逆ソクラテス (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2023年6月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784087445329

作品紹介・あらすじ

【2021年本屋大賞ノミネート作】
【第33回柴田錬三郎賞受賞作】

敵は、先入観。
世界をひっくり返せ!

伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
デビュー20年目の真っ向勝負!

逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える――「逆ソクラテス」
足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが――「スロウではない」
最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも――「アンスポーツマンライク」
ほか、「非オプティマス」「逆ワシントン」――書き下ろしを含む、無上の短編全5編を収録。

【著者略歴】
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)
1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞(短編部門)、08年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞・第21回山本周五郎賞を受賞。他の著書に『重力ピエロ』『終末のフール』『残り全部バケーション』『クジラアタマの王様』『ペッパーズ・ゴースト』、阿部和重氏との合作『キャプテンサンダーボルト』などがある。

感想・レビュー・書評

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  • 【読もうと思った理由】
    ブクログの他の書籍の感想欄に何度か書いたが、20代の頃にもっともハマって読んだ作家が伊坂幸太郎氏だ。それこそ、デビュー作の「オーデュボンの祈り」から「死神の浮力」ぐらいまでは、文庫化作品はすべて読んだはずだ。ただ、そこからは新作が出ても、必ず読む作家ではなくなり、少しずつ伊坂作品から遠ざかっていた。オブラートに包まない言い方をすると、伊坂作品に飽きてしまったのだ。それは、決して伊坂氏の力量が落ちたとかそんな事ではなく、たしか著名な作家も言っていたと思うが、1人の作家が生涯で本当に面白い作品を書けるのは、よく書けて6作品ぐらいだという。

    伊坂作品はトータル20作品近く読んでいるので、どうしても物語の構成なども含め、ある程度は展開が読めてしまう。じゃあなぜ今回読もうと思ったのか?と言うと、「金閣寺」の雑感にも書いたが、一つは、タイトルに惹かれたからと言うことと、実はもう一つ理由がある。確か今年だったと思うが、雑誌で辻村深月氏の特集をしていて、そこで伊坂氏と対談をしていた。そのとき伊坂氏が辻村氏に自分の代表作を上げるとすると?的な質問をされての回答が「逆ソクラテス」だったはずだ。(その雑誌は立ち読みしただけなので、正確な質問の内容は思い出せないが、逆ソクラテスに対する思い入れは、かなり大きかった印象はある。)そのときにこの作品は読まないとなと思った。

    確か僕の記憶が正しければ、ファンの人たちは代表作を聞かれると、初期の頃の作品(アヒルと鴨とか、重力ピエロ、ゴールデンスランバーなど)を上げるであろうが、僕は逆ソクラテスが、かなり良い出来だと思っている的な回答だったと思う。40作品ほど書いた作者が、代表作を聞かれて答えた作品は、読むべき作品だと思った。僕が本の感想の最初の項目にこの【読もう思った理由】をあげているのは、ただの慣習ではなく、プロフィールにも書いているが、本が売れなくなった現在でも、年間で約7万冊の新刊が発売されているという。何万冊の中から、次に読む本を決めるのは、皆さんもそれなりに悩んで決めているはずだ。実は僕も、それなりに考えてから決めている。僕が感想欄で重要度が高いと思っているので、【読もうと思った理由】を最初に書いています。

    【伊坂幸太郎氏ってどんな作者?】
    (1971年5月25日 - )
    千葉県松戸市出身。東北大学法学部卒業。この時期の東北大学には、薬学研究科に瀬名秀明、文学研究科に佐藤賢一、理学部に松崎有理と円城塔など、現在小説家として活躍している人物が在学していた。大学卒業後、システムエンジニアとして働くかたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。数年後に作家専業となった。宮城県仙台市在住。

    2002年の『ラッシュライフ』で評論家に注目され始め、2003年の『重力ピエロ』で一般読者に広く認知されるようになった。それに続く『アヒルと鴨のコインロッカー』が第25回吉川英治文学新人賞を受賞。本屋大賞においては第1回から第4回まで連続ノミネートされた後、2008年の第5回に『ゴールデンスランバー』で受賞。同作品で第21回山本周五郎賞も受賞。なお直木賞については、2003年『重力ピエロ』、2004年『チルドレン』『グラスホッパー』、2005年『死神の精度』、2006年『砂漠』で候補となったが、2008年、同賞の影響力の高さゆえに環境が変化する可能性を憂慮し、選考対象となることを辞退している。2020年に『逆ソクラテス』で第33回柴田錬三郎賞を受賞。2020年より山本周五郎賞の選考委員を務める。

    著作の多くは中国語訳、韓国語訳が出版されており、タイ、インドネシア、フランス、ドイツ、イタリア、ロシアなどでも刊行されている。英語圏では、2011年にアメリカで『ゴールデンスランバー』(英題『''Remote Control''』)、2021年にはイギリスとアメリカで『マリアビートル』(英題『''Bullet Train''』)、2022年にはイギリスとアメリカで『グラスホッパー』(英題『''Three Assassins''』)が刊行。『マリアビートル』(英題『''Bullet Train''』)は、英国推理作家協会が主催する、2022年度ダガー賞(通称:CWA賞)の翻訳小説部門(旧名称:インターナショナル・ダガー賞)にノミネートされた(日本人作家のノミネートは、横山秀夫、東野圭吾に続いて3人目)。

    【あらすじ】
    「敵は、先入観だよ」学力も運動もそこそこの小学6年生の僕は、転校生の安斎から、突然ある作戦を持ちかけられる。カンニングから始まったその計画は、クラスメイトや担当の先生を巻き込んで、予想外の結末を迎える。はたして逆転劇なるか?表題作ほか、「スロウではない」「非オプティマス」など、世界をひっくり返す無上の全5編を収録。最高の読後感を約束する、第33回柴田錬三郎賞受賞作。

    【感想】
    「デビューしてから二十年、この仕事を続けてきた一つの成果」

    上記は、あとがきのインタビューの受け答えの一部抜粋だ。皆さんは伊坂幸太郎氏の印象とか作風は?と聞かれればなんと答えるだろう?例えば、まったく別の複数の物語が終盤近くになって伏線回収されていく爽快感だけでなく、別々の物語が繋がっていく構築力が好きとか。辛いストーリーでも何故か爽やかさがあるのが好きとか。はたまた、意外に座右の銘的な名言が好きとか。色々な意見があるだろう。僕はこの作品を読んで、上記に上げた全てがバランスよく詰まった作品だと感じた。そりゃ、デビューして20年以上も経つのに、日本の作家陣のトップに君臨し続けるのも、“ごもっとも“と言わざるを得ないと感じた。改めて感じたのは、伊坂氏は他の作家が羨むほどに、売れ続ける要素を、掃いて捨てるほど持っているなぁと感じた。

    伊坂氏といえば、ラストに向かっての伏線回収は言うに及ばず、僕が意外に好きなのは、色々な作品で印象に残る名言が多い。
    ベタではあるが、「ゴールデンスランバー」の「信頼と習慣」は、今でも僕の座右の銘の一つになっている。実は今作でも名言がある。

    「僕はそうは思わない」

    この言葉って、相手との関係性によって、言えるかどうかのハードルが全く違ってくる。例えば自分の部下であれば何の問題なく言えるが、クライアントや、二つ以上階層が上の上司には、途端にハードルがめちゃくちゃ上がる。そう、日本人であれば嫌でも空気を読むとか、相手の顔色を伺うなど、頼まれてもいないのに、良くも悪くもしてしまう。だけど本当は相手が誰であれ、言わないといけない時は、堂々と言わないといけないよなぁと、今作を読んで改めて思った。

    今作は伊坂氏も言っているが、小学生にこそ読んで欲しい作品と言っているが、大人が読んでも、読み方と思考の深さによっては、十分楽しめる作品だなと感じた。

    作品自体は300ページほどだし、とても読みやすい。特に意識して読まなければ、数時間ですぐに読めてしまうだろう。ただ伊坂氏が、20年作家を続けてきた、一つの成果と言い切っている作品なのだから、哲学書や思想書を読むときのように、深く思考しながら読み直すのもアリだなと思った。

    【雑感】
    次は予定通り、「人間の建設」を読みます。というか、もう3回ぐらい読了しているのだが、自分の中で、感想がなかなか纏まらない。それほどに読み応えがあり、気づきが多い本だ。ここで「次に感想をアップします」と、宣言でもしない限り、いつまで経っても自分で考えが整理できそうにもないので、考えを纏めてから感想をアップします。

  • 小中学生を主人公にした短編集です。ぼくは、「逆ソクラテス」だけはもう読んでいました。11年前、集英社文庫のナツイチ企画「あの日、君とBoys」の目玉作品として載っていたのです。このアンソロジー短編集の中で、伊坂さんのが1番輝いていたことを思い出しました。この11年間、何かあるごとにぼくは呪文のように心の中で呟いていたんです。「僕はそうは思わない」

    後書きで伊坂さんは「デビューしてから20年、この仕事を続けてきた一つの成果のように感じています」と書いています。ぼくが「逆ソクラテス」で出逢った「呪文」が、更に発展して、いくつかのシン「呪文」が出てきたように感じました。

    「文庫化記念インタビュー」って形を取ったロングインタビューを巻末に載せています。実はこれはインタビューという形をとった比較的長い自己解説だと思うのです(だってインタビュアーの名前がない)。そこで「そもそも決め付ける人が苦手なんです」と書いていて、決め付けるのは憚れるのですが、この短編集は伊坂さんには珍しいドストライクな「メッセージ小説」だと思うのです。勿論、伊坂さんからは「そうは思わないけどね」と言われそうです。

    そう言えば、1年半以上伊坂さんのレビューを書けていませんでした。積読本が3冊以上ホコリをかぶっています。やろうと思えば思うほど出来なくなる厄介な病気(たち)なんだけど、何だか見えないクサリがぱちんと外れたような気がします。ありがたい本です。

    最後に出てくる電気量販店の号泣する店員さんて、やはりあの男なんだろうか?
    「バスケの最後の1分が永遠なんだから、俺たちの人生の残りは、あんたのだって、余裕で、永遠だよ」
    「だから、おしまいとかじゃ全然ない」

    • mario13さん
      私もあの男がリスタートしていたらいいな、と思いました。
      犯罪は許されないことだけれど、犯罪や恨みから抜け出し、社会で生きれる人が一人でも多い...
      私もあの男がリスタートしていたらいいな、と思いました。
      犯罪は許されないことだけれど、犯罪や恨みから抜け出し、社会で生きれる人が一人でも多いといいな、と。
      2023/08/22
    • kuma0504さん
      mrio13さん、こんばんは。
      前回、あの男にはアンスポーツマンライクファウルをかけられているわけだから、小説的には「リスタート」するのは理...
      mrio13さん、こんばんは。
      前回、あの男にはアンスポーツマンライクファウルをかけられているわけだから、小説的には「リスタート」するのは理の当然なわけです。
      伊坂幸太郎さん、優しいですね。
      2023/08/22
  • 早熟な安斎くんの大人の先入観を覆す「逆ソクラテス作戦」。小学生が、教師の思い込みの怖さに気づき、警鐘を鳴らす設定にうなる。「僕は、そうは、思わない」は逆転の一撃の言葉。なんか自分にも突きつけられているように思えて、ドキリとした。
    「スロウではない」の逆転劇もいい。いじめている子がギャフンといわせられる展開にもビックリ。
    この短編集に出てくる磯憲先生の人間力が小説に厚みと温かみをもたらしている。あ、あとがきに書いてあった。なんと著者が実際に担任してもらった先生のお名前だった。
    もう一人の久保先生の「故意に人に迷惑をかけている人は可哀想」という話も心に響いた。
    主な登場人物が小学生だから高学年児童に読ませたいが、先入観や価値観がガチガチになっている大人向けの本なんだと思う。

    • ゆっきーさん
      随分前に読んだ本で内容を忘れましたが、再読したくなりました♪
      随分前に読んだ本で内容を忘れましたが、再読したくなりました♪
      2025/06/14
    • まいけるさん
      ゆっきーさん、ありがとうございます。
      伊坂さんの視点がすてきでした。子ども心もまだお持ちなのでしょうね!
      面白い本に出会えました!
      ゆっきーさん、ありがとうございます。
      伊坂さんの視点がすてきでした。子ども心もまだお持ちなのでしょうね!
      面白い本に出会えました!
      2025/06/14
  • 久しぶりの伊坂さん
    やっぱりいいです
    小学校の先生と子供たちのやりとりや、
    仲が良い友達、いじめっ子、いじめられっ子
    運動会のリレー
    ミニバスケの監督の罵声

    妙に大人びた子供たちが大活躍?
    作り物でないリアルな人間模様が
    昔を思い出す

    威圧的な決めつけに対して
    自分はそう思わないと
    きっちり言える
    そんな人間になれているだろうか
    他人に対して決めつけで対応していないだろうか
    小説の中の子供たちに
    教えてもらって、
    考える機会を与えられたような気がする
    反省と、思い出となんやかんや
    やっぱり伊坂さんだった
    これからも伊坂さんについていく!

  • 逆ソクテラスという不思議なタイトルに惚れて読んでみました。表題作の逆ソクテラスは先入観がテーマの話でした。先入観は誰でも影響されてしまいますよね。たとえば、有名な性格診断のMBTI診断とかで性格が○○の人は性格悪いらしいよと言われると自分もその人が性格が悪いかのように感じてしまったりはしていました(笑)ですが、この本を読んで先入観に囚われず自分の思うままにいた方が楽だしいいなと思いました。何となく興味をひく表紙もGood

  • 私の本棚の中でひときわ存在感を放つこの作者さん。今回もやっぱり面白かった。
    5つの話のすべての主人公が「小学生の僕」という短編集。

    ■逆ソクラテス
    先入観vs.無限の可能性 または 決めつけvs.『僕はそうは思わない』
    同調圧力や忖度が罷り通る世の中に、一石を、作者らしいユーモアをまぶして、投じたお話。
    『僕はそうは思わない』と言えたらいいな。だけど、なかなか難しい。言いたいけど言えなくても、口に出して言わなくても、「僕はそうは思わないよ」と心の中で思うのだって結構大事なことなんだな。
    優等生の位置づけにあるのに、「それは違うでしょ」っていつか言ってやりたかったの、と手を貸してくれる佐久間さんが可愛い。同じクラスにいたら絶対好きになっちゃうな。

    ■スロウではない
    クラスの女王様vs.教室の隅っこで生きている面々。
    その隅っこの面々がくじびきでリレーのメンバーになってしまったところから展開するお話。
    「ゴッドファーザー」風の会話が楽しく、リレーでの高城さんの姿が爽快。
    ラストで写真に見入る僕の姿にこちらもジンとする。

    ■非オプティマス
    新任のうらなり先生vs.先生や同級生を舐めきった悪童たち。
    久保先生、いい話したな(フレーズに登録)。
    最後の逆転劇が痛快。フクオ、一発かましてやんな。

    ■アンスポーツマンライク
    残り1分vs.大事な一歩が踏み出せるように。
    小学校で一緒にミニバスをやっていた5人が高校生の時や大学卒業後に遭遇した出来事。
    第2話にも登場した磯憲先生が、ちょっとしか出てこないがここでもいい味。
    最後の駿介の言葉が効いている。

    ■逆ワシントン
    何か特別なものvs.特別じゃない僕たち。
    『最終的には、真面目で約束を守る人間が勝つんだよ』といいながら、『まあ、でも損することも多いかあ』という僕の母親がいいなあ。
    確かにそうなんだけどさ、でも特別なものを持たない普通の人は、それで勝負するしかないよね。
    第4話のラストとつながる最後の場面も印象深い。

    どの話も少年の頃の純粋な心や、友人や大人に対する心の機微が細やかに描かれていて、とても良かった。

  • 5つの話 どこかで繋がってるのかなと思いながら完 巻末あとがきも文庫化記念インタビューも良かった 伊坂先生の作品は久しぶりだったけど「らしさ」はしっかり思い出せた 安斎くん ミニバスケの5人 謙介のお母さん

    最初の逆ソクラテスと最後の逆ワシントンが気に入った

  • 面白かった!
    読みやすくてあっという間に読了。

    小学生の子を持つ親として、これは知っておいてほしいなと思う事がたくさんあった。
    絶対読んでもらいたいな。
    どう勧めたら読んでくるれかな?
    登場人物たちに聞いたらどんなアイデア出してくれるかな?

    読後も爽やかで楽しい気持ちにさせてくれる一冊。

  • 夏休み始まりましたね。
    この作品、昔、夏休みの朝10時頃に再放送で見たドラマ、小学生達の小さな冒険物語を見たような、爽やか読者体験でした。

    夏休みシーズン、夏らしい作品を読みたいな!と、ずいぶん前からフォローフレンズさんたちの本棚でお見かけし購入して、寝かせて置いた作品『逆ソクラテス』。学園モノらしいから読んじゃおうと。(積読解消!)

    タイトルからして意味深。逆って!
    前情報なしで読んだので『逆ソクラテス』が短編集の一作のタイトルとは、まずびっくり。登場人物が魅力的なので、2話目も関連するよね!って思ったら余裕で裏切られちゃった。余裕でというのは2話目『スロウではない』も、違う登場人物達で気持ちよいくらい面白く、魅力たっぷりでした。

    この調子で5話を一気に読ませてしまう、さすが伊坂さん。読者が自分の思い出をひっぱりだして、すこし、みぞみぞしたりとただただ最高でした。
    ありがちな、淡い恋心が全く描かれないのも、小学生男子の潔さ!恋より虫に夢中なお年頃。
    なんとも言えない友達の距離感も共感。

    大人になって久しいですが、大人って子供がおもうほどいい人でもなければ、オトナじゃないですよね。
    作中の『僕は、そうは思わない』、『正直ものが褒められる』などなど、ステキな言葉を改めて好きになれました。
    大切なものを守れるオトナになりたいものです。

  • 子どもの頃って、学校の自分のクラスや所属するクラブが世界のすべて。そこでの友人関係や担任の先生の言動、日々起こる出来事によって、喜んだり悩んだり小さな身体で毎日を生きている。そんな胸の痛みをすくい取ったような作品ばかりでした。
    「逆ソクラテス」の安斎君、「スロウではない」の高城さん、「非オプティマス」の福生君。小学生にしては色々な経験をして大人びた所もある転校生の彼らが、現状を壊して風を吹き込み、他の子ども達や周りの大人に変化を起こす〜
    どれも読み応えある短編でした!

  • 伊坂幸太郎としては星3だと思うが、全体的にみたらの評価で星4。意図的なのかもしれないが、各章の導入が揃えすぎていて、パターン化していた。答えも直接的な言葉が多く、重松清の作品と比較してしまった。ただ、好きな作家なので楽しめたのは確か。それぞれに大切な教訓が含まれていて、良い本だと思う。

  • 懐かしい。子供の正義って大人の正義ですよね。調和をとることって悪いことではなく調和をとってる面持ちが大切ですよね。


  • 子どもながらに狭い世界でたくさん考えてたくさん出会って成長していく。
    非常に頭の良い言い回しをする賢い子から私も勉強させられた。
    人間の哲学的な内容を子どもの口から分かりやすく物語を通して伝えてくれるのはさすが伊坂さんの芸当。
    先入観をひっくり返すのもスッキリしたし、どの短編もおもしろかったー!
    「私はそうは思いません」をお守りの言霊として生活していこう。

  • ジャケ買い(笑)
    junaidaさんの個展で単行本は見ていたが、それがそのまま文庫化された。嬉しい。伊坂幸太郎作品は初めて。「ゴールデンスランバー」の映画は見た。これも"タイトルがあの曲名だから"と連れ合いに付いて行ったのだからジャケ買いみたいなものか。

    表題作をはじめ、全五編の短編集。全て、子どもの視点が軸になっている。全てに共通するのは、筆者が『自分の意見が言えない人への共感』を持っている点。"自分が好きなものや苦手なことに関しては他人に強制されなくてよい"という心を持つことは、簡単なようで実は難しい。でも、実は一番大切なことだ。(当ブクログで色々な感想を読んでも、それは感じる)
    扱われているテーマは現代的で身近なもの。若い人に読んで考えてもらうには丁度いい感じ。…いや、我々年配者が先に考えなきゃいけないんだよな、と思いました。

  • うーむちょっと私には高尚すぎて合わなかった
    積読にして時間を空けるようにします
    伊坂幸太郎の新境地らしいがまだまだ経験値不足で良さが見いだせず‥

  • 小学生の視点だったが自分自身の昔の感覚を思い出させてくれた。もちろん現代の子供たちとは違う世相で育ってきたが子供の頃に感じていた正直さや正義感は今も変わらないのだなと思った。
    今までと少し雰囲気は違ったが、まあ良かったやん、という読後感は健在で大いに楽しめたと思います。

  • 小学生達が主人公の短編集!

    逆ソクラテス:先入観や括りは良くない、正にhabitの歌詞のように分類してレッテルを貼りたがる人達は沢山いる!発信しなくても良いから自分の大事な物を守る気持ちを大切に!

    スロウではない:金持ちで威張らない人がモテる!そんな大人を目指してほしい。最後のリレーからの大逆転は圧巻でした!ラスト1ページからは心を揺さぶられた。(転勤族を親に持つ子供時代を持つ人、読んでみてください!)

    非オプティマス:評判は一日にしてならず

    アンスポーツマンライク:先日、中学校のサッカーの大会の事務局やってた時に、試合中に怒鳴るコーチ沢山いました。聴いてて嫌な気持ちになりました。【試合中に怒鳴る=教え方が悪い=自分の教育能力が低い】と考えて欲しい。

    逆ワシントン:自由研究が剥がされた理由が現代的!研究内容が何かを誘発する恐れがあるから撤去・・・。そうやって消えていった面白い話やアイディアいっぱいあるんだろうなぁと思います。中世の魔女狩りよりも酷い・・・


    短編同士は深い結び付きはありませんが微妙な掠りはあります。
    最後の場面、なんか良かったと思える作品です!

    因みに超個人的な事ですが、本作が私にとっての900レビューになります!

  • はぁ面白かった〜
    子どもがメインの短編集です

    子どもならではの考えの浅さや
    先入観で決めつける大人の理不尽さ
    そんなものがありつつも
    懐深く子どもたちを思いやったり
    客観的に公平に友人を評価できていたり

    やっぱり表題作が一番良かった
    巻末の文庫化記念インタビューで著者の伊坂さんが話すように、「自分がどう思うかについては奪われない」ことを、この本を読む子どもたちに伝わって欲しいなと思いました

  • 小学生の男の子を主人公にした短編集。

    伊坂幸太郎さん作品を読むのは久しぶりでしたが、読んで良かったです。
    軽妙な語り口で読みやすくて、キャラクターが良くて、前向きで爽やかな読後感。
    先入観をひっくり返すことをテーマにしていて、5編すべて否定形のようなユニークなタイトルが付いています。

    伊坂さん作品といえば、巻末のインタビューでご本人が語っていた通り、「非現実的な要素とか、犯罪とかの不謹慎な要素」をイメージしてしまうのですが(笑)
    それこそそんな先入観みたいなものを吹き飛ばすかのような、デビュー20周年にふさわしい新境地の作品でした。
    ユーモア溢れる痛快なエンタメ作でありながら、生きていく上で大切なことがたくさん詰まっていて、なかなか味わい深い作品だと思います。

    小学校高学年から中高生の子供たちへ。
    かつて子供だった大人、どちらかというと地味だったりスポーツが苦手だったり特別なものがない子供だった大人たちへ。
    そっと背中を押してくれるような優しさがあって、オススメです。

  • めちゃめちゃ面白かった!
    小学生が主人公の短編集。
    主人公は小学生なのに大人にもすごく響く。
    忘れてた大事なことを再び気づかせてくれるような作品。
    最後はちょっとホロり…
    人にオススメしたくなる1冊☆

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

伊坂幸太郎の作品

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