黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440492

作品紹介・あらすじ

落選また落選! 供託金没収! それでもくじけずに再挑戦!
選挙の魔力に取り憑かれた泡沫候補(=無頼系独立候補)たちの「独自の戦い」を追い続けた20年間の記録。
候補者全員にドラマがある。各々が熱い思いで工夫をこらし、独自の選挙を戦っている。
何度選挙に敗れても、また新たな戦いに挑む底抜けに明るい候補者たち。
そんな彼・彼女らの人生を追いかけた記録である。

2017年 第15回 開高健ノンフィクション賞受賞作

【目次】
第一章/今、日本で最も有名な「無頼系独立候補」、スマイル党総裁・マック赤坂への10年に及ぶ密着取材報告。
第二章/公職選挙法の問題、大手メディアの姿勢など、〝平等"な選挙が行なわれない理由と、それに対して著者が実践したアイデアとは。
第三章/2016年東京都知事選挙における「主要3候補以外の18候補」の戦いをレポート。

【選考委員、大絶賛! 】
キワモノ扱いされる「無頼系独立候補」たちの、何と個性的で、ひたむきで、そして人間的なことか。――姜尚中氏(政治学者)
民主主義とメディアについて、今までとは別の観点で考えさせられる。何より、作品として実に面白い。――田中優子氏(法政大学総長)
ただただ、人であることの愛おしさと愚かさを描いた人間讃歌である。――藤沢 周氏(作家・法政大学教授)
著者の差し出した時代を映す「鏡」に、思わず身が引き締まる。――茂木健一郎氏(脳科学者)
日本の選挙報道が、まったくフェアではないことは同感。変えるべきとの意見も賛成。――森 達也氏(映画監督・作家)
(選評より・五十音順)

【著者プロフィール】
畠山 理仁(はたけやま みちよし)
1973年、愛知県生まれ。早稲田大学第一文学部在学中の1993年より雑誌を中心に取材・執筆活動を開始。関心テーマは政治家と選挙。著書に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える! 』(集英社)。取材・構成として『日本インディーズ候補列伝』(大川豊著、扶桑社)、『10分後にうんこが出ます』(中西敦士著、新潮社)、『新しい日米外交を切り拓く』(猿田佐世著、集英社)なども担当。

感想・レビュー・書評

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  • 別に奇抜なことをしたいわけじゃない。そもそもバックボーンがない一般人では、注目を浴びて名前を知られなければ選挙に勝ちようがないのだ。

    少なくない泡沫候補がこう考えていることに感心します。庶民感覚がないといった批判がよくされますが、政治家に"庶民"がいないのだから当たり前。そして庶民が当選するのは絶望的な今の選挙システム。それを変えるためには、泡沫候補の主張を含めて、一人一人が関心を持つしかないのでしょうかね

  • 選挙戦に打って出た泡沫候補達を追ったノンフィクション。
    安くない供託金を払って出馬しているので、各自何かしら訴えたいことがあるのはわかる。きちんと政策を提言している候補がいることもよくわかったが、なかなか投票候補にはならない。

    でも、今後の選挙戦で各候補の話をきちんと聞いてみようという気にはなった。






     

  • 著者の選挙取材を追った映画「NO 選挙, NO LIFE」が予想をはるかに超えて面白く、おちゃらけやウケ狙いではなくひたすら真摯でストイックな取材姿勢に、その著書を読まずにはいられなかった。
    三浦英之氏による以下の文庫解説で、映画と本書に心惹かれた理由を理解した。

    ===(以下引用)===
    畠山氏が「黙殺」で描いていたのは、無名の立候補者たちだけではなかった。彼もまた自らの信念を貫きながら、この生きにくい世の中を少しでも変えようと命を鉋のように削ってきた「無頼系独立候補」ではなかったか。被写体のモデルの瞳に時折、接写するカメラマンの姿が写り込んでいるように、この「黙殺」には確かに、筆者である畠山氏の姿が映り込んでいる。彼は二〇年間、そんな立候補者たちを追い続けることによって、彼自身の姿を描き続けてきたのではなかったか――。

  • この本を読んでから、著者が映画に撮られていると知り、高速バスを使って名古屋まで見に行ってきました。これを書くためにいかほど努力しているのか、民主主義を考え、立候補者がなにを訴えようとしているのか、耳を傾け真摯に向き合う態度に深い志を感じました。翻って、自分の他者を見るその態度に、不遜な思い上がりを感じないではいられませんでした。選挙離れが言われて久しいのですが、大手マスコミ・政党の関係者にも読書と映画鑑賞を勧めたいと思います。

  • 思ってた以上に良い本でした。
    TVの報道系番組(日テレ系)で、作者である畠山さんの密着取材をしてたのをたまたま見て興味を持ち、書籍が出てると知ってすぐ購入しました。
    自分はもともと政治には多少の関心があるほうだと自負してたのが恥ずかしくなるくらい、誠実に政治・選挙と向き合っていました。
    日頃から抱いていた現行選挙制度に関する疑問や不満にも気持ち良いくらい切り込んでいて、かなり溜飲が下がったというか救われた気持ちに。
    マスコミにも立候補者にもこんな人違がいるんだ、と希望が持てます。
    間違いなく選挙への姿勢や見方が変わる本。

  • 第59回アワヒニビブリオバトル「弱い」で紹介された本です。
    2019.12.03

  • マスメディアが選挙報道で看過する有力でない立候補者の心情へと刺さりこむ筆者畠山理仁の取材は、愛情と暴力の狭間に仄かな悪戯を介在させる。これこそがドキュメンタリーの本領であり、既存メディアによる真実や中立性を謳う仰々しさが胡乱な代物へと変質する。人は千差万別、それぞれが認め合う多様性に偏見は無用、畠山が放つ渾身のメッセージは心地良さだけを求めるのではなく、奥深さへと足を踏み入れる読者の覚悟へと誘う。非ファスト・不合理の素晴らしき世界に触れて喜びを分かち合おう。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/773791

  • 第15回開高健ノンフィクション賞を受賞した、選挙をテーマにしたノンフィクション。「選挙」と聞くと堅いイメージを抱く人も少なくないと思うが、本作はヘタな小説よりもよほどエンターテインメント性に溢れていて、読んでいてとても面白かった。それはもちろん、著者の筆力が成せる業でもあるが、何よりもまず、題材の妙に尽きるだろう。本作で著者がおもに取り上げる「無頼系独立候補」は、一般的には「泡沫候補」と呼ばれているが、本作の「第一章」で詳しく述べられている「マック赤坂」や、昨年戸田市議選に当選したあとに結局当選無効となった「スーパークレイジー君」などのように、いわゆる「政治家」らしくない、個性的なキャラクターを持つ人間も多い。実際に票を投じるかは別にして、各候補者に対して読んでいてとても親しみを感じた。また、このような「無頼系独立候補」たちは、通常選挙報道においてはほとんど無視されてしまっている。メディア側の主張も理解できないわけではないが、やはり選挙においてはもうすこし公平な報道が行われることを期待したい。とくに「第三章」で詳しく取り上げられている2016年の都知事選では、「主要3候補」に報道が大きく偏っていたと書かれていたが、わたし自身も元大臣である「山口敏夫」や元市長である「中川暢三」すらもあまりにもメディアから無視されていて違和感を覚えた記憶がある。ただ報道の問題点の指摘には同意するが、著者が候補者に肩入れしすぎている感も否めない。マック赤坂が選挙カーの上で陰部を露出したという「奇行」が登場するが、これは普通に犯罪であろうし、「眉間にシワで東京都の街角を歩いたら3万円の罰金」という、どう考えても「トンデモ」でしかない政策すら好意的に描かれている。結局のところ著者もまた公平・中立ではないのである。そういう点に関して自省的な部分が見られないことは残念であった。

  • とても素晴らしい本でした。
    有権者にできるだけ多くの選択肢を、という信念に基づき、どんな候補者にも誠実に公平に接している姿に好感を持ちました。
    勇気を持って立ち上がった独立系候補の皆さんの心意気は、畠山さんだから書けたものです。
    最後は涙モノです。
    ぜひ、皆さん、ご一読ください。

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