下町やぶさか診療所 いのちの約束 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441697

作品紹介・あらすじ

東京浅草の医師が、武闘派女子高生と同居! 癌、妊娠、虐待等、病気や患者の問題に真摯に向き合う医師の切なくて温かい下町物語。

感想・レビュー・書評

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  • 池永陽『下町やぶさか診療所 いのちの約束』集英社文庫。

    シリーズ第2弾。東京の浅草にある診療所を舞台にした下町人情物語。

    本作に描かれる様々な人びとが抱える問題や事情は、全てがハッピーエンドで終わる訳ではなく、各々が精一杯のことをやり尽くした結果だと思えば各々が納得出来る最良の結果なのだろう。今回も難しいテーマを丁寧に描いており、最後まで読ませてくれる。

    浅草の診療所の大先生こと真野麟太郎が自殺未遂を起こした男勝りな美貌の女子高生・麻世を引き取り、一緒に暮らし始めて数ヶ月。母親の愛人に傷付けられてから頑なに心を閉ざし、ひたすら武術に没頭し、生来持つ才能を開花させる麻世。診療所に訪れる患者、麟太郎が通う『田園』の客が抱える大人の事情。そんな人びとと接するうちに麻世にも少しずつ変化が……

    まだ続きがあるのか……

    本体価格700円
    ★★★★★

  • 浅草で診療所を営む麟太郎が織り成す、下町の人情溢れる医師を描いたストーリー。

    麟太郎は、地元で慕われ、やぶさか先生、大先生と呼ばれている。そして、数ヵ月前から、母親の愛人に強姦され自殺未遂をおかした麻世をひきとって一緒に暮らしているが、彼女はグレていた過去もありながら、人の本質を直感で見抜くような不思議な力を備えている。

    この二人が、何かと問題を抱えた患者に対し、心のケアをしたり、時には切った張ったの世界にも乗り込むくらいの勢いでおせっかいをやいたりする話が描かれていて、ホロッとくるシーンもあるものの、任侠っぽいキャラクターや事件が too much。

  • 文庫で読む 医療小説「下町やぶさか診療所 いのちの約束」池永陽著|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/283574

    下町やぶさか診療所 いのちの約束/池永 陽 | 集英社の本 公式
    https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-744169-7

  • 下町やぶさか診療所の続編。
    浅草の診療所を舞台に、医師麟太郎と訳あり過去の女子高生麻世が、下町の人々と触れ合う日々が、前作同様に描かれている。
    読みやすいが単調に感じて、次があっても読むかどうかは迷うところ。

  • 続きをこんな直ぐに読めるとは嬉しいし麻世が診療所に一緒に生活出来てることがまた嬉しい。1番最後にお母さんとのやり取りがあったけど、そのまま次回に続くのかな思うた。あれは前回の刺したとき麻世を殺人犯にさせない看護婦にさせたい為にで、ギリギリまで心が戦っていたから、外道の梅村、他にも色々な人間が出るし、まさか八重子さんに重い過去があったとは、気づかない大先生もいいし、鈍感だけど言ってる筋が通る人も良いな。先に出来事を書いて後から実はと内容を書く池永陽さん好きだ。綺麗事じゃない話も好きだ

  • このシリーズ、口調のせいか何だか入り込めません。
    治さんは…アウトでは???

  • 今回もやりきれなさや切なさを感じる話がたくさん(T-T)全てが幸せな終わりになるわけでは無いけれど、なぜだか心が温まる(^^)辛い経験をしてきた麻世ちゃんも、これからは心を癒しつつ素敵な女性に成長していくんだろうなぁ(*´-`*)潤一には悪いけれど、私は米倉さん推し(^^;)最後に、かかりつけ医はやぶさか診療所で!(^-^)/

  • シリーズ第2弾。1作目の麻世の母親の起こした事件について「疑惑」に繋がり、最終章で何となく明かされる。しかし、本意は読み取れなかったかな。章介と診療所の看護師の八重さんの儚い恋。この話が一番良かったが切なくも悲しい結末だった。八重さんも章介も「待ち」の姿勢が叶わなかった。これも人生なんだなとしみじみ思った。麟太郎先生の気っ風の良さに惚れ惚れする。下町の人たちに頼られる様が嬉しい。麻世と米倉師範代との道場での稽古試合の迫力に読んでいても緊張するするほどだった。麻世が人間的にも成長していくのが楽しみだ。

  • 命は意外にしぶとい。
    しなやかに自らを改善治癒しようとする。
    でありながら、同時に脆い。
    失われる時にはあっけなく失われる。
    そして失われてしまえば、
    もう取り戻すことはできない。
    死は命よりもはるかにしたたかだ。
    下町のたまり場のような診療所、
    やぶさか診療所シリーズ第二弾。
    主役は意思、舞台は診療所ということで、
    生死のやり取りが引き続き行われる。
    救ったはずの生が、
    死から遠いと思われた命が、
    誠実に生きようが、必死に暮らしていようが、
    死は狙った獲物は逃さない。
    また生も、時に魅入られたように、
    死へと取り込まれていく。

    そんな生死の深刻さと裏腹に、
    物語の中では執拗に外見の美醜が語られる。
    企業ではハラスメント意識が高まり、
    メディアはコンプライアンスに震えあがり、
    子どもたちの間ではあだ名が禁止となる。
    深い交流より、
    当たり障りのないコミュニケーションを
    ベースとする社会では、
    美醜に関する表現・こだわりは異質に映る。
    一方で交流に際して、
    外見は重要な要素にある。
    人はそこを避けて他者と関わるのは難しい。
    モチベーションになり、
    ある意味、根源的な欲求たり得る。

    多様性は大事だけれど、
    率直な想いというものも大切に思う。
    ただ率直な発言によって、
    多様性の大事な部分が
    失われる可能性があることも事実。
    そして生と同じく、
    一度失うと取り戻すことは難しい。

  • 浅草の診療所医師真野麟太郎は、地域で慕われ大先生と呼ばれている。強くなるため道場へ通う型破りな美少女麻世と患者や家族に温かく寄り添う大先生。涙と笑い、切なく愛おしい人情物語。(e-honより)

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著者プロフィール

1998 年「走るジイサン」で第11 回小説すばる新人賞受賞。2002 年「コンビニ・ララバイ」で注目を集める。06 年「雲を斬る」で第12 回中山義秀文学賞受賞。その他著書多数。

「2021年 『おっさんたちの黄昏商店街 それぞれの恋路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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