いねむり先生 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 269
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087450996

作品紹介・あらすじ

妻の死後、無為な日々を過ごしていた僕が出会ったのは、小説家にしてギャンブルの神様。色川武大との交流が僕から恐れを取り除いてくれた──。自伝的傑作、ドラマ化!(解説/村松友視)

感想・レビュー・書評

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  • 友人が良かったよ、と貸してくれました。
    伊集院静氏の本は一冊だけ、読んだことがあり優しい文章を書く人だなぁと思った記憶があります。この本も寂しいけれどもなんだか優しい本だと思いました。とは言えこの先生のことをよく知っている世代の方が面白く読めるんだろうな、とは思いました(11PMとか、番組名しか知らないし)。

    主人公のサブローさんはけして悪い人ではないんだろうけど近くにいる肉親は大変そう。友人だったらまだ遠慮があるからなんとかなりそうですが近親者だったら大変だったろうなぁ…。そりゃあ新婚の妻を病気で亡くした無念や悲しみは想像出来ないものがあると思うけど前妻との間に子供が居る、というセリフがあってちょっとびっくりしました。そうか、突然の妻の死は乗り越えられないけど前妻と子供は既に自分の人生から切り捨ててるんだろうな、みたいな。
    まあそういう選択をして行かなければヒトは前に進めないんでしょうがそれでも自分で決めて、選択できるのだから幸せな人なんだろうな、となんとなく思いました。

    悲しみも苦しみも嘘じゃないんだろうけどそれはきっと個人的なものであって、誰かと分かち合ったり、慰め合ったりすることは出来ないんだろうな、とも。反対にそう言う生き方を選べる人が作家になれるのかな、とか。とにかく一言でいうとセンセイという人物に惚れこんだ、ということなんだろうなぁ… 

    一冊まるまる先生への感謝状、もしくはファンレターのような小説だと思いました。

  • 身近な人の死による喪失感から立ち直るには、人との出会いが必要なんだということを教えてくれる小説です。読後に、いねむり先生のモデルとなった色川武大の映像をユーチューブなどでみて、確かに存在感のある人だと感じた。色川のエッセイを読んでみようとネットで注文してみた。

  • 伊集院静さんの自叙伝的小説。
    最愛の妻である夏目雅子さんが亡くなったあとの、お酒とギャンブルに溺れていた日々の中でKさんから紹介してもらった、いねむり先生 色川武大/阿佐田哲也 。チャーミングで深い影も持つ先生を尊敬し、一緒に過ごした時間と、別れまでを綴った小説。


    先生の言葉
    リズムですよ。正常なリズムで過ごしているから人間は普通に生きていられるんです。

    先生の小説の文章
    自分のどこかぎこわれている、と思い出したのはその頃からだ。漠然と感じる世間というものがその通りのものだとすれば自分は普通ではない。
    他人もそうなのかどうかわからない。他人は他人で違う壊れかたをしているのか、いないのか、それもよくわならない。

    自分は誰かとつながりたい。自分はそれこそ、人間に対する優しい感情を失いたくない。

  • 80年代の色川武大と著者との交流を軸に書く自伝的小説。人付き合いにおいてとことんまで無防備な色川の姿が強烈。エピソードはほぼ事実だと思うけれど「書いてない」ことはあると思う。

  • 著者の自伝的小説。
    最愛の人を亡くした「ボク」は、酒とギャンブルに溺れ、自暴自棄の日々を送っていた。
    そんな中で出会った「先生」は、ギャンブルの神様と呼ばれる作家。
    「先生」に誘われ一緒に「旅打ち」に出かけるようになる。そこで描かれる二人の友情が、とても切なくて優しくて、温かい。

    奇妙・チャーミング・子供みたいな不思議な「先生」は、全てを寛容に受入れて認める愛深い人。
    優しくて純粋な眼差しでそっと、絶望から抜け出せない「ボク」を包み込んでくれた。
    「先生」との出会いで「ボク」は生きる気力を取り戻しはじめる。

    言葉少なくとも存在する信頼関係と互いの想いやりが、行間からもにじみ出ている。
    痛みをわかってくれる懐の深い情愛。じんわりと癒されます。

    「先生」(色川武大/阿佐田哲也)の作品も読んでみたくなりました。

  • このタイトルは突然寝てしまう色川武大(阿佐田哲也)の持病であるナルコレプシーを指しているタイトルとのこと。 筆者の、雀聖と言われた博打うち阿佐田哲也への敬慕と愛溢れる作品。 勝負の世界に生きる人間の、あくまでも自然体でそれでいて見返りを求めない本当の優しさ、本当に豊かな人間関係とは何かということを考えさせてくれます。優しさというものは陽だまりの中で感じる柔らかなものだけではなく、人の涙、汗、血を拠り所に集う人々の中で生まれるものでもあるのだと気づかせてくれました。

  • とても楽しい(苦しい)時間の記録。
    最後はそうだろうねえ。
    陳健民さんが歩いてきてもそう思うでしょう。

  • “サブローくん”の“先生”に対する愛情のフィルターが心地よくて、読んでいると暖かい春の日にそよ風が吹いているような感じを覚えます。
    阿佐田哲也氏の本をまた読み返したくもなりますが、心地よさが懐かしくなってまたこの本に帰ってきそうな気も。汐湯の後、ベンチで居眠りしている「あんな風な先生」の方が私も好きです。

  • 僕はギャンブルをやりません。すごく弱いんですよ。パチンコも麻雀も、少しやってみたのですがビギナーズラックすらなくて、まったく勝てる気がしないんで、ハマらずに済んでいます。

    で、博打打ちの話にはどこか憧れを抱いてしまうのです。自分にはないスケールの大きさとか大胆さとか。なんか自分がつまらない人間のような気持ちにもなるんですけどね。

    妻を亡くした「ボク」は精神を病み、アルコールとギャンブルに溺れ、小説を書くのも辞めてしまいます。そんな時に出会った「先生」〜あの阿佐田哲也その人なんですが〜の魅力に惹かれていき、やがて二人で「旅打ち」と呼ばれる博打旅に出かけるようになります。その中で次第に明かされる「先生」の心の傷。同じ傷を抱えた二人はギャンブルの旅の中で癒しあっているような、哀しさとあたたかさがじんわりと伝わってきます。

    久しぶりに、小説で心をぐっと掴まれた気がします。

    僕の故郷の街の競輪場が出てくる場面もあり、そこの食堂の女将の一言が懐かしい尾張弁で。こういうの、ちょっと嬉しいですね。

    読後感がとてもいい小説でした。

  • 妻に若く先立たれ、アル中になった主人公がギャンブルの神様(いねむり先生)に会い、心の交流を持つことで、立ち直っていく話。

    あまりこの著者の書は好きではないが、素晴らしいと思った一冊。

    死と再生の物語だと感じる。
    人生どんな所に落とし穴が待ち受けているが、分からないがまたひょんな事でも再生のきっかけになるし、助けてくれる人も表れるとも。

    先生の言葉、慰めにならないこともない。「人は病気や事故で亡くなるんじゃないそうです。人は寿命で亡くなるそうです。」

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著者プロフィール

伊集院静(いじゅういん しずか)
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。81年短編小説『皐月』でデビュー。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』『春の旅人』などを手がけている。エッセイも多く、『大人の流儀』シリーズはベストセラーとなっている。2017年日本経済新聞の連載『琥珀の夢』が刊行され、2018年10月5日、ドラマ化。2019年10月から日本経済新聞にて夏目漱石を主人公にした作品「ミチクサ先生」を連載開始。

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