その扉をたたく音 (集英社文庫)

  • 集英社 (2023年11月17日発売)
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  • 本 ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087445862

作品紹介・あらすじ

本屋大賞受賞『そして、バトンは渡された』著者の新たな代表作!
音楽と人が生み出す、たしかな希望の物語。

29歳、無職。
ミュージシャンへの夢を捨てきれないまま、怠惰な日々を送っていた宮路は、ある日、利用者向けの余興に訪れた老人ホームで、神がかったサックスの演奏を耳にする。
音色の主は、ホームの介護士・渡部だった。「神様」に出会った興奮に突き動かされた宮路はホームに通い始め、やがて入居者とも親しくなっていく――。

人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編。

【著者略歴】
瀬尾まいこ
1974年大阪府生まれ。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、同作を表題作とする単行本でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞、08年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞、13年咲くやこの花賞、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。『君が夏を走らせる』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』など著者多数。

感想・レビュー・書評

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  • 『君が夏を走らせる』を思い出した。
    とても優しくて温かいお話・・・なのはいいんだけど。
    大学卒業してから29歳まで無職でバイトもしてないなんて、ちょっと「ぼんくら」期間長すぎない?そこがずっと引っかかってしまった。お父さんもよく待てたなぁ。

    やっと前に進めたし、何とか就職先見つかるといいな。

  •  なんと、本作に登場する介護士でサックスを吹く渡部くんは、『あと少し、もう少し』の中で寄せ集めの駅伝メンバー(当時中学生)、第4章(4区)の語り手だったんですね。忘れてました‥。

     本作は、まだ若いのに、人生に行き詰まり立ち竦む青年と、人生の最終盤に差しかかった老人たちが醸し出す、温かい感情の交流と成長物語でした。
     主人公は宮路、29歳で無職。実家から月20万円の仕送りを得て、ギター片手に音楽の夢を追い続けています。こんなへらへらの〝ぼんくら〟宮路が、老人ホームで演奏し、渡部くんの天才的なサックス演奏・様々なお年寄りたちと出会います。

     本作の一番の読みどころは、宮路がボランティアで通う老人ホームの渡部くん、入居者と関わることで少しずつ変容し、大事なことに気付いていく構成と描写の巧みさだと思います。
     瀬尾さんは、相変わらず個性の書き分けが上手く、優しいけれども甘やかし過ぎず、読み手に一歩踏み出す勇気を与えてくれます。
     
     本作は、青少年読書感想文全国コンクールの(高校の部)課題図書だったそうですね。大人はもちろんですが、多くの若い方に読んでほしいと思います。進路で悩んだり、将来仕事で悩んだりした時、ふと立ち止まって思い起こしてほしい一冊です。

    • aoi-soraさん
      本とコさん、こんにちは^⁠_⁠^
       ↑
      (私も呼んでみたかった♪馴れ馴れしくスミマセン)

      渡部くん、覚えてます。
      おばあちゃんの美味しそう...
      本とコさん、こんにちは^⁠_⁠^
       ↑
      (私も呼んでみたかった♪馴れ馴れしくスミマセン)

      渡部くん、覚えてます。
      おばあちゃんの美味しそうなお弁当を持ってくる子ですよね?
      なんか嬉しい。
      サックス続けてるんですね!
      私も読んでみたいと思いました。
      2023/12/16
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      aoi-soraさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      安定の瀬尾まいこさんでしたー(^^)
      続編とは言わないのでしょうが、他作...
      aoi-soraさん、こんばんは!
      コメントありがとうございます♪
      安定の瀬尾まいこさんでしたー(^^)
      続編とは言わないのでしょうが、他作品の人物をさり気なく再登場させるあたり、瀬尾さん、にくいですね。
      2023/12/16
  • 瀬尾まいこさんの読んだことの無い本を図書館で見つけたので読んでみました。ミュージシャンの夢を捨てられずに親からの仕送りで暮らす金持ちお坊ちゃんの宮路(29歳無職)老人ホームでサックスを奏でる渡部とであって、、、という話です。夢を追うことがテーマになっているんですけど夢を追うって難しいですよね。簡単に辞められるけど簡単には夢は叶わない。難しい世界だなと思いました。最後に感動。

  • 主人公は、親の脛を齧って暮らす29歳の無職の青年。舞台は老人ホーム。スタッフの宮部君や、入所者の水木さん達との交流を通じて、人生と対峙していく力を得ていく。
    瀬尾さんの作品を読むのは、まだ5冊目でハズレがない作家さんですが、今作は、宮部君が、少し、良い人すぎたかな。

  • この作者さん、10冊目。
    私にとっては結構振れ幅大きい方なのだが、今回はどうかな。

    読んだ後、改めて皆さんのレビューを見て、渡部君が「あと少し、もう少し」の渡部くんだったことを知った。
    確かに『小さな中学校で、駅伝大会に出るのに人手が足りなくて陸上部に引っ張られたんです。ぼく、吹奏楽部だったんですけど』と書いてあるのだが、皆さん、よく気がつかれますよね。
    「あと少し、もう少し」のレビューには『変り者の渡部』と記してあり、学校の先生から『一番中学生ぽいなって。自分らしさとかありのままの自分とか、自分についてあれこれ考えるの、いかにも中学生でしょ』と評されていたが、本当の自分を知られたくないがために変わり者を演じていた彼が、立派になったなあ。

    と、本筋でないことを書いてしまったが、主人公の宮路はと言えば、買い物を頼まれれば頼んだ人によってどの商品を買えば喜ばれるかを考えたり、本なら自分で読んでみて面白そうな話を選んだり、ウクレレの教え方が上手だったり、とてもいいやつ。
    だけども、そういうことが出来るやつが、29歳にもなって親の脛かじって夢とも言えない夢を追って暮らしているなんていうのが、なんだかフィットしない。
    悪い話ではないが、今回もまた、この作者さんが作る世界に素直に入り込めなかったのでした。

  • ギターの弾き語りを披露しに老人ホームを訪れた宮路は29歳で、ミュージシャンの夢を捨てきれず、大学を卒業して未だ無職のまま。
    老人ホーム「そよかぜ荘」で介護士として働いている渡部の奏でるサックスに心を奪われた宮路は、自分より年下の渡部と友だちになり、入居しているおじいさんおばあさんたちとも親しくなって、「そよかぜ荘」に通うようになる。

    親の仕送りで生活をしているものの、老人たちに買い物を頼まれ、ウクレレの「先生」となって熱心に指導する宮路は、人の気持ちに寄り添える素直な青年なのだと思う。
    渡部と一緒にサックスとギターでの演奏会を計画し、聴く人の気持ちになって曲目を考える2人の様子が何とも楽しそうで、はじめてこの「そよかぜ荘」に来た時の宮路とは、明らかに何かが違っていました。

    人は誰でもいつかは老いて亡くなってしまう。だったらなるべく笑って日々を過ごしていたい。
    老人たちと触れ合うことで得たものが、じわっと心に沁みてきます。

    「あと少し、もう少し」に登場した渡部君のその後も見れてよかったです。

  • ニートの主人公と音楽と老人ホームのお話し。予備知識なしに読んでたら、駅伝走った人の話が出てきてびっくり。

  • ☆4

    「あと少し、もう少し」に登場した渡部くんが、とっても素敵な大人に成長しておりました!
    作中にたくさんの曲が登場するので、音楽が好きな方はそちらも楽しむことが出来るかと思います。
    サクッと読める作品なのですが、読後はとても前向きな気持ちになることが出来、さすが瀬尾まいこさんの作品!だと思えました(*´˘`*)

  • 神様=渡部
    ボンクラ宮路はこの神様のサックスを聴いて老人ホーム通い始める
    神様のサックスはホームの人たちに寄り添うから滲みる
    それに気がつくのにはなかなかな宮路
    入所者水木さんの導きにより、渡部との練習により少しずつ少しずつ
    最後の最後に自分の力で生きて行くことに向かい合えた宮路
    出会えるから人生は素晴らしい
    そんなことを音楽にのせて教えてくれる

  • そしてバトンは渡されたの本を読みとても面白かったので読みました。とても面白かったです。ページをどきどきしてめくりました!

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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