チンギス紀 五 絶影 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2025年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (392ページ) / ISBN・EAN: 9784087447392

作品紹介・あらすじ

ついに、あの「剣」が、テムジンの手に⁉
英雄たちのもとで、夥しい血を吸ってきた剣は、それを持つべき者を探していた……。
衝撃の展開が待ち受ける、好評第五巻!

同じモンゴル族のタイチウト氏との戦いに挑むテムジン。疾駆するテムジンの軍が、敵の長・タルグダイの隊に届くと思われたとき、新たな旗が現れる。そこには、草原最強の男・玄翁が、テムジンを待ち構えていた。玄翁の自在に動く50騎と、テムジンの隊との凄絶な戦いが始まる。テムジンは配下の槍の達人ジェルメ、強弓のクビライ・ノヤンとともに玄翁軍とあたり、草原を血に染めていく。結着がつかないなかで、玄翁はテムジンに驚くべき提案をする。それを聞いたテムジンは……。

【著者略歴】
北方謙三(きたかた・けんぞう)
1947年佐賀県唐津市生まれ。中央大学法学部卒業。81年『弔鐘はるかなり』で単行本デビュー。83年『眠りなき夜』で第4回吉川英治文学新人賞、85年『渇きの街』で第38回日本推理作家協会賞長編部門、91年『破軍の星』で第4回柴田錬三郎賞を受賞。2004年『楊家将』で第38回吉川英治文学賞、05年『水滸伝』(全19巻)で第9回司馬遼太郎賞、07年『独り群せず』で第1回舟橋聖一文学賞、10年に第13回日本ミステリー文学大賞、11年『楊令伝』(全15巻)で第65回毎日出版文化賞特別賞を受賞。13年に紫綬褒章を受章。16年「大水滸伝」シリーズ(全51巻)で第64回菊池寛賞を、17年同作で第6回歴史時代作家クラブ賞特別功労賞を受賞。20年に旭日小綬章を受章。24年『チンギス紀』(全17巻)で第65回毎日芸術賞を受賞。『三国志』(全13巻)、『史記 武帝紀』(全7巻)ほか、著書多数。

感想・レビュー・書評

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  • 玄翁こと胡土児は
    精鋭の麾下50騎を従え西に駆けていた
    思えば戦(いくさ)に憑かれた人生だった
    むかし幻王という名で金国で恐れられた
    梁山泊の頭領となった楊令を実父に持ち
    金国の大将兀朮(うじゅ)を養父に持ち
    梁山泊と金国の最後の決戦を前に
    「お前を戦に出せば、俺は人間ですら無くなるのだ」と養父に言われて
    泣く泣く匈奴の地を放浪した胡土児は
    戦で死ぬべき場所を数十年間探していた
    極限迄に強くなっても戦で勝てないことは
    実父や養父の人生で教わっていた
    俺はどうすればいいのか
    漢はどう生きれば見事に死ねるのか
    玄翁は駆けていた
    タイチウト軍との決戦が
    実は玄翁との決戦だと知っている
    息子テムジンのもとへ
    2度の戦で2度テムジンを
    死の一歩間際迄に追い詰めた
    その度にテムジンは大きくなり
    今や互角かそれ以上だ
    もう殺されても良いと思っていた
    絶影⸺影を留めない程の速さで駈ける
    モンゴルの草原は母のように優しく
    モンゴルの天は父のように大らかだ
    モンゴルの息子に玄翁は会いに行く

    此の巻で吸毛剣は
    テムジンに渡った
    父殺しを成すのは
    古来英雄の条件也
    吸毛剣シリーズは
    重要人物亡き後の
    5巻目常に転回す
    さあ物語が始まる



  • 宿敵、玄翁との決戦から始まり、テムジンの出生の秘密、受け継がれる剣と、序盤の集大成的な物語が過去作とも交わり展開する、シリーズ6作目。

    相変わらず、トクトアと狼の雪山サバイバル生活に、殿への愛が大きすぎるボオルチュ(今回は、殿の排泄物まで愛しています)のエピソードなどが盛り込まれており、新旧大勢のキャラが躍動します。
    あと、肉を焼いたり煮たり石酪を口に入れたり。

    少しずつ代替りが起き始め、金国との関わりなど、
    部族同士の争いから次なる展開へと移っていき、今後の展開が気になるところ。

    水滸伝や楊令伝からチンギス紀まで世界が続いていたと知り、過去作にも俄然興味が湧いた1作でした。チンギスの旅の話も良かったです。

  • すでにテムジンの人格と能力は完成されているような書きぶりだが、これから先は、まだまだ長いはずである。版図と配下が増えていくこと、統率者として他国と相対すること等、それによりテムジンの深みと凄みがどのように増していくのかが描かれていくのであろう、と想像する。

  • いきなりのクライマックス、強敵・玄翁との激闘で幕を開け、仇敵・タタル族との新たな戦いを匂わせて終わる巻。テムジン出生の秘密が明かされ、「大水滸伝」と繋がるエピソードが読みどころ。楊令伝以降を後回しにしたことをちょっと後悔。

  • いよいよ第5巻でテムジンと玄翁の意外な関係が明らかに。草原の争いは何度か動くものの、大勢に影響はなし。
    いよいよ次巻はテムジンが大きく打って出るのか? 早く読みたい‼️

  • 玄翁との決戦巻で凄まじい戦い。どれだけ斬られても少し死んでも?隊列を崩さない50名の集団は怖い。玄翁との関係は前触れもあったけどなんか切ないとうとう楊明との関係が明らかになり、大モンゴル伝としてのシリーズ性が明確になる巻。水滸伝と楊明伝(途中まで)は読んだけど、この円環はすごい。

  • 段々と登場人物の名前に馴染みがでてきて、読みやすくなってきた。
    月に一回のお楽しみ。

  • 玄翁が登場した時から、その名の響きは否が応でもあの男を思い起こさずにはいられなかったけれども、こういうふうに繋がったかぁ。
    こうなると、水滸伝より前の物語群も読まねばやんね。
    (まだ読んでなかった人)

  • 継承や、父と子、といったテーマがより強く。
    テムジンがモンゴル帝国の偉大なる父となるまで物語が続くとしたら、その壮大な物語の第一部クライマックス、という感じだった。

    ボオルチュの活躍が多くて嬉しい。
    トクトアのソロキャンプシリーズも結構好き。

  • 玄翁
    メルキト ケレイト

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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