- 集英社 (2024年9月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784087446968
作品紹介・あらすじ
明治の終わり、13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。
北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、
鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。
一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、
教職免許のために猛勉強中だった……。
時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。
若い世代に読んでほしい感動長編!
〈著者略歴〉
佐川光晴(さがわ・みつはる)
1965年東京都生まれ、茅ヶ崎育ち。北海道大学法学部卒業。2000年「生活の設計」で第32回新潮新人賞受賞。02年『縮んだ愛』で第24回野間文芸新人賞受賞。11年『おれのおばさん』で第26回坪田譲治文学賞受賞。19年『駒音高く』で第31回将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞受賞。小説に『おれたちの青空』『おれたちの約束』『おれたちの故郷』『大きくなる日』『あけくれの少女』、エッセイに『牛を屠る』『主夫になろうよ! 』『おいしい育児』などがある。
みんなの感想まとめ
時代を超えた二人の主人公の物語が展開され、戦争の影響や人権問題に対する深い考察がなされる作品です。明治末期の清作は、徴兵を逃れ故郷を捨て、鍛冶職人としての人生を歩む中で、仲間との絆や試練を通じて成長し...
感想・レビュー・書評
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Amazonの紹介より
明治の終わり、13歳の清作は、徴兵から逃れ故郷を飛びだす。北陸から九州、そして横浜へと逃れながらも、
鍛冶職人として生きる清作を、数々の試練が襲いつづける。
一方、清作を曾祖父にもつ現代の女子大生・あさひは、教職免許のために猛勉強中だった……。時代をへだてたふたりの希望の光が、小さく輝きはじめる。若い世代に読んでほしい感動長編!
生き抜くために壮絶な運命を辿る清作。その苦労は、想像以上かと思いますが、懸命に生き抜こうとする姿に自然と応援したくなる気持ちにさせられました。その半生は、仲間や周りからの信頼があってこその人生であり、その固い絆に感動させられました。
一方、現代パートでは、朝鮮との関わりになかなか難しいところではありますが、まずは相手を知ることが大切であると感じました。
2つの物語がどう絡み合っていくのか。「幸せ」の重みが心に響きましたし、戦争を乗り越えての生き方に「生きる」ことがいかに大事か考えさせられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
兵役逃れの清作と、ひ孫で中学校の社会科教師を目指すあさひの話が交互に進んでいく物語。古典的な手法だが、次の話の展開が楽しみになる。
さて、この物語、途中までは面白く読めたが、最後がちょっと駆け足気味だったのが残念・・・消化不良です。 -
反戦、厭戦と朝鮮人差別に関する人道的立場からの反発を主眼に置いた小説。
日清・日露の対戦から関東大震災に至る激動の時代に生きた馬橋清作と中学校の社会科教師として現代に生きる清作のひ孫・あさひの物語が交互に描かれる。
清作は日露戦争で心身とも傷ついて帰ってきた父親の姿を見て、徴兵を忌避し、故郷・小松を捨て、岡山県美作で鍛冶職人としての人生をスタートさせる。その手配をしたのは、近所の商家の息子・幸三郎。彼は、文武両道に秀でた青年で、上級生にいじめられる清作を助けていた。
清作は徴兵拒否を許さない兄・栄作の追っ手に怯え、筑豊の炭坑地帯へと移る。地獄と称される炭坑では、日韓併合で日本に来た朝鮮人労働者が低賃金で危険な作業に従事していた。
清作はとある事件から朝鮮人女性の姜香里とともに川崎へ逃亡する。それらの過程には常に幸三郎のサポートがあった。
一方、あさひは中学時代に在日コリアンの転校生に出会ったことをきっかけに差別をなくす教育を目指し、中学校の社会科教師になる。
清作の物語では、捕虜となった朝鮮軍の兵士を連れてきて炭坑で奴隷のごとく作業をさせたこと、日本政府が朝鮮語による教育を厳しく禁じ、朝鮮人の子どもたちの多くが朝鮮語を話せなくなったこと、川崎の朝鮮人町の劣悪な環境、関東大震災での朝鮮人に対するデマなどの歴史が盛り込まれている。
また、あさひが生きる現代では、奴隷のような朝鮮人は存在しないものの、ヘイトスピーチなど、根深い偏見や差別が残っている様子が描かれている。
鍛冶職人としての能力をひたすら高めていく清作、世界に目を向け、正義を貫く幸三郎、朝鮮半島の歴史を勉強し、教育の機会均等を重んじるあさひ。主な登場人物は、いずれもまっすぐで人の道を進む清々しさを感じさせる。
平和の大事さ、人権の尊さをストーリー性豊かに描いた作品であり、学校教育の副読本として活用しても良さそうな気がした。 -
解説まで読んで一気に物語が蘇り、私もどういう生き方をしていきたいのか、今もどこかしらで続く戦争や紛争、小さな偏見や差別にどう対応していけばいいのか、非常に考えさせられるきっかけになった本でした。
著者プロフィール
佐川光晴の作品
