海を見に行こう (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.23
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本棚登録 : 1122
感想 : 119
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087450217

作品紹介・あらすじ

同棲していた彼氏とケンカして、家出した茜。民宿を経営する叔父夫婦のもとに転がり込むが、そこはラブホテルに替わっていて…(「海風」)。結婚して10年。ずっとうまくいっていた妻との間に、大きな悩みを抱えてしまった航。久しぶりに戻った故郷で、昔傷つけてしまった女性と再会し-(表題作)。海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも心温まる小説集。

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    同じ海辺の街を舞台にした人生に迷い立ち止まる人々の6つの連作短編集。
    ・海風
     同棲していた彼と喧嘩して叔父叔母が経営してた民宿へ行くがラブホテルに変わっていた…。
    ・キラキラ
     隣の席の小橋君が気になっている女の子…。
    ・笑う光
     宅配会社の転勤で海辺の街にやって来た圭介。宅配先で昔の彼女に再会する…。
    ・海のせい
     同棲している尚人と怜子。ドライブしながら怜子は別れを切り出そうと決意しているが…。
    ・小さな生き物
     結婚して3年。まだ子供を作る勇気を持てない亜美…。
    ・海を見に行こう
     久々に海辺の街に帰省した航。妻との間に大きなわだかまりがあり…。

    東京から電車で数時間。いつも観光客に溢れ海と山があり故郷がここだと言うと羨ましがられる。
    舞台になってる海辺の街ってどこだろう…鎌倉かなぁって想像しながら読みました。
    連作短編集と言っても、同じ海辺の街を舞台にしているって事で、
    一話一話の登場人物に繫がりが無く、
    いつも飛鳥井さんが描く、生き辛い人や痛い人や弱い人が登場するのではなく、
    年齢も10代からお年寄りまで様々で、生き方も様々だけど普通に暮らしている人の
    6人の男女やその周りの人が苦悩から再生している姿が描かれていた。
    様々な感情が湧いて、それぞれの人々が前に向かって進んでゆく姿は良かったって思った。
    でも、飛鳥井さんが大好きで、ワクワクして読み始めたので、少し物足りなかった(ノω<。)
    しかし、人の心のデリケートな部分を描くのがとっても繊細で秀逸な飛鳥井さん。
    表題の「海を見に行こう」は、とっても良かったです。ウルッとしました。
    文中に「海は、ときどきこうやって教えてくれる。世界には沢山の哀しみが溢れているけれど、
    でも同時に、こんなにも美しくて愛おしい景色もあるんだということを」
    海をゆっくり、眺めに行きたくなりました♪
    家族の関係は濃密だからこそ、切なかったり厄介だったりする。でもとっても愛おしい

  • 鎌倉が舞台の短編集。デビュー作の「はるがいったら」を読んでからいつもふわっと心地よく物語に引き込まれるのでほとんどの作品を読んでいます。表題作は家族小説で良かったけれど、私は「キラキラ」が一番好きでした。

  • kamosigiさんに薦められて読んだ「アシンメトリー」の印象が深くて、
    文庫書き下ろしで紹介されていたこちらを読んでみました。

    「海」が見えるある街を舞台に繰り広げられる6つのストーリー。

    最後の「海を見に行こう」を読んだとき、最終的にこの1冊にぐっと引きこまれて☆☆☆☆。

    個人的には「笑う光」に登場する有希のイメージを、なぜか麻生久美子で読み進めている自分がいた。34歳という年齢が具体的に出てきたからなのか、とくに意味はないけど。

  • 海(鎌倉?)を舞台にした短編集。
    哀しいけど落ち着いてて、しんみり読めた。
    みんなどうにもできない悩みを抱えてて、その中でも小さな希望を見つけて生きる。
    読んでるうちに励まされる小説だった。

  • 海を軸にした短編集。表題作よかったああああ!!!あと「海風」!あと「キラキラ」!「海風」は最初主人公に「何だこの甘ったれたクソガキ」とイラッとしたけど、最後よかった。「笑う光」と「海のせい」は、その、まあ…全然共感できんかったけど。振れ幅がすごい。色んなスタイルの話が書けるのすごいなあと思う。「キラキラ」がもう甘酸っぱくて最高。表題作は悲しい話だけど好きです。生きててよかった、って思うのが辛いって悲しい。最高。苦しみながら生きてる姿が好き。

  • 同じ海の街が舞台で繋がった短編集です。ゆるやかに連作となっています。6作品あり、基本は恋愛小説な感じですが、最後の表題作が家族の物語で胸がじわっと熱くなりました。どのお話も良いです。

  • 海を舞台に6篇の短編からなる1冊

    〜海風〜

    ひょんなことで彼氏とけんかをし、家を飛び出してしまう主人公、茜
    彼氏は、追いかけてきたり、電話してくるのかと携帯を何度も見るが連絡はない・・

    電車は、どんどん進み、子供のころ遊びに行った海辺で民宿を経営していた叔父夫婦の最寄駅に・・

    歩きながら、場所を探すと海が見えてきて・・・

    いつの間にか民宿はラブホに代わっていた・・

    茜は、駆け落ち同然に家を飛び出し、今の彼氏と同棲をしていることを、叔父夫婦も知っており・・

    茜は自分の心を見透かされたかのように感じてしまう。

    しかし、ホテルで働きながら、いろいろなことを学び、勝手に女にお金を貸した勇一からその分の

    入金がある・・結局女に騙され、お金は帰ってこなかった、勇一は失ったお金を嫉視で働き、

    茜にかえす・・

    二人の距離が時間が戻り始める。。。

    他5編

    海に行きたくなる1冊

  • *同棲中の彼氏と大喧嘩して家出した女の子。妻との間に大きな悩みを抱え、故郷に戻った青年・・・海辺の街を舞台に、人生に迷い立ち止まる6人の男女の再生を描く、ほろ苦くも温かい小説集*
    ありふれた、よくある男女のすれ違いのお話なのに、海の表情が絡まっているせいか、様々な感情が入れ替わり立ち代わり。うまいなあ。読者の想像に任せたような、ふわりとしたラストもなかなか。

  • 少し力足らず

  • スピッツしか出てこない!笑
    ちょっと舐めていたかも。面白かったです。最後の話が一番良かったです!

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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