嫁の遺言 (集英社文庫)

  • 集英社 (2022年7月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784087444162

作品紹介・あらすじ

蒸し暑い満員電車。ふと、冷たい手が僕に触れた。それは間違いなく、数か月前に死んだ嫁の手だった──。感動の短編集、全7編。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集には二種類あると思う。
    もう終わっちゃったの?長編で読みたかったなぁと思うものと、読後ズーンと余韻が残るもの。
    この作品は後者です。これだから時々短編って読みたくなるんだよなぁと思わせてくれる一冊。
    七編の短編、どれも主人公はまぁはっきり言って幸せとは言えないんですよね。
    舞台も裏寂れて治安がよろしくないところばかり。
    どのお話も過去を振り返っていて、後悔していながらも、そんな自分を受け入れている。
    なんだか結局こんな小説や映画が好きなんだよなぁ。
    生きてると色々ある、でも大切な人って結局は人生で一人か二人‥‥そんなことを気付かせてくれる一冊。
    しばらくこの余韻の中に浸らせてもらいます。

  • この方の「うなぎ女子」読んだとき男性の作家さんだと思っていたのですが女性作家さんでした。
    羽毛布団の洗えるコインランドリーにシェラフを持ち込んでその待ち時間に読んでみようと思って短編小説借りてきました。

    どれも不器用でいじっぱりでじれったい。
    落ちない汚れみたいに余韻が残る7編でした。
    言葉足らずで、すれ違ってしまった人生なのに、
    ひとり勝手にそれでよかったって納得しちゃって疎遠になっていく、納得するまでどれだけの時間かかるのだろうか、待てない私にとっては無駄な時間に感じてしまうのですが、仕上がりまで70分とゆうわけにはいかなかった。まだちょっと乾燥しきれずに羽毛がだまになってるって感じです。
    残りは帰ってから読んだのですが
    最後の話には呆れてしまって、増山実著「ジュリーの世界」でも出てきた「カサブランカ・ランディ」ネタでたまらず涙目。高倉健も少々入ってますが寅さん成分のが多いです。
    トカゲの尻尾みたく切り落とされて何粋がってんだか時代を感じました。必要悪というのが成立するとすれば不必要善って感じです。

    ※「あの人への年賀状」と「あんた」と愛知県のでてくる話が2編ありました。なお「あんた」にでてくる名古屋競馬場ですが、港区泰明町にあったのですが2022年に市内から弥富町に移転してます。

    • つくねさん
      こっとんさん、こんにちは

      いつまでも余韻が残ってしまいますね!
      自分一人で納得しちゃってモヤモヤするんです。気持ちを隠して、それを察しろだ...
      こっとんさん、こんにちは

      いつまでも余韻が残ってしまいますね!
      自分一人で納得しちゃってモヤモヤするんです。気持ちを隠して、それを察しろだとか言っても感情にズレがあるから良くも悪くもとれるし、
      曖昧にするのが美徳って感じるなら、ナルシスト入ってて勘違いしてること多くある気がしたりです。
      2024/10/14
    • こっとんさん
      たしかにー
      モヤモヤが残りますよね〜
      ズレもあるしね〜
      あー難しい(>_<")
      人生は難しい(>_<")
      たしかにー
      モヤモヤが残りますよね〜
      ズレもあるしね〜
      あー難しい(>_<")
      人生は難しい(>_<")
      2024/10/14
    • つくねさん
      深く同意で人生難しいですね。
      気持ちのズレはありますよね。
      良い出会いだったかわかるのは過ぎてみるまで謎だもんね
      深く同意で人生難しいですね。
      気持ちのズレはありますよね。
      良い出会いだったかわかるのは過ぎてみるまで謎だもんね
      2024/10/14
  • 加藤元さんの作品を読んだのは、本書『嫁の遺言』が初めてです。

    本書は全7編の短編集ですが、そのどれもが「傑作」と呼べるほど粒ぞろいで、読んでいて息つく暇もないとはこのことでした。
    感想を一言で表現するならば、「凄い」という言葉が最適だろうと思います。
    心からの畏敬の念と、畏怖の念も覚える作品で、衝撃を受けながら読んでいました。
    少なくとも短編集に限ってとなれば、これほどまでに「凄い」と思わせられたのは、
    町田そのこさんのデビュー作である『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』
    以来です。
    *このような作品を読むたびに、小説家さんの作品への精励(畏敬)と、才能(畏怖)に頭が下がりますね。

    本書を買って読もうと思った切っ掛けは、いつものように本屋さんで物色していた時に、目に飛び込んできた『嫁の遺言』というタイトルと、「満員電車の中、ふと冷たい手が触れた。それは、死んだ嫁の優しい手だった。」という帯の文面でした。
    それもあってか、『嫁の遺言』以外の6作品にはあまり期待していなかったのが正直な気持ちでしたが、良い意味でその考えは浅はかであったことが分かりました。
    *加藤さん、出版社の皆さん、申し訳ありませんでした。
    このような出逢いがあるのも、本屋に行く楽しみのひとつですよね‼️

    さて、本書に収録されている7編は全て「傑作」であると先に述べましたが、その後の「あとがき」2編と「解説」がこれまた秀抜でしたので、最も心に残る文章を最後に抜粋します。本書を読みたくなること間違いなしだと思いますし、とりわけ、(私のように)町田そのこさんの作品が好きな方には届くのではないでしょうか。

    ・あとがき
    大人向けの「おとぎ話」を書きたかった。
    そこには鬼も悪い魔法使いも登場しない。その代わり、救いがたく悲しい不和の連続がある。さまざまな思いを抱く人間たちがいる。
    ありふれているようで、実際には起こりがたい「おとぎ話」が書きたかった。ひととひとがわかり合う、それだけのことが、現実にはどれほど難しいことか。
    ・・・
    以上、七編。どの物語も、ハッピーエンドとは呼べない。それだけの現実を背負っている。
    しかし、主人公たちは、みな、昨日よりほんの少し、優しいひとになっている。そして、それ以上に幸福な「おとぎ話」の結末はないと、著者は考えているのである。
    ・解説
    かつて、加藤元はこんな言葉を残している。
    「自分が本当に欲しいもの、そのために手放さざるを得ないものを、つらい選択の末に知ることができた人間は、結局、誰よりも幸福になれるのだと思う。それがいかに他人の目からは平凡でつまらない生き方に映っても。」
    本書に描かれている不器用ながらも一途に生きている人の営みから、まさにこの言葉の意味を感じてほしい。

    • こっとんさん
      best2625さん、こんにちは♪
      best2625さんのレビューがきっかけで本書を読みました。
      加藤元さんの本は『うなぎ女子』しか読んだこ...
      best2625さん、こんにちは♪
      best2625さんのレビューがきっかけで本書を読みました。
      加藤元さんの本は『うなぎ女子』しか読んだことがなかったのですが、best2625さんの本棚にたくさんの加藤元さんを見つけて、どのレビューも素晴らしく読破したい!と思わせられました。
      時間をかけて読んでいこうかなと思っています。
      これからもbest2625さんの本棚を参考にさせていただきます(*´∇`*)
      お付き合いの程、よろしくお願いいたしまーす(о´∀`о)
      2024/09/24
    • best2625さん
      こっとんさん、こんにちは。
      best2625です。
      私の拙いレビューに対して、過分なるコメントを頂戴し、いささか恐縮しております。
      と書きな...
      こっとんさん、こんにちは。
      best2625です。
      私の拙いレビューに対して、過分なるコメントを頂戴し、いささか恐縮しております。
      と書きながら、本心では、飛び上がりたいほど嬉しい気持ちで一杯です。
      とりわけ、「本書を読むきっかけになった」とのコメントは、ブクログを始めて、また、レビューを書いて、本当に良かったと心から思いました。
      最後に、私の方でも、こっとんさんのレビューと本棚を参考にして、これからの読書ライフを充実させていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします‼️

      2024/09/24
  • そうか短編集のそれも人間模様を描くことが得意なんですね。うなぎとか妙に味わいのある物語だと思うので。大人の童話はあんまりピンとこないんだが、ダメになってしまった夫婦間に親子間に世界だった。毎週日曜日の娘とのデートを取り上げる親父に自分が悪い事を未だに思うお母さんに、それでいいのかなと疑問に思ってしまう。娘の気持ちが一番なのに、親父の奥さんの為にだけとかなぁ、お母さんの辛い気持ちがひしひし伝わるってこと

  • 「(失礼ながら)ちょっと残念な人なんだけど、なんか憎めないんだよねぇ〜」「だけど友達だったらちょっと距離置きたいかも…」「いや、小説書くんだったらネタになるからむしろ友達でもいいかも」と言いたくなるようなキャラの人ばかり登場する、短編7つ。
    もしも私に小説家の友達がいたら、書かれそうなので我が家も要注意である。迂闊にペラペラ家のことを話すもんじゃないな、と少し気を引き締めようと思っている(幸いにも今のところ知り合いに作家はいないけど)

    私のお気に入りは『窓の中の日曜日』
    通勤電車で読んでいて、せつなすぎて軽く泣きそうになった。『きつねの窓』という本当にある童話は、調べてみたら安房直子&いもとようこで書籍化されている。これはぜひ原作の童話を読みたい。
    星を1つ減らしたのは、結末の展開が「ですよね、やっぱりそうなるよね」となったから。「すとんと落ちる」といえばそうなんだけど。

    加藤元という作家を知らなかった。男性だと思っていた。
    町田そのこの『52ヘルツのクジラたち』の感想を書いたとき、新規でいいねボタンを押してくださった人が本棚登録していた。「町田そのこが好きなら響くと思う」というような感想が書かれていたので、勢いで図書館で予約。

    取り寄せたものと表紙が違う。あれ?と思ったら、届いたのは「講談社文庫」。発行日を見たら、講談社文庫のほうが古かった。カバーの絵が違うだけなのに、感想を書くときにブグログの表紙を見比べて全然違う本を読んだ気分になった…。個人的には、講談社文庫の表紙のほうが『嫁の遺言』のストーリーに合っている気がしてちょっと残念。けど、登録しなおすのが面倒で、「読みたい」の登録をしたときのまま、こちらのISBNで感想を書くことにした。

    小説って、何のために読んでるんだろ?
    って時々思う。以前は現実逃避だと思っていた。今いる自分の世界を忘れて、本の舞台に没頭するのが好きだった。
    最近、気づけば親子関係の濃い内容を手にとっている。そうなると、自分の世界とつながってくる部分が多くなる。
    他人事のようでいて、どこか自分にも起きそうだなという予感があるような話。

    自分の人生は、一度しかない。
    色々読みたい本はあるけど、小説で「似たようだけど違う人生を体験した気になる」のもおもしろいかも、とちょっと思っている。

  • 7編の充実した短編集。どの作品も、身の上話を聞いているような感じがして、読みやすかった。人間模様が目に浮かぶようだった。

    『嫁の遺言』
    主人公が自分に話してくれている感じがして、すぐに話に引き込まれた。関西弁で語られる嫁のことを聞いているうちに、そんなこともあるかもしれないなあと思ってきた。最後はこの話を聞かせてくれてありがとうと言う気持ちになった。

    他、『いちばんめ』『あの人への年賀状』『不覚悟な父より』『あんた』『窓の中の日曜日』『おかえり、ボギー』

  • 7編の短編集、どれも読み応えありました。これといった展開があるわけではないけれどある人の人生をのぞき見したような気になったり。小説だから味わえるいろんな人の人生を体感した気になり短編でここまで味わえるのもスゴいと他の作品も読みたくなりました。

  • あまい恋、あの頃の爽やかな笑顔と甘やかな気持ち。みたいなそんなもんではなく、そんなんは少女漫画に任せておいてさ。でも、ミステリーほどおどろおどろしくなく。

    恨みはあるが、まぁ、許そうか。
    ゆるさへんけど、覚悟せぇよ。
    とか。仕方ないなぁ。とか。
    日常にあるほんの少しだけある、すれ違いや、行き違い、思い込み一端を掬ったような話ばかりで。

    誰もが身に覚えがありそうで無さそうで、ホント身近な心のチクリがストーリーになってるところが、たまらん。

    わたしの話かはたまた友達の話だったかな。
    そんな気分で読めます。

    人間、こういうことあるよね。だからさ、どんな人との出会いも宝物になるんかもなぁ。

    なんて、思う一冊です。

  • 不器用だけど、雑~に生きているようだけど、どこかに大切にしているものや事があって、必死にそれを守っている。人知れず。
    そんな「ダメな奴だけど憎めない」人たち。
    大事な仲間が残したメッセージのような本。
    いい本に出会えた。

  • 短編集。 
    好き嫌いが分かれそうだけど
    ワシは好きだった。特に1番初めの話。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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