- 集英社 (2022年6月17日発売)
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感想 : 12件
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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784087444018
作品紹介・あらすじ
眼、鼻、腕、脚、胃……愛しい身体が恐怖の器官に変わりはじめる! ホラー小説ファン必読の傑作が新装版で登場。
みんなの感想まとめ
身体にまつわる恐怖と不思議が詰まった短編集で、廃屋の人体模型が語る12の物語が展開されます。各エピソードは、正統派のホラーからシュールなオカルトまで多彩で、著者の知識が光る雑学的要素も楽しませてくれま...
感想・レビュー・書評
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初めての本を読むのは楽しいことだけれど、ずーっと昔に何度も読んだ本にまた巡り会える。そして、また読めることがこんなにも嬉しいだなんて。
人体模型が語る、身体にまつわる12篇の短編集。
どの話もしっかりとした説明があり、のめり込んでしまう。古さを感じない。
特に好きなのは「なはびえ」想像してしまって気持ち悪い。「貴子の胃袋」ラストの一言にグッと詰まってしまう。憤るところ?笑うところ?
エピローグまで読んで思う。私もまだまだ話が聞きたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中島らも『人体模型の夜』集英社文庫。
大昔に読んでいるのだが、目出度く復刊したので再読してみることにした。
体の様々なパーツをテーマにした連作ホラー短編集の名作である。読んでみると内容を所々忘れていた。小気味良く、解りやすいので面白い。
中島らもというと、究極のアル中小説『今夜、すべてのバーで』、ホラー冒険小説の『ガダラの豚』などの傑作があるが、本作もまた傑作の1つに数えてもよいかも知れない。
『プロローグ 首屋敷』。不気味なプロローグ。エピローグで首屋敷の不気味な謎をどう回収するのか。頭のおかしい学者が造らせたという首屋敷と呼ばれる空家の地下室にたたずむ不気味にデフォルメされた人体模型。首屋敷が取り壊される前の最後の日に首屋敷に忍び込んだ少年が人体模型の胸元に耳を押し当てて聞いた奇妙な音。
『邪眼』。まるで実際に起きた怪異を描いたかのような小気味の良い短編。『邪眼』とは人に不幸をもたらす視線のこと。この時代であれば、まさかと衝撃を受けた結末も残念なことに今ではよくある話になってしまった。スリランカに赴任中の日本人商社マンの夫婦。メイドから妻の沙也加の胎内に悪魔が宿っていると言われた夫はメイドを解雇する。★★★★★
『セルフィネの血』。ミラージュのような二面性。物事には裏と表、二面背反があるのは世の常。長い旅の果てに主人公がたどり着いたセルフィネ島。天国のような島での暮らしを楽しむ主人公とナオミ。しかし、島の住人はここは天国などではなく、単に人が辛うじて暮らす場所だという。★★★★★
『はなびえ』。女性の怨念は恐ろしい。しかし、この短編に登場する男性も男性だ。鋭い聴覚と臭覚を持つ調香師の女性が、不動産屋のかつての恋人から紹介されたマンションに移り住むと、奇怪な音と臭いに苦しめられる。★★★★★
『耳飢え』。他人の秘密ほど興味をひかれるものはないが、興味もほどほどに。隣室を盗聴することを趣味に引越を繰り返す男の話。興味をひかれた隣の女性の部屋から聴こえる奇妙な会話の正体。★★★★
『健脚行 ―43号線の怪』。ほんのり悲しくも未来に光が見えるような短編。競輪選手を目指していた兄を交通事故で失った少年は自らも競輪選手を目指す。★★★★
『膝』。有り得るようで有り得ない不可思議な事実。この世にはまだまだ明らかにされない謎がある。手塚治虫の『ブラックジャック』に似たような話があったのを思い出した。真面目に働きたくない男が、一応の職業として人面瘡評論家を名乗る。男の元には時折、人面瘡を持っているから見てくれという人物が訪れるが、いずれも偽物ばかりだった。そして、ついに膝に本物の人面瘡を持つ人物が現れる。★★★★★
『ピラミッドのヘソ』。ピラミッド・パワーは、当時、まことしやかに語られていた未知の力。ピラミッドの模型の中にカミソリを入れると刃が鋭くなり、タバコやウイスキーを入れると味がまろやかになるという。本当かどうかは解らないが……二千億円を投じて新宿新都心にピラミッドを造った男。★★★★★
『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』。未発表曲というと心が踊る。8本の腕と言えば……オチもその通りだった。ジョン・レノンの未発表曲が見付かる。その曲を元に盗作したミュージシャンの運命や如何に。★★★★
『骨喰う調べ』。墓地販売を巡る顛末。墓地を販売する不動産屋の男に起きた悲劇。鰯の頭も信心から。★★★★
『貴子の胃袋』。中国のスーパーに行くとカエルや亀の類いが普通に食料品として売られているのに驚く。蛇や犬、その他の野性動物の専門店もあり、本当に何でも食べる民族なのだなと思う。テレビで中国の狗肉料理を見てから肉類を一切食べられなくなった女性。★★★★
『乳房』。ブラックギャグのような本当のホラーのような。女性霊媒師による降霊会。現れた幽霊には乳房があった。★★★
『翼と性器』。皮肉の利いた短編。ラストには映画『エンゼル・ハート』にも似た恐怖も味わえる。天使に近付こうと性器を切除した産婦人科医が遭遇したものとは。★★★★
『エピローグ 首屋敷』。人体模型から12の物語を聞き終えた少年はもっと聞きたいと言うと……
本体価格640円
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ことぶきジローさん、こんばんはー。
おもしろそうなレビューをありがとうございます。
そういえば、中島らもさんはまだ読んだことがありません...ことぶきジローさん、こんばんはー。
おもしろそうなレビューをありがとうございます。
そういえば、中島らもさんはまだ読んだことがありませんでした。
有名な方なのにどうしてかな?
本書を自分の中の”中島らも初読み本”にしようと思います。そのうちに、ですが。
『ガダラの豚』も良さそうですね(^^♪2022/07/06 -
中島らもさんはエッセイなども面白いです。『ガダラの豚』は確か3巻に分かれているので読むのに躊躇しましたが、読むと面白さに夢中になりました。本...中島らもさんはエッセイなども面白いです。『ガダラの豚』は確か3巻に分かれているので読むのに躊躇しましたが、読むと面白さに夢中になりました。本作、『今夜、すべてのバーで』『ガダラの豚』はお薦めです。2022/07/07
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2026年4月29日読了。中島らもによる、人体にまつわる12のホラー短編集。とはいえ読んでいる途中はそこまで「人体器官」が強調されている印象は受けなかった。既出の短編を中心にコンセプトでまとめた本なのかな?全体に漂うひんやりとした、都会的・空虚な感じの質感がたまらない。面白かった…!個人的には冒頭の『邪眼』『セルフィネの血』などのイヤーな余韻を残す感じが好みだが、ちょっといい話風の『健脚行 -43号線の怪』、どう反応していいのかわからないオチで終わる『貴子の胃袋』など隙のない・充実の内容。昔読んだ『ガダラの豚』もまた読み直してみたくなってきた。
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正統派な幽霊ものやサスペンス系のホラーもありつつ、オカルトや超常現象の趣味があふれた話にシュールな作品など、中島らもさんの表も裏も楽しめる短編集でした。らもさんの場合は正統派系も、ぶっ飛んだ系も、どっちも表なのかもしれないけれど。
正統派系だと嗅覚の鋭敏な女性が、新しく越してきたマンションの浴室の音と臭いに悩まされる「はなびえ」と、
盗聴が趣味の男が、隣室の女性が一人で誰かと会話している様子を聞いてしまう「耳飢え」が好きでした。
「はなびえ」は現象としては正統派なんだけど、そこに女性心理であったり、ラストの一言の皮肉が効いていて、単なる都会の怪談話でなく、都市に生きる女性の一面を照らしたような一編になっていると思います。
「耳飢え」は盗聴にはまる男の心理や設定が妙にリアルだし、隣の女性の謎も相まって引き込まれる話でした。ラストシーンのぞーっとさせる感じも描写の上手さとか、話の引き込み方の上手さを感じます。
「ピラミッドのヘソ」も個人的に好み。延々とピラミッドエネルギーの講釈を聞かされてると時は「この人は何を書いてるんだ?」と思うし「自分は今何読まされてるんだ?」とも思うけど、なぜか読めてしまうし、面白かった気もしてしまう。たぶん『ドグラ・マグラ』とか『黒死舘殺人事件』を面白く読める人は好きな話じゃないかなと思います。
同じ系譜で言うと「翼と性器」もその系統の作品かも。異様な告白と天使と悪魔をめぐる雑学が続く手紙は、ラストでなんとも言えない異様な展開に突入していきます。
「骨喰う調べ」もラストが好きです。この話は「お墓がああなったら面白いだろうな」という妄想一本で書いた話ではないか、とも疑ってしまうけど(笑)。あれをさらっと書くのが分かってるって感じがします。
オカルト趣味でいうと「膝」もよかった。人面瘡評論家というこれまたシュールな話から、ラストはいわゆる奇妙な味の雰囲気が楽しめる作品となっています。
他にも異国を舞台にした話であったり、ミュージシャンでもあった著者の心情が感じられる作品、ちょっといい話の雰囲気のひねったゴーストストーリーもあって、まさに変幻自在な作品たちです。
プロローグとエピローグの奇妙さも読者である自分が「人体模型の夜」に迷い込んだような気分にさせる、短編集ながらも一冊通して奇妙な世界観が最後まで持続する不思議な作品でした。 -
2022/9/14読了
廃屋の奇怪な人体模型が、各臓器をモチーフにした物語を語っていくという構成。全12エピソードはどれも著者の広範な知識に裏打ちされた“雑学”的な楽しみもあって、短くても非常に読み応えがあった。「もっと。話を」である。
個人的には、『耳飢え』が一番怖かった。 -
「家が呼ぶ」に「はなびえ」が載ってて、すごくよかったので他の作品も読みたくなり読了。
どの話も気味悪くてそれでいて人間の業のようなものが描かれていると思った。
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身体は喋る
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初の中島らも。
ホラー短編集。
ホラーの中で様々なジャンルに分かれているので飽きない。
読後もゾクゾク、ぞわぞわ、ヒヤーとまた違う怖さがありました。
単語のチョイスは少し昔に感じることもあったが、
ストーリーに古さは感じず、むしろ今よく耳にするような事が出てきたりします。
プロローグとエピローグ『首屋敷』
『邪眼』
『セルフィネの血』
『はなびえ』
『耳飢え』
『健脚行 -43号線の怪』
『膝』
『ピラミッドのヘソ』
『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
『骨喰う調べ』
『貴子の胃袋』
『乳房』
『翼と性器』
お気に入りは
『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
『骨喰う調べ』
かな。
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人体模型!
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2023年はこの本から!
ふと気がつけば、スナック菓子を1袋夢中で食べ終えてしまっていた…という時と同じくらい、軽妙洒脱な恐怖に無心でばりばりとページをめくり続けていた。怖い。
舞台や趣向の異なる怪しく魅力たっぷりな12の短編が、忘れ去られた地下室を介して立ち昇ってくる。それぞれの作品ももちろんだがプロローグ・エピローグが秀逸で、ちょうど少年と同様もっともっと、となっていた私は茫然自失で全裸になる寸前だった。ああ怖い。
去年読んでとても気に入った「家が呼ぶ」というアンソロジーに今作収録の「はなびえ」が入っていて、すごく面白かったので他の短編も読みたかった。
どれも面白かったけど、やっぱり「はなびえ」は凄い。
ほかにも「セルフィネの血」「膝」「耳飢え」が特に好き。 -
うまいなあ。皮肉な眼差しににやっとした。
著者プロフィール
中島らもの作品
