パラ・スター 〈Side 百花〉 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440843

感想・レビュー・書評

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  •  パリ2024が近づいてきました。オリンピック(7/26〜8/11)、パラリンピック(8/28〜9/8)ともに、日本選手団の活躍を期待したいですね。

     さて本作、阿部暁子さんの文庫書き下ろし『パラ・スター』は、<Side百花><Side宝良>の2部構成(2020発刊)で、車いすメーカー新米の百花と、親友で車いすテニス選手の宝良の物語です。

     <Side百花>の本作は、選手を支えるエンジニア視点で描かれます。メーカーの確固たる理念、技術者の情熱を中心に据え、競技用車いすの知識・理解が深まる内容でもあり、新鮮でした。

     百花を魅了する、アスリートの願いとエンジニアの技術が結晶した強靭で美しいマシンの描写、また、百花と宝良の出会い、宝良の事故、絶望や葛藤を乗り越えて2人の新たな夢をもつまでの揺れる心情や覚悟などが、繊細でリアルに描かれます。

     宝良が着実にプレイヤーとして飛躍していくうれしさの反面、百花は自分の仕事のステップアップに焦りを感じるのでした。もっとも、モノづくり職人が簡単に一人前になるはずもなく‥。けど、百花の想いは十分過ぎるほど伝わります。ある意味、ちょいポンコツな面と熱い想いのギャップが魅力?

     初めて担当したクライアント(バスケ少女)の対応を通じて、百花の芯が定まっていきます。愛想のない宝良だけど、2人の信頼関係バッチリで、百花は友人にも仕事にも恵まれているんだなと感じます。爽やかな読後感でした。
    <Side宝良>に続きます。

    • ひまわりめろんさん
      あ、なんか先越されたw
      あれでしょ?どうせ『金環日蝕』『カラフル』『カフネ』と傑作が続いたんで阿部暁子さんの過去作も漁ってみたくなった口でし...
      あ、なんか先越されたw
      あれでしょ?どうせ『金環日蝕』『カラフル』『カフネ』と傑作が続いたんで阿部暁子さんの過去作も漁ってみたくなった口でしょ?
      だとしたら全く一緒じゃないですか!w
      2024/07/06
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      全くおっしゃる通りでーす。
      なかなかいい感じみたい‥(^^)
      全くおっしゃる通りでーす。
      なかなかいい感じみたい‥(^^)
      2024/07/06
  • とても面白かった。
    スポーツを題材にした作品という事もあってか、試合の描写やその時の動きなどの場面がとても躍動感があってとても楽しめた。
    また、会社に勤める百花の視点というところからもお仕事エンタメという部分としてとても楽しめて面白かった。
    この後の、宝良sideも読んでいきたい。

    最後にこの小説をアニメ化したときの声優陣を自分なりにキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください。
    山路百花:安野希世乃
    君島宝良:小松未可子
    小田切夏樹:細谷佳正
    藤沢由利子:園崎未恵
    君島紗栄子:椎名へきる
    雪代和章:関俊彦
    志摩:榎木淳弥
    七條玲:上坂すみれ
    三國智司:杉田智和
    佐山みちる:小原好美
    佐山佳代子:平野文

  • どちらを先に読むのが正しかったのか分からないのですが、パラテニスプレイヤーの宝良の側から読みました。非常に感動的でティーン用の読み物にしておくのはとてももったいない傑作だと思いmした。
    そして今回、宝良の親友百花の側から見た物語を読みました。こちらもまたプレイヤーを支える車椅子メーカー、そして親友を支えたいと思いながら、技術が追い付かず懊悩する百花の姿に胸の熱くなる名作と言って差し支えありません。
    百花焦り過ぎだろうという声も聞かれそうなくらい、宝良の成長に追いつきたいという思いが空回りしています。それを受け止める先輩もいい存在感を出しています。

    順番的には百花side⇒宝良sideかなという気がしましたが、どちらから読んでもばっちり感動出来る事間違いないです。

  • 車いすテニス。思わずネットで動画を探して見まくりましたよ。
    すごいとかすごくないとか、もう、言葉がないくらいすごすぎますわ、この競技。
    車いすを操作してボールに追いつき、あるいはボールの行方を予想して先に動き、そして止まり、打つ。
    全身で、打つ。身体が車いすに固定されているのだから通常のあの文字通り全身を使って打ち返すのとは違うのだけど、それでも「全身で打つ」としか言いようのない動き。これはもう言葉にできないほどのすごさだ。
    そんな車いすテニスを余儀なくされた同級生のために、車いす製造会社へ就職した一人の少女の物語。
    読む前から、モノづくり系でありスポーツ小説であり青春ものであり、と自分の好きな要素だけでできているのはわかっていたのでちょっと気合が入っていた。
    だがしかし、読み始めてすぐに、この主人公にイライラし始める。おいおい、ちょっと甘いんじゃないの、と。
    モノづくりってそんなに簡単なものじゃないでしょ、たかが一年やそこら働いたくらいでなに焦ってまえのめりになっちゃってるの、甘いよ甘い甘い、と。
    自力で歩けない人のための「足」である車いす。しかもスポーツのためのものとなればどれだけ繊細な作業と熟練の技が必要か。なぜそんなに焦る。もっとじっくり修行すりゃいいじゃん。
    その焦りの意味、そしてなぜ友達のためにそこまで熱くなるのか、その理由が語られてからイライラがおさまっていく。二人がめざすもの。その理由。そうかそうか、と見守る目が優しくなる。
    でも、私はたぶん今月出る『宝良side』のほうが好きだろうな、という予感。早く読みたい。

  • 若いうちから、やりたいこと、夢を見つけることができた百花が羨ましく思った。
    最高の競技用車椅子を作るという目標に向かって一心に突き進む百花に胸が熱くなった。
    いじめられっ子だった百花が宝良との出会いにより、自分を変えようと頑張ってる姿、夢を見つけた途端に強くなり邁進する姿が眩しい。
    これから百花がどう成長していくのか楽しみなので、続きが読みたい。

  • まず、車いすのこと、競技用車いすのことをほとんど知らなくて全てが新鮮でした。

    エンジニアの百花が未熟な自分に焦って悩んで自己嫌悪に陥ったりしながらも、一生懸命夢に向かって突き進む姿が眩しい。
    ユーザーに真摯に向き合い、とことん寄り添って車いすを作りあげる先輩エンジニアの小田切さんも本当にすごい。
    小田切さんの言葉には何度も胸がいっぱいになり目頭が熱くなりました。

    全編を通してすごく気持ちを揺さぶられる作品。それに心に響く言葉もたくさん!
    温かくて清々しい読後感でした。


    『テニスをしても、しなくても、自分の足で走っても、車いすで走っても、宝良は宝良だ。宝良が宝良であってくれればそれでいい。それだけでいい。けれど、願わくば、見つけてほしい。これからの人生を照らす、光を』

    『めざす背中は遠く、歩もうとする道はどこまでも果てしない。けれど胸の中に小さくかがやく道しるべを頼りに、ただ懸命に進もう。わたしだからこそ見えるものも、わたしだからこそできることも、きっとある』

  • 競技用車椅子を製造したいと言う夢を持つ主人公。
    無事に憧れの車椅子製造会社に就職する。

    中学からの親友がパラテニス選手として活躍しており、
    刺激しあい成長していく2人。

    とにかく真っ直ぐで素直に応援したくなる百花と宝良。
    序盤から涙、涙。

    電車内で読んでいたのだけれど、これは危険だと判断し
    自宅で一気読み。
    下巻を読んでしまうのが勿体ないような、すぐにでも読んでしまいたいような。

  • この本、北上次郎氏が推しているのを見て、新刊で出た少し後に中古本屋で見かけた時に買おうと思ったのだが、表紙を見て手を出すのをちょっと躊躇った。
    「おすすめ文庫王国2021」の第1位だったので、改めて探し直して、今度は購入。普通なら絶対買わないな。

    第1位の推しコメントの中に『途中から涙が止まらない』とあったが、まあ確かにウルウルするところは多かった。
    歳を取って涙腺が弱くなるのは如何ともしがたいが、そういうところを刺激する場面が次々と配された、ツボを押さえた作りではある。
    生きている間ずっと付き合い続けなければならない身体のハンデを負いながら、それを受け止めて生きる決意をした人々、本人だけでなく家族や友人や近しい人たち、に対する描き方も良い。

    テニスに限らず車いすで競技する人って確かに凄いなと思う。車いすを動かすだけでも大変だろうに、それをしながら球を打ったり走ったりぶつかり合ったり。
    そういう車いすスポーツの世界と、それを支える競技用車いすの製作の現場についても勉強になった。

    親友の宝良と約束し最高の車いすを作ることを目指して老舗の車イスメーカー・藤沢製作所に入社した百花、のストーリーはまあそれなり。
    社長や上司や先輩が全て良い人で良かったけれど、実社会ではなかなかそうはいかないぞ。
    小田切が何度もくり返す『その人の本当の気持ちに向き合う』『その人のために何が最善かを考える』というのは、仕事をする上ではとても大事なことだな。
    一度大きな失敗をしながらそれを糧にして変化成長し、そして今、後輩を指導する小田切の姿は、お仕事小説として良いところあり。

  • 車いすテニスの物語、というだけで即、手に取った一冊。実在する日本のスーパースターをモデルにしたと思われる選手たちも登場し、この人たちは本当にいるんだよ!と読んだ人に言いたい。競技をテレビで見られることはほとんどないが、車いすそのもののことなどもやさしく伝えてくれていて、イメージがわきやすいかなと思う。
    ハンデを背負ってスポーツをする人の中には、宝良のようにある日突然それまであった体を失ってしまったという人も少なくないのだと思うと、再び立ち上がるまでの意思の強さは並々ならぬものがあるんだろうなぁ・・・。
    それにしても百花は焦り過ぎというか気が早すぎて、そこはちょっとついていけなかった。技術職の2年目なんて、どう考えてもまだ初心者じゃないだろうか。

  • 先日読んだ「金環日食」が素晴らしかったので。手にとった3年前の作品。
    車椅子メーカーに勤める百花と言う女性の、友情と仕事に向き合う成長の物語。設定や百花の描き方はありふれた感がある。真面目一直線でもドジで泣き虫で、と言う設定。がスポーツ車椅子と言う未知の分野を垣間見せてくださったのは有難い。折しも国枝氏が車椅子テニスで感動を下さったばかり。読んで良かったと思えた。

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著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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