海を見に行こう (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 932
レビュー : 109
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087450217

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    同じ海辺の街を舞台にした人生に迷い立ち止まる人々の6つの連作短編集。
    ・海風
     同棲していた彼と喧嘩して叔父叔母が経営してた民宿へ行くがラブホテルに変わっていた…。
    ・キラキラ
     隣の席の小橋君が気になっている女の子…。
    ・笑う光
     宅配会社の転勤で海辺の街にやって来た圭介。宅配先で昔の彼女に再会する…。
    ・海のせい
     同棲している尚人と怜子。ドライブしながら怜子は別れを切り出そうと決意しているが…。
    ・小さな生き物
     結婚して3年。まだ子供を作る勇気を持てない亜美…。
    ・海を見に行こう
     久々に海辺の街に帰省した航。妻との間に大きなわだかまりがあり…。

    東京から電車で数時間。いつも観光客に溢れ海と山があり故郷がここだと言うと羨ましがられる。
    舞台になってる海辺の街ってどこだろう…鎌倉かなぁって想像しながら読みました。
    連作短編集と言っても、同じ海辺の街を舞台にしているって事で、
    一話一話の登場人物に繫がりが無く、
    いつも飛鳥井さんが描く、生き辛い人や痛い人や弱い人が登場するのではなく、
    年齢も10代からお年寄りまで様々で、生き方も様々だけど普通に暮らしている人の
    6人の男女やその周りの人が苦悩から再生している姿が描かれていた。
    様々な感情が湧いて、それぞれの人々が前に向かって進んでゆく姿は良かったって思った。
    でも、飛鳥井さんが大好きで、ワクワクして読み始めたので、少し物足りなかった(ノω<。)
    しかし、人の心のデリケートな部分を描くのがとっても繊細で秀逸な飛鳥井さん。
    表題の「海を見に行こう」は、とっても良かったです。ウルッとしました。
    文中に「海は、ときどきこうやって教えてくれる。世界には沢山の哀しみが溢れているけれど、
    でも同時に、こんなにも美しくて愛おしい景色もあるんだということを」
    海をゆっくり、眺めに行きたくなりました♪
    家族の関係は濃密だからこそ、切なかったり厄介だったりする。でもとっても愛おしい

  • 海辺で育った人の人生には良い時も悪い時も故郷の海が影響を与えている、といった感じの短編集。
    自分自身もかつては魚釣りに夢中になり、大学で海洋学を専攻するほど海が好きだったので、身近に海の存在を感じながら送る人生に憧れます。
    いつか海の近くに住めたらいいな。

  • 短篇集。

    「海風」
    先の事まで深く考えずに行動し、それを叱ってくれる家族に反発して駆け落ち同然で暮らし始めた男に家賃を他の女の子に貸されてしまい、怒って家出する人の話。
    思慮に欠ける行動と甘ったれた考えの主人公にイライラする。
    なんで反対されるのか、咎められたのか、ちゃんと考えないところが好きになれず。
    あまり読んでいて楽しい物語ではなかった。

    「キラキラ」
    高飛びをしてる中学生の話。
    気になる男の子がいるけど、色々自覚が無いというか、認めない感じが初々しくて可愛らしかった。

    「笑う光」
    不倫していた女性と再会した男の話。
    不倫してるけど自分と同じように相手も想ってくれてる、というのが思い込みだった事が怖かった。
    夫と不仲で「淋しそうな笑顔」と思っていたのが実は自分に対して「困ったやつ」と思われての笑顔だったなんて怖すぎる。
    気持ち次第で同じ出来事の見え方がこうも違うのか、と思わせる話は面白かったけど、後味の悪い話だった。

    「海のせい」
    ダメ男と別れられない女の話。
    イライラした。

    「小さな生き物」
    子供が欲しいと思えない女が、妊娠したかもしれない状況の中、子供が産まれた友人のところに遊びに行く話。
    子育てって大変な事で、頭で考えてると出来ないよ!と思ってしまうけど、やってる人を見ると「出来るじゃなくて、出来てた」なんだなぁ、と私も思う。
    最後、子供を持つことに対して前向きに考えが変わったみたいな終わり方で良かったです。

    「海を見に行こう」
    何かあって、急に実家に帰ってきた男の話。
    なんで実家に帰って来たのか、何があったのかが徐々に分かり、それまでなかなか話が見えなくてモヤモヤした。
    父親が素敵だった。

  • 嫌いじゃない。この人の作品は表紙のせいか内容が薄そうに見えるけど、柔らかい後味は文学作品的なものを感じる。

  • 後半の三作がとてもよかった。
    「海のせい」
    同棲カップルのすれ違い、別れを決めて切り出そうとしているけれど、タイミングがつかめず切り出せない彼女。
    微妙な分かり合えなさからもどかしくなったり、本当にこのまま付き合い続けていいのだろうか?と揺れ動く気持ちが、すごく絶妙に書かれていると思う。
    別れようと決めたのに、いいところもあると考えたり、過去の思い出がよぎって結局別れられなかったり。。。。
    怜子はこの先も同じことで悩んで、二人は上手く行かなくなるきがするけれど・・・

    「小さな生き物」
    結婚や子供についての価値観が対象的な考えの幼馴染三人組。
    子供ができたかもしれない、けどまだそれを受け入れることができない葛藤。
    結局妊娠ではなかった、と分かったときのもやっとした気持ち。
    台詞の一つ一つがリアルなものばかりだった。
    結婚とか出産とかすごいな、踏み切れる勇気もないな、と思うところがあるので電車のシーンはヒヤッとした。

    「海を見に行こう」
    夫婦と親子の、愛情を垣間見た。
    ラストはすこしドラマティックでくさい感じだったけれど、こんな優しい家庭もあるんだな、とホロッとした。

  • 海辺の街を舞台にした6つの話

    どれも迷ったり悩んだり少し切ない話

    「海風」「キラキラ」「海を見に行こう」は
    良かったねーと、ほっこり出来る話

    「笑う光」はモヤモヤが残ってしまう後味の悪い印象

    「海のせい」は仕事がつづかない気分屋で調子の良い無職の彼
    親友にも別れた方がいいと…
    別れる決心をするが…
    うーん…これもまたモヤモヤだけが残った話

  • 2015/12/10読了

    人間、特に日常的に海に面していない者からすると、海にたどり着いたときやその香りをかいだ時になんだか言いようも無い高揚感を覚えることが時たまある。
    ゆえに「海」という単語は不思議なもので、つい引き寄せられるものでもある。

    そういうわけでこの本はタイトル買いであった。

    恐らく同じ町なのか、新しい町だったり古い町 ないし、ふるさとだったりする「海のある町」
    海の香り、その記憶。

    物語としては大事件などは無いけれども、人生の中でふと立ち止まる瞬間のそばに、「海」がある という光景。
    やわらかくて小さなお話でした。

  • 東京から電車で1時間くらいの海辺の街(鎌倉か藤沢か、そのあたり?)を舞台にした短編集。
    向こう見ずな若い女性がラブホテルで働くことになる話でびっくりし、中学生のかわいらしい揺れる想いにきゅんとなり、表題作でじーんとしてしまった。喜怒哀楽、いろいろな人たちのさまざまなストーリーが展開しているけど、海はいつだってざぶんざぶんと泰然としている・・・
    人間ってちっぽけな存在だなぁ。

  • 鎌倉を舞台に(鎌倉とは出てこないけど静御前が踊る話や富士山麓が出てくるから多分)人生に立ち止まる男女6人の短編集。6人がそれぞれ関わるということではないがそれぞれ主人公が悩み、もがいているのが現代人ぽかった。主人公が自暴自棄っぽく終わる「笑う光」や、別れようと思ってた彼氏と結局別れない選択をした「海のせい」は読んだ後の後味がうーん…モヤモヤする感じなので星3です。

  • 海をテーマにした短編集。
    おおむね恋愛話ですかね。
    まぁ、悪くはないですけどどの話も人間の嫌な部分がさりげなく描かれています。第一話の話は、結局主人公が彼氏とどうなったのか知りたいな、と思わせる出来でしたが他は。。。淡々と進んで結局何を描きたいのかよくわからない話もあって。
    可もなく不可もなく

著者プロフィール

飛鳥井 千砂(あすかい ちさ)
1979年生まれの小説家。北海道生まれ、愛知県稲沢市育ち、神奈川県在住。
2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2011年刊行の文庫『タイニー・タイニー・ハッピー』が20万部のベストセラーとなる。他の代表作に『アシンメトリー』『君は素知らぬ顔で』『UNTITLED』『鏡よ、鏡』『女の子は、明日も。』『そのバケツでは水がくめない』など。

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