- 集英社 (2019年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784087440447
作品紹介・あらすじ
大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。
欠けた心を抱えたふたりが出会い、お互いを知らないまま、少しずつ歩み寄っていく道のり。
変化し続ける人生のなかで、他者と共に生きることの温かみに触れる長編小説。
【著者着歴】
窪美澄(くぼ・みすみ)
1965年東京生まれ。フリーの編集ライターを経て、2009年「ミクマリ」で女による女のためのR18文学賞大賞を受賞。受賞作を所収したデビュー作『ふがいない僕は空を見た』で山本周五郎賞を受賞。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞を受賞。他の著書に『さよならニルヴァーナ』『アカガミ』『すみなれたからだで』『トリニティ』『いるいないみらい』など。
感想・レビュー・書評
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初読みキャンペーン!
初めて読む作家さん。窪さんのどれを初読みにするか、書店ウロウロ&ブグログチェックしながら、コチラに決定★
とっても良かった。久しぶりの読後感。
男女それぞれの視点で、章ごとに語られていく。
毎年同じ月に声が出なくなる過去からの事情を抱えている壱晴32才と、実家に住んでいるが昔裕福だったが父の事業失敗で家を経済的にも支えてる恋愛下手な桜子32才。
壱晴がどんな秘密を抱えているのか?しばらく明かされないので気になり気になりどんどん読み進め文庫で430頁程の作品なのですが、1日で読み切ってしまいました。
桜子の嫉妬深さなどにイライラする事もあったけど、自分も20代前半の頃は当時の彼の元彼女のことを考えて嫉妬めいた気持ちになったりもしたかもだなと。今だからそんな事、え?と思っても生きてきた経験などにより、時々の考えや気持ちは変わるのだろうなと改めて。
それにしても酒乱で暴力振るう男性、蹴り飛ばしたくなりますね。柔道技で1本!!とりたいくらい腹たちますね、どの小説にも、こゆ人出てきますが。
結婚相手の家族は大事、結婚の決め手にも。
結婚って他人から親族になるから。
配偶者も元々他人だし。。なんて言うと、ドライすぎるのだろうか……。
他人をどこまで許せて寄り添えて、それぞれ違う価値観があることを許容できるか、など考えさせられたシーンもあり。
桜子の妹は桃子というのですが、天真爛漫。
やっぱり長女って、しっかりしなきゃ感が刻まれるものなのですかねー
窪さんってたくさん色んな作品出されているのですね、、あと数冊は追購入予定です!
初読みの作品をコチラにして良かった!
解説は、山本文緒さんでした^^
「自転しながら公転する」山本さんのこちらを好きな方は、窪さんの当作品も好きかもしれません。
感覚です、根拠はありません笑
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主人公2人の関係性がどのように進展していくのか、ワクワクしながら本作を楽しむことが出来たと思います。特に各章の終わりが、これから先の展開を予感させるような引きがあって、思わず作品にのめり込んでしまいました。
本作は家具職人である壱春と、制作会社に勤める桜子の2人が主人公の物語。2人はそれぞれに大きな問題を抱えているのですが、ひょんなことから一夜を共にしてしまい…というような導入。
好き嫌いは別れるとは思うのですが、個人的にはこの2人のキャラが刺さりました。壱春の持つ弱さとか、桜子の突拍子もない無鉄砲な感じとか、応援したくなるような純真さが感じられ、凄く心が洗われるようでした。
この作品は大人っぽい関係性を匂わせながらも、大人のピュアな恋愛を描いており、凄く爽やかな印象を受けた作品だったように思います。 -
「やめるときも、すこやかなるときも」
1.購読動機
タイトルです。
こころを落ち着かせることができそうな、良いエンドロールを予感したからです。
結論は、、、
ぜひ、手にとってみてください。
2.主人公
建築学科を卒業するも、大手の建築会社はイメージできない男性です。
展示会で出会えた木工椅子に惹かれて、その工場に弟子入りをします。
短大を卒業するも、就職は難しく、なんとか就職できた中小の印刷会社で働く女性です。
ふたりは、知人の結婚式で出会い、仕事を通じて再会します。
3.内容
「気になる存在。
好きかはわからないが気になる存在。
だから、なんとかして、窮地から救い出したい。」
恋愛よりも、まず、ひととして関係の模索が始まります。
「相手がどう想ってくれるのか?も大切ですが、
私がどうしたいのか?」
その心が壊れ、再生していく描写は、強く美しいです。
4.読み終えて
愛するという言葉は、主語がわたしです。
そう、わたしはどうしたいのか?、どう生きたいのか?
突きつけられました。
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先月からパートナーと一緒に暮らし始めた。
一ヶ月が経ち、お互いに体調を崩した。気候の変化や仕事の忙しさ、慣れない新生活。考えられる要因はいくつもある。
けれど、ここ数年を一人で生きてきた者同士が一緒になるということは、それだけではないはずだ。相手の人生や、これまで抱えてきた背景を共に背負うこと。その「重み」が、疲れとなって身体に現れたのかもしれない。
この本を読みながら、ふとそんなことを思った。
主人公のように身体に異変が出るほど辛い過去の出来事はないけれど、誰かと生きていくことは、大なり小なり、今まで持っていなかった荷物を背負うことでもある。
「この人の分なら、背負ってもいい」と思える相手に出会えることは、きっと幸せなことなのだろう。
正直、そこまで深く考えてはいなかったけれど。この本が、そんな大切なことを教えてくれたような気がする。 -
「やめるときも、 すこやかなるときも」
タイトルに惹かれました。この言葉、良く結婚式で耳にしますよね。タイトルが全部ひらがなというのも優しさやあたたかみ、幸せそうな物語の匂いがして手に取りました。
窪美澄さん、初めて読んだけど良かった!特に女性のというより桜子の描写、妄想が、いじらしかったり、勇ましかったり、ユーモアもあって。「私のなかの暴走列車はとっくに走り出してしまっていた」「大きな獲物を前にしたハイエナみたいに奮い立つような気持ち」とか、ちょっと面白いと思いませんか?
主人公は2人で、壱晴はある事がトラウマで12月の1週間だけ声が出なくなる(記念日反応というらしい)。桜子は家族に問題があるのと、恋の仕方がわからない女性。この二人の出会いから心を通わせていくまでを描いた物語なんだけど、このある事がかなり衝撃的。壱晴の秘密は何なんだろう?その秘密を知ったとき桜子との関係は?先が気になり暴走列車のように読みつづけてしまった。話の流れで途中から何となく予想はできたけど、目の当たりにしたら、絶対に無理!これは重い、重すぎる。とてもではないけれど立ち直れそうにない。
壱晴の職業は家具職人で、椅子はその人を支えるものだから相手の事を良く知らないと良い椅子は作れない、家具は寄り添うものと壱晴は言っている。相手をよく知り、支え合い、どんな時も寄り添うということを、タイトルに込めたなのかなと思った。
壱晴は桜子からジャスミンの香りを感じていたのだけど、ジャスミンの花言葉は「幸福」「愛らしさ」「あなたについて行く」なにか意味深な感じがするのは気のせいだろうか?だって、「香りがした」ではなく「香りを感じていた」だよ。
全くのこじつけかもしれないが、主人公の名前、「壱晴」と「桜子」、ひらがなにすると「はる」と「さくら」。そう、春と桜!春といえば桜、桜といえば春。この二つは必要不可欠でペアなのだ。さらに、二人の新たなスタートを感じさせられる。
付き合い初めの初々しさとか、壱晴の事で桜子の気持ちが風船のように膨らんだり萎んだりと、喜びや切なさがじんじんと伝わってきて恥ずかしながら自分の若い頃を思い出し、恋とか恋愛っていいなぁ、若さっていいなぁ、と羨ましく思ってしまった。
次は、窪美澄さんの得意なダークサイドの作品を読んでみたいと思った -
人を信じること、愛すること。
それがとても自然に書かれています。美しい、とも言えます。
背景には椅子を作り続ける職人のこだわり、生き方が出てきます。
ある意味、芸術家でもある職人さんは、最初はどうしても食べていけません。
その葛藤、ひとつの作品へのこだわり。
そして抱える過去。
自分に置き換えて、もしそのような過去があったなら。
小説ではなくて、現実だったら、と立ち止まって考えてみると怖いです。
考えてしまいます。
なぜここまで美しく、清らかに描かれれているのか。
最後まで読んでわかりました。
取材協力に「家具デザイン研究所、ARTCRAFT、…氏に大変お世話になりました」とあります。
背景となる世界をよく取材されているからこそできた作品であると思います。
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あまりによかったので、ドラマも観てみようと、探してみました。ドラマ化されていますね。配役を見て躊躇せざるを得ませんでした。家具職人の生きざまを理解して演じることを期待できるような配役には到底思えません。 -
想像以上にしっかりとした恋愛小説でした
誰かに寄り添うこと生きていくこと
克服すること理解すること…
人生ってとんでもなくレベルの高いゲームと
改めて感じました -
最後には澄み切った空気を感じながら読み終えた。まだ著者の作品は数冊しか読んでいませんが、失礼ながら営みの情景をストレートに描く運びが潔くて読みやすい表現に好感を抱いて選定させて頂いた。
今回は最初の数行で期待通りと思ったものの、その後の展開はストレートに恋を描かれていた。互いの衝動、迷い、羞恥を次々と認知して確固たる伴侶と認めながら心の奥底にある不埒が相手を突き放す。その距離を一気に詰めたのは、長年側に居続けた存在。
本人が強く思うしがらみは小さな刺激で動きが生じて大きな変化を遂げることで急激にほどけていく。・・のかもしれない。 -
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俯瞰してみると、ままある展開のラブストーリーで、細部をみると、人の卑しさとか稚さみたいな断片で積み重ねられた稀有なラブストーリー。
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やっと読めました
3年前に50ページ読んでやめちゃった作品です。
けど読み終えて、久しぶりに優しい気持ちになれた
切なくもあり、未練もありの複雑な感じ、でもそれが整う日が来るんだ… -
一気読み 家族の関係性考えさせられた
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すこやかなるときはいい、やめるとき、どれだけ連れ合いと向き合えるか。
結婚式でたいてい誓うはずだ。みな、はい誓います、と言う。生きていれば、病めるときもある。壱晴は大切な人を亡くした、という心の傷を抱え、桜子は仕事は順調だが恋愛に不器用で恋人がおらず(重いのだ)、家庭環境に問題を抱える。
壱晴は、恋人との過去が原因で声がでなくなってしまうことがある。相手を大切にするためには自分を大切にせねばと訴えてくる。
連れ合いに寄り添いたい自分(わたし)がいて、どこかで必要とされたがっている自分がいる。 -
とにかく表紙が綺麗で手に取った作品。
(最近そういうきっかけが多い気がする…笑)
「やめるときも、すこやかなるときも……」
とても印象的な誓いの言葉。
これを実際に聞くときには、"病める時"のことはあまり意識していないよなぁと、実体験として思うのだけれど、壱晴と桜子のふたりはむしろ"病める時"と真剣に向き合っている。
結婚って、家族になるって、本当にシビアなものだと思う。
良いところだけ見てもらえたら、見続けることができたら、どれだけいいだろう…なんて。
俯瞰的に見たらよくある恋愛小説だけれど、飽きることなく読むことができた。
恋愛小説の中にも家庭問題が描かれているからかな。
でも個人的には桜子の父親の問題が、最終的にはこんなにあっさりと解決するものだろうかと引っかかってしまった。「不甲斐ない自分が恥ずかしくて酒に逃げてしまうんだ!暴力もあるけどそれは家族を愛している裏返しなんだ!だから許して!」なんて話になるわけがない。愛されていた時も確かにあるとか、そんなことを言っているうちはまだ呪縛から解けていないなと思ってしまう私は、心が狭いのかな。 -
毎年12月になると一週間声がでなくなる男と30代処女の女のお話でした
男の語り女の語りで物語は進んでいった
声がでない理由が本人にもわかっているようだがそれが語られずもやもやしていたけれど二人の展開に目が離せずその世界に引き込まれていった
なのであの椅子にも触れてみたいと思いました -
恋愛のもどかしさ、人とうまく心を通わせられないもどかしさ…あるある。と共感しながら読み進めた。二人の視点を交互に入れていくので、自然とどちらにも感情移入できる構成。
どんな人にも、踏み込みにくい領域というのはあると思う。いろんな過去が積み重なった上にいまがある。その過去が簡単には踏み込めないものであっても、まずは知る、認めること。そしてまっすぐにいまの目の前の人を見ること。そういうちょっとした無遠慮さ、心の中に入っていく勇気も人を救うために必要なことだと思う。
著者プロフィール
窪美澄の作品
