パラ・スター 〈Side 宝良〉 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087440911

感想・レビュー・書評

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  •  『パラ・スター』<Side宝良>編です。車いすテニスプレイヤー・宝良の視点で、<Side百花>編では無愛想な宝良の内面が、丁寧に描かれていきます。前編との視点の違いだけでなく、百花との置かれた立場・状況の対比が際立ち、興味深いです。

     百花にとって宝良は憧れ・ヒーローでも、宝良にも百花と同じように焦る気持ちや壁があるのでした。見た目の印象は、当然ながら決して本質を突いてはいないのですね。
     支える側の上に立って支えてもらうのが選手で、目立ち脚光を浴びるけれど、選手はいろんなことを背負って戦う訳で、やはり関係者を含めたチームだと思わされます。
     支える側、応援してくれる人、自分‥。全ての想いが重なり、大きなうねりになって高まっていく展開に引き込まれました。

     課題改善の練習方法、相手の試合運びの分析、対応・戦術の練り上げ、さらにクライマックスの試合は臨場感あふれ、手に汗握る読み応えでした。
     競技用車いすのメカニックへ興味が湧き、パリ・パラを別の側面から観る楽しみが増えたような気がします。何よりも、障がい者スポーツの理解・普及という点でも、本作の価値は高いと感じました。

     少女向けとかライトノベルなどと侮ること勿れ! どうしてどうして、深みのある秀作でした。百花編→宝良編の順に、2冊とも読むべし! オリだけでなく、パラも応援し楽しむべし!

  • 文句なしで本当に面白かった!!!。
    宝良の少し不器用で、でもテニスに対してはものすごいストイックなところがとても愛おしく感じた、そして前回の主人公である百花との友情がとても素晴らしかった。
    2巻通して感じたこととしては、今回の登場人物の多くが根から悪い人間がいないというところだと感じた。人生を生きる上で、どうしても悪い人間に出くわしたりそれによって自分の気分が害されたりすることが多々ある。ましてや勝負の世界ともなればそのような事は日常茶飯事だろう。しかし、今回の登場人物は口こそ悪いものの自分の信念を全うし(不器用なところは多々あれど)、戦い抜いているというところがこの二つの小説のキャラクター達にはある。そんなところがこの小説をより面白くする仕掛けなのかもしれない。
    最後にもし彼女たちの物語に続きがあるならば是非読んでみたいと感じた。

    最後にこの小説をアニメ化したときの声優陣を自分なりにキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください。
    山路百花:安野希世乃
    君島宝良:小松未可子
    小田切夏樹:細谷佳正
    雪代和章:関俊彦
    志摩:榎木淳弥
    藤沢由利子:園崎未恵
    君島紗栄子:椎名へきる
    七條玲:上坂すみれ
    ローラ・ギーベル:村川梨衣
    最上涼子:遠藤綾
    三國智司:杉田智和
    佐山みちる:小原好美
    佐山佳代子:平野文

  • 車いすテニスを舞台にしたスポーツ小説です。
    今までパラスポーツを題材にした小説って読んだことありませんでした。車いすでテニスってどういうものなのだろうかとyoutube見てみましたが、想像以上にスピーディーで驚きました。
    テニスで上を目指していた少女宝良が事故によって車いす生活になり、絶望の中でやはりテニスに活路を見出し、がむしゃらに進んでいく姿と、彼女の親友であり一番のファンでもある車いす制作に燃える百花の真っすぐな友情にぐっと来ざるを得ない名作です。
    感動させようと思って書いているわけではないシーンで、不意に胸が熱くなって間が霞んでしまいます。
    この本は車いすプレイヤー「宝良」サイドの一冊で、もう一冊は車いす制作側の「百花」の物語のようです。そちらもめっちゃ楽しみです。
    超攻撃的で勝気な宝良のキャラクターがお涙頂戴を拒否していて清々しい一冊です。

  • 百花編も良かったが、こちらもいい。

    もがいて苦しんで、それでも前へ進もうとしている登場人物たちがとても愛おしい。
    頑張れ、よく頑張ったね、と思わず声をかけたくなる。

    解説にも書いたあったが、泣ける箇所が何個かあるわけではなく、
    何かもう常に涙がじんわりとしているのだ。

    とてもいい本だった。

  • どこまでもクールビューティな宝良がカッコ良すぎる!
    世界一の車いすテニスプレイヤー玲との死闘は圧巻!
    百花と好対照。
    百花と宝良の関係がほんと泣ける。

  • いやぁ、宝良最高だ。熱い熱い熱い、クールなのに熱い。
    Side百花で感じたもやもやはひとかけらも残らないくらい吹っ飛ばされましたよ。素晴らしかった。
    百花が前のめりになって自分の実力以上のものを求める姿にちょっとイラついていたのだけど、宝良の側の物語を読むことで百花の高望みや焦り、そして無駄に大きな期待、そのすべてを飲み込めた。宝良に吹っ飛ばされた。
    百花編と同じような時系列で語られるのかと思っていたのだけど、宝良編は百花編の流れのまま続いている。
    とある事情で精神的に崩れ結果も出せなくなった宝良の復活の物語。
    二人が目指すその頂に君臨する七條選手との決死の戦い。そのすべてがすさまじい。まるで目の前で試合を見ているような臨場感。サーブを打つ時の彼女たちの声や、流れる汗、ふり抜かれるラケットが空を切る音まで感じられるようだ。
    決勝戦前の眠れない二人の邂逅。語れれる思い。美談だけで終わらせない現実も描かれる。
    死闘、としか表現できない戦いを終えた二人の姿、そしてそれを見守っていた百花たちの言葉に、そして七條に救われた宝良と同じく宝良に救われたみちるの手紙に涙が止まらない。
    感動の涙?いやそんなわかりやすいものじゃない。障がいを持つ人も持たない人も同じように、一緒に当たり前に暮らす、ということ。パラ・スターが特別じゃなくなる日、そんな日がきっと来る。

  • side百花に続き熱くなりました
    面白くて一気読みしました

  • 車いすを作る百花と車いすテニスでパラリンピックを目指す宝良。二人の友人としての関係性や車いすや車いすテニスを通して感じるそれぞれのこと。人に寄り添うことや、その人の気持ちを想像すること。一歩踏み出して欲しいという願いと、わかってても踏み出せない一歩。その時間の二人のやりとりがとてもいいしそれを乗り越えた後の展開やラストの50ページほどの試合のシーンは圧倒されてしまう。〈Side百花〉〈Side宝良〉どちらも本当にいい小説。

  • 読み始め 2021.8.7
    読み終わり 2021.8.21

    パラ•スター(Side 百花)の続きで読んだ。宝良の視点メインで描かれている。高2の時に事故で下半身不随となった宝良が東京五輪に出場するまでの、軌跡を書いたスポーツ小説。テニスの試合の描写が事細かに書かれていて、リアルだったし、幼馴染2人の会話や宝良とコーチとのやり取りは感動する場面もあった。お気に入りのシーンは、雪代コーチと宝良がコンビを解消する場面。雪代コーチの病気をきっかけに雪代から志摩コーチに代わるところ。宝良は幼い頃から雪代の元で教わってきたから、すごく辛い別れだったのだと思う。しかし、雪代とは別の視点から教えてくれる志摩を信頼して、練習して、物語終盤のジャパンカップでは七條との熱戦を繰り広げており、すごかった。

    とにかくたくさんの感動をもらった1冊だった。

  • 最強の車いすテニス選手になると決めた君島宝良。
    最高の競技用車いすを作ると決めた山路百花。
    <side百花>が文字通り百花から見た日々に対し、
    <side宝良>では宝良から見た日々が描かれる。

    交通事故に遭って下半身不随となって数年で、
    車いすテニス日本ランキングの2位まで
    宝良は駆け上る。
    傍から見ると”順調”に見えても、
    当人にとっては輝きばかりではない。
    苦しくて挫けてしまいそうな日々だ。
    敗北の恐怖に苛まれ逃げ出したくもなる。

    車いすの生活の大変さも描かれる。
    ただでさえその日々は困難なのだ。
    その上に世界中を転々として、
    テニスのトーナメントを戦い続ける過酷な日々。
    ライバルたちの姿が実像以上に大きく見える。
    観客や取材者の何気ない言葉が心を悩ませる。
    すっかり自信を無くし、
    コートに立つ意味を見失いそうにもなる。

    そんな彼女を救うのはコーチや仲間・関係者。
    ライバルたちも何かと刺激をしてくれる。
    そして何と言っても親友の百花の
    必死さ懸命さが宝良の心を目覚めさせる。
    互いに自分の道で頑張りながら、
    支え合う二人の姿がいい。

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著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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