捜し物屋まやま (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1075
感想 : 76
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440423

感想・レビュー・書評

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  • 木原音瀬さんの作品ということで、読んでみました。タイトルから日常ミステリーかなあと予測しながら。
    探し物屋を営む血のつながらない元同級生の兄弟。弟がイタコだった祖母の能力を受け継いでいて、その能力を使っての失せ物占い。そこに冴えない弁護士と元引きこもり男子が加わって、4人で綴る軽快だけどブラック感ありの読み切り5編。
    いたって、普通な感じで逆に驚き。誰が読んでも、楽しめるし、木原ファンならつい今後の展開に期待してしまうのも良しかな。

    • みんみんさん
      木原作品終わりかな?
      木原作品終わりかな?
      2023/08/11
    • おびのりさん
      この後、図書館b-boyです。
      確か7冊くらいある。うふ。
      この後、図書館b-boyです。
      確か7冊くらいある。うふ。
      2023/08/11
    • みんみんさん
      誰のかな?楽しみにしてます‹‹\(´ω` )/››
      誰のかな?楽しみにしてます‹‹\(´ω` )/››
      2023/08/11
  • テンポが良く、読みやすかったです。
    義兄弟の二人の関係がもっと爽やかなのかと思ったら‼️
    人間怖い…。
    この二人の関係の変化も今後楽しみです。

  • めちゃくちゃ個性的な4人のお話。
    なかなかにえげつない。
    初っ端から三井さんの悲壮なエピソードにビビってしまった…
    馬鹿騒ぎして楽しい本なのかと思いきや、思ってたよりもダークな面が多かった。

    それぞれの視点で一章ずつの物語。
    一人称なので彼らの内面が段々と分かってくる。
    個人的に徳広さんがいいキャラしてて好き。

  • 捜し物屋をやっている血の繋がらない兄弟の謎が、
    物語が進むごとに自然な感じで紐解かれていき
    とても読みやすい。

    なぜ2人が兄弟となったのか、
    白雄の声が出ない理由、
    和樹を通して発せられる声と捜し物を言い当てる不思議さと少しホラー要素のあるストーリーが、飽きを感じさせず読む手が止まらなかった。

    シリーズ物とは知らず、あと2冊もあるのかー!
    ドルオタの三井と徳広、ポリさんの関係性もとても良くて早く続きが読みたい!

  • とにかく読んでいて楽しかった。男4人のわちゃわちゃ感が微笑ましい。
    話は4章の構成となっているが、1章ずつ一つの事件を主人公の間山兄弟が解決していく。必ず各章ごとに山場がありハラハラするのだが、それとは対照的な4人のバカなノリの掛け合いもあってとても面白い。
    個人的に2章の話が好きだ。
    ぜひ、シリーズ化してほしい。

  • あるブクログさんの本棚にあって、面白そうだなと思い読みました。
    存じ上げない作家さんでしたが、こういう出会いがあるのもブクログならではで良いですよね。

    タイトルから、日常的なミステリーかと思いきや、実は人間の内面を描いた、でも決して重くない、男子4人が良い距離感で生活をしながら、それをポップに表現していて面白い作品でした。

    間山兄弟が軸になるかとは思いますが、4人それぞれのキャラクターがしっかり描かれています。
    外見や職業、環境などで付き合う人を選ばず、楽しく集う仲間がいるって幸せですよね。

    読後、和樹(とその母、養父も)って凄いなと思いました。
    人間って妬みや嫉みがあって当然なのに、それが圧倒的になくて、優しい。でもいい意味でいい加減というか、適当で肩の力が抜けてて、偽善でなくなんだかほっとします。
    実際、和樹は冒頭、三井という人間を救ってますしね。本人は無意識かもしれませんが…。
    …と言いつつも、私は白雄かどうしても気になりました。
    人間の嫌な部分を背負ってくれた人物。
    なので、4章は切なく、どこかで救われてくれと思いながら読んでいました。
    和樹が最初に救ったのは白雄なんでしょうね。
    はしかの白雄に和樹が添い寝する所や、和樹に『お前たまに盛大にデレるなぁ』と言われながらも抱きつく所は、澱みがなくて綺麗だなと感じていたのですが、あとから、この作家さんがBLを書いていると知り、だから兄弟愛をこんな風に表現できるんだと思いました。
    白雄に和樹がいて良かった。アネモネ7で繋がれる仲間がいて良かった。いつでもみんなが集合できる自社ビルがあって良かった。なんて思いました。

    皆さんと同じように続編あるといいなーと思います。

  • 三井は天涯孤独の引きこもり。新入社員の頃、失態が原因でひどいパワハラを受け、会社に行けなくなった。実家に閉じこもって暮らし、アイドルグループの応援だけが生きがいとなっていた。そのうち母親が亡くなり、当面の金には困らなかったが、家はゴミ屋敷状態になった。ある時、外に放置したゴミに放火され、家を失ってしまう。
    途方に暮れていたところに、通りすがりの男が手を差し伸べる。男が三井を連れて行った先は、事務所兼住まいの4階建ての小さなビルだった。
    1階は不動産屋、2階に法律事務所、4階にあるのが「捜し物屋」である。探偵ではない。遺失物探しが専門である。
    捜し物屋の所長が三井を助けた間山和樹。所員が弟の白雄(しお)。チビの和樹とのっぽでイケメンの白雄。まったく似ていない兄弟である。それもそのはず、血はつながっていない。
    2階の法律事務所は離婚専門。所員の徳広祐介が一人で取り仕切っている。ドロドロの案件続きで人間不信気味。若いのに結婚への夢は消え果ている。
    徳広がたまたま、三井と同じアイドルの追っかけをするオタクであったことから、意気投合。
    三井はこのビルで働き、暮らしを立て直すことになる。

    章ごとに、三井、徳広、和樹、白雄の4人の語りで物語が進む。エピローグに彼らの飼い猫のミャー(これもオス猫)の掌編が付く。
    間山兄弟の捜し物は「占い」に頼っている。白雄は口がきけない。が、実は彼には「特殊能力」がある。いわゆる「見える」人物なのである。白雄の口となっているのが和樹で、2人いないと「占い」ができない。その能力を利用した捜し物業は口コミで評判が広まり、それなりに顧客が付いている。
    捜し物専門のはずなのだが、何だか彼らの周りには本当の事件が多い。その解決にも和樹・白雄(主に白雄)のコンビが絡む。

    BL出身だという著者の描く男4人のドタバタ暮らしはそれなりに楽しそうである。が、一方で起こる事件は重い。
    発端の三井のパワハラ事件の顛末も相当ひどいが、放火事件の真相も相当だ。
    その後も金目当てに交際相手を殺す男や、セクハラが高じて訴えようとした相手をヤクザに頼んで殺そうとする男が現れる。過去の思い出話もネグレクトから命を落とす同級生の話など、かなりえげつなく重い。
    加えて、白雄が、口がきけないが特殊能力を持つことになった顛末も相当ドロドロである。
    途中までは和樹がおちゃらけキャラで、白雄がクールな二枚目という感じなのだが、和樹は和樹で白雄に思うところがあり、白雄にはある種、感情が欠如した「黒さ」がある。
    個人的には前半の男4人のガチャガチャした楽しい雰囲気でもよかったのではないかと思うが、「黒さ」の方が著者の持ち味なのかもしれない。

    表紙絵の穂積のイラストが本編にも時々挿入される。雰囲気にはよく合っている。
    物語は一応完結している体だが、若干、続編を匂わせるようなラストである。白雄に「憑いている」ものも含めて、謎も残っているので、続きはあるのかもしれない。

  • とても読みやすかった。
    男子四人の関係性も良かった。
    単純だけど優しい、弟を思う兄。
    性格が悪くて執着強めの毒タイプの弟。
    イケメンに劣等感を抱いている。めんどくさい、関係ないと思いながらも、困っている人、聞いた話を無視できない弁護士。
    元引きこもりで繊細で優しい事務員。

    この男子四人を脇で見ていたい感じ。「あぁ、またじゃれてる」とか「怒ってるなぁ」みたいに。
    どの回もおもしろかったけど、徳広祐介の心の中の声にクスッとしたり。
    続編が出たら読みたいなぁ。

  • 木原音瀬が苦手な人におすすめです。いつもの木原音瀬より優しい展開です。木原音瀬が好きな人にもおすすめです。いつもの木原音瀬です。そんな話。四人の主要登場人物が捜し物屋まやまに関わる四本のストーリーで構成されたオムニバスなのですが、いやぁ、トゲがすごい。えげつないほどの容赦のない展開とほんわかした展開が交互に繰り広げられ、幸せなシーンではこの後どんな悪意が待っているのか恐怖し、辛いシーンでは救いがあることを信じて読む手が止まらない、そんな話でした。一般向けレーベルなので濡れ場はありませんし、BLでもないのですが、素直にラブとは形容できないゲロ重感情を描ききるあたり流石BL界の冥王と言ったところ。主人公がとても好きだったので、続編に期待です。

  • センセのBLじゃない作品。でも登場人物がほぼ男性ばかりでニアBLと言われればそんなかんじで、ストーリーもスピリチュアルな要素があったりして、すぐに木原センセとわかる作風で面白くて一気読みしました。

    メインは血の繋がらない25歳凸凹兄弟。不思議な力で捜し物を見つけ出すという商売をゆる~く営んでいて、そこに天涯孤独の引きこもり35歳と、ドルオタ弁護士37歳が絡んでいて色んな事件(災難?)が降りかかるのを解決していく…といった流れです。
    1話ごとに視点が変わっていくオムニバス構成で、それぞれの観点から他のキャラを見極めていて、固定観念にとらわれそうになった読み手の心をグイグイと引き込み振り回してくれます。
    引きこもり、ゴミ屋敷、パワハラ、セクハラ等、今どきのネタ満載で、とても面白かったです。

    これ続編とか出るのかな…?期待しています!

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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