、
仕事の成果は決まるものではなく、
他者との関係性からも影響を受けるでしょ、
という著者の見解は、言われてみればその通りですが、
真面目に考えたことがない(気づかなかった)視点でした。
その意味でとても興味深い本でした。
一方で、実践することやこの考えを普及させることは、
一定の難しさがあることは否めません。
(著者も重々そのことはご理解されているようです。)
個人的にはその根底には、
資本主義の考え方があるように感じました。
一昔前の株主至上主義のような考え方は
薄れてきていると思われますが、
それでもポスト資本主義のような考え方がベースにないと、
中々普及までは行かなさそう、というのが
個人的な見解です。
ですが、こういった投げ込みが色んな方面から起こることで、
人々の考え方が少しずつ変化していくのかもしれません。
そういった意味では、この本の存在価値は
そこにあるのかもしれません。 -
働くとは何かを根源的に問う。「選ばれる人であれ」という常識と競争の中で生きづらさを抱える人全てに読まれてほしい。
個人の能力を他者に評価され、序列をつけられ、能力が高いほどもらいが多いというのは本当に正当なのか?
身分という自分ではどうしようもないことで差をつけられるより、「能力」なら自分の努力で身につけ、高められる。だから能力を高めてより多く貢献し、より多くもらえるようになろう、という理屈で競争に駆り立てられる。それをこれまで疑うこともほとんどできないほど「能力主義」が蔓延っていた。
そもそも仕事は他者との持ちつ持たれつの関係の中で行っていくものなのに、「成果」に関しては途端に個人の評価に属してしまう。一元的な正しさやゴールありきで、個人間で競争し合い、誰が多く成果を出し、功績を残すかで評価する。それって本当によりよい社会になりますか?平等ですか?という問いかけに深くうなずきつつ読んだ。
人を選ぶのではなく、自己のモードを選ぶ。
正しさや良し悪しを決めることから下りる。
その気づきを得るだけでも、少しは生きづらさから解放されるんじゃないかと思う。
所詮は一人の能力でできることには限界があるし、できる人が絶対に正しいわけでもない。
凸凹で完全ではない人間が寄り集まって、それぞれの持ち味を関係性の中で活かしていく。「多様性」とは何かということにも納得するものがあった。
競争から包摂へ。この流れを教育から実践していくことが非常に大事だと思う。もちろんすでに働いている自分も含めた大人たちにとっても。 -
働くとは何か?自分がキャリアアップしていくことによる、できる・できない評価をされながら働いていくことではない。個人のパフォーマンスを上げるために、他者がいる。
労働とは「他者と共に在る」まさしくそう思う。
一人ひとりの個性をどう組み合わせていくか、管理者として人材アセスメントの重要性を改めて実感した。 -
働く営みは必要であり、自分や他者と関わることでもありながらも、個人あるいは能力を優先しがちな考え方に偏っていたことに気づきました。
組織や社会、人のせいにするのではなく、それぞれの立場が問題解決に向けて、柔軟に変わっていく必要性を感じました。 -
エンジンがかかるまで、どこに連れて行かれるんだろう?とソワソワする序盤だったが、中盤以降の具体例で、勅使河原さんの言いたいことが徐々に飲み込めてきたような気がする。
最近、コンサルティングという仕事に興味を持つようになった。
なんというか、内側の人間がうんうん唸っても解決できていないことに、どうやってアプローチするんだろう、と単純に思っていたのだ。
業績をあげるための方策も、社員を育てるための教育も、組織の中では当然やっていることだ。
でも、勅使河原さんの具体例を読んでいたら、自分が働くことの「成功例」や「理想像」に皆が縛られているのかなと、感じた。
私が今の仕事に就いているのは、本当に偶然の重なりであったと思う。
認められるために自分が気にしてきた「評価」こそ、自分を苦しめていたことに、ようやく気付きつつある。
それなりに真面目で勤勉であれば、自分くらいには出来るようになるのに。
いつからか自分の在り方を「理想像」として、他者と向き合うようになってしまった。
同じように出来ないことを、能力が欠如しているとか、資質がないと見做すようになったのかもしれない。
自分も他者も、よりよく働けたらいい。
楽をするというより、パズルを上手く当てはめていけるような、そんな先輩になっていけるといいなと思う。
読んでみると、ふとしたアドバイスを得られるように思う。(ちょっと読みにくい所もあるけれど) -
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能力主義という、日本型メリトクラシーについて現状認識をまとめた内容。我々は教育課程における偏差値、就職での選抜といったプロセスにおいて能力を評価されることで高レベルかつ良い待遇の教育や仕事を得られる暗黙の了解がある。それは従来の縁故主義や階級社会を超克する平等で民主的な選抜方法として認識されている。
しかし実際のところ、企業が掲げるコミュニケーション能力や課題解決力といった指標は曖昧かつ相対的なことが大半であり、企業や裁量者にとって都合の良い判断に委ねられている。また良い大学に進学して良い企業に入る、という現代社会で認められる成功とは、親の職業や収入といった環境面に左右されることが研究によって明らかとなっており、実質的には格差が固定されている。
その結果、社会においては能力開発の名の下にコンサルティングや人材研修、採用支援のようないわゆる中抜きビジネスが全盛を迎えており、この抽象的な成功例や理想像に対して企業や個人がお金を払う構図が増大してきている。またマクロ的にみても、2000年代から導入されてきた企業の成果や能力に応じた報酬を支払う制度が、実際のところは人件費の抑制や採用減といった方向に作用してきた実態があり、本来は報酬として支払われるべき企業予算がこれら人材ビジネスに回っている状況となっている。
働く個人として、この状況に抗う術とは何か。複業でいくつもの企業の仕事を並行させて雇用条件を安定させる、やりがいのような精神的安定を企業に依存しないといった対処が考えられるが、選択肢に乏しい実情も垣間見える。とくにAIやDXという潮流下で、人手不足が叫ばれる昨今において、キャリアアップや社会的成功といったメリトクラシー的な幻想を捨てて、まずは自分から働き方を変える方が実はリスクが低いのではないか。仕事の能力というごく一部の評価で左右されるには、一生は長過ぎるのだから。 -
管理職として人事評価をする側になって、まさに気になっていたことがテーマだった。各メンバーが自身の役割の仕事を責任もってやって、その結果チームで得た成果なのに、個人単位で人事評価をするという矛盾。。それよりも、チーム内で日頃の感謝を伝えたりする機会の方が絶対いい。良い悪いじゃなく、合う合わない、の世界だったりするから。
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機会平等で等しく教育を受けられるようになったことで、能力の有無は自己責任で負う時代となった。その中で、社会や会社で選ばれるために、評価をしたりされたりするようになった。
評価が必要なのか、本質は評価では捉えられないのではないかという疑問を投じている。
リスキリングなど選ばれる側が選ばれるように努力するだけでは限界で、選ぶ側も今使える人的資源でやりくりする工夫が必要。
拙速な理解ではなく、宙に浮いた状態を耐える力(ネガティブケイパビリティ)にも言及している。
私自身も、仕事ではリーダーとして振る舞うことも多いが、できない人に当たるとき、どう生かすかを考える意識転換が必要だと改めて痛感した。 -
#働くということ
#勅使河原真衣
#集英社新書
#読了
置かれた環境や周りの人々との組み合わせで、どんな人でも生き生きと働くことができるという。能力なんていう、よくわからないものをはかることも、きっとナンセンス。そんな社会にしていきたい。みんながみんなで幸せに。 -
マイケル・サンデルの『実力も運のうち』をめっちゃざっくりわかりやすくした内容。生まれ持った「能力」は偶然に左右されるんだから、そんなもので人を選ぶんじゃなく、その人にとって何が適正か見極めてうまいことやっていこうよ、という趣旨。
要するに、適材適所と傾聴。成果を上げるためには各個人が適切な場所でその力を如何なく発揮することが重要で、それを実現するためには「能力」で判断するのではなく相手の思いを聞くことである。この点が本書の大枠なのかな。 -
能力主義に対する疑問を投げかけ、選び・選ばれることの大切さを考えさせられました。具体的なビジネスシーンが描かれており、共感しながら読み進めました。能力が噛み合うことで活かされるという視点が面白く、共生の重要性を強く感じました。読後、心が温かくなり、新しい視点を得られる素晴らしい本でした。
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私は労働というものが死ぬほど嫌いだ。できることなら本を読み、映画を観て、Podcastを聴き、散歩をして、おいしいものを食べて暮らしていたい。読みたい本、観たい映画、聴きたい番組、歩きたい道、食べたいものが多すぎて、労働なんてしている暇はない。労働をしている理由はただ一つ、自分の尊厳を削られない範囲で金を得るため。それだけである。
それなのに最近「リスキリング」なんて気持ち悪い言葉をよく耳にする。自己研鑽をして市場価値の高い人間になれ、という話らしいが冗談じゃない。私は労働に自己実現を求めていないし、人生を労働に捧げるなんてまっぴらごめんだ。リスキリングなんてクソくらえ、と思っている。
そもそも、なぜ能力を磨かなければならないのか。なぜ社会にとって有用であることを証明し続けなければならないのか。そしてその「有用さ」が、自分にとってはまったく価値を感じられないのはなぜなのか――ずっと疑問に思っていた。そんな折に出会ったのがこの本だった。タイトルにある「能力主義」という言葉も、この本で初めて知った。
本書は、能力主義がいかに一面的な尺度であり、多くを見落としているかを示している。そもそも「優秀な人」とは何をもって優秀とされるのか。組織づくりの実践や能力主義からの解放の試み、さらには「働くとは何か」まで、丁寧に解きほぐし説明してくれる。また、「能力主義を批判するなら医師や弁護士はどうなのか」といった疑問にも応えている。
人は複雑で多様だ。一元的な視点で評価するのではなく、それぞれの持つ特徴を持ち寄り、組み合わせていく方向に向かえばいい。そうなれば「自分の能力を発揮したいのに機会に恵まれない」とか「もっと気持ちよく働きたい」と思っている人の気が、ずっと楽になるのではないか。私はそちらのほうが断然いい。 -
座り読み
【なぜ】行きつけの面陳列であり。冒頭の立ち読みで面白かったため読むと決意
【これだけ】個人的にヒット本
優劣、正誤ではない、裏に隠れた因子をしっかりみよう、探そう。
【感想】まず序章が面白い。言葉のセンスとテンポが心地よい。序章の時点で著者の他の本を読みたくなり、読みたいリストへポチポチ。
読んでみると、組織開発のビジネス本、そして良本。
と思いきや、子育て本でもある。そして、まさか、ドラッガーにも疑問をもつか!笑
個人的にこの著者の本を読みたいと一瞬で思えたことは★5点を与えたいが、何度も読み返すことを5点と定義してしまっているので、4点。残念。
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本書は、職場でよく聞く「能力主義」の問題点とその限界について説明したものである。
そのうえで、働くことの意味や価値を見直し、理想的で人間的な労働の在り方を提案している。
個人的なポイントは下記の通り。
・能力主義の問題点
能力主義は能力や成果に基づき、評価や報酬が決定されるシステムであるが、強調され過ぎると、競争が激化し、精神的なストレス、不正が引き起こされる。→チームワークや協力することを軽視されるため、長期的にパフォーマンスが下がる可能性がある。
・新しい労働のあり方
長期的に発展していくためには、個々の能力だけでなく、多様な価値観を持つ人々が一緒に働くことが重要である。
・社会的影響
過剰な能力主義が格差の拡大や分断、争いの原因になる。
著者は、能力主義ではなく、個々の多様な価値を認め合い、協力しあう社会を構築することが大事だと主張している。
個人的には、能力主義も大事だし、協力することも大事だと思う。相互補完的な関係であり、結局バランスの問題かと。能力主義も協力する能力も含めればある程度解決するような気もする。 -
能力主義;努力や才能、成果に基づき評価や報酬を与える考え方
能力=その人の価値
能力はその人の努力によって上げることができる。
自分はこれが当たり前と思っていたが、実は社会の運営側にとって便利な仕組みだったと。
以下覚書
・その人の能力の問題ではなく、組織の中の関係性の問題とする
・垂直思考から水平思考へ
・人は個で生きるのではなくお互いに組み合わさって生きる
・個人としては、その組織の中での自分のモードをいかに選ぶか
「働くということ」は個人個人の問題ではなく、組織の中の人と人との関係でみていく、ということ?
とはいえ、現状の社内評価システムでは、いかにほかの人に比べて自分の”能力”を評価してもらうか、という思考になってしまうよな。と思ったり。
あと、若干管理職目線での事例が多かったので、下っ端目線での考え方も知れたら良かったかな。
著者プロフィール
勅使川原真衣の作品
