泣きたくなるような青空 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 350
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442038

作品紹介・あらすじ

こんなご時世だけど、旅に出たい! そんな気分にさせてくれるエッセイ25編。ベストセラー作家・吉田修一の素顔が垣間見える。

感想・レビュー・書評

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  • このエッセイを読むと吉田修一さんを好きになる。
    と言っても過言ではないくらい、吉田さんの人柄のよさが伝わってくるエッセイだった。
    ANA機内誌連載をまとめたものらしい。
    かっこつけない自然体なところが『横道世之介』を思い起こさせる。そうそう、ちょこっと世之介の話も出てきて嬉しかった。
    旅での出会い。人との交流や土地の風景。何気ない出来事も旅先というだけで特別なものになる。
    あぁ、旅っていいなあ。

  • 吉田修一さんのエッセイ読むの、意外にも初めてかも。
    人間というものの切なさ、愛おしさが感じられる簡潔な文章はエッセイでも健在で、ああ吉田修一ってやっぱいいなあ、と思いながら読んだ。

    特に好きなのは『お盆・花火・長崎』。
    長崎ではお盆に墓場で花火したり、精霊流しで100本以上も爆竹を鳴らすのは初めて知った。故人を賑やかに送るの、楽しそうで、どうしようもなく切なくて、最高。

    吉田修一さんは、盛大な爆竹と共に精霊船を流し終えた後、宴会に向かって、高揚と虚しさが入り混じったような足取りで歩きながら、亡くなった家族や友人のことを話すのが好きだそうで、それもすごくいいなあと思った。

  • 飛行機はANA派なので、何度も空の上で『翼の王国』の中のこのエッセイを読んだことがある。
    旅のエッセイを読むと、やっぱり旅心がついちゃうな。
    息を飲むようなヨセミテ国立公園の空気、
    それから、長崎の精霊流しの夜、
    私も感じてみたい…。

    著者の小説にまつわる短編も多く、楽しめた。
    『路』を読んで台湾に行きたくなったこともあったなぁ。

    読み終わった時なんとなく、旅の終わりに感じる「あーあ。終わっちゃった」という気持ちになっちゃって、自分でちょっと笑ってしまった。

  • 旅で出会ったこと、近くの街の風景…その時に感じたことを、こんな風に豊かに書き留めておけるって素晴らしいですね。

    • アールグレイさん
      koalajさん、初めまして!
      ゆうママと申します!フォロー頂きありがとうございます。私もフォローさせて頂きました。
      どうぞよろしく♪koa...
      koalajさん、初めまして!
      ゆうママと申します!フォロー頂きありがとうございます。私もフォローさせて頂きました。
      どうぞよろしく♪koalaさんは、お若い方でしょうか?私はママというよりもうオバさんです。(>_<)嫌わないでね。koalaさんの本棚を見せて頂きました。バラエティーに富んでいますね!私は、小説専門です。今度は何か読みやすい・・・連作短編集などいかがでしょう?私は今、湊かなえの再読中です。この本レビューが書きにくそうです。高校生の部活の話です。koalaさん、GWに本を読む予定はありますか?
      \(^_^)/
      2021/04/29
  • 日曜の夜に一気読みしてしまった。
    エッセイなのに横道世之介を読んでいるかのようだった。世之介は著者そのものなのか!?
    何だかキャンプとか屋外で夜風に当たりながらランプの灯りで読みたい本だった。
    あまり旅行をできないが、本で旅をした。
    いつか行ってみたいと思いを馳せながら…

    修学旅行で行った長崎、もう一度行きたいな。

  • 吉田修一(1968年~)氏は、長崎市生まれ、法大経営学部卒の小説家。芥川龍之介賞(2002年/『パーク・ライフ』)のほか、山本周五郎賞、大佛次郎賞、柴田錬三郎賞等の文学賞を受賞している。
    本書は、初出はANAの機内誌「翼の王国」への2012年10月号~2016年10月号の連載(25篇)で、2017年に単行本で出版、2021年に文庫化された。また、作者の「翼の王国」への連載は2007年4月から始まり、これまで『あの空の下で』、『空の冒険』、『作家と一日』の3冊が出版・文庫化されており、本書は4冊目になる。(5冊目の『最後に手にしたいもの』も2021年2月に文庫化予定)
    私は、既刊の3冊も所有しているが、実は本棚の片隅で積読状態である。というのは、2019年に、ビジネスの関係で海外の短距離フライトに乗る機会が急激に増え、その時に読もうと思って、2019年末に3冊まとめ買いしたのだ(短距離便には個人モニターが付いていないため、とにかく退屈である)が、昨年1年はコロナ禍のため全く飛行機に乗る機会が無くなってしまったのだ。
    本書は、帯に書かれた「今年こそは旅に出たい!まずは“読む旅”をお楽しみください」というフレーズを見て我慢ができず、思わず自宅で読んでしまったのだが、体の移動の自粛が続く中で、心は(わずかながらも)軽くなったように思う。
    作者は「文庫版あとがき」でこんなことを書いている。「基本的に旅情をテーマとしたエッセイであるから、旅先のスケッチが多い。・・・そこには人や場所との出会いがあり、人や場所の匂いがあり、人や場所の声が聞こえ、人や場所の手触りがある。そして今回、なによりも驚かされたのが、そうやって日々の旅を続ける自分自身が、この旅が続くことに、なんの疑いも持っていないことであった。今回、改めて一編一編のエッセイを読み返しながら、台北や博多の屋台にいる自分や、沖縄やスイスの青空の下に立つ自分に、こう言ってやりたい気持ちにあふれる。「お前は奇跡の中にいるんだぞ」と。お前は日々、奇跡の上に立っているんだぞ。だからこそ、こんなに空は青く、風は清らかなんだぞ、と。」
    コロナ禍があったからこそ、我々は、旅のできる日常が当たり前のものではないことを知った。そうした意味で、貴重な体験だったとも言えるのだが、今はただ、一日も早く、心置きなく旅ができる日々が戻ってくることを祈るばかりである。
    (2021年1月了)

    (2021年1月了)

  • ANAの機内誌に連載されているエッセイ。
    さっと読めて、ちょっと旅に行ったような気分になれる。

  • 表紙カバーに惹かれた。吉田修一さんだからこのタイトルでの小説本もありそうだけれどANA機内誌連載エッセイ集の5冊目。本作と同時にもう1冊一緒に出ているそう。旅行行きたい欲がちょびっと満たされる内容だった。吉田さん出身地の長崎、台湾、スイス、ペルヘンティアン島、パリ、大阪などなど。吉田さんの交流も絡めて書かれたエッセイは時より切なかったり共感したり羨ましかったりと楽しめた。スイスのベルンの街中の川下り羨まし~。因みに書名は沖縄の話のタイトルでした。今度行く時は必ず那覇空港の4階までエスカレーターで上ります!

  •  ANAの機内誌「翼の王国」で連載のエッセー、三巻目。

     スッと読めて、頭からまたスッと出ていく軽い読後感が機内誌にちょうどいい。
     その頭に残らないなかで、ふといつかなにかの表紙で思い出すことがあるのだろうか。
     
     旅と人にまつわるエッセー集。

  • 国内外問わず、旅に行きたくてたまらなくなる本。旅の楽しさや美しさだけでなく、切なさも感じられます。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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