- 集英社 (2023年7月21日発売)
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感想 : 37件
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784087445466
作品紹介・あらすじ
「我ながら毒気の強い作品ばかりで、あきれます」と、書いた本人もため息。
現役医師の作家・久坂部羊が描く、強烈にブラックな短編集!
区役所に勤務する愛子は、同僚女子の陰口を聞いたことがきっかけで、たびたび「発作」を起こすようになる。この世の終わりに直面したような、とてつもない恐怖に襲われるのだ。心療内科で受けた「パニック障害」という診断に納得できず、いくつもの病院を渡り歩くが……(「天罰あげる」)
介護施設を併設する高齢者向けのクリニックには、毎日多くのお年寄りが集まってくる。脳梗塞で麻痺のある人、100歳近い超高齢者、150kg近い体重で車椅子生活を送る人……さまざまな症状の利用者みなに快適に過ごしてほしいと施設長は願うが、老人たちにはもめごとが絶えず……(「老人の園」)
毒気に満ちた患者の怖さと最悪のどんでん返しが炸裂する、全5編。
【著者略歴】
1955年大阪府生まれ。医師、作家。大阪大学医学部卒業。外務省の医務官として9年間海外で勤務した後、高齢者を対象とした在宅訪問診療に従事。2003年『廃用身』で作家デビュー。以後、現代の医療に問題提起する刺激的な作品を次々に発表。14年『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞、15年『移植屋さん』で第8回上方落語台本優秀賞を受賞。著書に『破裂』『無痛』『神の手』『第五番』『嗤う名医』『芥川症』『虚栄』『老乱』『テロリストの処方』『院長選挙』『老父よ、帰れ』などの小説、『人間の死に方 医者だった父の、多くを望まない最期』などの新書やエッセイがある。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
医療の現場を舞台にした短編集は、患者の恐怖や医師の葛藤を巧みに描き出しています。現役医師である著者ならではのリアリティが漂い、特に「ドクターショッピング」や「老人の園」といった作品では、患者と医療従事...
感想・レビュー・書評
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久坂部羊『怖い患者』集英社文庫。
5編収録の毒気に満ちた患者や医師たちを描いたブラックなイヤミス短編集。もう少し面白いストーリーを期待したのだが、少し期待外れだった。
『天罰あげる』。最近はメンタル的な問題を抱える人たちが多いように思う。世にあふれる情報の洪水、ストレスやプレッシャーなどが原因だろうか。何とも嫌な結末。本作の主人公の区役所勤務の愛子は同僚の陰口を聞いたことを切っ掛けに度々発作を起こすようになる。区役所を休職し、心療内科を受診するが、思うような答えと結果が得られず、ドクターショッピングを繰り返す。やがて、気に入った心療内科が見付かり、定期通院するのだが……★★★★
『蜜の味』。他人の不幸は蜜の味。隣の芝生は青いとやっかみながら、近隣の不幸の噂に喜々とする。世の中なぞ、そんなものだ。自分さえ良ければと思う人間の多い世の中。医師になって4年目の美人外科医が主人公。患者の不幸に僅かな喜びを感じるようになるが、順風満帆の人生を過ごすうちに、いつしか自分の不幸を願いようになる。しかし、なかなか不幸は訪れず、むしろ幸運にばかり恵まれるという皮肉。そんな美人外科医が味わう悲劇とは……★★★★
『ご主人さまへ』。妊娠という不安の中で他人のことが気になる余りに変調をきたす主婦の様子がリアル。二人目を妊娠した主婦の主人に届いた誹謗中傷の手紙。手紙を読んだ主婦は疑心暗鬼と不安にさいなまれる。★★★
『老人の園』。間もなく超高齢化社会が到来し、介護施設や老人ホームに入れない待機児童ならぬ待機老人が社会にあふれるのではなかろうか。今でさえ、特別養護老人ホームへの入所希望者は何百人待ちという状況で介護認定を受けて、介護レベルが高くないとなかなか入所出来ない。入所を待つうちに亡くなってしまう老人も居るに違いない。そんな介護施設を併設する高齢者向けのクリニックに集まる老人たちのブラックな物語。様々な症状の老人たちの揉め事の果てに……★★★
『注目の的』。薬やワクチンの副作用は恐ろしい。新型コロナウイルスの3回目を接種した後、吐気と動悸に苦しめられた。いつもは何ともない階段の昇降時に心臓がバクバク鳴り、寝ている時にも激しい動悸で心臓が止まるかと思った。症状は3週間くらいで収まったが、ワクチンでこんな酷い思いをしたのは初めてだった。ヘルペスの治療薬による副作用に苦しむ患者たち。しかし、その裏には……★★★
本体価格640円
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やっぱり現役医師のかたの小説は、医療に対する描写に違和感が少ないから読んでいて楽しい!
短編5編。毒気は強め。でも.一気に読みきりました。
以下はちょっとネタバレあり。
「天罰あげる」
うわーいるいる、こーゆー患者!!って感じで読み進めた前半。
ドクターショッピングする患者て、医師側からしたら厄介なんだよなぁ…あーでも患者側も色々つらいのは辛いんだろうなぁ……
との同情の気持ちから一転の結末。恐ろしい、けど絶対にあり得ない、とは言いきれないのが一番恐ろしい。
「蜜の味」
例えば不幸な患者を診た時、ほの暗い愉悦は本当に絶対ないのか、と言われると言葉につまる。そんな自分を暴かれた気持ち。
もちろん良くなって欲しいし、辛い宣告をするときは本当に辛いんだけど、「あぁ自分でなくて良かった」みたいな気持ちは本当にない??(愉悦とはちょっと違うかもだけど)
ストーリー自体はちょっとさすがに毒気を強く出しすぎた感じもしたかな。
「老人の園」
これは、デイサービス運営の仕方に問題があるでしょう。
施設責任者としての責任をまっとうできてないともいえる。でも、本人はそこのところには最期まで気づけてなさそう。
「ご主人さまへ」
最後は統合失調症みたいな描写だと感じましたが(専門ではないので詳しくはないけど)これの怖いところは、どこまでが事実でどこからが妄想か本当には分からないってとこなんですよね。
もしかしたら、手紙の存在も妄想かもしれない、もっと言えば自分は幸せな家庭の専業主婦だ、というのも妄想かもしれない。
「信頼できない語り手の叙述トリック」と「統合失調症の妄想」という組み合わせで産み出したストーリー、おもしろい!
「注目の的」
昨今のワクチン問題の強烈な風刺に感じた。そのオチもふくめて、強烈な皮肉にも読める…… -
久坂部医師作家の医療系短編集です。どの作品も久坂部先生のブラックさが、際立っていて楽しめました。特に老人ホームの話はカオスでした。自分の将来が怖いです。
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医療に関する短編集。
診断された病名に納得できず、ドクターショッピングを繰り返す女性。
他人の不幸に快楽を感じてしまう女医。
旦那宛に届いた自分を誹謗する手紙に情緒不安定になる妊婦。
デイサービスに通う老人たちに公平に対応しようと努める医師と老人たちの狂気。
自分の発作の原因が接種したワクチンの副作用思い込む女性。
どれもが悪意に溢れ、疑心暗鬼になっている人たちが描かれている。
だけど、とても他人事とは思えない。
自分にもそういうところがあるのでは…これから、自分も同じようなことが起こる可能性があるのでは…と考えてしまう。
2024.12.5
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なんかとても怖いというかゾッとしたというか、後味が悪かったです。
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相手を選べないという点で,怖いのは医師も患者も変わらず,そして読者もまた読んでいてこの上なく怖い.人は他者を理解することができないという意味で,完全なるコミュニケーションを取れない.それが医療現場で発生するとどのような事象に発展するのか,5つの事例に基づき読者に提示する.何が悪いわけでないので解決策がなく,将来自分の身に降りかかる可能性が否定できない点において,読了後の怖さが醸成される.
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天罰あげる/蜜の味/御主人さまへ/老人の園/注目の的
医師にとって怖い患者?
この人たちは周りの人にとって嫌な ヒト としか思えない。こんな人たちがのさばっているのは許せません!!!
と叫びたくなるほどイヤなヒトたちでした。
あぁぁ疲れた_| ̄|○ -
きれいごとではない医療の現実。現役医師だからこそ書ける内容であり、著者特有のアイロニーが満載。そらそうだ、医師も人間・患者も人間。開業医はこれだから大変。患者も過剰な期待を持ちすぎないこと。
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タイトルの通り
身体や精神的に病んで罹ったとき、
人はこんなにも壊れてるんだなと
結局のところ、世の中でいちばんこわいのって人間だったりするんですよね -
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お医者様に少~しだけ関わる仕事をしているですが、お医者様もなかなか変わった方が多い職種だと未だに思っています。
でも、この本は完全に患者側が【怖い】の原因。
でも、パーソナリティに問題がある人ってお医者様だけでなくて、書いてあることするよね。
いずれも精神的なケアが必要な近くにいる人と何ら変わらなくて、より恐怖を感じる。
作中に出てくるような人、モブ出演含めて周りに結構な人数いる気がする。
この本の内容って、たまたま作者さんが現役の医師で患者と医者の立場であっただけ…というか、視点がお医者様だったというだけだと思って。
言うなれば、現役美容師とか現役CAとかどこの世界にもまん延しているヒトコワ。
できれば一生関わりたくないし、一生そうなりたくはない。 -
医者出身の筆者ならではのタッチで描かれた5つの作品からなる短編集でした。
医者、また患者の心理描写に引き込まれてしまう。
最後の収録である「注目の的」は、医者・患者・弁護士・政治家・マスコミなどのそれぞれの思惑がうまく描かれていました。
久坂部 羊氏の作品は、「善医の罪」を読みましたが、もう一つぐらい読んでみたいと思う短編集でした。 -
現役医師が書いたと思うとさらにゾッとする。
「注目の的」が一番好きでした。 -
医療ミステリー、またはホラー
短編が5作収録されているのですが
患者と医師の関係を描いたものです
すごく人間臭く、リアルです
そしてその人間臭さが怖いと思いました
普段は選ばないようなジャンルを選んだなぁと思いましたが
満足度はかなり高いです -
2010〜2019に雑誌に掲載された5短編集。天罰あげる、蜜の味、ご主人さまへ、老人の園、注目の的。患者や医師、思い込みのエスカレートと医学的な知識。
お医者さんが、実際に見聞きしたことや経験したことがベースになっている感じです。 -
題材がおもしろそうと思って読んでみたがイマイチハマれず。
最後の話が1番おもしろく続きが気になり早く読み進められた。 -
何とも言えない5編。人の意見を聞いてる様で聞いて無く被害妄想するクセに自分主義な患者、医師。
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身勝手の極意だ
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病に見舞われた患者たちは皆、しおらしく治療に耐え、頭を下げる―なんてことはありません。パニック障害と診断されるも納得できず、いくつもの病院を渡り歩く女性(「天罰あげる」)。日々の鬱憤から、他の利用者に罵詈雑言を浴びせるデイサービスの老人たち(「老人の園」)。猜疑心、被害妄想、承認欲求…に付ける薬はあるのでしょうか。(e-honより)
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心療内科の医師を目指す人増えてるのかな。
著者プロフィール
久坂部羊の作品
