金の角持つ子どもたち (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 281
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442526

作品紹介・あらすじ

突然、中学受験をすることを決意した小六の俊介。大人達は戸惑うが、やがてその頑張りに周囲も変化していき──。感動の長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 『問1 高さ5メートルの街灯の真下に、身長1メートル60センチの太郎がいます。太郎は毎秒1メートルの速さで、そこからまっすぐに歩き始めました。このとき街灯によってできる太郎の影の、先端の速さは毎秒何メートルですか』。

    えっ? ( ˙࿁˙ )ポカーン

    ブクログのレビュー史上初!、中学入試の算数の過去問題から始めてしまったこのレビューですが、あなたはこの問いに難なく答えを出すことができるでしょうか?このレビューを読んでくださっている大半の方は『中学受験』という年齢をゆうに超えられた方ばかりだと思います。そう、この問題の答えを出すのに日々遅くまで勉強を続けているのは、あなたよりずっと年下の子どもたちなのです。

    あなたは『中学受験』を経験されたでしょうか?ご本人が受験した、子どもが受験したとさまざまな形で経験された方は一定数いらっしゃると思います。一方でお子さんが産まれたばかりという方の中には、そんな未来もあるのかな?と漠然とした不安を抱く方もいらっしゃるかもしれません。そして、『子どもは遊ぶのが仕事なのだから塾なんて可哀そう』、『まだ子どものあなたたちを七時間も八時間も押し込めて、机に向かってひたすら勉強させる』という現実を肯定できないといった意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。主に首都圏を中心に年々高まる『中学受験』の割合は東京においては、いまや四人に一人という極めて高い割合に上昇しているといいます。あなたは、そんな『中学受験』というものにどのような感情をお持ちでしょうか?

    さて、ここにそんな『中学受験』にダイレクトに光を当てる作品があります。『おれ、中学受験がしたいんだ』。ある日突然にそんな思いを口にした息子を見やる母親視点で始まるこの作品。そんな息子が胸に秘める深い心の内を見るこの作品。そしてそれは、『中学受験』という試練を課せられた小学六年生の子供たちに、『未来を指し示す希望の光』、『金の角』が生える瞬間を見る物語です。

    『(お兄ちゃんまだ?私、もうお腹すいた)』と、『腰の辺りをぽんぽんと叩かれて』そこに娘の美音(みおん)の姿を見るのは主人公の戸田菜月(とだ なつき)。そんな時『玄関のドアが開く音』がし、迎えに出た菜月の前に『両方の目』から涙を溢れさせ『上がり框』に座る俊介の姿がありました。『おれ、選ばれなかった』、『トレセンのメンバー』と呟く俊介。『サッカーの日本代表になりたい』と言い続けてきた俊介がその第一歩と目指してきた『日本代表選手に』選ばれるための第一歩。そのメンバーに選ばれなかったという俊介に慰めの言葉をかける菜月に、俊介は思いもよらない言葉を語ります。『お母さん、おれサッカーやめる』、『このまま続けててもしょうがない』と言う俊介に『お父さんに相談してからじゃないと』と慌てる菜月。場面は変わり、夜になって父親の浩一が帰宅しました。『今日は二台売れたよ』と、『車の販売員』をする浩一は『弾んだ声』で菜月に語ります。一方の菜月は『俊介が、もうサッカーをやめるって言うのよ』と今日の出来事を話すと、『なに言ってんだ、今回選ばれなかったくらいで』と返す浩一。そんな時、『サッカーはもうやめる。決めたんだ』と俊介がその場に現れました。『決めたっておまえ。そう簡単なことじゃ』と言い返そうとする浩一に、『おれ、塾に行きたいんだ』、『おれ、中学受験がしたいんだ』と告げる俊介。『中学受験という言葉があまりに予想外』で動揺する菜月に対して、『なにが中学受験だ… 理由を作るなら、もっとましなもん考えろ』とため息をつく浩一。そんな二人を前に俊介は『お父さん、おれ本気なんだ。行きたい中学があるんだ。だから塾に行きたいんだ』とはっきりその思いを語るのでした。そして、『お父さん、お願い』と懇願する俊介に、『だめだ。無理だと言ってるだろうっ!』とボルテージが上がっていく二人。再度場面は変わり、夫婦の寝室で語り合う菜月と浩一。そんな場面で菜月は『中学受験、させてあげてもいいんじゃないかな』と語りますが、『先天性の難聴がある美音』を『聾学校じゃなく普通学校』に四月から通わせる等、不安な要素を抱え、また『私立中学に通わせる余裕』がない懐事情から浩一は否定的な意見に終始します。そして何日か後、再び夫婦で言い争っている場面に俊介が現れ、一冊のパンフレットを差し出しました。『東栄大学附属駒込中学校』、『日本で一番難しいんだって。おれも、ここを目指したいんだ』と真摯に語る俊介は『この学校は国立なんだ。だから学費がすごく安いんだ』とも補足します。そして、『お願いします、中学受験をさせてください』と頭を下げる俊介。そんな俊介が一年後の中学受験へ向けて塾通いをスタート、その本番へひたむきに努力を続ける姿が描かれていきます。

    『おれ、中学受験がしたいんだ』、『行きたい中学があるんだ。だから塾に行きたいんだ』。

    小学五年の二月、息子から予想外の思いを突然告げられ衝撃を受ける夫婦。そんなインパクトのあるシーンから始まるこの作品。今や首都圏を中心に年々増え続ける『中学受験』に光を当てていきます。受験というものに光を当てる作品と言えば、”合格という文字を見たとき、今までの自分の人生に起きたどんなことよりも強い喜びを感じた”というゴールを目指して小学校”お受験”のXデーへと突き進む母親たちの心の葛藤を描く角田光代さん「森に眠る魚」、”採点するヤツらは、他人の人生かかってるなんてみじんも思っちゃいない”という高校入試の運営側の視点で描く湊かなえさん「高校入試」などがあります。子供たちにとって人生で初めて迎える試練、そこには明確に勝者と敗者が生まれることもあって小説の成り立つ余地が生まれるのだと思います。”準備のために小学三年生の三月から進学塾に入った”と『中学受験』をされた息子さんをお持ちの藤岡陽子さん。そんな藤岡さんは自らの家族が体験されたその舞台を知る立場でこの作品を描かれています。

    そんなこの作品でまず挙げられるのは『中学受験』を描く中でその実態をつぶさに描いていく側面です。この作品の主人公は小学五年生の二月、つまり受験まで一年を切った時点で塾通いを始めます。藤岡さんの息子さんが小学三年生の三月からスタートされている通りこの作品の俊介のスタートは一般的には相当に遅い部類です。しかもそのきっかけがサッカーへの挫折と思われるところもあって菜月、浩一の二人は困惑します。

    『サッカーやめる理由を作るなら、もっとましなもん考えろ』

    『サッカーのことになると、人が変わったように熱くなる』夫の浩一。突然『中学受験』をすると言い出した息子に対する動揺もあってその反応はとても自然です。さらに『中学受験』には巨額の費用がかかります。

    『六年生は通常授業に加えてさまざまな講習に原則参加しなくてはいけなくなり、塾に支払う額は百万円を超える』

    そんな塾通いを乗り越えても

    『万が一、志望校に合格したとして、私立中学に通わせる余裕なんてどこにあるんだよ』

    現実社会は甘くはありません。『中学受験』が盛んになってきたとはいえ、どの家庭でも気安くその道に一歩を踏み出せる状況ではない格差社会の現実がそこにあります。さらに、この作品では、『先天性の難聴』があり、『聾学校の幼稚部』に通う妹の美音が『普通学校』の小学生になるというタイミングが重なります。小説だからこその設定と言えなくもありませんが、戸田家に突如訪れた試練の数々は、家族の面々それぞれに覚悟を求めていきます。『なんとか這い上がろう、遅れを取り戻そう』と懸命に机に向かう俊介、『少しでも稼がないと』と、負荷のかかる業務に異動を申し出る父親・浩一、そして兄の状況を慮り、健常者の中に一人慣れない『学童保育』の日々を送る美音。そんな家族の面々の中で〈第一章 もう一度、ヨーイドン〉で視点の主を務める母親の菜月は、自らの過去に起因する今を思います。『悪いけど、高校やめて働いてくれない?』不本意にも高校を退学させられ『中卒』として生きてきた菜月の複雑な思い。そんな菜月は『自分にも夢がある』とはっきりと口にした俊介の言葉に囚われます。『夢は夢。理想は理想。願って叶うこともあれば叶わないこともある』、そんな風に思う菜月は、『中学受験』の勉強漬けの日々を送る俊介を見る中に、そして義母が発した『可哀そう』という一言に迷いの気持ちも見せます。『テレビも観ず、ゲームもせず、外で遊んだりもせずに一日五時間も六時間も勉強する』日々を送る俊介。しかし、そんな中、俊介が発した『夢』という言葉に菜月はある考えに思い至ります。

    『本当に可哀そうなのは、夢を持てない大人になることじゃないだろうか。自分に自信が持てないことじゃないだろうか』。

    現実社会でも『中学受験』に対する意見はさまざまです。このレビューを読んでくださっている皆さんもさまざまな意見をお持ちだと思います。この作品では単純に『中学受験』を礼賛する立場は取りません。そのために立場の異なる人物にそれぞれの立場からそれぞれの意見を自然な場面の中に語らせていきます。『私はね、塾ってほんとに必要なのかなって思う』、『ここまで過酷な受験勉強をさせることに納得できない』と語る小学校の担任・豊田の視点。『塾にそんなお金かけてどうするの』、『子どもたちが可哀そう』と語る義母の視点。そして、『なあ俊介、なんで中学受験なんかするんだ?』、『うちの父ちゃんが、中学受験なんてなんの意味もないって言ってたぞ』と語る俊介の友人の視点。『中学受験』に乗り出した俊介の周囲の人物が見せるマイナスの感情は皆さんの中にも積極同意される方もいらっしゃるかもしれません。そして、藤岡さんはそんな物語の中で『中学受験』というものをさらに多角的に読者に見せていきます。それが三章にわたる物語の視点を章ごとに切り替えていく手法です。

    ・〈第一章 もう一度、ヨーイドン〉
    → かつて高校時代に『悪いけど、高校やめて働いてくれない?』と言われ『中卒』としての人生を生きてきた母親・菜月視点。

    ・〈第二章 自分史上最高の夏〉
    → 『あとどれだけ努力すれば、自分の前に座るやつらに追いつくのか。果たして追いつくことなど可能なのか』と遅れたスタートを取り戻すため踏ん張り続ける俊介視点。

    ・〈第三章 金の角持つ子どもたち〉
    → 『合格か不合格か、中学受験はそれだけではない』と確かな考えのもとに塾生に向き合っていく塾講師の加地視点。

    この視点の切り替えが物語に強く深い説得力を与えていきます。”私はこの物語で「塾活」に懸ける子どもたちの一途な心と、彼らを支える大人の本気を描きたかった”と語る藤岡陽子さん。そんな藤岡さんは、”子どもが目標に向かって努力する姿は、それがなんであっても(スポーツや芸術、囲碁や将棋、ほんとになんでも)大人にとっては眩しいものだ”と続けられます。私は個人的に以前からこの国を覆う不思議な感覚に疑問を抱いてきました。それが、スポーツや芸術に情熱を捧げる、生活の全てを捧げるといって良いくらいに打ち込む姿を単純に礼賛する一方で、勉強、受験にひたむきに取り組む姿を『可哀そう』とこちらも単純に非難する感覚です。これは、テレビや新聞の論調も概ねその姿勢が一貫しています。どうして、練習は良くて勉強はマイナス視点で見られるのか、どうして、試合に勝つことを目指すのは良くて、受験合格を目指すことはマイナス視点で見られるのか、これが、不思議でなりませんでした。子供たちが何に取り組むか、何に情熱を注ぐかは人それぞれです。スポーツだって、芸術だって単純に本人が好きだからということがきっかけとは一概に言えません。そこには、周囲がきっかけを与えたことに始まる場合もあるでしょう。それは、勉強、受験だって同じことです。この作品では、『自分にも夢がある』と語る俊介の強い思いをきっかけに物語が進んでいきます。その『夢』が勉強、受験の先にあることの何が問題なのでしょうか?スポーツや芸術に夢中になることは良くて、勉強に夢中になることはどうして否定的に見られてしまうのでしょうか?どうしてそこに一線が引かれなければならないのでしょうか?藤岡さんが語られる通り、”子どもが目標に向かって努力する姿は、それがなんであっても大人にとっては眩しい”ものです。子どもたちが『頑張る』先が何であるかに大人が色をつけるのは絶対に間違っています。この作品を読んで、今までずっと抱いてきたこの国に潜在する不思議な感覚に対して自分の想いが正しかったと確信を持ちました。

    『合格、不合格。そんな判定とは関係なく、あの子がここまで頑張ってきた時間が残る』

    そう、私たちが生きるすべての事ごとは必ずしも結果が全てではありません。それを否定してしまうと私たちの人生はあまりに虚しいものになってしまいます。

    『人は挑むことで自分を変えることができる』

    それは、この世に生きている限りあらゆることに言えるものです。それは、大人であっても、子どもであっても同じことです。自分を変えたいと思う気持ちが続く限り、人は決して負けませんし、決して老いたりもしません。この作品では、小学生だからこそ抱く素直で繊細な感情の中に『自分にも夢がある』という思いを大切にする俊介だけでなく、そんな思いを知って『次の誕生日で三十八歳になる自分が夢を持つなんてことができるのだろうか』と諦めの人生に入りかけていた母親・菜月の心が突き動かされていく様も描かれていました。そこに、塾講師の側から見る『中学受験』の視点が巧みに組み合わされるこの作品。『中学受験』を経験された方、『中学受験』をお子さんに考えられる方、そして『中学受験』にマイナス感情を抱く方、『中学受験』というものをさまざまな立場で考える多くの方々に是非一読いただきたい、この作品は『中学受験』を今こそ冷静に考えるそんな一つの機会を提供してくれる作品だと思いました。

    『六年生の夏休みは、人生で一度きりしかない』、思えば小学生という時間は天真爛漫に無邪気な時間を過ごせる人生最後の瞬間と言えるものかもしれません。私は『中学受験』というものを経験することなく社会に出ました。遊び放題に過ごした小学生時代を見やる立場から『中学受験』というものをマイナス感情の中に冷めて見ていた人間でもありました。しかし一方で、スポーツや芸術に夢中になることだけが礼賛される世の中にどうしても納得ができない思いも抱えて生きてきました。人の感情は千差万別であり、当然に絶対的な正解はないとも思います。しかし、この作品を読んで一つの解を得ることができたように思います。

    『頑張ってきた』その努力が報われる世の中であって欲しいと思います。

    『頑張ってきた時間』が次に活かせる世の中であって欲しいと思います。

    そして、
    『頑張ってきた』子どもたちの姿をあたたかく見てあげられる世の中であって欲しいと思います。

    『金の角はきっと、あの子たちの人生を守ってくれる』。

    しみじみと感じ入る物語の結末に、さまざまな想いが去来するのを感じさせてくれた、まごうことなき傑作だと思いました。

  • すごくよかったです

    子を持つ親ですが
    たくさんのことを教えてもらいました

    藤岡陽子さん好きだー


    長いネタバレ感想です


    中学受験を題材にした作品

    三章からなっていて
    それぞれ違う人物の視点で進みます


    最初は母親の視点から。
    理解のない夫や、毒親の元で育ち
    自分の将来をあきらめてきた背景など
    苦しくなる物語が続きそうな予感でしたが
    子どもの頑張り、母親の頑張りが
    環境を変えていきます


    ちょっとずつ変わっていく母親に
    いつからでも頑張れるんだと
    パワーをもらえる話でした。

    子どもの言葉には力がありますね
    義母とのやりとりは最高!
    勇気をもらいました!


    次は息子の視点。

    この息子がとてもひたむきで。。
    子どもが頑張ってる姿って、泣けます

    こんなに頑張ってるのに
    なかなか成果が出なかったり、
    家族に負担をかけているプレッシャー、
    俊介が抱えていたものを知ると
    胸が苦しくて涙がとまりませんでした。。

    なのに周りは受験に対して
    後向きなことを言ってきたりする。
    本書にもあったけど
    スポーツを頑張ってる子のことは応援するのに
    それが受験になると揶揄するようなことを言ってきたりするのはなんででしょうね。

    やらされてるって勝手に大人が思うからでしょうか?
    こんなに頑張ってるのに、、、
    普通に応援してあげてほしい。


    最後は先生の視点
    加地先生がいいんだよなー

    ここはホントにいろんなことを教えてもらいました。


    例えば
    私は勉強ができなくても
    やりたいことをやっていられればいい
    と思っていたけど

    『勉強が苦手ならさせなくてもいい。
    ずいぶん後になってからだが、
    自分は両親のその考え方が
    間違いだったのだと気づいた。
    勉強が苦手な子どもでも、
    学力は上げてやらなければいけないのだ。』

    『なにも学ばずに大人になったら
    どんな未来が待っているのか。
    そんなこと、年を重ねた者であれば
    誰もが知っていることなのに、
    自分が楽になりたくて、
    面倒な現実から目を背けてしまった。』

    という言葉がグサッと来ました。

    子どもたちに武器を持たせてあげるために
    私も子どもを促していかないといけないんだなと反省。
    まだ子どもが小さいうちに本書に出会えてよかったです。


    子どもたちに
    『なんで勉強をしなければいけないか』


    今ならキチンと答えられそうです(^^)


    いつでも読み返せるように
    手元におきたい一冊でした

    • どんぐりさん
      bmakiさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      というか間違えました!私!
      以前レビューが消えてから
      下書きをして投...
      bmakiさん

      こんにちは!
      コメントありがとうございます(^^)

      というか間違えました!私!
      以前レビューが消えてから
      下書きをして投稿してるんですけど、
      手元におきたい一冊です。で
      終わってるつもりで投稿してたのにー!
      恥ずかしい!
      違うところに書いてたところを
      切り取って、なぜか張り付いたままになっていて
      なんか宣言してるっぽくなってて恥ずかしい!!

      えー修正しとこかな。。
      恥ずかしい。(まだ言う)


      藤岡さん、次は海とジイを狙ってます!
      2024/04/07
    • bmakiさん
      あ、そういうことありますよね。私も下書きしてから貼り付けているのですが、あれれ?何だこれ?って思ったことありました(笑)

      修正してしまって...
      あ、そういうことありますよね。私も下書きしてから貼り付けているのですが、あれれ?何だこれ?って思ったことありました(笑)

      修正してしまってください!私のコメントも削除してしまって大丈夫です(*^▽^*)
      2024/04/07
    • どんぐりさん
      bmakiさん

      ありがとうございますー(;o;)
      こっそり修正しました(^^)v
      (言ってる時点でこっそりしてない)

      コメントは嬉しいの...
      bmakiさん

      ありがとうございますー(;o;)
      こっそり修正しました(^^)v
      (言ってる時点でこっそりしてない)

      コメントは嬉しいのでそのままにさせてください(о´∀`о)

      私は受験させなくていっかーって思ってたけど
      本人の気持ちが大事だなって思ったっていうようなことを書きたかったのに、
      させません!!みたいになってたので
      bmakiさんのお陰で気づけてよかったです笑
      2024/04/07
  • ブクログの書評から知り合った本。
    ようやく読むことが出来ました。
    中学受験の物語。
    自分の娘の中学受験を思いだしました。

    小学6年生の俊介は、サッカーをやめて日本最難関の中学の受験を目指します。
    親から言われて受験するのではなく、本人の夢をかなえるために、受験するとのこと。
    うーん、その決意はすばらしい!

    そして、経済的に厳しいなか、応援することを決意する両親。
    そうそう、金かかるんですよね。
    なんだかんだでお金が出ていく(笑)

    応援する家族。
    心が折れる、なにげない友達や学校の先生からのメッセージ。
    俊介の持つ秘密。
    そして、最後の追い込み。
    俊介の挑戦の結果は?

    というところなのですが、本書のメッセージは結果ではなく、そこに至る過程、考え方。

    「人は望むことで自分を変えることができる」
    「12歳でそんな気持ちになれる中学受験に意味がないわけがない」
    「合格、不合格。そんな判定とは関係なく、あの子がここまで頑張ってきた時間が残る」
    「学力をあげて、この社会を生きるための武器をもたせてやりたい」

    俊介の決意と行動が、母親を変え、父親の変えて、さらに本人の人生を変えていく。
    スポ根ものと同様に、熱いものがこみ上げてきます。
    とくに、後半は電車の中で読まないほうがよいです。

    とってもお勧め。
    ブクログで知り合えてよかった。

  • 俊介が背負っているものが分かった時、さぞ辛かっただろうなと俊介を抱きしめたくなった。
    こんな健気な子供がいたら親は心配しながらも可愛くてしょうがないだろうなあ。
    俊介の事が心配で心配で、でも頑張れって応援したくなる本でした。

  • 藤岡陽子さんの本は5冊目。
    今までで一番よかった。
    「空にピース」も「満天のゴール」も大好きだけど、超えちゃいました。

    子供の頑張る姿って何でこんなに胸が熱くなるんだろう。
    もう、泣けて泣けてしょうがなかった。

    自分も母として、これからも息子たちがやりたい事はなんでも挑戦させてあげたいと改めて強く思った。
    (もうだいぶ大きいけど)

    菜月さんもよかったし、塾の加治先生もよかった。
    感動冷めやらぬ。みんな大好きだー。

  • 素晴らしい!一気読みでした。
    もっと早くにこの作品に出会えれば良かった。そしたら自身もそして子も、また違った今があったのかも知れないな。でも、結果論。
    感情を揺さぶられるシーンが沢山あって、どれも響く。子を持つ親達には一番読んで貰いたい。一般論と世間体、そして人間のエゴ。話すことってやっぱり大切だ。

  • この本もブクログで知り、書店で探して購入。

    東京の小学生のお受験小説。

    私のような田舎者で、しかも子供は2人とも社会人。こんなおばちゃんには全く感情移入は無理かもなぁ?と思いながらも、高評価の本だったので購入した。

    俊介は小学校6年生。
    ずっとサッカー一筋で頑張ってきたが、トレセンから漏れてしまう。
    幼馴染の2人は合格したのに、自分だけ、、、

    そんなある日、一緒にサッカーをしていた友人が中学受験をするという話を聞いた俊介。

    自分にも叶えたい夢があった。その為にも、日本一難しい中学を受験したい!この中学に合格して、叶えたい夢がある!

    親に頼まれて受験をするのではなく、自分の夢の為に受験を考える俊介。
    厳しい家計の中で、最大限応援する両親。
    そして、親身になってくれる塾講師。

    直向きな俊介の頑張りが胸を打つ。

    号泣まではいかないが、ほんわり心が温かくなる、とても良い作品だった。

  • ━…━…━…━…━…━…━…━
    1.感想
    ━…━…━…━…━…━…━…━
    出だしから了見の狭い父親が登場します。
    母親はそんな旦那に気を使う日々をおくっていて、いきなり、「うわっ〜」という、どんより感でしたが、そんな家族が、いい方向に向かっていくので、意外でした。

    さらに、また、親の稼ぎの問題で、子どもに影響が出るお話で、これも「またか…」という感じでしたが、これも、いい方向に向かっていく感じでした。

    私も、私の子どもたちも中学受験はしなかったので、中学受験の良さや、困難さは理解していませんが、努力する子ども達は、「すごい!』と感じます。

    『人は挑むことで自分を変えることができるんだ。』が、とても心に残りました。挑むことで自分を変えていく!なんて、かっこいい響き(^ ^)

    また、『勉強は努力を学ぶのに一番適した分野だ。学力は人生を裏切らない。到達点は人それぞれ違うものだが、勉強に関していえば、努力をすれば必ず結果がついてくる。』も、いいセリフ!
    勉強は人生に選択肢をもたらすものだと思ってましたが、勉強によって努力する能力を得ることができるよつになるのは、たしかに!と、思いました。
    年齢を重ねても、勉強をすることはできるから、40歳、50歳、60歳になっても、努力する力を成長させることができるかもしれないですね。

    勉強して、努力する力をつけて、挑んでいく。そして、自分を変え続けることが、よりよい人生をおくることに繋がりそうです。


    ━…━…━…━…━…━…━…━
    2.あらすじ
    ━…━…━…━…━…━…━…━
    小学校生の学びと家族の在り方を問う物語でした。
    頑張る子どもの頭には、金の角が生えてくる。
    (イメージ)


    ━…━…━…━…━…━…━…━
    3.主な登場人物
    ━…━…━…━…━…━…━…━
    【家族】
    戸田俊介 小5、サッカークラブ参加
    菜月  母、38歳、結婚14年
    未音 妹、先天性難聴
    浩一 父
    光枝 みつえ、浩一母

    【熟生関連】
    穂村倫太郎 親友
    辻森あかり
    宝山美乃里 No.1

    【講師関連】
    加治 塾講師、36歳
    直也 加治の弟、33歳、引きこもりだった
    猿渡 塾講師1年目、元教師

  • 中学受験のお話です。
    主人公の俊介は、自分の生き方を変えたくて日本最難関と言われている中学受験に挑む。
    まだ小学校6年生の子どもが『生き方を変えたい』なんて‥‥
    それほど思いつめ、罪の意識を持ち続けている俊介のひたむきな努力。
    「スポーツに励む子どもは無条件に応援されるのに、塾通いをする子どものことを世間が取り立てて賞賛することは少ない」
    確かにそういう風潮はありますよね。
    だけど、こんなにひたむきに頑張っている子どもたちの姿を見ていたらスポーツと同様に無条件で応援しないのはおかしいと感じます。
    そして、この作品は俊介、母親、塾の講師の3人の目線で語られています。
    息子の努力する姿をきっかけに自分も変わろうとする母親。
    勉強は大人になって働く時の武器になる、その武器を子どもたちに持たせてやりたいと思っている塾の講師。
    それぞれのひたむきな思いがズシンと響く、熱くそして爽やかな物語でした。

    • さてさてさん
      こっとんさん、こんにちは!
      私も読みました!
      同じ気持ちをレビューに取り上げられていてとても嬉しいです。お書きになられている通り、この国には...
      こっとんさん、こんにちは!
      私も読みました!
      同じ気持ちをレビューに取り上げられていてとても嬉しいです。お書きになられている通り、この国には、”スポーツに励む子どもは無条件に応援される”のに、”塾通いをする”、勉強に励む子どもを揶揄する感覚があると思います。TVの論調は概ねそうです。これ、ずっとおかしいと思ってきました。この作品に出会えて藤岡陽子さんが指摘される感覚に強い共感を覚えました。そして、こっとんさんも同じ感覚でいらっしゃるのを読ませていただいて、レビューを書くのに勇気百倍!になりました。お礼を込めてコメントさせていただきました。
      いつもにも増して、ありがとうございます!
      2022/09/10
    • こっとんさん
      さてさてさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      そうですよね!
      勉強でもスポーツでも音楽でも、子どもが一生懸命に取り組む姿に変わ...
      さてさてさん、こんにちは♪
      コメントありがとうございます。
      そうですよね!
      勉強でもスポーツでも音楽でも、子どもが一生懸命に取り組む姿に変わりはありませんよね。
      勉強だからかわいそう、スポーツだから清々しい、ではなく、本人が望んで取り組んでいるか、イヤイヤやらされているのか、そこが
      2022/09/10
    • こっとんさん
      すみません!途中で切れてしまいました!
      本人が望んで取り組んでいるのか、イヤイヤやらされているのか、そこが問題なのだと思います。
      本人が自分...
      すみません!途中で切れてしまいました!
      本人が望んで取り組んでいるのか、イヤイヤやらされているのか、そこが問題なのだと思います。
      本人が自分で決めたことならば、親は無条件で応援してあげたいですよね。
      そして、第三者がとやかく言うことではないですよね。余計なお世話なだけです笑
      2022/09/10
  • サッカーに挫折した小学六年生の少年が入塾し難関中学受験へ挑む話。
    家庭の事情で高校を中退した母と、勉強は苦手で体力勝負で営業職に就く父と、全聾だがハツラツとした頑張り屋の妹と暮らす。
    裕福ではない少年の家庭では、塾の費用を捻出するだけでも一苦労。母は自分が働き出すことで息子の望みを応援し、妹も兄が塾に通えるように学童保育に行くと宣言する。父だけが塾通いを反対していた。そんな父も、全力で頑張る息子の姿に心を動かされていき…。

    頑張る子の頭に生えてくるという金の角。きっと、みんな持っているんじゃないかな。ただ、それだけ全力で頑張れるものに出会えることってなかなかないことで。そして出会えただけでなく頑張り抜いたことは尊い。
    主人公の男の子の背負っていたものは大きかった。だけど、それをも自分の原動力に変えられたのは彼の強さだ。今後の人生においても絶対に生きてくる。全力で頑張った経験は、きっと自信になるし、かけがえのない思い出にもなる。だから結果よりも過程が大事なんだ。
    塾講師の加地先生がまた素晴らしい人で…。塾は勉強だけ教えるところという私の勝手な解釈を変えてくれた。目標に向かって頑張る子たちときちんと向き合う姿勢は学校の教師と変わらないように思った。
    あぁ、頑張る少年たちの姿に胸がいっぱい。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

藤岡陽子の作品

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