短編アンソロジー 学校の怪談 (集英社文庫)

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本棚登録 : 146
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087443899

作品紹介・あらすじ

旧校舎のトイレ、通学路に蠢く黒い陰、校庭のすみの古い祠、そして、あなたの後ろにも……。気鋭の作家陣による背筋も凍る学校怪談6編。

感想・レビュー・書評

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  •  現在、活躍中のホラー作家を集めてのアンソロジー。

     あった、あったと思う話も多かったなぁ。

     面白かったです。

  • ゾッとする話はなかった。
    正体不明とか理不尽とか意外性とか、怖さには色々あると思うけど、
    この短編集はどれもイマイチ。
    怪談て、短編では難しいのかもね。

  • 「学校の怪談」小学校の話がメインかなと思ったが、舞台は様々。
    私は大人なので、「もう読みたくない」って思うほど怖いという話はなかった。学生の時に読んだら違ったかもしれない。

    いつもと違う通学路 / 瀬川貴次 [著]
     あまり怖くない。初心者向け。

    Mさん / 渡辺優 [著]
     思春期女子の悩み、ダイエットにまつわる怪談。最後のオチに使われた、ナントカ様を詳しく知りたい。

    七番目の七不思議 / 清水朔 [著]
     かわいい。

    軍服 / 松澤くれは [著]
     くどい。あまり好きじゃない。

    庵主の耳石 / 櫛木理宇 [著]
     櫛木理宇目当てに読んだが、このラインナップからすると異質。浮いてる。

    旧校舎のキサコさん / 織守きょうや [著]
     トイレの花子さん系。
    この短編集の中で一番面白かった。雰囲気〇。

  • 貴方の通う学校にもこわい話の1つや2つあるはずです。まことしやかに囁かれるおまじない。恐ろしい伝説。信じている人、信じていない人……。反応はそれぞれですが、今からお話しするのは、本当にあった事なのです。

    ***

    実は6/23日には読了していたこちらの本。ちょうど文章を書くことに食あたりの様な症状を起こしていた故に、投稿が遅くなってしまった。申し訳ない。 こちらの本は学校にまつわる怖い話達を集めたアンソロジー。6名の作家がそれぞれ怖い話を織りなしている良質なアンソロジーである。
    ほっこりすると思わせてオチが怖い話、最初からもう不気味な雰囲気マシマシの話など色々な怖い話が盛りだくさんで大満足だった。 お気に入りの話は「Mさん」、「軍服」、「旧校舎のキサコさん」。 「Mさん」は思春期にありがちな、体重で悩む女の子たちの間で囁かれているおまじない。南校舎三階のトイレ前にある大きな鏡の前で、Mさんに痩せるようにお願いをして、呪いをかけてもらう。無事呪われた人間はMさんの呪いによって痩せていうものだ。来る校内健康診断の体重測定に怯えるわたしと萌愛はそのおまじないを実行しようと約束をする。

    しかし、言い出しっぺの萌愛は約束の時間になっても現れず、わたしは一人で鏡の前に立っていた。鏡を見つめ、自分の容姿を見れば見るほど太っていると感じた私は、ひとりそのおまじないを実行したのだが……。 全体的にちょっとドロッとした雰囲気を抱える作品。思春期特有の体重に関する悩み、他人の容姿と自分の容姿を比較して、相手のことを笑ったり、自分の事を思い詰めたりする心模様。自分が常にグループの中で優位にあって、相手をいじる側でいたいという考えなどが絡み合っていて、おまじないよりも恐ろしかった。
    もちろん、おまじない(というより呪い)も読めば読むほどおぞましく、気持ちの悪い物なのだが、どんどん痩せるという観念に支配され、のめりこんでいく”わたし”が怖かった。彼女がこうなってしまたのは、もともとあった痩せたいという願望が呪いによって肥大化させられてしまった結果なのか、それとも、単純に呪われたせいでそうなってしまったのか……。”わたし”の行動を考えるに、前者の様な気がするが、そんなにも痩せることを願う少女たちをだしにして、呪いの根源の目的とはいったい何なのだろうか。

    「軍服」はある学校の演劇部が行った演目をめぐる怖い話。演劇部の伝統で10年ごとに行われる「戦争の悲惨さを伝えるため」の演劇。戦争によって引き裂かれた男女の悲哀の物語であり、まさに戦争の悲劇を伝えるにはぴったりの演目である。奥底に眠る、演劇用の軍服を引っ張り出した舞衣子はその衣装の出来の良さに感服した。役者を目指す舞衣子はたとえ学校の文化祭で披露する演劇であったとしても、全力で取り組みたい。その気持ちをさらに燃え上がらせてくれるような衣装を身にまとい、舞衣子は演劇の練習に挑んだ。
    しかし、当日まであまり時間がないというのに、練習中に様々なトラブルが巻き起こる。機材の故障、病気やケガによる役者の交代……。それは決まって軍服をまとった舞衣子が演技をしようとしている時に起こっている。文化祭まであとわずかであるという焦りと苛立ちを抱えながら、意地でも成功させようと必死になるが、そうすればするほどうまくいかない。それでも、形にしたいと願う部員たちはぶつかり合い、嫌な空気が流れ始めた。
    そんな中、軍服の出所が分かれば、問題が解決すると考えた舞衣子は単身調査を開始するが、先には恐ろしい結末が待ち構えていた。 これもなかな背筋がゾクゾクした話だった。土台にあるのは戦争が引き起こした悲哀に満ちた物語であるが、それはただの一面に過ぎず、裏には女の持つ執念が見え隠れする。ただ、それが悪だと思うかというとそうではなくて、愛し悔しという心だけがこの世に残り、わだかまり、年月をかけるごとに目的を失いかけたかわいそうな幽霊でしかない。
    やはり戦争が起きなければこの連鎖する悲劇は生まれなかったはずだと思わずにはいられなかった。しかし、その戦争の悲惨さを伝える役を担う演劇部の部員たちがひどい目にあっていくのはなんという理不尽だろう。真剣に演目に取り組み、形にしたいと願う彼女たちの事を考えるとやるせない気分になる、特に、役者を目指し誰よりも全力でこの演劇に取り組み、苦難を乗り越えようと頑張っていた舞衣子が可哀相すぎるではないか。結末は、どことなく美しさを含んだ切ない終わり方であったが、なんとも納得のいかない最後であった。

    「旧校舎のキサコさん」は旧校舎のトイレにまつわる怖い話。旧校舎三階の女子トイレには、トイレの花子さんならぬキサコさんがいるという噂がある。彼女を呼び出す方法は、トイレの花子さんを呼び出す方法に似ているが、追加されているルールによくわからない、矛盾した内容が記されていた。オカルト話はいまいち信じていない瑞稀は、凛音が得意げに話すキサコさんの伝説に否定的な態度をとってしまった。反応を間違えたと自覚したときには既にもう遅く、機嫌損ねた凛音に、そう思うのであれば、動画を撮ってきてほしいと頼まれてしまった。頼まれてしまった、といってもグループ内での地位が一番上の凛音のお願い事は命令に等しい。それを知っている瑞稀は自分の発言を後悔しながら、旧校舎に向かう。旧校舎のトイレのひっそりした雰囲気に少し気後れしながらも、撮影をする瑞稀。すると、不意に同じ制服を着ている女子生徒から話しかけられてしまった。そこから、妙な縁が生まれ何度かトイレの前で、女子生徒と落ち合うようになった瑞稀だったが、自分がとんでもない事に巻き込まれようとしていることには、まだ気づいていないのであった。
    この話が個人的には一番学校の怪談めいていたような気がした。旧校舎のトイレといういかにもいわくありげな場所。そこのトイレに住まうキサコという謎の少女。まさに、ザ・怪談というシチュエーションだが、最後まで読み進めていって、キサコさんの秘密にびっくり仰天。予想していた結末と全然違う真相で本当に驚いた。すごくよくできている話だと思う。なるほどなー!という感じ。途中までさわやかな雰囲気を湛える話だなと思っていたが、キサコさんの正体が知れた途端に鳥肌が立つ。まさにぎりぎりセーフといった感じ。もし、あの時主人公が悪戯心を芽生えさせ、言われるがままに行動していたなら……。と考えるとさらにゾゾっ。その瞬間から青春の色は消え失せ、今までの全てが恐ろしい事だったのだと思い知らされた。最後のセリフも純粋でありながら、なかなかに作品の怖さを盛り上げていたと思う。 様々な作者が書きあげた学校の怪談にまつわるアンソロジー。中には初読みの作者さんの作品もあってかなり新鮮だった。アンソロジーを読むと気になる作者さんが増えて積読がはかどってしまうのが悩みだが、いろいろな作品が楽しめるので、多分読むことをやめられないだろう。

  • 低年齢向けかなと思いました。

  • 学校の怪談アンソロジー。表紙が可愛い。でもって舞台は学校だし、執筆陣もラノベ関連の作家さんが多い印象なので、手軽にとっつきやすい一冊に思えます。が……案外と思ったよりも怖いですよこれ。学校ってほぼすべての人が通ったことがある場所なので、誰にとってもイメージしやすい場所だと思いますし。現役で通っている人にはさらにたまらないでしょうね。
    お気に入りは櫛木理宇「庵主の耳石」。やっぱり櫛木さん、いちばん怖かったです。ああほんと、この言葉は嫌だ。リアルにかけられたくない言葉だし、いちばん突き刺さってしまう言葉だと思います。松澤くれは「軍服」も、雰囲気にぐんぐん呑み込まれていく感じが恐ろしくて仕方なかった一作でした。
    清水朔「七番目の七不思議」は怖くもありながら、ほっこりさせられる一作。このラストは痛快でもあるなあ。案外怪異の方がまともだというのが、なんともいえません。

  • 一部にあった、いじめの話はあまり面白くない。
    子供の怖い話ってイジメが多くて嫌な話が多い。
    7番目の七不思議は、ハッピーエンドで良かった。

  • ホラー短編集ということで購入しましたが、怖いわけでもなく、話が面白いわけでもなく、あまり楽しめませんでした。

  • 櫛木理宇の短編目当てで読んだ。これは語り手が唯一学生じゃないんだけど、母と子の関係や、過去の思い出というところで良いホラー作品でした。あとの方はすべて初めて読みましたが、「七番目の七不思議」と「Mさん」が印象に残った。

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著者プロフィール

1980年イギリス・ロンドン生まれ。2013年、第14回講談社BOX新人賞Powersを受賞した『霊感検定』でデビュー。15年、第22回日本ホラー小説大賞読者賞を受賞した『記憶屋』は、シリーズ累計35万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に『SHELTER/CAGE』『黒野葉月は鳥籠で眠らない』『301号室の聖者』『世界の終わりと始まりの不完全な処遇』『ただし、無音に限り』『響野怪談』がある。

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