- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087442465
作品紹介・あらすじ
関東大震災発生。横浜刑務所は囚人たちを24時間限定で“解放"することに決めた。彼らの戻りを信じて。ノンフィクションノベル。
感想・レビュー・書評
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1923.9.1 関東大震災時、横浜刑務所で囚人たちの安の為、完全解放処遇を決断した。
囚人たちが、戻ってくると信じていなければできない決断であっただろうと思う。
そして、彼らも24時間の解放の中、何を思い行動したのか…そのまま逃げるという選択もあったはず。
災害に直面してなお、人間らしさを貫いた人たち。
それは、信じることの大切さであったのだろうか。
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坂本敏夫『囚人服のメロスたち 関東大震災と二十四時間の解放』集英社文庫。
未曾有の大災害の中、究極の決断と人と人との信頼関係を描いたノンフィクション。
こういう歴史の1ページがあったとは全く知らなかった。冒頭から関東大震災の迫真の描写が続く。当時の刑務所が煉瓦造りであったことを考えれば、如何に刑務所の被災状況が酷かったのかは容易に想像できる。囚人たちの命を守るために若き所長の下した前代未聞の究極の決断とそれに応えた囚人たちの驚きの行動。
1923年9月1日に発生した関東大震災。横浜刑務所の弱冠27歳のキャリア所長・椎名通蔵は倒壊する刑務所を目の当たりにし、囚人たちの安全確保のため、1,000人を超える囚人の完全開放処遇を決断する。開放の条件は1つ、24時間以内に再び戻ってくることだった。そして、夕闇の中の午後6時30分に囚人たちは一斉に一時開放された。
多くの囚人は定刻に戻ってきたものの、何人かは定刻に間に合わなかったり、行方知れずになったり。所長の椎名は囚人の完全開放処遇の責任を巡り、窮地に立たされる。
本体価格740円
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大正12年の関東大震災。甚大な被害を受けた横浜刑務所、火炎の迫る中、所長は囚人たちの安全のため、監獄法で定められた囚人の解放を命ずる。未曾有の大災害下、人の善が問われる感動作。
筆者は元刑務官。囚人を解放したことが流言蜚語を招いたとし、本省から糾弾された所長、事件の真相を長年にわたり探究した結果が本書である。
24時間という区切られた解放。震災の被害は大きく囚人たちに戻れない事情もある。自分の帰還と目の前の被害者を天秤にかける事態。
キャリア官僚の所長への反発、所長の失脚を図る本省職員。職員の反目を図りまた流言で囚人を惑わす。
多くの支援物資。囚人たちは荷役の業務に黙々と従事し、市民の信頼を得る。
災害ユートピアという概念がある。大災害時に短期間だが人は互いに協力するように遺伝子でプログラミングされているという。本書の話も正にそのスジ。人道的な所長の姿勢に感銘を受け、協力する囚人たち。
人の善意についてまた醜い部分について実に考えさせられる感動の一冊でした。 -
いもうと暴徒に襲われる→危機一髪で助かる!の繰り返し。
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タイトルに惹かれて古本屋で購入。間違ってなかった。
関東大震災の折、横浜刑務所から24時間の時間指定を設け前代未聞の全囚人開放。これが大きなテーマなのだが、メロスは囚人の妹だった。この妹を軸に、えがかれているのは37歳の若き所長の生きざま。囚人に対し、ただ真摯に、更生を願いためにやっかみを買い果ては戦犯として6年服役することになる人生を読ませて頂いた。
時代だねえ。
「こんなファンタジーある?」と読む人によっては思うだろうし、間違いなく「被害者」を生み出した「加害者」たる囚人に対しここまで美麗に書くことへの嫌悪を感じる人もいるかもしれない。ただ、これをドキュメントとして読むか作家(元刑務官)の緻密な長年の取材に基づいた小説と読むかで読後感は大きく変わる。
少なくとも私は一気に読んだ。ちらちら文語が変わったり、前後が交錯して何度かページをくりかえしたりもしたが、勢いはまったく衰えなかった。
「書きたいものを書く。突き動かされて」という作家の想いが伝わる作品を読む幸福。いや、面白かったっす。 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50248225 -
2023/09/02三読
2021/10/18再読
2021/10/15了 -
囚人の24時間解放はよくやったと思う。その采配に感服しました。信じる事の大切さを学びました。
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管理する人が素晴らしいから囚人たちの規範もあるのだろうけど、こんなことある?という思いが湧き上がるのを止められません。まるでファンタジー。悲しいけれど、性善説?はて?と首をかしげてしまうようなひねくれた世界にどっぷり浸りすぎなのでしょう。