本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784087446333
作品紹介・あらすじ
全国の書店員が選んだ
「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞」受賞作
ベストセラー『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』の著者が、こだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に真っ正面から向き合った。
2013年に京都の診療所を訪れてから7年間、寄り添うように見てきた終末医療の現場を感動的に綴る。
「命の閉じ方」をレッスンする。
200名の患者を看取ってきた友人の看護師が病を得た。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。
残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。
在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、7年間にわたり見つめてきた在宅での終末医療の現場を静かな筆致で描く。
私たちに、自身や家族の終末期のあり方を考えさせてくれる感動ノンフィクション。
佐々涼子(ささ りょうこ)
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。
日本語教師を経てフリーライターに。
2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。
2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた。
2020年、『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)で第3回Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞を受賞。
感想・レビュー・書評
-
佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』集英社文庫。
2013年に京都の診療所を訪れてから7年間取材を重ねて描かれる様々な在宅での終末医療の現場。
高齢者にとって『ピンピンコロリ』というのが、理想の死に方なのだが、医療や延命治療が進んだお陰で、なかなか死ねないという時代になった。
本書の中には家族との思い出に残るひと時を過ごし、直後に亡くなったまだ若い主婦が描かれていた。果たして、自分にそういう覚悟は出来るだろうか。高齢者で頭が惚けてなければ、ある程度の終活も可能であるが、末期癌などで突然の余命宣告を受けた場合は動揺の方が先に立ち、何も出来なくなるのではないかと思う。
生きることも死ぬことも本当に難しい時代になったと思う。増してや在宅での介護となると本人だけでなく家族も大きな負担を強いられることになる。本書でも夫が妻の在宅介護を行う姿が描かれているが、並大抵のことではないと思う。
やはり余り家族には迷惑を掛けずに『ピンピンコロリ』といきたいものだ。自分もそろそろ終活の準備とその時を迎えるための心構えを持ちたいものだと思う。
本体価格780円
★★★★★詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
在宅での終末医療。
こんなにも親身になってくれる医師や看護師がいたら、穏やかな最期が迎えられるかもしれない。
だが家族の負担は相当なものだろう。手放しでおすすめできるものではない。佐々さんは取材しても自分の考えがまとまらず執筆に苦労されたようだ。
佐々さん自身も昨年脳腫瘍で亡くなっている。自宅での最期だったそうだ。ご本人も在宅医療を選択されたのだろうか。
自分なら、家族なら、どうするだろう。
そうなってみないとわからない。
でもこの本を読んで得たものは大きい。もしそうなった時、少しは客観的に考えられるかもしれない。
-
余命幾ばくもない方たちの在宅医療についてのノンフィクション。
著者の佐々涼子さんは去年亡くなられたそうです。
こんな仕事があるのかとまず驚きました。
家族がガンで死んだ時はみんな病院でしたし、そんな選択肢があると思いもしなかったです。
みんな痛みに耐えて耐えてもう耐えられないから死にたいと言いながら死んだので、こんな人達に巡り会えていたら穏やかに最後を迎えられたのになと思いました。
どんなことでも良い人と悪い人が居ますが、ここに出てくる在宅医療されている方のような人達に出会えたら幸運でしょうね。
佐々さんのお母さんが看護師にうける仕打ちは似た経験をしたことがあるのでこんな人達には今後出来れば巡り会いたくないものです( ̄▽ ̄;) -
-
佐々涼子さんが、鬼籍に入られました。佐々さんとのメ-ルのやりとりを見ては、当時を思い出し、涙が出て来ます。追悼したい。けれど、この思いをどの...佐々涼子さんが、鬼籍に入られました。佐々さんとのメ-ルのやりとりを見ては、当時を思い出し、涙が出て来ます。追悼したい。けれど、この思いをどのように伝えれば良いのかわからなくなり、時系列で書くことにしまし|二村知子 隆祥館書店(2024年9月11日)
https://note.com/ryushokanbook/n/n2dd583c7c8bb2024/09/12
-
-
佐々涼子のエンド・オブ・ライフを読みました。
ドラマにもなったエンジェルフライトを書いたノンフィクション作家です。
去年亡くなりました。
死を題材に扱っています。
エンド・オブ・ライフは末期の癌の在宅看護の記録のように書き綴っています。
癌は私も多くの友人や親戚を亡くしています。
その時の様子を思い出しながら読んでいました。
ドラマのようにいきなり余命宣告を受けた妹夫婦。
私の結婚式に出るのに退院するまで髪を切らないと言っていて最後に出席を諦めて髪を切った友人。
定年になってやっと一緒に自転車で走れると思ったらいきなり癌でなくなった親友。
笑顔が素敵だった友人。
在宅看護は素晴らしいですが、家族の負担と信頼できる医師と看護師さんが揃わないとほんと難しいと読んでいて思いました。
父も98歳。
毎日、朝起こしに行くときにちゃんと生きているのかなと不安を抱えながら起こしています。
今日は叔父さんの告別式です。
やはり癌でなくなりました。
叔母はここ二ヶ月ぐらいで認知症が進んでいるとのこと。
とても身近に思える内容でした。 -
いつかもう一度読み直したい
医療がどこまでもどこまでも進んでいこうとするから、人の命を実体としてこの世に長く留めておく方法を次々と生み出してしまうから
増えすぎた選択肢を目の前に並べられて、選ばない、という選択をすることが苦手な私達は余計苦しめられてしまう
死生観を明確にして、自分が自分らしくあり続けられる最期のありかたを考えようなんてもっともらしく言うのは簡単だけど、実際死が目前に迫ったときに、必ず心にこびりつづけるであろう、やらなかった後悔、やれたかもしれないというやるせなさを丸ごと抱きかかえ続ける覚悟を持てる人がどれだけいるだろうか。
若くして亡くなった人が、「こんなに若いのに」と格別に死を悼まれるのは自然なことだが、やはり悲しい。
死に至るまでの期間が各々異なり、それが最初の段階では分かっていないだけで、みんな生まれた時から等しく死に向かっているのに。
木から枯葉が落ちるように、まるで日常生活の一部であるかのようにごく自然に命を閉じられればよいな。
老いて赤ん坊のように何も自分でできなくなった親の介護に苛立ちが抑えられない子の姿には、何も責められない何も悪くない、そのどうしようもなさに鬱々とした気持ちになった。現実はつらいことの方が多いはず(2013年その4)
一瞬一瞬死んでいく人生を大切にしていきたい
患者側の目線や心情が細かく描写されていて、度々ハッとさせられた。恐ろしいことに、毎日業務に追われストレスの多い日常を送っていると、相手の立場に立って考える、患者が自分の些細な言動により感情が揺れ動く人間であるということをすっかり忘れてしまう。いつでも相手が相手にとっては自分であり、唯一の過去を背負った個人であることを心に刻んでおきたい -
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』以来2作目の佐々 涼子作品。
まずは、凄く共感した文章。『服を買う時は試着する。美容院に行って髪を切ってもらう時は、相性のいい美容師に任せる。それなのに、人は医師がどんな死生観を持っているかを知らずに、自分の運命を委ねる』
生まれてから様々な生き方がある一方で、死に方には選択肢が少なく、きちんとした医療知識を身につけた、いい医師に巡り合わなければそれも叶わない❗️そんな中でいかに自分らしく最後を迎えるかということを強く考えさせられました。
大学の中にはヒエラルキーがあり、緩和ケアは低く見られがちで、医者の中には患者の患部を治すことにしか興味がない人が多いというこの世の中で、本書のような患者に寄り添った医療を施してくれる病院が、今現在どれくらいあるのか分からないけれども、最後を迎える時には、拍手を持って見届けられたいなぁーと切望します❗
特に印象的なエピソードは、『二〇十三年 今から六年前のこと』と『二〇一三年 その2』です。最後に佐々 涼子さんの御冥福をお祈りします。ありがとうございました。 -
今年一番の作品。
この作品に出会えて良かった。
多くの人に読んでもらいたい。 -
ノンフィクションをちゃんと読んだのは初めてかもしれない。
在宅医療について知りたくて手に取りました。
ここに出てくる医院はとても良心的なところだと思います。こんなところに出会えたならば家で最期の時を迎えたいと思えるかも。でも、いくらノンフィクションとはいえ、こんなにいたれり尽せりのところはなかなかないでしょう。本当に素晴らしい看護体制。
話しの中に亡くなられた時に拍手が起こったケースがありました。なんて良い逝き方でしょう。泣けました。こんな最期に憧れます。 -
在宅医療=終末医療の現場にノンフィクションライターの著者が同行し、取材しながら書いたもの。
訪問看護師としてその現場で働いていた森山さんが、すい臓がんステージⅣと診断され、実際に在宅医療を受ける側になり、亡くなっていくまでが記されている。その合間合間に、森山さんが訪問看護師として接した患者達の記録。
看護師として働いている時と、実際自分が癌になって医療を受ける側になった時との本人の考え方の違いが「こうも変わるものなのか」と思った。世の中は本当に自分がなってみないと分からないことだらけだと思うけれど、180度違う人のような印象を受けた。
色々な人の最期の過ごし方を垣間見られたのが良かった。本文にもあった通り、今は死ということが日常から遠ざけられていて、医療従事者以外間近に見ることが出来なくなっているので、なかなか自分ごととして考えるのが難しい。なのでこのような本の存在は貴重だと思う。
もし自分が残り少ない命だと分かったとして、最期を病院で過ごすか、在宅で過ごすか考えた時に、何も知識が無い状態だと家族の負担も考えて病院かな…と思っていたと思う。この本を読んで、渡辺西賀茂診療所のような皆さんと出会えたら、在宅で過ごすのもいいなぁと思えた。
著者プロフィール
佐々涼子の作品





