- 集英社 (2023年1月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784087444735
作品紹介・あらすじ
美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか――?
「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。
【著者略歴】
湊かなえ(みなと かなえ)
1973年広島県生まれ。2007年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞、受賞作を収録した『告白』でデビュー。同作で09年本屋大賞を受賞。12年「望郷、海の星」で日本推理作家協会賞短編部門、16年『ユートピア』で山本周五郎賞を受賞。18年『贖罪』がエドガー賞候補となる。その他の著書に『夜行観覧車』『白ゆき姫殺人事件』『母性』『山女日記』『リバース』『未来』『落日』など多数。
みんなの感想まとめ
美容整形をテーマにしたこの物語は、主人公の医師が幼なじみとの再会を通じて、過去の悲劇に迫る心理ミステリーです。物語は、高校から不登校となった少女の自殺を巡る真相を、関係者との対話を通じて探求していきま...
感想・レビュー・書評
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あなたは、『痩せたい』と思ったことはないでしょうか?
時代が変わっても『痩せたい』という願望はなくなりません。2020年4月から3年も続いた”コロナ禍”はそんな言葉をより意識させる状況に私たちを陥れました。そうです。在宅勤務という言葉の登場です。そんな中にはこんな言葉を他人事に思えない状況に陥った方もいらっしゃるでしょう。
『座り仕事のうえに、今度は通勤もなしでしょう。太っていってる自覚はあった。九号やMサイズの服を少しきつく感じてあせったこともある』。
体重の増減に一喜一憂する日々。そんな中では『痩せたい』という思いのままに具体的な行動を起こす人も出てくるでしょう。
『糖質制限もしたし、ウォーキングもした。あと、ダンベルやゴムチューブを使った筋トレも』
『とにかく、一キロでも減らさなきゃいけない』という中に人はさまざまなことに前向きに行動していきます。しかし、体重の増減に一喜一憂するような人生の先には何があるのでしょうか?そんな思いが至る先にはどのような事態が訪れるのでしょうか?
さてここに、『田舎町に住む女の子が、大量のドーナツに囲まれて自殺したらしい』という噂の真実に繋がる話をまとめた作品があります。7人の”独り語り”だけで本編が構成されるこの作品。そんな構成に湊かなえさんらしさを感じるこの作品。そしてそれは、複数の人物の語りの中に一つの真実が浮かび上がる物語です。
『痩せたいの ー。ついに、デッドラインを超えちゃったから…』と語り出したのは『私』。『まさか自分がこの体重になるなんて、想像もしていなかった』という『私』は、『小学生の頃、意地悪男子に「トリガラ」ってあだ名をつけられてたくらい』であり『私の人生には無縁だと思ってた』と続けます。『そうそう、堀口弦多だよ。「チビ」って言われて逆切れして、なぜか、私が八つ当たりされたの。私は何も言ってないのに』と言う『私』は、『確か、サノちゃんだよね』、『ホント、美人は得だよ。口が悪いのはサノちゃんなのに、みんな怯んで、隣にいる私がとばっちりをくらうんだから…』と過去のことを話します。『まあ、元ミス・ワールドビューティー日本代表に今更こんなこと言っても仕方ないんだけど』とも言う『私』は、『「トリガラ」なんて、今となっては愛おしい。私のことを嫌いな人が一万個悪口を並べても、絶対に出てこないフレーズなんだから』と言うと『まったく、人間の体って不思議だね。みんな、私が痩せているのはうちが貧乏だからと思ってたかもしれないけど、そういうわけじゃないんだよ』と語ると農業をしていた実家の話に移ります。『農業なんて、収入は低いのに体力は膨大に消費するでしょう?ここまで割に合わない仕事って他にある?しかも、たまたまそこの家に生まれたってだけで、子どものあいだはタダ働きしなきゃならないんだから』、『ホントにタダ。子どもなんだから一日一〇〇円でももらえたら満足できるのに、一円ももらったことがない』とも語る『私』は、『農業をしていたからうちは貧乏だったんじゃなくて、単に、家庭内でお金がまわっていなかったってこと?』と思いをこめます。『立派なハラスメントじゃん。何ハラ?ババハラ?そんなばあさんがお母さんに、三食しっかり作れ、って命令するわけよ。しかも、ばあさんから両親に支給される月に一〇万にも満たないお金で工面しなきゃならないの。米や野菜は自給自足できても、肉や魚をケチると怒る。品数が少なくても怒る。だから、食卓にはいつも、皿がのりきらないほどの料理が並んでいた』と過去を振り返る『私』。そんな『私』は、『そういやサノちゃん、うちに遊びに来た時、ばあさん見て「ブタみたい」って言わなかった?それで、あの晩はいつも以上にネチネチ怒られたんだよ』とも語ります。『ああ、思い出した。あんな失礼な子とは遊んじゃいけないとか、はっきりサノちゃんへの文句を言えばいいのに、私の箸の持ち方がおかしいって言い出して…』と続ける『私』は、”独り語り”を続けます。この作品はいったいなんなんだ?と読者を混乱に陥れる『私』の不平不満渦巻く”独り語り”がひたすらに続いていきます…という冒頭の短編〈第一章 ロック・ジュウヨン〉。このように抜き出しでご紹介しても話の内容が全く見えない、ある意味でこの作品を象徴するようなグダグダ語りが印象的な短編でした。
“美容外科医の橘久乃は幼馴染みの志保から「痩せたい」という相談を受ける。カウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と、その娘の有羽が自殺したという情報だった。少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言と、見え隠れする自己正当化の声。有羽を追いつめたものは果たしていったい ー。周囲の目と自意識によって作られる評価の恐ろしさを描くミステリー長編”と内容紹介にうたわれるこの作品。「小説すばる」の2019年4月号から10月号に渡って連載されていた作品が単行本、そして文庫として刊行されたものになります。
そんなこの作品の特徴は一にも二にも”独り語り”で物語が構成されているところです。湊かなえさんと言えばデビュー作であり代表作でもある「告白」が有名です。映画化もされた同作では、主人公の森口悠子を演じる松たか子さんの作品冒頭およそ30分間の圧巻の”独り語り”に度肝を抜かれます。同作は、複数の人物の心情が”独り語り”の如く交錯しながらことの真実へ向かって突き進みます。この作品に見られる印象が兎にも角にも強烈な湊かなえさんですが、その後も「贖罪」、「少女」、「豆の上で眠る」と登場する”独り語り”の構成は湊かなえさんのトレードマークのようなものだと思います。この作品「カケラ」もその手法に則ったものです。そんな”独り語り”を聞く立場にあるのが美容クリニックを経営する橘久乃(たちばな ひさの)です。物語は、橘久乃がさまざまな人物から一人の人物の死の真相に繋がる裏話をインタビューする形で7人、7つの章に分けて記されていきます。しかし、これがなかなかに曲者です。ブクログのレビューでも途中で読むのをやめたという方から、読み終えたが苦行を強いられたとおっしゃる方までさまざまな声があります。正直なところ私の印象もこれら皆さんの感想に近く、コンプリート間近の湊かなえさんの作品にしては苦読を強いられたという印象が強く残りました。
さて、そんな作品を見ていく中でまず押さえておきたいのが『ドーナツ』です。いきなり何を言い出すのか?と思われるかもしれませんが、この作品には全編に渡って『ドーナツ』という言葉が登場するのです。それは、時によって物理的な食べ物としての『ドーナツ』を意味する場合もあれば、『ドーナツ』というものが意味するところを極めて抽象的に表す場合までさまざまです。では、どうして『ドーナツ』なのか、それこそが、この作品の冒頭、〈プロローグ〉のさらに前に印象的に記されたこんな記載です。
『田舎町に住む女の子が、大量のドーナツに囲まれて自殺したらしい。
モデルみたいな美少女だとか。
いや、わたしは学校一のデブだったと聞いたけど ー』。
『大量のドーナツに囲まれて自殺したらしい』、これがどのようなことを意味するのか、物語は、作品冒頭で読者に強くインプットされた『ドーナツ』にその答えを追ってもいきます。思えば『ドーナツ』というのは深く考えればさまざまな見方ができるものでもあります。物語からそんな『ドーナツ』を抜き出してみましょう。まずは、『ドーナツ』を作る場面です。
『生地を麺棒でのばして、ドーナツ型で抜くの。あれ、おもしろいよね。ただの丸だとすぐに飽きそうだけど、二重丸だと気分があがるの、なんでかな』。
なるほど。私は『ドーナツ』を食べることはあっても作ったことはありません。『ドーナツ』と言えば真ん中に穴があります。物語ではそんな『ドーナツの穴』にこだわります。祖母の言葉です。
『悲しくはないんだよ。こうやってドーナツをのぞくと、あの子が向こうの世界で幸せに過ごしている姿が見えるからね』。
『ドーナツの穴』はなんとも不思議なインパクトを与えます。ここから『ドーナツ』を違うものに見立てていく視点も生まれます。
『ドーナツはおやつだけじゃなくて、魔法の道具でもあるのよ』。
『ドーナツ』を『魔法の道具』と見る視点、その意味はこんな風に説明されます。
『自分の見たい景色を思い浮かべて、穴の向こうを見るの。それから、そのドーナツを食べると、穴の向こうに描いた景色が現実のものになる、つまり、お願いが叶う』
毎年この時期になると騒がれる”恵方巻き”もその年の方角を向いて黙って一本を丸ごと食べるというような意味不明な約束事が語られますが、この『ドーナツ』の『お願いが叶う』も似たようなものだと思います。物語では、このように『ドーナツ』が各短編で意味をもって描かれていきます。これから読まれる方には連作短編のある意味での繋がりを形作る『ドーナツ』に是非注目してお読みいただければと思います。
さて、そんな物語は、〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた7つの短編が連作短編を構成しています。上記した通り各短編は、異なる人物が美容クリニックを経営する橘久乃に語っていく”独り語り”で構成されています。これまた上記した通りこれがなかなかに読みづらさを与えていくのですがここではそれぞれの短編で”独り語り”をする人物と有羽に繋がる物語に簡単に触れておきたいと思います。
・〈第一章 ロック・ジュウヨン〉: 有羽の母親の同級生
→ 『痩せたいの』と橘の元を訪れた語り手。『今になって、仕返しされてるんだなって思う』と、『私たちの田舎の同級生「ロクヨン部屋」のヨコヅナ。横網八重子』の話を持ち出します。
・〈第二章 ドーナツの真ん中〉: 有羽の同級生
→ 『鼻をもう少し高くしたいの』と橘の元を訪れた語り手。『半年前に中学の時の同級生が自殺』したと話す語り手は、彼女の名前が『ヨコアミ』だったと語ります。
・〈第三章 似たもの親子〉: 2名が登場、有羽の母親の同級生と有羽の同級生
→ 橘と食事の機会をもった語り手は成人式で『激痩せ』の横網八重子を見たと話します。そんな語り手の息子から有羽が不登校の末高校を退学、『昔、住んでいた家で』死んだと情報を得ます。
・〈第四章 道徳とか、倫理とか〉: 有羽の中学時代の担任
→ 『中学の教師をやってるから、うっかりしたことを言えない』という語り手にコンタクトした橘。『有羽さんが死んだっていう事実を、正面から受け止められない』と話す語り手は…。
・〈第五章 あまいささやき〉: 有羽の高校時代の担任
→『私に訊きたいことがあるんですよね』と話し始めた語り手は、『私は有羽さんを不登校に追い込んだ張本人ということになっていますから』と自身の立場を説明します。
・〈第六章 あこがれの人〉: 有羽の母親
→ 『本当に来たんだ、久乃さん』と橘を迎えた語り手。そんな彼女は、『久乃さん、有羽のことを聞き回っているんでしょう?』と言うと、自分語りを始めます。
・〈第七章 あるものないもの〉: 有羽本人
→ 『体重は現在、一三八キロです』と語り始めたのは有羽。『膝を痛めているので、激しい運動はできません…』と続ける『有羽のカウンセリング(録音)』が記されます。
非常に漠然とした書き方ですし、”語り手”と記した人物の名前も伏せています。7つの章には、それぞれ一人ずつ(第三章のみ2名)の人物が語り手として登場します。〈第一章〉と〈第二章〉は、橘美容クリニックを受診に訪れた人物の語りとなっていますが、他の章では、そんな橘がクリニック外でそれぞれの人物にインタビューを行っていることがわかります。本来は橘とそれぞれの人物の会話であるはずですが、橘の言葉は全てカットされているために、形式上”独り語り”になっているというのが実際のところです。しかし、そんな”独り語り”だけで物語は全容を明らかにしていきます。
そんな物語が明らかにしていくことが、
『吉良有羽が大量のドーナツに囲まれて死んでいた』
というニュースです。吉良有羽(きら ゆう)というひとりの少女の死の裏側には何があったのか?上記したそれぞれの短編の語り手はこの裏側を類推させるようなことも語りながら物語の奥行きを深くしてもいきます。そんな中で光が当てられるのが次の言葉に込められた意味合いです。
『体重なんて、簡単に増えも減りもする。今、痩せている人が一生痩せているとは限らない。今、太っている人が一生太っているとは限らない。体の特徴の中でも、一番不確かな要素であるということを』。
そうです。この作品の〈第一章 ロック・ジュウヨン〉は『痩せたいの ー。ついに、デッドラインを超えちゃったから』という語りの主の言葉で始まります。そして、そんな言葉を受ける美容クリニックの医師である橘は『元ミス・ワールドビューティー日本代表』でもあります。この作品には『容姿』という人の『外見』にこだわった物語が描かれていくのです。そして、そんな物語は書名にも繋がる『自分というカケラ』の存在に光を当てていきます。そこには、『外見』と『内面』の両方から『自分というカケラ』の意味を考えていく、そんな物語が描かれていました。
“少女の死をめぐり、食い違う人びとの証言”。
『大量のドーナツに囲まれて死んでいた』と噂される吉良有羽。この作品には、彼女の死の裏側にある真実を知るべくさまざまな人物にインタビューを繰り返していく橘久乃への語りが”独り語り”として7つの短編に収録されていました。本筋とは関係のないグダグダとした語りの連続に集中力が奪われるこの作品。語り手が絡み合う複雑な構成が、さらに物語を複雑に見せるこの作品。
全体像を紐解くことが最大の”ミステリ”という物語の有り様に、湊かなえさんの作品では初めて頭が混乱の極みに陥った作品でした。詳細をみるコメント1件をすべて表示 -
東京の美容クリニックに勤める美人医師の橘久乃は、久しぶり会った田舎時代の幼なじみから痩身の相談を受ける。
カウンセリング中、小学校時代の同級生だった横網八重子の思い出話になった。よこあみやえこ。ヨコヅナではない(笑)
八重子には娘がおり、その娘は、高校二年から不登校になり、卒業後ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかった。
母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。
太っていてもとても明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか?
美容クリニックの医師、久乃が関係者から話を只管聞いていくというスタイルで物語が進行していく。
自分もデブなので耳が痛い(^◇^;)
食事制限や運動の努力もしないで、、云々、、言われると辛いところだ(笑)
先日読んだ逆転美人もルッキズムに纏わる話だったが、こちらの本も多いにルッキズムに纏わる本当だった。
私は整形したことはないが、多少整形しても、それで自信が持てるようになれるのなら、良いのでは??と思ってしまう。
世の中、美人と不美人では、やはり周りの対応って全く別物(^◇^;)
会社でも、やっぱり美人は大切にされている気がするもんなぁ。。。
さて、湊先生らしいこの本。
それぞれの関係者が只管話し言葉で先生に話しかける構成。
苦手な人は読みにくいと感じるかもしれないが、読書初心者には逆に受け入れやすいかな??
章が変わるたび、人が変わるだけで、語り口の構成は変わらない。あー、またこれかー、、、と、
今の私には、若干の読みにくさを感じてしまった(^◇^;)-
解説欄で自分も「ヨコヅナ」と読んでいた(^_^;)
この本を読む機会があるときはちゃんと読めるように成長したい
(思い切った名字にしたな~と...解説欄で自分も「ヨコヅナ」と読んでいた(^_^;)
この本を読む機会があるときはちゃんと読めるように成長したい
(思い切った名字にしたな~とも感じていた)2023/03/21 -
よむおさん
コメントありがとうございます。
またこの女性の人相が、思いっきり横綱ヨコヅナで(笑)
ヨコアミかよ!と突っ込ん...よむおさん
コメントありがとうございます。
またこの女性の人相が、思いっきり横綱ヨコヅナで(笑)
ヨコアミかよ!と突っ込んでしまいましたよ(笑)
本を読む時、こういう人物をイメージしやすい名前は、有難いかもしれません(笑)
忘れないですし(^^)2023/03/21
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お得意の主観インタビューからの掛け違いイヤミス
今回は登場人物が多い多い
ネタバレサイト見て緻密さを痛感
‥が本作はなんか共感できず消化不良
ルッキズムは自己肯定のバロメーターの一種?
琴線メモ
■ ドーナツはおやつだけじゃなくて、魔法の道具でもある
■外見だけを表しているのではなく、内面だってピースの形に現れる。長所があり、短所があり、好きなものがあり、苦手なものがある。 そうやって、自分というカケラができあがる。
■自分の理想の形が必ずしも他人にとってもそうではないということ。 同じ形が揃えば揃うほど、絵は作りやすい。このピースはここじゃなければならない、という決まりがないのだから。だけど、そんなパズル、つまらないと思いませんか。できあがった絵もつまらなそうじゃないですか。 -
湊かなえワールドへようこそ!笑
いやぁ、こんな表現の仕方があるんだなと
素直に感服。
面白かったですね。
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湊かなえさんの本、文庫化されたので読んでみたいと手にとった作品。
有羽という少女の自殺を美容外科医の主人公が関わった人々との対話の中から真実を追う。
各章ごと一人一人の目線から語られる生前の有羽の人生。
各々に嘘は無いのだろうけど自己価値が高く、自分の概念や常識を正当化し押し付けるように振りかざす。
本人が望む望まないに関わらず。
これって自分にも当てはまる事が多く、一般論や社会的常識がある程度の基準になっているからだと感じる。
多様性の中ではやはり邪魔で、その基準があるからマイノリティーは増え続ける気さえする。
有羽は最後ドーナツの穴から何を見たのだろう。
色々と推測できる。
自分はやはり母子二代で八重子の人生を引きずり回してしまったという思いから自殺へと至ったと推測。
愛するが故の結論だろうと。
ドーナツの穴から優しさに溢れた八重子をみたと感じた。
他にも要因はあるがそこが一番強いのでは?と感じた。
「カケラ」というタイトルだが、ドーナツの中央のカケラの部分、空いた穴から見える景色はカケラがあるから見えるものでは?と終始思考がいってしまった為、最後モヤモヤ感が残った。
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太った、痩せた、背が小さいなど、見た目のコンプレックスを突かれると、人間の自信が急に薄れてしまう。人は何でもかんでも外見だけで、その人の
価値観をつくりあげてしまう。人は内面だろとよく
言われるが、でも、外見に偏った判断をしてしまう人の方が多くいるのも事実である。
本作は、親が子を太らさせることが、虐待になるのかが、物語の争点となっていて、虐待の定義という
ものが、あるのか知りませんが、大体が、痩せ細っていったら、虐待に該当すると思っていて、どこを
幸せと基準にするのか、見た目が変わったら虐待になるのか、難しい基準の中で、世の中は動いていると思います。整形をすることが、そこまで良くないとされているのが、今の日本で、お隣の韓国は整形に関しては、世界トップクラスの技術を持っているので、韓国民の人たちは、整形に関してはそこまで、悪いイメージを持っていない。外見を修復することが何故悪いとされているのか、そういった問題も考え直すキッカケとなった作品でした。
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著者お馴染みの、章ごとに語り手が変わりこちらは完全に聞き役に回るパターン。
本人はそう思っていないのに、見た目だけで「可哀想」認定されるのはどれだけ辛いか。ルッキズムに切り込んだ作品である。
ちょっと脱線話が多くて、これ伏線になるのかよく分からない描写が見られ、少し読むのに疲れた。 -
自分が絶対に正しい、と断固主張する成功者ほど教育者に向かない人はいないと思った。
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大量のドーナツに囲まれて自殺した少女の話?
太っていたとも、美しいとも言われた少女は何故、自ら命を絶ったのか?
主人公で美人整形外科医の橘久乃は知り合いの患者から、自分の故郷で自殺した少女の話を知る事になる・・・
物語は終始、橘久乃が事件に関わっていると思える人達からインタビュー形式の口語体で物語は進んでいく。
ドーナツと少女の自殺!?
非常に奇妙な組み合わせに惹かれてしまうのは私だけでしょうか・・・
→単行本が発売された頃、帯が非常に気になりました
人を外見で判断してはいけないと言うのは道徳として皆んな解っているはず、しかし外見で好きか嫌いか判断できても、中身を判断するのは難しい。
血液型や星座である程度、性格を判断してしまう人達がいるように見た目で判断してしまう人達がいるのは、手っ取り早いからだと私は思う。
かといって、一年程度の付き合いで相手の中身の良悪を判断するのには時間が短く、かといって全ての人と一緒に3年ぐらい暮らしてみるわけにもいかない・・・
限られた時間を有効活用して、良き友、良き伴侶と巡り会える事は奇跡かもしれない・・・ -
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この間、湊かなえさんの小説3つを少しずつ紹介し感想も書きました。書いていたらまた読んでみたくなり3回目の読了。前回も前々回もそこまで好きだとは思わなかったはずなのに、今回読んでみてやっぱり好きかもなと思いました。
現代のルッキズム(外見史上主義)によって現れる若者の心の闇をうまく取り込んだ作品だと思います。
ドーナツに囲まれて少女が自殺した事件。物語は、美容外科クリニックの女医さん目線で事件の関係者たちから話を聞くような形で進みます。まったく関係ないと思っていた人たちがだんだんひとりの少女に結びついていきます。混乱することもなくわかりやすい進み方で読みやすかったです。私は幸いなことに外見的なコンプレックスを感じたことはほとんどなく、たまに感じたとしてもそれはメイクでごまかせる程度のものだったり、気にしないようにすれば気にならなくなる程度ものでした。だけど心に刺さるようなシーンがぽつぽつとありました。
集団から逸脱することに対する不安、多数派や強い意見のひとたちに同調し迎合してしまう情けなさ、なのに自分らしさ、特別な個性は認められ評価されたいという欲求。現代の若者の大きな悩みがたくさん詰め込まれていて心当たりがたくさん!
外見で人を判断するな、とよく言うけれど全く気にせずにできる人なんてこの世にいるんでしょうか。少なくとも日本にはいない気がします。表面上は隔てなく関わっていたつもりでも心の奥底で判断することって絶対あると思います。じゃあどうすればいいのだろう?どうすることが皆が平等になり外見ではなく内面だけで人を評価できるんでしょうか。
ブスは整形すればいい、かもしれない。でも元々の美人は何もせずとも手に入っていたものを、そうでない者はお金と時間と体力その他諸々を消費しなければならないなんて結局平等じゃない。どうすることが正解なのか誰もわかりませんよね。そういうことを悶々と考えさせられるような内容でした。 -
面白かった。
物語としては各パート毎に話し手が変わり、聞き手の美容外科医の美人女医が、まるでカウンセリングを行うかのように話し手だけがずーっと喋っている、という構図。
物語の根幹にあるのは、ある1人の女性の自殺である。
聞き手の女医が、その女性の死を調べようとしているのか、少しずつ関係者をリレーしていくように謎に迫っていく。
美しさや醜さ、幸せや不幸せとは何なのか考えさせられる一冊。 -
湊かなえさんっぽい文章だった。
少しずついろんな人から情報を得て何があったのか。。どんな人物なのか知っていく。。聞き込みみたいで楽しい。それぞれの言葉だからこそ、ズレがあるのはリアルだなと思う。
太っていることが悪なのか悩んだ少女の結末が辛いものだった。。 -
主人公が聞き役に徹するという今まで読んだことないストーリーで考えながら読めた一冊。
SNSとかで他人と自分を比較してしまう人やそういった人の気持ちがいまいち分からないという人にも読んでほしい。自分の中の価値基準が曖昧だと社会の価値基準や声の大きい意見にすり替えられちゃうよなって読んでて感じた。SNSのいいねで一喜一憂したりとか。
もちろん人の数だけ正義があるし、だいたいはその押し付け合い。自分自身が何に価値を置くのか。この本を読んで価値観のはっきりしてる人は素敵に見えるなって改めて思った。
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イヤミス……嫌な感じはしたけどミステリーではない。嫌なヒューマンドラマみたいな…イヤヒュードラ??
大量のドーナッツに囲まれて自殺した女の子…その真相とは…
主人公はワールドビューティー日本代表にも選ばれた、幼い頃から完全なる容姿の美容外科医師「橘久乃」
物語は久乃が自殺の真相を求めようと関係者に会っていき、その関係者のとの会話(久乃の声は書かれておらず、関係者のしゃべりのみ)で展開する。
現代社会で問題にもなってるルッキズム。
容姿至上主義…美しいこと痩せていることがステータス。美人で人見知りはおしとやかだけど、デブの人見知りは陰キャ…
そんな問題とも向き合える内容。
テンポのよさも読みやすさも、さすがなんだけど…
ただただ辛いだけの話だったな… -
美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久しぶりに訪ねてきた幼なじみから「やせたい」という相談を受ける。カウンセリングをしていると、小学校時代の同級生・横網八重子の思い出話になった。幼なじみいわく、八重子には娘がいて、その娘は、高校二年から徐々に学校に行かなくなり、卒業後、ドーナツがばらまかれた部屋で亡くなっているのが見つかったという。母が揚げるドーナツが大好物で、それが激太りの原因とも言われていた。もともと明るく運動神経もよかったというその少女は、なぜ死を選んだのか――?
「美容整形」をテーマに、外見にまつわる固定観念や、人の幸せのありかを見つめる、心理ミステリー長編。
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インタビュー形式で始まる物語。これもっぽいですね。
ニアミス好きに是非。 -
湊かなえさんの本の中ではあまり好きな方ではなかったです。
ルッキズムがテーマで、喋り口調で進んでいく本。
キャラクターもあるのかもしれませんが、読みにくい話もありますし、読みやすい話もあります。
最後がやはりモヤっとします。
自殺の原因にするには微妙で、不慮の事故だったという方が納得出来そうです。 -
とても久しぶりに湊かなえ作品読了。自己肯定、正当化する人ばかりの登場に疲れたが亡くなった少女の死が気になり読み進められた。少女はかわいそう。
著者プロフィール
湊かなえの作品
