なくしたものたちの国 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 635
レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451016

作品紹介・あらすじ

松尾たいこの色鮮やかなイラストから、角田光代が5編の小説を創作。なくした恋も、友だちも、思い出も、いつかまたきっと会える──。なつかしく大切な一瞬を詰め込んだ、宝石箱のような一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 眠れない夜に時々ふと思う。

    そういえば
    昔大切にしていた
    文房具やお気に入りの本やCD、Zippoライターにハンチングの帽子、手編みのマフラー、
    みんなどこへいったんだろうと…。


    人は失って初めて
    大切なモノの大きさに気づく。

    どんなに愛していたモノも
    その去る時の瞬間は、
    まるで記憶を消す魔法をかけられたかのように
    一度も覚えてないし、

    まるで始めから
    そこになかったかのように
    見事に消失する。
    (特に消しゴムやライターの見事なまでの消え去り方には脱帽するし、まるで自ら意思を持って失踪したかに思わせる)


    そんな忘れられたモノたちが暮らす世界が
    どこかにあったとしたら…



    瀬尾まいこさんと同じく
    小説家の中でも
    最も人間力のある人格者だと
    個人的に思っている(笑)
    角田さんだからこその
    暖かい眼差しで描かれた
    失われたモノたちへの愛と鎮魂。


    お母さんが大事にしていたお姫様のかんむり、
    ホットケーキが焼けるおもちゃの機械、
    叶わなかった超ド級の恋。

    動物や植物や果物と話し、生き霊にまでなってしまう(笑)
    主人公のナリコが
    幼少期から母親になるまでの
    長い年月の間に失ってきたもののエピソードの数々は
    誰もが自分と照らし合わせて
    共感できるものばかりで、

    大切なものを失ってきた人であればあるほど
    どこまでも感情移入してしまうハズ。



    その中でも
    小学校に入学したばかりのナリコと
    山羊のゆきちゃんとの甘酸っぱい思い出の話と

    高校生のナリコと去っていった飼い猫との
    奇妙な再会の話、

    そして相手を想うあまり
    生き霊になってしまうナリコの
    三十三歳の切ない恋を描いた話は
    本当に秀逸。


    特に飼い猫のミケと主人公の母親とのエピソードは
    動物を飼ったことのある人なら
    号泣必至なのでご注意を…。
    (そういう自分も、角田さんお得意のあざとさを感じさせない抑制された展開と会話の妙に、静かに静かに嗚咽が溢れてきてホンマヤバかった!汗)


    人は無くすことを繰り返しながら
    それでも生きていく。

    まったく別々の道を歩んできたモノ(人)たちが
    ほんの一瞬、同じ時を共有して、
    そして別れていく。

    なくしものをしても、
    見つかるまでじっとそこで待っていることは許されない。

    さよならだけの人生だと誰かが昔言ったけど、
    さよならだけでは終わらないのが
    人生の妙味だ。

    いつか失くしたものや人たちと
    遠いいつか、もう一度出会うために
    人は生きているということを
    この小説は優しく甘やかに教えてくれる。

    なくすことはコワくない。
    なくすことは出会うこと。


    そう思わせてくれただけでも
    自分にとっては価値ある小説だった。



    最後に、
    7年の短い生涯を終えた我が愛猫ヤミクロに最大の感謝を!!

    この小説にどんなに励まされたかわかりません。

    主人公のもとに愛猫が帰ってくるエピソードは
    さすがに何度も読めなくなったけど、
    今はこの小説に出会えて
    本当に良かったって思えます。

    • tc0611さん
      円軌道の外さんみ〜つけた(^-^)
      覚えてないかもやけどアメブロやってたつばさです
      コメントしたらあかんかなって思ったけど、ヤミクロちゃ...
      円軌道の外さんみ〜つけた(^-^)
      覚えてないかもやけどアメブロやってたつばさです
      コメントしたらあかんかなって思ったけど、ヤミクロちゃんが天国にいったっていうのを読んで( ; ; )うちも夏ごろ実家の猫が亡くなりました( ; ; )いっばいありがとういいました
      ヤミクロちゃんも円軌道さんに可愛がられて幸せだったでしょうね ☻
      私も円軌道さんにめっちゃ感謝しています!
      突然すいません
      身体に気をつけて夢をかなえてくださいね✨
      2013/12/12
    • 円軌道の外さん

      おおーっ!
      つばささん覚えてますよ(笑)
      いつも沢山のコメントくれてましたもん(笑)(^O^)

      春から仕事が変わり
      兵庫か...

      おおーっ!
      つばささん覚えてますよ(笑)
      いつも沢山のコメントくれてましたもん(笑)(^O^)

      春から仕事が変わり
      兵庫から大阪に転居して
      ジムとのゴタゴタがあったりで、
      ず~っとブログが書けなかったんです(^_^;)


      ここは好きなものを
      好きに紹介してるので(笑)
      気楽なんスよね(笑)

      またアメブロも
      復活する予定なんで
      気軽に遊びに来てくださいね(^_^)v


      2013/12/12
  • 知らないことが怖かった。
    だから小さいころ、死ぬことがすごく怖かった。

    なくすことが怖かった。
    大事なものがなくなってしまうのは悲しかったし、どんなに大事にしていても忘れてしまうから。

    だけどこういう風に、最後に、そして始まりの時に、再び出会うことができるなら、怖くなんてない。
    待っていてくれるなら、きっと大丈夫。

    「忘れてもいいのよ、忘れていたって出会えばまた、どうしたって愛してしまうのだから。いいえ、どうしたって出会ってしまうのだから。」

    ***

    『キネマの神様』に続き、飛行機の中で恥も外聞もなく泣いてしまった本。
    大阪から帰る飛行機で、本を読んでえぐえぐ泣くのがなんだかお決まりのパターンになりつつある。
    それはきっと、別れ際に堪えた涙、泣きたい気持ちがまだどっかに残っているせいもあるんだろうな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「死ぬことがすごく怖かった。」
      死ぬコトは、多少恐いと思っている方が良い、平気になったら向こうへ行きたくなるかも知れないから。。。
      「死ぬことがすごく怖かった。」
      死ぬコトは、多少恐いと思っている方が良い、平気になったら向こうへ行きたくなるかも知れないから。。。
      2014/03/14
  • とっても良かった。過去作にpresentsという短編集を出されているが、同じぐらいに好きだ。

    presentsと同じように、人が生まれてから死ぬまでに得るもの・無くすものが描かれている。もちろん、タイトル通り、無くしたものにウェイトが置かれている。

    主人公は雉田成子さんという名前で、生き物の声が聞こえたり、亡くなった飼い猫の生まれ変わりにであったり、生き霊になれたり不思議な出来事に出会ってはその現象に遭うことが無くなる。それをきっかけに、物ではないが得るものがあるということは、無くしたものが得たものに姿・形を変えて成子さんのもとに巡ってきたのだろうと思った。

    そして成子さんが「なくしたものたちの場所」に来たということは───??
    人でも物でも、今ここで一緒に存在していることが不思議に思える。人や物、何でも大切にしたくなる、そんな一冊だった。

    • hotaruさん
      綴さん、こんにちは。はじめまして。
      私があまり読まないジャンルの本をよく読んでいらっしゃるようなので、楽しく参考にさせていただきますね。
      フ...
      綴さん、こんにちは。はじめまして。
      私があまり読まないジャンルの本をよく読んでいらっしゃるようなので、楽しく参考にさせていただきますね。
      フォローもありがとうございます。
      これからよろしくお願いします。
      2018/05/27
  • 以前も角田光代さんと松尾たいこさんのコラボの作品を手にしてすごく良かったのを思い出し、今回もきっと良いに違いないと思って購入。

    なんだか読み終わったあと号泣してた。せつなくてあたたかくて、自分が今まで知らず知らずなくしてきたものに気付かされたというか。
    私も自分がなくしたものたちの国にいきたい。忘れてたことを謝りたいような、でもそんなこと必要ないのもわかってる。
    ただ、なくしたものをぎゅっと抱きしめて、また会えた喜びをかみしめたい。そしてまた違う形で会うことを約束したい。
    いや、約束なんていらないんだよね、どうしたって出会ってしまうんだから。

    うん、ほんと、いい作品。
    なくしたものは私を待っててくれてる。だからなくしたことを悲しまなくていいんだ。

    待っててくれてるし、また会える。

    さよならは別れじゃない。

  • 不思議な連作短編集。

    「なくしたものたちの国」という発想が素敵です。考えたことはなかったけど、ものをなくすことについて、無意識に絶望的なことのように感じていました。
    なくしたものが在り続けることのできる場所があると思ったら、(本編でも書かれていたように)安心します。なくしてもどこかでいつか出会えると思ったら嬉しいです。
    優しい発想だと思いました。

    静かで、不気味だったり狂気じみてたり、でもどこかやさしい、各編読み終わる毎になにかジワーっと心にくるお話でした。

    きれいな色使いのイラストなのに、静けさに、満ちていて物悲しく感じます。

  • この本に出逢えてよかった。

  • 「忘れたっていいのよ」

    忘れたもの失くしたものは、無くなったんじゃなくて別のところに移動した。
    だったら忘れる事も失う事も怖くないや、って、おだやかなゆったりとした気持ちになれました。

    5年とちょっと前、精神病棟に入院していたとき読みました。患者仲間に(たしか伊坂幸太郎の)の本をもらってその御礼にプレゼントしたのもこの本でした。
    優しくてそのまま。たおやかに流れる文章、空間、挿絵。

    文庫が出たとき迷わず買いました。
    今回で3回目か4回目。
    どの話も愛おしい。

  • ものすごーくいい本。あったかくて、すーっとじわーっと心に沁み渡る本。
    前に読んだpresentsがとっても良かったので、引き続き読んでみたんだけれど、前作に負けないくらいいい作品だったー♪
    2作目あたりまでは、ひとりの主人公の一生を追ってるとは思わなかったけれど、すごくいい作りだなぁ〜!全ての章で、特にミケの話のところで、何度思わず泣きそうになったことか。。
    なくしたものたち、なくしたくないけれど、徐々に薄れていく思い出とか、全部全部大切にしたいんだけど、仕方ないこともあって。。でも、仮に忘れてしまったとしても、そんなものの積み重ねの上に今の自分がいるんだってこと、忘れないでいたい。

  • 松尾たいこさんのイラストが素敵な作品でした。一人の女性の子供から結婚後までを描いた連作短編。人生の中でなくしたもの、気づかないうちに無くなってしまったものは確かに多いなと思いました。ちょっと不思議なことが起こっている、それは偶然とかではなくて、必然的なもの。そんな雰囲気が読んでいて心地良かったかな。深刻なこともあったけれど、さらさらと読めました。

  • 角田さんの小説はうまいと思うけれどゾワリとした感覚がありそこがあまり好きではなかった。
    「なくしたものたちの国」はまるで子供の時に楽しみにしていた学研の学習の夏休み特大号を彷彿させる。物語と一流の画家による挿絵。物語と絵が拮抗していた。学校へいかなくていい嬉しさと子供にとってはたくさんのお話が収録されていてワクワクとベージを開いたあの日、、、、。

    ユーモアあり、ホロリとする場面もたくさんあり、不覚にもこの歳になって最後はじんわりと涙が。
    今年読んだ一番好きな小説になるかもしれない。
    なくしたものは、きっとなくなってはいないんだね。

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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