読書は格闘技 (集英社文庫(日本))

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  • 集英社 (2021年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784087442472

作品紹介・あらすじ

武器となる読書術、読むべき書を呈示する、知的実践の書。

〈「読書は格闘技」という考え方に立つと、「良書」の定義も変わってくる。
普通、良書というと、書いてあることが正しいものであり、正しい考え方であると思われる。
しかしながら、書いてあることに賛成できなくても、それが批判するに値するほど、一つの立場として主張、根拠が伴っていれば、それは良書と言える。
私は筋金入りの資本主義者であるが、そうした立場からしてもマルクスは読むに値する「良書」と言えるのだ〉

心をつかむ、組織論、グローバリゼーション、時間管理術、どこに住むか、才能、マーケティング、未来、正義、国語教育の文学等々、今を生き抜くために知っておくべきテーマについて、立場の異なる「良書」を能動的に読み、自らの考えを新たに形成していく。
格闘技としての読書体験を通じた、実践的な力が身に付く読書術とは何か。各テーマにおける必読の推奨ブックリストも収録。

【著者略歴】
瀧本哲史(たきもと てつふみ)
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家。東京大学法学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルティング業に従事したのち独立。著書に『武器としての決断思考』『僕は君たちに武器を配りたい』(「ビジネス書大賞」受賞作)『武器としての交渉思考』『君に友だちはいらない』『戦略がすべて』など。

感想・レビュー・書評

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  • 著者は、「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、疑い、反証するなかで、自分の考えを作っていくという知的プロセスだ」と捉えて、読書を格闘技だという。
    そして、読書を通じて増えた知識が何かの判断の役に立ち、行動を変えることに繋がったときに最も読書の価値が生じると言い、ビジネス書などに限らず、児童文学や漫画も紹介されている。

    その中の未読の本、内容を覚えていない本など、また読みたい本のリストが増えた。。

  • 雑多な世界に立ち向かうために、インプットも雑多に!

    「読書」そのものに関する本は、タイトルで興味が湧きさえすればまず買うようにしています。そんな私なのでこのタイトルにはしてやられたといったところで、「読書」と「格闘技」という一見ミスマッチな組み合わせに一目惚れ。イノベーションを感じずにはいられないタイトルでした。読書そのものにあらたな価値を見出せるかもという期待を抱かせるいいタイトルだと思います。次にどんな人が書いてるかカバー袖の略歴を眺めてみる。1972年生まれ、東大卒の投資家で経営コンサルタント、そしてびっくりしたのが略歴のしめに2019年に逝去とあったことです。この文庫版は2021年の初版。すでに亡くなった人の著作を読むことは、過去の記録という本の性質上なんら珍しくないわけですが、なぜか今回は著者が亡くなっている可能性なんて1ミリも頭をよぎらなかったので驚きました。しかも数年前に47歳の若さで逝去されている。

    まずは前書きで、『紹介される本↔この本の著者である瀧本さん↔この本を読んでいる読者』の関係について述べられます。「組織論」「時間管理術」「正義」など、その時々のテーマについて別々のアプローチで書かれた2冊の本を著者が選んで対決させるのですが、著者は本同士の対決をさばくレフェリーでありつつ、書評でもってそのバトルに参加するという三すくみの構図になると言うのです。そして読者にこう告げます。「読者は観客で終わることを許されない」。この煽りで読者の気分をエキサイティングに盛り上げてくれます。読者は本だけでなく、著者の考えや視点にも睨みをきかせて戦いの輪に加わり、一対一対一対一のバトルロイヤルになるというわけです。書籍が持つメッセージを「著者が繰り出す攻撃」と著者が表したのには思わずニンマリしてしまいました。

    ただ本編を読み進めてみるとこれが格闘というほどでもなく、2冊を丁寧に比較しつつどちらも評価しています。単にブックレビューなんだけれどこれがすいすい読める上質な書評で、これはこれでアリでした。理路整然とした文章だけど、理屈に埋没して読みにくいなんてこともなく、軽やかで独特な魅力を感じられる文体です。

    投資家、経営コンサルタントといった著者の職業柄か、この本の中で取り上げるものはやはりビジネス書が多いですが、ジョージ・オーウェル『1984』などの小説、国語の教科書に載っていた『山月記』、『ハリー・ポッター』『しろいうさぎとくろいうさぎ』などの児童文学、はたまた超名作コミック・あだち充『タッチ』と守備範囲はかなり広いです。ビジネス書ばかりだと飽きそうだという懸念があったので、このラインナップには配慮を感じました。フタを開けてみればビジネス書のレビューについてもとても興味深く読めましたので、要らぬ心配だったんですが。

    いろんな種類の本を読むことが内面的に豊かになれる方法だと思います。森は多様です。一種類の植物しか生えていない、一種類の動物しか存在しない森なんてありません。読書によって思考の枝葉をひろげ、ツタを這わせ、時には枯らしながら、土を何層も何層も重ね、自分の頭の中の森を雑多に、豊かにするべき。ビジネスを通じて自分を成長させたい、世の中の新しい価値観を学びたい、できれば無駄なく知識を得たいという気持ちが強いあまり、そういった実用書ばかりを読んでしまうのはもったいないことだと私は思います。一見なにも実用的でない小説などが、漢方薬のように後々じんわりと効いてくることもあると私は思っています。逆もまたしかり、小説ばかりでも豊かにはならないでしょう。

    著者が前書きで引用した言葉でもある ”世界という書物を読破” するには、森以上に雑多である世界に立ち向かう準備が必要なのですから、これからも雑多に本を乱読(というほどでもないですが)していこうかなと思います。

  • インプットだけで終わらせず、アウトプットすることが大切とよく聞くが、具体的な方法が分からず、読書法について書かれた本を探している中で出会った一冊。いきなり骨太な本を選んでしまったと読み始めてすぐに気づいた。

    多読により自分で考える力を失っていくとするショウペンハウエルの読書批判に対し、読書を格闘技とすることで自分の考えを作る知的プロセスにしようという。

    格闘技というスタイルをより分かりやすくするためか、各トピックに対し2冊の本を取り上げ、対比させる。結論が一緒でもアプローチが異なる本だったり、想定読者層が異なる本だったり、対戦カードもさまざま。ジャンルや年代も広がりがあって、薄い本ではあるものの、著者の読書量を十分窺い知ることができる。

    自分の読書がどれほど受動的なものであったか気付かされた。内容が時代遅れだと切り捨てるのではなく、どこが古く、どこが新しいかを考えるための素材として格闘すべきという態度には、骨までしゃぶり尽くす勢いで読書していただろうかと反省。

    そもそも目的を持った読書をしてきていなかったので、まずは筆者のようにその本を読んで何を明らかにしたいかを事前に意識することから始め、自分の考えを深めていきたい。

  • 読書とは単に知識を仕入れることだけではなく、自分なりに解釈して常に批判的な視点を持ち続けること。瀧本さんはそのような読書との向き合い方を「読書は格闘技」と表現した。

    読書への姿勢とは別に驚いた点が2点。一つに瀧本さんの読書量が半端ない。学者としての側面もあるから当然と言えば当然なのかもしれないが、学術書だけでなく、小説、ビジネス書などいろんなカテゴリをカバーしている。

    もう一つは、読書のアウトプット。1冊の本から得られるものを無駄なく吸収して自分のものにしている。だからこそ的確な批判的思考ができるんだろう。

    quote:
    必ずしも読書で得た経験が明日からすぐに役立つ必要はないとも私は考えている。といのも、読書が「世界という書物を直接読破」する旅で、最も役立つ瞬間というのは、何らか課題にぶつかったときに、「そういえば、大分昔に読んだ本にこんなことが書いてあったな」という、偶然に、一見無関係なことが頭の中で繋がったときだったりするからだ。

  • 読書術のつもりで読んだが、書評、読書術の実践とはこういうものでは、というお手本集だった。

    どんな本も、著書の置かれた状況を踏まえて読むと異なる読み方ができるという。正に文脈を理解する、ということになるのだろう。

    特に感心したのは後半。漫画や童話、子供向け小説をよくぞここまで解釈したな、という考察をされている。

  • 面白かったな。
    君主論とビジョナリーカンパニーの話とか。
    住むところで得られる利益が変わる話とか。

    疑って本と戦えって姿勢は好き

    わかる には膨大な途方もない努力(膨大な情報群に触れて、行動もする)とひらめき(見つめる鍋は煮えない なので放っておく)が必要って話にも繋がってくる気がする。

  • まず最新刊へコピペ)
    【before】この本を読む前の私は、これらのことを知りませんでした。
    【気づき】この本を読んで、これらについて気づきを得ました。
    【TODO】今後、これらを実行していこうと思います。

  • ついつい自分の興味関心のある(賛同しがちな)内容の本を手に取ってしまいそうになるが、扱っているテーマが同じであれば、正反対の(批判したくなる)内容の本も比較して読む事の重要性を痛感。ただし、論理や根拠が重要なので、それらがデタラメな単なるダメ本は除外するのは当然なのだが、その見極めは難しい。レビューサイトである程度は事前確認できるが、実際読んでみないとわからないし。

  • 読書への興味を奮起する内容かと思って読んだが、本の紹介だった。

  • 瀧本哲史さんの読書論。内容を読みながら、フランシス・ベーコンの影響を垣間見ることができる。コンセプトの抽出に才能がある。見習うべきは、概念の抽出の思考。

  • 2019年に逝去された瀧本氏の読書論。
    そのエッセンスを一言で述べるならば、「批判的に、そして、背景を理解して読書せよ」ということでしょうか。

    ・・・
    批判的にという観点では、テーマがあるとして、一つの見方を提示する書籍のほかに、正反対の意見・相反する意見の書籍も読んでみることを勧めています。そしてそれらについてあら捜しというか、論理のほつれ等に留意しながら読むように仰っています。

    一例としましては、『読書とは他人に考えてもらうことだ』と主張するショーペンハウエルの「読書について」、バーサス、『能動的に読み、著者と対峙して、それまでの自分のものの見方と比較することで、考え方を進化させろ』と説く本書「読書は格闘技」。

    まあ後者に軍配が上がってしまうのはやや手前味噌的な展開ですが、反対意見に耳を傾けることが苦手な私としては耳が痛い話でした。読書というのは単独作業で自己完結的ですので、このような反論読書ができればより幅広いものの見方ができるよなあと感じました。

    ・・・
    背景を理解して、という点については、換言すれば、本の成立背景や歴史的背景までをも読み込んで読書せよ、ということと理解しました。

    この点ではマキャベリの君主論の例が取り上げられています。曰く当作品は「マキャベリによる再就活エントリーシート」とのこと。クーデターにあい、上司に逃げられ、冤罪で収監され、晩年も失意のうちに亡くなったマキャベリ。そのような境遇の彼が再就職を狙い、過去の経験からルサンチマンと性悪論に依拠して「君主論」を書いたとするのならば、力強い独裁的君主の待望という極論として以上に「君主論」もよく理解できるだろう、というのです。

    こういう話を聞くと、今更ながらに世界史の勉強は非常に大事だなあと感じてしまいます。定期的に歴史に目を通しておかないとこのような話題にリアクションが取れませんね。

    もちろんそんな歴史の勉強なぞ気軽にできるものでもありませんが、それでも一冊の読書にとどまらず、ググって歴史背景確認する等の検証を行うなどすれば、より深い理解と読書体験が得られるのだろうと思いました。

    ・・・
    このような調子で、瀧本氏の視点で古典から児童作品までをも深読み・深堀りしつつ紹介し、読書指南を行う作品でした。

    テーマを改めて列記すると、読書、人心掌握、組織について、グローバリゼーション、時間管理、どこに住むか、才能、マーケティング、未来、正義、教養、国語教育、児童文学が語られます。テーマに沿って対照的な2作品を瀧本視点で読み込み、加えて参考文献がさらに各章6冊挙げられます。

    読書好きの人はこの本を読んだら「私も本を読みたい」となること請け合いです。ただ、ここまで批判的な読書ができるようになるまでには相当な訓練・時間・読書量が必要かと思います。要は相当真剣に取り組まないとたどり着けない境地にも見えます。

    それでもなお、やはり本書は読書のすばらしさを伝える良書だと思います。最近読書してないなあ、何か本が読みたいなあ、という方は是非読んでみてほしいと思います。新たな読書の地平が開けるのではないでしょうか。

  • 著者の本解説が面白い。なかなか難しくわからない部分も多々あったが、わかる部分その著者の言い回しが面白くその本を読みたくなった。そんな解説ができるのは、読書を単なる受動的に読むのではなく、反証して、自分の考えを作っていく知的プロセスを常に行っているからだと思う。

  • 書いてあることを鵜呑みにせず、自分で咀嚼して、時には反論もしながら(=格闘)読書すべし!という本。

    書籍紹介もあり気になる本が幾つか見つかった。

    個人的には11章山月記の感想が強く印象に残っている。

  • 読み方について再考。
    切り口の差異と、自分がどう捉えるか。

  • 故瀧本哲史氏の読書のすすめ本。著者が今まで読んできた本の中で良かった本をまとめている本。

  • 2022.01.28

  • 「書いてあることを鵜呑みにするのではなく、本当か?と疑いながら読んだほうがいい」と、今から25年くらい前に職場の後輩に言われましたが、「読書は格闘技」ということは、つまりそういうことです。

    私は著者と対話するように読むので、格闘はしないかな。
    「へえ~、そうなんだ」「マジで?」「それはちょっと違うんじゃ?」

    そしてこの作品は著者と読者の闘いだけではなく、同テーマで視点の異なる作品を闘わせます。
    例えばRound 8のテーマ『未来』。
    フランシス・ベーコンの『ニュー・アトランティス』とジョージ・オーウェルの『一九八四年』
    ユートピア小説とディストピア小説。
    これらの作品に影響されて新たな作品が生まれることもある。

    対戦する2冊以外にもテーマに沿った本が紹介されていて、読みたい本が増える一方。
    しかし、待て。
    私にそれらの本を読む力があるのか?
    体力があるのか?

    だって『韓非子』とか『君主論』とか、すごく気になるじゃない?
    でも、読める気しないのよ…。
    しかしいつかはリングに登りたいと思うちょります。

  • ショウペンハウエルの『読書について』と主張は似ているのだろうかと思いながら読んで、ある意味では重なっていて、異なる点を上げれば「考えながらたくさん読め。そしてさらに考えろ」ということだろうか。
    本を読んで考えるのは難しい。読書したらその内容を頭の中にインストールしてしまうからだ。その時点で、「その内容は妥当か?」と批判的に立ち返るには独力では難しい。本について語り合う誰かが必要とされる所以だろう。
    しかし瀧本氏は良き方法を提示してくれる。それは、対立している主張内容の本をそれぞれ読む、という方法である。当り前に聞こえるが、中々実行しようと思わない方法だけに、そうだよなぁ、としみじみ感じる。
    これはリテラシーに繋がる意識にも思われる。鵜呑みにしない、批判的に見るというのはただ単に読んだり見たりしているだけでは身につかない。リテラシーの意識は、リテラシーを引き出す方法からもたらされるのではないだろうか。

  • 同じテーマで悩む人でも、どんな本が刺さるのか、複数の視点で面白い。

    文章を一読しただけで、瀧本さんのアタマの良さがすぐに滲み出てくる様も、不思議。

  • 書店でちらちら目にしてはいたものの、長らく手を出せていなかった瀧本さんの本をここに来て読みました。
    対立するようなテーマを扱う2冊以上の本を自分の頭の中で比較することで、自分ならではの視点を発見する…というのが、この本で語られている、本をただ読んだだけで終わらせない手法の1つなのだと思います。具体的な対立するテーマと参考になる本、著者自身の発見も分かりやすくまとまっていて、すごく読みやすいです。
    もっと本が読みたくなる本だと思います。

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著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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