- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087450446
作品紹介・あらすじ
太平洋戦争が始まる年、許婚の父を訪ねて18歳の母は単身、朝鮮から日本に渡った。熊本で終戦を迎え、「在日」の集落に身を寄せる。そして、祖国の分断。正業に就くことも祖国に還ることもできない。貧困に喘ぎながら生きることに必死だった他の在日一世たちとともに、忍従の日々を過ごす。ひたむきに、「家族」を守るために-。かけがえのない母の記憶をたどり、切なる思いをつづった著者初の小説。
感想・レビュー・書評
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激動の時代を生き抜いた、著者のお母さんの自伝。これでもか!これでもか!と色々な災難や不運に見舞われても、"何とかなる、何とかなるばい"と前向きに逞しく生きた様は国籍とか関係なく、胸を打たれた。
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著者:姜尚中(Kang Sang-jung, 1950-、熊本市、政治学)
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著者のお母さんの話です。
戦時中から戦後の苦しい時代を生きているだけでも大変だとは思うけれど、さらに朝鮮から日本に嫁に来た著者のお母さんは、想像するだけでも苦労しただろうと思います。
在日朝鮮人から見た日本も垣間見れて、とても興味深い一冊でした。 -
永野鉄男から姜尚中へ。日本で生まれ育ったけれど「日本人」じゃない、でもじゃあ自分は何者なんだ、っていう問い。母国以外で生まれ育ったたくさんの人たちがずっと持っているものなんだろうな。「アイデンティティ」、とカタカナで書くと簡単なものに思えるけれど。その向こう側に複雑な歴史や思いがあるんだってことは覚えておかなきゃ、と思う。
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2013.11.5 2〜3日で読み終えた。姜尚中の本は初めてだが文章もなかなか。登場人物が魅力的で、時代背景とともによく描かれているね。
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18歳で日本で働く著者の父に嫁いできた母。戦中戦後の時代を生き抜いてきた在日の人々の物語。
怒りや悲しみの感情表現が激しく、著者にとっての存在感の大きさが心に伝わる内容。
チョーセンという表記にオヤ、と思う。自分の根が朝鮮にも日本にも持てないような哀しさを感じる部分もあった。著者が自分の存在規定をとり戻す過程も触れている。祖国にも日本に対しても複雑な感情があるんでしょうね。
釜山近くの鎮海や熊本の風景が良かった。
著者の「在日」も読まなければ。 -
戦争は本当に罪深いものだと思いました。平和な世の中では考えられないようなことが起こり、誰もが辛い思いをして必死で生きてきたのですね。
先人達の並々ならぬ努力に頭が下がります。 -
「何とかなるばい」それが母の口癖だった。
どがん仕事ばしとっても、心は錦だけん。 -
戦時中の在日のつらさ。知らない事がたくさんでした。
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어머니、オモニ、母…どんだけ苦労されたんだろう。うちは、日本語の「お母さん…」「オカン…」より「어머니…」という響きに胸がキュンとなる。在日という言葉は日本人にはわからないほど深くて複雑で、残酷やねん。いや、誇り…かな。そう思った本でした。