不審者 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.62
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本棚登録 : 1643
感想 : 151
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442922

作品紹介・あらすじ

長年行方不明だった義兄の登場。
崩れ始める、平穏だった家族関係。
ある一つの悲劇をきっかけに、
すべての景色は一転する。

会社員の夫・秀嗣、五歳の息子・洸太、義母の治子と都内に暮らす折尾里佳子は、主婦業のかたわら、フリーの校閲者として仕事をこなす日々を送っていた。
ある日、秀嗣がサプライズで一人の客を家に招く。その人物は、二十年間以上行方知れずだった、秀嗣の兄・優平だという。現在は起業家で独身だと語る優平に対し、息子本人だと信用しない治子の態度もあり、里佳子は不信感を募らせる。しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。それ以降、里佳子の周囲では不可解な出来事が多発する。

『代償』『悪寒』の著者が贈る、渾身のサスペンス&ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 夫、息子、義母と暮らす妻の里佳子。ある日21年前に生き別れたという夫の兄が現れるとともに、不穏な出来事が次々と起きる。表題名に隠されたサスペンスミステリ。

    振り返ると先週1週間は多忙の極みであった。
    束の間の休日、極力読書へ時間を割きたく積読棚を見つめ優先順位をつける。

    よし、ここは伊岡瞬の新作文庫だと直感。
    このやり場のない日頃のストレスと、あらゆる欲求を満たして欲しいと願いを込めて本作品を手に取った。

    表題名も装丁も、物語序章から既に不審感満載。
    そして、主人公の里佳子の職業が書籍の校閲という設定が良い。作品の中で作品の裏工程を垣間見せるなんて、小洒落ているではないか伊岡瞬。

    そして突然現れた義兄・優平。
    怪しさ満載のキーマン、落としていく伏線らしい行動・言動、時折差し込まれる情景&回帰描写に、フツフツと芽生える違和感…。だがしかし、ゾクゾクする違和感ではない。どうも設定に歪みを感じモヤモヤする方のやつなのである。

    この違和感の落とし前、どうつけてくれるのかと、先が気になり1日で一気読み読了。

    私の総括としては率直に、面白いとは言い難い作品であった。伏線と回収、どちらもワクワク感と納得感が等しく均しく得られなかったからだ。
    また、一読で理解させる内容とは思えず、かと言ってもう一度読ませるほどの魅力が、残念ながら私にはこの作品からは感じられなかった。


    敬愛なる伊岡瞬。
    次回に読み耽る作品では、きっと私をコテンパンにしてくれるに違いない。

  • 面白かったです

    個人的に
    【人間は自分がやられたら嫌な事を他人にする生き物】
    と考えてます
    ※悪口を嫌がる人は、結局裏で陰口を言い
    ※マウントとられるのが嫌な人は他人にマウントをとる
    ※今の世界もそうですが、奪われるのが嫌いな人は先に奪い取ろうとする

    とくに勘繰りを入れる人がよくいますが
    【その勘ぐっている内容は、その勘ぐってる人間の思考を公表している】と思ってます。
    簡単にいうと、その様なシチュエーションに陥ったりした場合にその勘ぐってる人はそれを選択するから思い付く。

    自分も時折そういう気持ちは生まれますが、その内容を自分に問いかけ それをしないように心がけるようにはしてます。
    出来てるかどうかは知りませんが(笑)

    そして勘ぐってる通りに相手が行動してても
    放っておきます

    やったことは、やった人に戻ってきますからね。

    そんな感じの内容でしたm(。_。)m

  • 義理のお兄さんが突然現れて…
    コイツなんやねん!って思ったけど…
    確かにサラリーマンには見えんオーラやろうな…

    また…騙されました(^◇^;)
    やはり、伊岡さん、面白い!

    平和な家庭を乱したとかになってるけど、何かそもそも根底は、乱れてたんちゃうの?って感じ。
    「リトル」って…どこがやねん!
    窮鼠猫を噛むっていうか…

    家庭が徐々に、不審者に崩されていくような展開に少しイライラしなから…
    何か、ハムスターとか、猫放り込まれたり、ちっちゃな事件で雰囲気持たせて…
    最後に「あれ〜!」やな。
    お見事でした〜!
    この家庭これからどうなるんやろ?…

    『お前が長く深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込む』
    『怪物と戦うものは、それが故に自身が怪物にならぬよう用心せよ』

  • 久々に新品購入。

    このところいい本に巡り会えなかった所為か?読書から少し遠のいていた。

    いや、違うな。
    呪術廻戦やら、進撃の巨人やら、Amazonプライムでアニメばっかり見まくっていた所為だ(笑)

    そしてその勢いでドラマなんかも見ていたから読書からすっかり遠のいてしまった(笑)

    そして今日新品で買ったこの本を手に取ったわけだが、一日にして一気読み。
    やっぱり本いいわぁ〜(*^^*)となった。

    フリーの校閲者として働く折尾里佳子は、食品メーカーに勤める穏やかな夫修嗣と、息子の洸太、夫の母親の治子と平穏に暮らしていた。

    里佳子の母親は健在だが、父親は昔釣りに出かけたまま失踪していた。

    そして、里佳子の姉も、父親の失踪したとされる川で自殺をはかっていた。

    ある日、里佳子の暮らす家に、夫がサプライズで客を招く。

    そこから、家庭に異変が起こり始める。。。


    うーん、良かった。
    終始ゾワゾワするこの恐怖感?期待感?

    朝読み始めて、続きが気になって仕方なかった。

    今日は午後から雨で、ずっと物語に没頭して読み耽ってしまった。

    夕方夕飯の支度をしなければいけないのて、一時読書は中断。

    夕飯を拵えて、家族でご飯を食べ、片付けを終えた後、また読書に没頭。

    旦那がテレビを見ながら矢鱈と話しかけてくるのがとても鬱陶しく感じられるほど、この本の世界に入り込んでしまった(笑)

    最近面白い!!好みだ!!って本に出会ってなかったからか?めちゃくちゃ楽しい一日だった(*^^*)

  • 読み進めるにしたがって感じるじわじわっとした恐怖感、そして違和感。
    何が起こるのかを期待して読み進めるサスペンスストーリ。

    ストーリとしては、
    夫、息子、義母と暮らす里佳子のもとに、突然現れた優平。二十年間以上音信不通だった夫の秀嗣の兄。
    そして、優平が居候することから、起こる不可解な出来事。

    優平はいったい何者なのか?

    里佳子の不安感。さらに、優平に対する疑心暗鬼の心が、読み進めていくうちにじわじわっと積み重なってきて、読み手である自分自身もざわついています。
    そして、そこには里佳子自身への違和感も感じて、もやもやしながら、なんだ、この感じは?って読み進めることになります。

    そして、明らかになる真実と結末!

    といった展開。

    これもイヤミスの部類なのかな。
    どちらかというと嫌いな部類の物語でした(笑)

  • ★3.5

    家族4人で平穏に暮らす里佳子の前に突然現れた1人の客。
    夫の秀嗣が招いたその人物は、20年以上音信不通だった秀嗣の兄・優平だと名乗る。
    しかし姑は「息子はこんな顔じゃない」と主張。
    不信感を抱く里佳子だったが、優平は居候することに。
    その日から不可解な出来事が続き……。
    家庭を侵食する、この男は誰なのか。
    一つの悲劇をきっかけに、すべての景色が一転する……。

    主人公の里佳子は在宅で校閲の仕事をしている。
    その里佳子目線で物語は進行していく。
    幕開けは里佳子が仕事に熱中している間に赤ん坊の突然死する。
    数年後…同じような名前の子供を大切に大切に育てている…。
    そこに突然の義兄の登場。
    里佳子目線では不審者以外の何者でもなく
    その里佳子の心そのものの様に読んでいて心がザワザワイガイガする。
    心がザワザワし続けるが結末が知りたくて読むのをやめられない。
    まさか…まさか実はこんな結末だったなんて。
    里佳子の様な人…そこまで極端ではないかもしれないが
    普通の人に紛れて沢山いるんじゃないかって思うととても怖かった。

  • 久しぶりの伊岡瞬。
    なんかこういう不穏な感じ…ああ伊岡…

    義母、夫、主人公である妻、幼い子供
    まあ普通の4人家族である。

    冒頭で生まれてすぐの子供が突然死した話から始まり、何年か後の話だとわかる。

    その普通の一家に夫が兄だと名乗る男を連れてくるのだが…

    読んでいく間ずーっと不穏で、小さな小さな事が家庭で起こり続ける中、次第に主人公の妻に違和感を感じます。

    結末はまぁ予想通りでしたが、いつボロを出すか気になってあっという間に読了です♪(´ε` )


  • 伊岡瞬『不審者』集英社文庫。

    これまでの伊岡瞬の作品とはひと味違う風合いのサスペンス・ミステリー小説。中盤まではイヤミスっぽい雰囲気でストーリーが展開するのだが、終盤に世界が一変する。

    様々な苦難を乗り越え、平穏な日常を過ごしていたはずの家庭に忍び寄る黒い影。エピローグに描かれた乳幼児の突然死は中盤で事情が明らかになるのだが、平穏な日常に忍び寄る黒い影は少しずつ濃くなっていく。『不審者』の正体は21年振りに姿を見せた夫の兄なのか、それとも……

    主婦業をこなしながら家でフリーランスの校正・校閲の仕事を行う折尾里佳子は、食品メーカーに勤務する夫の秀嗣、5歳になる息子の洸太、認知症気味の義母の治子と4人で都内に暮らしていた。

    ある日、夫の秀嗣が21年も行方不明だった実兄の優平を自宅に招く。起業家を名乗る独身の優平に対し、母親の治子は息子本人であることをなかなか認めず、里佳子は不安を募らす。しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。

    優平が居候を始めてから里佳子の周囲で少しずつ不可解なことが起きる。近所の家に猫の死体が投げ込まれたり、里佳子の車が何時もの停車位置から微妙にズレていたり、家計の予備費から5,000円が減っていたり、校閲を終えて送ったはずの原稿の1枚が消えたり……

    本体価格760円
    ★★★★

  • 突然現れた夫の弟「優平」を名乗る男。彼が現れてから不可解な出来事が次々に起こる。この男は家庭を壊そうとしているのか?緊張感が続くサスペンスミステリ。

    小さな事件(当事者にとっては小さくないか)がどんどん起こるから展開が気になってあっという間に読み終わった。
    途中から「あれ?」と思う事件がいくつか出てきて、最後は、あぁやっぱりか、と。それに、ずっと繰り返し出てくる言葉が気になっていたので、これも何かあるんだろうなぁ、とも思っていて。そんなふうに伏線というか気になることがたくさん散りばめられている。物語の中で優平が【靴の中に入り込んだ小石】と表現されているけれど、まさにこの小さな伏線や違和感が、靴の中の小石のようで。ずっともやもやしながら読み進めるのが楽しかった!

    伊岡さんにすっかりハマってしまったな。


    「気にしないでゆっくり眠っていいよ。大人になると、嫌なことがたくさん待っているからね。
    お外は風が吹いているよ。とても強く吹いているよ。」

  • ブクログを彷徨っていて
    面白そうだと思って買った本。

    以前にも読んだ作家さん。
    その時も登場人物に惹かれないなあ、と
    思っていたけれど
    今回も感情移入できる人物がいなくて
    どんよりした空気の中を
    読み進めていった。
    あまり没入できなかったので
    冷静に犯人を推理できた。
    優平が警察だったことは
    驚いたけれど。
    里佳子は一体何を守りたかったんだろう。
    仲良く穏やかに暮らしたいと言いつつ
    誰のことも信じていないように感じた。
    本当は全てを壊したかったのかな。。

    悲しい話だった。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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